For honor『始まりし9年戦争』   作:ペペロンチーノ伯爵

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第四話『激化する死』

~深刻~

ー『帝の間』ー

 

 

「神風はまだ戻らんのか?」

 

亜由は帝の座に深々と腰掛けながら呟く。

あの野武士を追ってから既に丸一日、常に激化していく戦場においてあやつが戻らないのは問題だ。

 

「亜由様……」

 

「む、大熊か、海岸はどうだった?」

 

戦場から帰って来た大熊は座に腰掛ける亜由の隣に移動する。

 

「他愛ない、物足りないくらいだった」

 

「そうか、頼もしいな」

 

「ところで、神風は?」

 

「奴なら刺客を追って丸一日帰っておらぬ」

 

「刺客……?」

 

亜由は大熊に自分を襲ったあの野武士の事を話し、それを聞いた大熊は顔を伏せる亜由の肩に手を添える。

 

「案ずるな……神風は強い」

 

「戯け、そんな事はわかっている。心配など端からしておらぬ」

 

亜由が危惧しているのは神風の安否では無く、この圧倒的に不利な戦況だった。

 

「ナイトの軍とヴァイキング……そして内政の反乱……厳しい状況だ……」

 

「……畳み掛けるようですまないが、一つ報告が」

 

「…………なんだ?」

 

「『十兵衛』が……動き始めている」

 

「そうか……十兵衛、アポリオンに見魅いられた愚かな剣聖か…………」

 

私にその剣を教えたのは……お主だと言うのに…………。

肘掛けを強く握りしめる亜由を横目に大熊が続ける。

 

「密兵が送ってきた鳥の知らせでは奴の兵士が『寺院の庭園』で目撃されている。数は二人、兵を送るか?」

 

「ならぬ、奴の兵ならば雑兵など相手にならん…………私が行こう」

 

亜由は帝の座から動き、右手に立て掛けてあった野太刀を肩に添え置く。

 

「佐々木島の刃……こやつも随分と年期が入ってしまったな…」

 

「……一人で行くつもりか?」

 

「まさか……大熊よ、共に来るか?」

 

「無論……我は亜由様の鎧、何処までも」

 

「頼もしいな、では行こう」

 

 

ー『寺院の庭園』ー

 

 

亜由と大熊の二人は無人と化した庭園に足を踏み入れ、大石段を掛け降りながら周囲を見渡す。

 

「特に……見当たらぬが?」

 

「む、あれを」

 

大熊が指差す方向には社へと向かう両階段があり、そこの壁に敵の存在を通鳥に載せて知らせてくれた密兵が崩れ落ちて死んでいた。

 

「…………大熊ァ!!!」

 

「うむ……!!」

 

亜由の喝で二人は背中合わせに武器を構える。

そして最大限の警戒心を保ちながら少しずつ死んでいる密兵の元に近付き、大熊が亜由の周辺を監視し、その隙に亜由は野太刀片手に密兵に触れた。

 

「この無数の傷は……」

 

「なにか分かるか?」

 

「武器は一つではない、二つ、二刀流だ」

 

「なるほど、これで敵一人の正体は分かった。だが二人目は?」

 

「さぁな……だが確実に言えるのは、まだ二人とも近くにいるぞ、この寺院の何処かに。必ず」

 

密兵の血眼になった右目に手を添え、ゆっくりとその瞼を閉じる。

彼の身体は必要以上に切り裂かれ、必死になって抵抗したが無惨にも抵抗する両腕を失い、左目を貫かれて尚も噛み付いたのだろう、前歯がボロボロに折れている。

この男に亜由は心からの敬意と尊敬の念を抱き、己の右手の平を少し切り込み、滲み出る血を名も知らぬ密兵の頭に滴り落とす。

 

「死に行く貴方に、敬礼を」

 

いつしか失われてしまった、神風が口癖のように呟いていた言葉を無意識の内に放っていた。

 

「…………さて、大熊よ」

 

「……?」

 

「お主はこのまま登って社を見てこい、私は池庭を見てくる」

 

「御意、参る」

 

二人は別れ、大熊は社へ向かって階段を登り、亜由は踵を返して橋を渡った先の池庭に向かう。

 

「…………ふう……階段を登るのも一苦労……衰えたのぉ…」

 

大熊は息を切らしながら階段を登りきり膝に右手を乗せて疲れきった様子を見せていた。

 

「……………ふぅ……ふぅ……はぁ…………」

 

「…………演技は終わったか?」

 

下げた視線の死角から男の声が聞こえ、大熊は地面を見つめたまま首を傾げる。

 

「ふぅむ……渾身の演技だと思ったが…」

 

「今時そんな演技に引っ掛かる間抜けなどおらん」

 

「そうか……だが……」

 

「ッ!!!」

 

 

ー『山越え』ー

 

 

刹那、大熊は全身に狐炎を纏い、何者にも止められない巨大と強靭な肉体を素早く踏み出し、右手で目の前に居た荒武者の喉首を鷲掴み、宙に振り上げてから地面に叩き付け、社の支柱に投げ飛ばす。

 

「掛かろうと掛からまいと、こちらの間合いに入った時点で結果は変わらぬ」

 

「ゴッ……ゴハァッ!!……ウッ……ぐぅあ……ッッ」

 

「ん?貴様は荒武者か……」

 

大熊に柱へと投げ飛ばされ、背中を強打した荒武者は地面に這いつくばりながら肺に詰まった血を吐き出し、唸りながら立ち上がる。

 

「ぬ……うぅ……油断していた……」

 

「さて……間抜けめ……どうする」

 

「貴様を…………殺す」

 

「ふん、やってみろ」

 

荒武者は二刀を上と下に構え、摺り足を広く、大熊を睨み付ける。

 

「私は……復讐を果す……御子様を殺したあの大蛇を…」

 

大熊は棍棒を肩に担ぎ、大地を揺らすほどの踏み込みにも動じない荒武者を見下す。

 

「まったく……恨みを買いすぎるのもよくない…………のぉ?」

 

 

十兵衛の荒武者

ー『野渡(やみち)』ー

 

「こんなところで足踏みしている場合ではない、通してもらう」

 

 

亜由の守鎧・守護鬼

ー『大熊』ー

 

「お前の恨みなど知ったことではないが……ここを通せと言うのは無理な話よ」

 

 

その一方、亜由は橋を渡った先にある庭園に踏み込み、大樹根の下に創られた自然の空洞の中で佇み、亜由に背を向ける野武士に頭を抱える。

 

「むぅ……私は何かと野武士に縁があるようだな」

 

「……根から生えた草花、三つの桟橋に流れる池水は美しい世界の情景を沸き立たせ、気持ちを穏やかにしてくれる…………血が流れなければ」

 

「……詩人か貴様は?」

 

野武士はゆっくりと、まるで時がスローになっているかの如く穏やかに、ゆるりと振り替える。

 

「帝、亜由様……私達の目的は貴女ではありません」

 

「……そうだとして、貴様らは私の兵を惨殺したろう?何十人だ?何百人だ?貴様らは関係なくても私には大有りだ、ここで十兵衛の精鋭は仕留める」

 

「亜由様、我が主(十兵衛)は…かの大蛇、帝の守護者の首を求めておりますゆえ、その目的が達成され次第にこれまでの殺戮、冒涜を償い、あらゆる罰を受けた後に俺の軍を帝に従わせてやる、と言っております」

 

「帝の守護者……神風を?何故あやつの首を求める?」

 

清顔の野武士は口を萎ませ、眉を上げて考え、暫く沈黙してから口を開く。

 

「阿修羅を……止める為だと」

 

「阿修羅……?なんの事だ?」

 

「それは分かりませぬ、ですが、ここを通して頂ければその答えがわかりまする」

 

「ほう……そうか…………」

 

頭を下げ、本心から闘争の意図が無いことを知りながらも、亜由は野武士に刃を向ける。

 

「ではここで退き、十兵衛に伝えよ、その阿修羅とやらなどどうでもよい、あやつは私の懐刀、それを渡す気はないとな」

 

「それは……出来ませぬ」

 

野武士は腰に吊るした薙刀を手に、頭を上げて悲しげに刃を真に構えた。

 

「不要な血は好きではありません。ですがそれが叶わぬと言うならば……」

 

「不要な血?そんな物は存在しない、戦場で流れるのはいつだって決意の血だ、故に貴様の首から流れるのも……無駄にはならぬ」

 

「……その寛大なお命……頂戴します」

 

 

 

日の丸を背負う剣聖

ー『亜由』ー

 

「どのみち……ここを突破しても貴様らでは神風には勝てぬ」

 

 

 

野太刀を構え、いざ向かおうと間合いを測る亜由は野武士の薙刀を見てその動きを止める。

 

「まさか……貴様は月の一族か……?」

 

「っ……なぜそれを…………」

 

野武士の両手に握られた薙刀の刃を指差して答える。

 

「それは救霊の月……野武士の家系、月夜の一族が使う三代刃の一つだ」

 

「………………よく、ご存知で」

 

「単なる伝説だと思っていたが……なるほど、『面を除いた如月の元には救いを望む霊の月夜が集う』か……面白い」

 

 

 

月夜一族、救霊の八代目・野武士

ー『如月』ー

 

「私は八人目の如月……主の命を果たします」

 

 

 

亜由よりも早く、その足を伸ばすのは如月。

素早いステップで距離を詰めながら上に構えた薙刀を突き出す。

 

「甘いわ……ふん!」

 

亜由は如月の薙刀をパリィで弾き飛ばし、大きく踏み込んだ横凪ぎの大降りを繰り出す。

 

 

リカバリースタンス

ー『転身(てんしん)輪廻(りんね)』ー

 

 

パリィされ、大きく体勢が崩された状態から如月は刮目し、薙刀を激しく回転させながら亜由の野太刀が迫るよりも早く、刃を振り落とす。

 

「ぬぅッ……!?」

 

「シッ……フゥー……ッ!」

 

深々と斬り込まれた右肩の出血を押さえながら下がろうとする亜由に詰め寄り、振り上げられた薙刀は右斜めに亜由の首を捉えて落とされる。

 

「チッ……こやつめ…………!」

(原理は分からぬが、大きく弾くと奴の返しが来る、ここは堅実に防御して様子を見なくては……)

 

 

スタンス

ー『刻狂い(ときぐるい)』ー

 

 

亜由は攻撃を控えて防御に徹するように心掛け、如月の大降りに野太刀を合わせて受け流そうとするが。

 

「…………っ?」

(なんだあの攻撃は……異様に遅い、時がゆっくりになったような……そんな遅さだ)

 

如月の攻撃は異常なまでに遅く、鈍い、あれではどんな素人でもパリィが取れてしまう。

だが亜由は油断しなかった、もどかしいその遅さに惑わされる事なく、じっと攻撃を待つ。

だがその瞬間、如月の薙刀は振り込みの途中で遅いと全くの正反対、異常な速度で亜由の野太刀を打ち付ける。

 

「ぐっ……クッ……なんだと?」

(あんな中途半端な……力み無しであの速さと攻撃の重さ……野武士の家系……恐ろしいものよ)

 

「…………行きます…!」

 

如月は次に真上から振り落とすような攻撃を繰り出す。

始めから攻撃はトップスピードで繰り出されたが亜由は既に構えている。

 

「ッ…………む!?」

 

如月の薙刀が亜由の刃に打ち付けられようとした瞬間、時が歪んだように薙刀は穏やかに、鈍くなる。

だが野太刀に触れる事はなく、薙刀は再びスピードアップしながら方向を変え、亜由の右側から振り払われる。

 

「むぅん!!」

 

亜由も素早く反応して右側に構えたが薙刀は寸でのところで、スローダウンした。

 

「ッッ…………!」

(なんと紛らわしー)

 

刹那、亜由の身体は如月に蹴り飛ばされる。

背後に背負った根にぶつかり怯んだ所に薙刀が繰り出され華奢な身体を切り付けられた。

 

「ガフッ……舐めるなァ!!」

 

追撃に突き出された横突きを常人離れした反射神経で反応し、攻撃を受け弾きながらスウェイで大きく身体をずらして野太刀を横凪ぎ、如月の脇腹を引き裂く。

 

「あぐっ……ァ……フゥゥー……!」

 

互いに睨み合い、消耗を回復する。

 

 

 

 

バキンーッ!!

 

 

 

 

 

大熊は、社の木壁に出来た人型のめり込みにため息を着きながらその下で悶え苦しむ荒武者を見下ろす。

大したことないのぉ……」

 

「ゴフッ……カハッ……ぬ……ぐ……ッ!」

 

「ほらどうした?掛かってこないのか?」

 

荒武者は折れた右腕を自分で折り治し、二刀を拾い上げて構え直す。

だが荒武者の気力は切れ、視界が白くグラリと歪む。

 

「ッッ……クソ……」

(なんだコイツは……化け物めが…………)

 

大熊は無傷で野渡をここまで追い詰めた訳ではない、野渡の刃は幾度も幾度も大熊の肌身を切り刻んでいた、だが既にそれは古傷と化し、壁に叩き付けられる前に突き刺してやった腕の刺し傷は血が止まっている。

 

「ほれほれ、こんな狭いところでは息苦しくて戦えんだろう、特にワシが」

 

「ッッー!!」

 

眼にも止まらぬ速さで飛んできた張り手は荒武者の頬を吹き飛ばし、その意識を断ち切ると同時に腕を掴んで社の外に連れ回して階段の外にまるでゴミのように投げ飛ばす。

 

「…………ッ!?。ガァッ…!うぐぁ……ぬぅぅ……!」

 

「これでひろぉぉなった、ほれ、刀だ」

 

「ッ……」

 

衝撃と激痛の目覚ましに苦しむ野渡に大熊が二刀を投げ渡す。

震える手で刀を掴み、へし折られた肋骨に歯軋りしながら立ち上がる。

奪われた気力の中、白む視界の先で仁王立ちする大熊を血眼で睨む。

 

(冷静になれ……なぜ奴は怯まぬのだ……どんな攻撃も通用しない、何度切ろうと隙を見せず、ダメージが無い……)

 

荒武者が得意とするフルブロックのカウンターで攻撃を弾きながら攻撃しても大熊は一切怯まずに棍棒を叩き付け、投げ飛ばされてしまう。

 

(何処かに必ず……弱点があるはずだ……必ず…それを見切らなくては)

 

大熊は階段の上から動かず、じっと余裕に野渡を見下ろす。

その光景に違和感を抱いた野渡はある仮説を立てる。

 

(もしや……今、奴は消耗しているのか?あの表情からはまるで見えぬ消耗を……ならば!)

 

己の気力が回復する前に速く大熊の懐に入り込み、振り絞った刃を振り落とした。

その攻撃を、大熊は初めて棍棒を構えて防御した。

 

「ッ!やはりそうか、貴様!!」

 

「チッ……バレたか」

 

 

特殊パッシブスタンス

ー『強欲な傷口』ー

 

 

気力が完全に回復した野渡は間髪入れず大熊に斬り込む。

 

「ぬぅ…!」

 

大熊は今まで、気力が切れても消耗の様子を相手からバレないように表情や立ち姿で隠していたのだ。

故に、気力が切れると大熊はその場から一歩も動けず、パリィする力も残されていない。

普通ならば気力は一息、二息の内に回復するが、大熊は更に消耗の回復、そして無から気力が回復していかなくてはならないのだ。

更に大熊は完全に気力が切れ、消耗状態に入らなくては気力を回復出来ない、つまりゼロからリセットしないといけないのだ。

故にこのからくりに気付かれると本格的にダメージを負ってしまう。

 

「喰らえ!喰らえェ!!!」

 

「ッ……ッッ…………!!」

 

パリィ出来ない、それはつまり、弧炎を纏った攻撃は受けるしかないという事。

横凪ぎに振ってから二刀の戻し斬りは大熊の棍棒を抜けてその肉体を力強く斬り込む。

気力の回復に時間が掛かり、その状態では防御以外何も出来ない…………だが。

 

「ッ!しまッー!!」

 

その分、完全に回復した大熊に対するあらゆるダメージ、攻撃、スタンスは無力化され、大熊が繰り出す全ての攻撃には弧炎が纏い、恐ろしく素早いのだ。

 

「よぉぉくやってくれたなぁ…………あまり…図に乗るなぁァァァァア!!!」

 

 

ー『天魔の包容』ー

 

 

攻撃の振りすぎで勢いを止められなくなってしまった野渡に向かって完全に回復した大熊は野渡を肩に抱き上げる。

 

 

スタンス

ー『守護鬼の墓』ー

 

 

再び回復した気力を全て失う覚悟と気合いを付けて大熊は全身全霊の力を込め、肩に担いだ野渡を両腕で挟む。

 

「フゥゥゥゥウー……潔く死ねぇぇい!!!!」

 

鯖折り。

鈍く、甲高い粉砕音を鳴らしながら大熊は、絶命した野渡を手摺の外に投げ飛ばす。

 

「ふん……む?」

 

投げ飛ばした野渡を地面スレスレで何者かが受け止め、担ぎ上げた。

 

「あれは……ロウブリンガーか?」

 

何と、彼を担ぎ上げたのは青銅色のロウブリンガーだった。

ロウブリンガーは大熊を見上げ、次に亜由が戦っている庭園の方角を見てから走り去って行く。

追い掛けたくても気力を使い果たした大熊に体力は無く、その場に座り込む。

 

「ふぅ……ちと、休憩だ」

 

今度は本当に息を切らせてしまい、悔しさに頬を膨れさせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

亜由の柄が如月の額を叩き付け、素早い突きが肩を貫く。

 

「ッ……!」

 

「ぬぅアッ!!」

 

大振りの左をフェイントし、身体を捻って広範囲を巻き込む振り込みを掛けるが如月は隠密スタンスで躱す。

そして隙を見せた亜由に薙刀を振り落とした。

 

「まだだ!!」

 

「ぬッ!」

 

横凪ぎの振り込みを止めてスウェイ、更に身体を横に動かしながら切り払う。

だがこれを如月は振り落とす薙刀を戻し、死角に逃れようとする亜由を追い掛けるように全身で刃を振り回して亜由の腕を切り裂いた。

 

「ッッ……この……!」

 

亜由は裂かれた腕の傷をものともせず一歩、前に進んで如月が振り込んだ突きをパリィする。

だがこれは愚策、如月にパリィは通用しない。

 

「シュッ……!!」

 

「…………っ」

 

如月は転身の輪廻でパリィをリカバリー、激しく回転する薙刀を右に凪ぎ払った。

だが亜由はそれを狙っていたのだ、如月の刃が亜由の身体に触れる直前。

 

 

スタンス

ー『源の構え』ー

 

 

刀を右手に持ち、左手を手前に構えて無防備な状態を晒す。

その光景を如月は消耗と捉え、凪ぎ払いを遅く絞ってからフェイントを掛け、構え直して亜由のガードを崩そうと薙刀の柄を振り上げたその時。

振り上げた柄は亜由の左手に振り払われ、同時に胸ぐらを掴み寄せて如月の身体を野太刀が貫く。

 

「ゥッ…………ア…………」

 

「終いだ如月……これでェ!!」

 

如月を木に投げ付け、血を吐いて崩れ落ちる彼女に亜由は大きく野太刀を振り上げる。

 

「仁上に勝ー」

 

 

ー『ロングアーム』ー

 

 

意識の外から突き出された何かに亜由の脇腹を貫かれ、一瞬で背負い投げられる。

 

「んぐっ……!なん………何奴!?」

 

野太刀を振り回して起き上がり、歪む視界を叩いて前を見ると、一人のロウブリンガーが如月を担ぎ上げて今にも立ち去ろうとしていた。

 

「待て貴様!待てぇ!!」

 

ロウブリンガーの背中を睨みながら駆け出した瞬間、足元で小さい手の平サイズの金属玉が割れる。

瞬きの一瞬、強烈な光と音が炸裂し、亜由の気力と視界を歪ませる。

 

「ぬぅ!ぐ……」

 

その隙にロウブリンガーは如月を連れて逃げ去り、亜由は追跡を諦めて木の根にもたれ掛かる。

 

「クソ……一体何だと言うのだ……」

 

「……む?大丈夫か?」

 

桟橋を渡って来た大熊が疲労困憊の亜由に駆け寄る。

 

「大熊……逃げられた、いきなりロウブリンガーが割り込んでな……」

 

「こっちもだ、上から荒武者を放ったら青銅色のロウブリンガーが奴を担いで連れ帰って行った」

 

「青銅色……同じだな、まぁよい、とにかく戻るぞ、神風が戻ってきているやもしれん」

 

「御意、担いでやろうか?」

 

「ぬかせ、蹴り上げるぞ」

 

「この尻を?出来るものなら」

 

「ほう?ならば後で紅葉に頼もうか」

 

「それは…………痛いな」

 

互いの疲労など打ち消す程の高笑いを上げながら二人は帝の城へと踵を返して戻り行く。




~ムーブセット紹介~


ヒーロー・守護鬼
『大熊』

ムーブ
ー『山越え』ー
始動、もしくはあらゆるムーブから発動可能、パワー段階に応じて速度が変化し、相手プレイヤーのあらゆるブロック、スタンスを貫く。パワーレベル1で至近距離の強制的な軽度消耗効果と軽気絶ダウン効果のある平手打ち。レベル2で中度消耗、中気絶ダウン効果のある叩き付け。レベル3で重度消耗、高気絶ダウン効果のある投げを繰り出せる。
ダメージ0
パワーレベル1のスタミナダメージ(100)
ダウン時間2秒・F8
パワーレベル2のスタミナダメージ(200)
ダウン時間4秒・F12
パワーレベル3のスタミナダメージ(400)
ダウン時間8秒・F14

特殊パッシブスタンス
ー『強欲な傷口』ー
膨大なスタミナ・ムーブと引き換えに気力が回復しなくなる。
そして消耗状態に+気力回復ゲージを追加。
気力が残っている状態の場合、あらゆる攻撃ダメージを無力化し、全ての状態異常を解除。更に攻撃モーションのFが少なくなり、ブロック不能、撃ち抜き、不動、ジャガーノート、遠投、恐怖そのもの、それぞれがパッシブスキルとして付与される。
消耗状態に陥ると、非ダメージが倍増し、パリィ、投げ抜け、回避、移動が不可能となる。
大熊のスタミナゲージを相手プレイヤーは視認不能。

ー非消耗状態ー
非ダメージ100%軽減
与ダメージ50%上昇
スタミナ+80
スタミナダメージ無効化
攻撃にブラインドを追加
全ての攻撃モーションのF軽減。
弱攻撃=F12
強攻撃=F15
溜め強攻撃=F18
ヘッドバッド=F10
天魔の包容=F16
範囲攻撃=F12

ー消耗状態ー
非ダメージ100%上昇
パリィ不可能
投げ抜け不可能
回避不可能
移動不可能
スタミナダメージ無効化

スタンス
ー『守護鬼の墓』ー
スタミナゲージを全て消費して攻撃力を底上げする。
溜め強攻撃にダメージ+80
天魔の包容にダメージ+100
強攻撃にダメージ+40
山越えのスタミナダメージ+100

ヒーロー・剣聖
ー『亜由』ー

カウンタースタンス
ー『源の構え』ー
源の構え発動中に相手プレイヤーのガード崩しが命中すると発動可能、ガード崩しをカウンターで躱し、ダウン効果のある攻撃を繰り出す。
源の構え発動中は防御出来ず、スタミナも回復しない

源の構え発動時
発動必要時間F2
スタミナダメージ(40)
ダメージ(35)
ダウン時間4秒
フィニッシュ上強攻撃が始動確定


ヴィラン・野武士
『如月』

リカバリースタンス
ー『転身の輪廻』ー
弱攻撃又強攻撃を相手プレイヤーにパリィされた時に発動可能、パリィ直後攻撃方向を同方向以外に向けることでパリィ硬直を無視して阻止不能強攻撃を繰り出すことができる。
ダメージ38、F18、フェイント可能


スタンス
ー『刻狂い』ー
弱攻撃、蹴り技以外全ての攻撃速度を変化させ、ソフトフェイント始動で蹴り技に繋げられる。
最大速度(F15)最低速度(F30)ダメージ(最大時20、最低時58)
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