異世界に侍よ、来たれり!   作:マシンクーガー

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序章:敗北の果てに…

 

天正10年6月2日ーーー“織田信長”が、家臣である“明智光秀”の謀反により、信長が宿泊していた本能寺が炎上していた。多勢に無勢の信長軍は混乱し、明智軍によって全滅へ追い込まれていった。

本能寺から離れた山の中、無数の矢が刺さった甲冑、血だらけの若き武士 『凰雅光』が奴隷として信長に献上され、主君に忠誠を誓っていた黒人の武士『弥助』が信長の首を持って明智軍から逃げていた。二人は息切れも激しくなっており、光はある決意をする。

 

「弥助…拙者が囮になる。その間にお前は逃げろ。」

 

「何を言う!?」

 

「構うな!信長様の首が明智に渡ってみろ!それこそ天下統一を目論む明智の思う壺になる!」

 

「……しかし。」

 

弥助は必死に拒んだ直後、林の中から矢が飛んで来た。

 

「「っ!!」」

 

二人は運良くかわすと、光は弥助に言う。

 

「いけぇぇぇぇっ!!!」

 

「……光殿、すまぬ!!」

 

弥助は信長の首を抱え持ち、森の中へと逃げ込む。囮となった光は懐から白いふろしき出し、そこに転がっていた大石をふろしきの中に詰め込み、自身の身体に付着している血を付着させ、偽物を抱き抱える。そして森の中から明智軍の兵たち刀を構え、突っ込んで来た。光は必死に抗い、最後の抵抗をする。

早朝、朝日が昇り、森の中を照らす。辺りは無残に斬り倒された兵の死体だらけ、左腕を切断された光は刀を地面に突き立てていた。

 

「弥助…逃げれたかな…」

 

光は日差しが差し込む光景にうっとりする。

 

「清々しい朝だ…………」

 

光は最後の太陽を見上げ、絶命する。すると日差しが光の遺体を瞬時に消す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……?」

 

光はうつ伏せのまま目を覚まし、片方の腕で起き上がる。

 

「ここは一体……確か俺はあの時。」

 

「そうです。貴方は友と主君の首を守ろうと力尽きたのです。」

 

「っ?何奴!?」

 

「大丈夫です。私は貴方に危害を与えるようなことはしません。」

 

光の前に現れたのは太陽の光輪を輝かせ、美しき羽織を纏った女性であった。

 

「貴方は?」

 

「私は天照大御神(あまてらすおおみかみ)と申します。」

 

「天照大御神様!?」

 

光は慌てながら頭を下げ、膝まづき、祈る。

 

「顔をあげなさい。凰雅光」

 

「……」

 

「貴方の一族はかつて、私や弟である月読命(つくよみ)須佐乃袁(すさのおのみこと)を何百年も深く信仰してくださったのですから。」

 

「しかし、私の一族『長寿族』は滑落、今や長寿族は私一人しかおりませぬ。けどもう終わりました…あの場所で長寿族である私に渡って潰えました。」

 

「ですが、貴方は最後まで使命を果たしました。弥助と主君の首を守り、務めを全うした。長寿族である貴方はまだ滅びてはいけません。これから貴方に新たな人生を私達の力を与えようと思います。」

 

「?」

 

光は首をかしげると、天照大御神は手の平から光る球体を出す。すると球体が色を表し、大陸と海を造る。

 

「これは…地球儀ですか?」

 

「はい、そしてこちらが。」

 

天照大御神は次に光る球体を出し、もう一つの世界を見せる。

 

「信長様が見せてくれた地球儀には載っていない大陸がある。これは?」

 

「これは地球と異なる双子星“アルフヘイム”と言う世界です。」

 

「“アルフヘイム”」

 

「そこは地球と違って“魔法”と言う……貴方の世界で言う妖術で栄えているのです。貴方はその世界に転生させます。」

 

「転生…。天照大御神様、その魔法と言うのは妖術みたいなものか?」

 

「ちょっと違いますね。ですが、使い方は似ています。魔法には魔力と言うものがありまして、その力を貴方に与えようと思っております。」

 

「拙者に?」

 

「はい」

 

「これで……魔法と言う妖術が使えるのですか?」

 

「えぇ、それと。」

 

天照大御神は左手を光の頭に翳す。すると光の目の前の光景が変わりだす。

 

「何だ?この目の前に写っている光景は?」

 

それは光が住んでいた町の風景が変わり、高層ビルが立ち並ぶ。次に森が刈られ、そこに大きな国々が立つ。

 

「アルカディアと地球の先進文明を直接脳内に教育しているのです。」

 

「この“巨人”は何だ?」

 

さらに光の心を震わせたのは、目の前の光景に巨大な鋼鉄の巨人が光の刀と鉄砲を使い、戦っていた。

 

「それは“ロボット”と言うカラクリで巨人です。鋼鉄の外殻を持ち、その力は天の如く地の如く、あらゆる敵を粉砕する。」

 

「ほぉ……これも凄い、鉄砲を連装や…空飛ぶ船も!こちらはアルカディアの……」

 

アルカディアの文明や先進文明の地球に興味を持つ光は早くも理解し、納得する。

 

「大体は覚えました。色々とありがとうございます。」

 

「最後に…」

 

すると光の切られた左腕から木の根が生え、左腕の義手へとなる。

 

「片腕は御神木を使って、アルカディアの魔力と地球の妖力を兼ね備えた義手です。」

 

「ありがとうございます!」

 

「さらに♪」

 

すると天照大御神の目が光りだす。光の体が光りだすと同時に、身体中の傷が治り、甲冑も黒から鮮やかな朱へとなり、白き羽衣も追加された。家紋が『織田木瓜』から四つ盛松菱(よつもりまつびし)の家紋へと変わる。

 

「これは!?」

 

「服装は綺麗にしないといけませんからね。」

 

そして天照大御神は陣を描き、光を転送させる。

 

「来世で頑張りなさい♪」

 

「では、行って参ります。」

 

にこやかな笑顔で見送る天照大御神、光は覚悟を決め、異世界へと転生されて行くのであった。

 

 

 

 

 

「ここは……何処だ?」

 

光が目覚めた場所は森の中であった。光は近くにある水溜りに近づき、自身の顔を見る。

 

「これが……拙者の顔?」

 

髪は多少もっさりし一本結びをしており、鮮やかで美しい漆黒、目は二重上、綺麗な濃く碧い色の瞳、その上肌まで白く、顔の形も良く、正に旧世で共に活躍した“森蘭丸”にも怠らない程の美青年であった。

 

「夢じゃない……義手や甲冑もこの通り。?…」

 

光は奥から照らされる光を見て、そこへ走り出す。光が段々と大きく広がり、光は暗かった森の中から飛び出た。

 

「!!」

 

彼が目にした光景。それは壮大なる大草原、青い空と白い雲が広がっていた。

 

「ここが……異界“オケアノス”」

 

光は見たこともない大地を眺めていると、突然耳から何かが鳴り響く。

 

「?…通信?」

 

光は耳を手で抑えると、抑えた耳から天照大御神の声が聞こえてきだした。

 

『聞こえる、光君?』

 

「大御神様!?」

 

『通じるみたいだね。私もこうやってアドバイスするから、念の為これも贈るわ。』

 

光の耳から奇妙な装置が取り付けられ、左単眼にカラーレンズが展開される。

 

「これは?」

 

『未来の道具である“スカウター”って言うの。高性能で相手のステータスや軌道も分かることができるの!私の加護で異常な数値や状態、心拍数までも測れるように改良しておいたわ♪』

 

「……そこまでも。」

 

『ま、兎に角冒険を楽しんでね!後、スカウターにはこの世界の歴史や時間、そして国のあらゆる事が載ってあるから、それとたまに素戔嗚尊と月読命も通信してくるから、応答してね!』

 

「はい」

 

光はそう言いと、天照大御神は通信を切る。

 

「さて、新しき人生を楽しみますか……」

 

凰雅光は自身の服装を甲冑から笠、胴着、籠手、帯、袴へとなり、甲冑を収納魔法で『マジックバッグ』に収める。光は早速、スカウターに搭載されている世界地図を表示し、縮小しながら現在地を把握する。

 

「拙者がいる場所はオケアノス北部地方“ドミル大陸”北部にある“北の森”か。そしてここから見える草原が“バシリア平原”……そして、平原の南方に『ディラン・D・エリュシオン王』が統治する“エリュシオン王国”が治めている。先ずはこのエリュシオン王国に宿屋を探そう。この世界の通貨……“レオーネ”か。」

 

青銅貨 三千万枚、銅貨 五百万枚、銀貨 二百万枚、金貨 四万枚、

 

「凄いな…所持金が“数兆”もある。これだけあれば充分だ。(野盗かスリに盗られなければの話だが。)」

 

光は通貨袋を収納魔法に入れ、草原の方へと降りて行くのであった。

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