ある駆逐艦の話   作:蕎麦屋

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ん?うちの提督?
まぁ、悪い人ではないけど、良い人でもないかな?
駆逐艦からは嫌われてるんじゃない?
いつも不機嫌だし、目つきも悪いし。
せっかく顔はいいのに態度がねぇ〜。
私の知り合いも提督に我慢できずに移動しちゃったし。

でもみんな提督のことを知ろうともしなかった。
提督の気持ちとか、思いってやつ?
まぁ提督も不器用だから伝わりずらいんだよね。

あ、そろそろ作業に戻っていい?私これからメンテだから。


一羽

【ある駆逐艦の話】

 

 

 

私は軍事用のバスに乗っていた・・・。

 

 

私以外にも何人か乗っている、行き先は私と同じ場所だろう。

 

外の眺めを見ていた。一面海が広がり太陽の光で海面が光っていて、それ以外には何にもない眺め・・。

 

特に何も考えずに、こうして変わらない眺めをただ見ているのが好きだ。

 

 

?「綺麗な海だね。」

 

 

隣の席から聞こえた。私は外の眺めを見ながら「そうね。」と軽く返事をした。

するとまた隣から声がした。

 

?「もう、お姉ちゃんこっち向いてよ。」

 

「はぁ~」と私はため息をして声の主の方に顔を向けた。

 

黒髪ロングで、見事な胸、そして私と同じセーラー服を着ている私の妹・・いや、特型駆逐艦 潮 が優しい琥珀色の瞳を向け、笑顔で私を見つめていた。

 

?「なによ・・。」

 

彼女の笑顔に思わず動揺しかけた。姉である私が言うのもなんだが潮はカワイイ。彼女の笑顔を見れば誰でもつられてにっこりしてしまうだろう。

 

「もうすぐ到着だよ。日本を守るために敵をいっぱい倒さないとね!」

 

笑顔を崩さず彼女はそう言った。

 

「ふん、まぁちゃんとした鎮守府だといいわね。」

 

「お姉ちゃんは楽しみじゃないの?」

 

「う~ん、さぁね。」

 

「え~なにそれ~。」

 

「・・・・。」

 

「大丈夫だよ~無愛想なお姉ちゃんでも上手くやっていけるって~。」

 

「もう、あんたねぇ~」

 

そんな会話をしていると突然運転手から放送が入った。

 

『まもなく目的地の鎮守府に到着します。荷物をまとめて何時でも出れる準備をしてください。』

 

外をみると遠くに建物が見えた。きっとあれが目的地だろう。

 

「お姉ちゃん、早く荷物の準備しよ!」

 

周りを見るとみんな荷物をまとめたり、服装を整えたりと準備をしていた。

 

「お姉ちゃん、いよいよだね!あ、もう一回忘れ物ないか確認しないと。」

 

私の荷物は大して大きくないので一度確認すれば十分だった。すでに準備を終えた艦娘たちは今か今かと到着を待っていた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・。

 

 

 

数分後バスは止まった。数時間のバスの旅だったが、居心地は良かった、(もう少し乗っていてもよかったのに・・。)そんなことを考えながらバスを降りた。

 

 

【○○○鎮守府】

 

 

これからこの鎮守府で新しい生活が始まるのだ・・。思えば、【あの時】から私と潮は散々な人生を歩んできた。

 

「お姉ちゃん・・。これから私たちは艦娘としてここで生活するんだね。」

 

潮が私の隣で目をキラキラさせてそう言った。

 

「艦娘ねぇ・・。」

 

そう、私は艦娘・・兵士としてこの鎮守府へ来たのだ。【あの時】親を亡くし、身内もいなかった私たち姉妹は途方に暮れていた。生きることに絶望していた私と潮に光の手を差し伸べたのが海軍である。

 

今の時代、男子だけでなく女性も戦場へ行く時代なのだ、その女性の殆どは艦娘という兵士として。町の隅で蹲っていた私たち姉妹を海軍が保護し艦娘として抜擢したのだ。

 

艦娘の存在は小さい頃から知っていた。何度も生で見たこともある。潮は将来は艦娘になりたいと幼い頃よく言っていた。艦娘にならないか?という話を海軍の人から聞いた途端、飛び上がって喜んでいた。私はあまり乗り気ではなかったが、潮が(お姉ちゃんも一緒になろ!!)と強要してきたため、結局断れず艦娘になることを承知してしまった。

 

艦娘になるための身体検査や訓練はそこまで厳しくなかった。いや、楽だった。身体検査では大きなカプセルに数十分ほど入っているだけだし、訓練では艦娘の心得や艦娘の種類、武器の使い方などを教授っぽい人がただ話しているだけで運動系の訓練は皆無。

そして、最後に私たち姉妹に名前が付けられた。身体検査で適合した名前だと言われた。妹は、特型駆逐艦 潮 。そして私は・・・・・・

 

 

 

特型駆逐艦 曙 だった・・。

 

 

 

その後、専用のセーラー服を渡され、ぼさぼさの髪も整われ、髪形もサイドテールで紫いろに染められ、髪留めにはピンク色のお花と鈴を付けられた。潮も髪形を変えられていた。こうして私たち姉妹は艦娘として第二の人生を歩むことになった。

 

軍事用のバスに乗り、この場所に降りた、そして姉妹は今、鎮守府の門の前にいる。建物はなかなか綺麗だ。敷地も結構広い感じだ。

隣の潮は深呼吸をしていた。

 

潮「ハァ~、いい気持ち・・。お姉ちゃんもやってみて!海のいい匂い♪」

 

私も思い切り息を吸って深呼吸してみた。海の匂いだ・・。確かにとてもいい気分になる。

 

潮「ねぇ、お姉ちゃん。」

 

曙「ん?なに。」

 

潮「みんな先に行っちゃったよ、私たちも早く行かないと。」

 

気づけば、門の前で立ってるのは私と潮だけだった。みんなすでに鎮守府に入っていったらしい。確か、まず広場に集合するんだっけ?遅れたらまずい。

 

曙「そうね、早く行きましょ、着任初日に遅刻はまずいしね。」

 

潮「うん!」

 

潮が笑顔で返事をした。こうして潮と私はこの鎮守府に足を踏み入れた。

どんな鎮守府か、見たところ、綺麗な建物が所々にあり、規模の大きそうな鎮守府であった。

 

鎮守府の広場に向かいながら私は次第にワクワクしてきた。潮も同じだろう。

いったいどんな日々を過ごすことになるのだろうか。広場が見えると大勢の人が集まっていた。私は少しの期待を胸に広場へと向かった・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

そして、私は思い知らされることになる。この鎮守府の現実を。艦娘の現状を・・・・。

 

 

 

to be continued

 







ありがとうございます。


また会いましょう。
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