For honor『始まりし9年戦争』 作:ペペロンチーノ伯爵
プロローグ・誓いの審判者
…………罪と言うのは……等しく分け与えられ、決して無くならないものだ。
この戦場では……あらゆる人種、性別、年齢の人間が死んでいる……それぞれの理由で、それぞれの意志で、それぞれの人生で…………結末を迎える。
…………だが、海を覆い尽くせる程の死よりも、この世で起こる罪はこの星を全て埋め尽くすほどだ。
「………………私の名はブロウ、アッシュフェルドの断罪王……ロウブリンガーだ」
~昼~
アッシュフェルド
投石機が…………真横で戦っていた戦友のウォーデンを磨り潰しながら弾けとんで行く。
歯軋りしながら身体を起こし、頭を殴って震える視界を戻す。
「クソ………怯むなぁ!!!このまま攻めるぞ!!!ポイントチャーリーを制圧するんだ!!進めぇ!!!!!」
戦技
レベル1
ブロウの雄叫びにも似た声はこの戦場で戦う全ての味方に勇気と安心感を与え、戦いで受けた痛みは消え失せ、底知れぬ力を沸き立たせた。
ブロウは両手のハルバードで敵の歩兵を凪ぎ払い、最前線で身体を張り味方の盾となる。
「ブラックストーン・リージョンの残存勢力はまだいるぞ!!一人も逃すなぁ!!!!」
(シャードの中枢、ブラボーは敵は少なく、ウォーデンのイオンが一人で戦っている……アルファ地点の銅像周辺では
ピースキーパーのミラとセンチュリオンのレギオンが多数の敵と接敵……)
ブロウは戦況を把握、周辺を見渡しながら目の前に刺し込まれた長剣を左手で握り止めた。
「なに……ッ!?」
「アポリオンの罪人よ……ここで貴様の罪を償ってもらうぞ」
長剣を手前に引き寄せ、引きずり込んだピースキーパーの顔面に頭突きを食らわせてハルバードの斧槍で身体を突き刺し、ブラボーで戦うイオンと対峙している敵の真上に投げ飛ばした。
「おっと……悪いなブロウ!!」
「気にするなイオン、ここを制圧したら私もすぐに向かう!!」
梯子の下から聞こえるイオンの声に答えながら次々と進軍してポイントチャーリーを完全制圧した。
「よし、ここはお前達に任せるぞ!私は仲間の元に行ってくる!」
ダメ押しにハルバードを振り込んでからすぐさま梯子を降り、側にいた敵のコンカラーを突き刺しながら走って城門橋の下に突き落とす。
「ッ!ブロウ!!後ろだ!!」
「分かってるッ!!」
背後から斬り掛かってきたウォーデンのロングソードをパリィで受け弾き、ガードを崩してコンカラーと同じ末路へと引きずり落とした。
「助かった、ここはもう大丈夫だ一人で守れる」
「そうか、なら任せる、レギオン達の援護にー」
言い掛けた時、目の前に残党のグラディエーターが降ってきた。
「ここはもう終わったぞ断罪王、制圧だ」
「ちょっとレギオン……最後の奴は私がッー」
「まぁそうカッカすんなミラ、気付いたら蹴り落としちまったんだよ、事故だ事故」
「そんな訳ないでしょ!!明らかにアンタが今!!」
そんな仲の良い二人に頭を抱えながらブロウはイオンと共に上へと登って兵を指揮する。
「よく聞け!!これからブラックストーン・リージョンの残党が根城にしている本拠地に攻め込む!!我らがアイアン・リージョンのグランドマスターもこちらに向かって来てくれている!!一足先に突入するぞ!!!」
ブロウの言葉に反応した兵士達の盛大な声を背に進軍を再開、シャードを抜けて更にその奥へと進む。
ブラックストーン・リージョン領土
ー『聖堂』ー
辺りは静まり返っていた、聞こえるのは背後で進軍する仲間の声や音だけ。
先に偵察へと向かったミラは未だ戻っていない、隣に立っていたイオンと顔を見合せ、更に進軍しようと歩を進めたその瞬間。
「ッ……!!」
「なんだッ!?」
「おいおい……」
正面左側に立てられた一本の脆い柱が、凄まじい破壊力によって吹き飛ばされた。
その粉塵に紛れて吹き飛ばされた柱と一緒に飛んできたミラが地面に転がる。
「ミラっ!!!」
「全軍!戦闘態勢!!構えろ!!」
「ん?…………おい見ろ!柱の奥だ!」
ミラに駆け寄ろうとするレギオンを止めたイオンが指差す先には、噴煙を掻き分けながらゆっくりと歩いてくる一人のブラック・プリオール。
「
「貴様!ブラックストーン・リージョンの残党か!?」
ブロウの問に答えず、彼女は柱の下で呻くミラを眺めながら鼻で笑う。
「…………素質はあるが…………まだ足りないか…………」
そして一瞬だけ視線をブロウに向け、踵を返して立ち去ろうとする。
「待て!!何者だお前は!!」
「……………………私か?…………………………私は……」
その刹那、何処からか現れたブラックストーン・リージョンがブロウ達を四方に囲んで包囲していた。
「ッ……一体どこに居やがった…!?」
「ミラ、いけるか?」
「ええ…イオン……大丈夫よ」
「固まって迎撃態勢!我々が四方の全線に立つぞ!さぁ行け!!」
三人を散開させ、四方の前線に立たせる。
ー『アイアン・リージョン前勢隊』ー
主戦力
『ブロウ』:ロウブリンガー
『イオン』:ウォーデン
『レギオン』:センチュリオン
『ミラ』:ピースキーパー
他エース:5名
歩兵:70名
ー『ブラックストーン・リージョン残存遊撃隊』ー
主戦力
『????』:ブラックプリオール
他エース:30名
戦力差は明らかにこちらが不利だ、歩兵がいくら居ようと、敵のエースが多すぎて勝負にならないだろう。
策を講じる間も無く、敵のエース群はブラックプリオールの合図で一斉に襲い掛かってきた。
「ッッ……!気を引き締めろ!!!ここが正念場だ!!!」
士気高揚で仲間の底力を引き出しても、圧倒的不利な数の暴力は凌ぎ切れない。
防陣の隙を崩され、遂に乱戦に移り変わったその時、猛烈な炸裂音と共に敵の背後から次々とアイアン・リージョンの兵士が姿を表し、その中から一人のウォーデンが突撃して敵のコンカラーを薙ぎ倒し、グラディエーターの首を斬り飛ばす。
「ッッ…グランドマスター……!!」
「ブロウ達を助ける!!行くぞホールデン!」
戦技
レベル1
「うむ……フンッ!!」
グランドマスター・ウォーデンが引き連れた軍は少ないが、それら全てが精鋭中の精鋭だった。
敵のエースはバラバラに崩れていき、勢いを失って森の奥に消えて行った。
「負傷兵の手当てを急げ!!ここを中継地とするぞ!!」
「……ブロウ」
「っ……グランドマスター、援護に感謝します」
「いや、遅れてすまなかったな、今日はゆっくり休むといい、明日からまた大きな戦いが始まる。私は……『ヤツ』を見つけなくてはならない」
「……その、ヤツと言うのは?」
ここ最近、グランドマスターはそれが口癖になっている、今まで聞こうとは思わなかったが、遂に聞いてしまった。
グランドマスター・ウォーデンはロングソードを地面に突き刺し、遠く北の空を見上げる。
「あの戦いの後、私はアポリオンの日記を見つけた」
「日記……ですか?」
「そうだ、そこにはアポリオンがまだ8つの頃に『深淵の大蛇』なる者と決闘してことが書かれていた」
「その大蛇というのが……グランドマスターが求めているヤツなのですか?」
「そうだ、私が集めた情報によれば、奴は今も生きており、ヴァイキングの地にいると予想している」
ブロウは空を見上げるグランドマスターを見つめながら一言だけ。
「どうするのですか?」
「……その大蛇を殺せば、絶対的な力が手に入ると言われているが、そんな物はあり得ない、私は……彼を仲間に引き入れたいと思っている」
「なんっ……!そんなことを!侍を仲間にすると言うのですか!?我々は奴らに侵攻されている途中だというのに!?」
「全ての侍がそうとは限らない、本気で平和を求める大蛇を一人、私は知っている」
「っ…………」
私はそれ以上言葉が出ず、グランドマスターは逞しい背中を見せながらずっと北の彼方を眺め続ける。
(この戦争に終止符を打つには……ヤツの力が必要だ……あの大蛇もそうだ、もう一度、彼に会わなくては)
ー戦技紹介ー
ブロウ・戦技レベル1
ー『統べる者の声』ー
味方プレイヤー、及び歩兵にステータス上昇効果を付与するが自身にその効果は発揮されない。
付与されたプレイヤーは敵プレイヤーを一人倒すまで効果が持続する。
歩兵に60秒間の速度上昇とダメージ+80
味方プレイヤーの体力を全回復
味方プレイヤーにシールド+200増加
味方プレイヤーにダメージ+150増加
味方プレイヤーに速度80%増加
グランドマスター・ウォーデン
戦技レベル1
ー『騎士王の威光』ー
全ての敵プレイヤーに30秒間のデバフを付与する。
敵プレイヤーの体力を半分にする
敵プレイヤーにダメージ-80減少
敵プレイヤーに防御力-100%減少
敵プレイヤーの速度-70%減少
敵プレイヤーは強攻撃でノックダウンするようになる