ある駆逐艦の話   作:蕎麦屋

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提督?

まぁ、めんどくさい人だよ。
情緒不安定というか、落ち着きがないというか。
思うところは山ほどあるね。

でも、前いた鎮守府の提督より私は好きだよ。

私が出会った提督の中で一番人間らしいし。

ずっと何かと戦ってきたんだろうね。

なんだか親近感湧く。


三羽

[Today is the first day of the rest of your life. ]

 

 

 

 

この鎮守府に来て約1週間が経とうとしていた。

最初の何日かは色々と大変だった、ここの生活はまだ慣れないことも多い。

 

若葉「うっし、んじゃ鎮守府戻るぞ~」

 

二人「は~い・・。」

 

私は今、鎮守府の近くの島にいた。

 

三分程度で一周できるほどの小さな島だ。ここで指導艦の若葉先輩が、私と村雨に旋回、迂回、速度の加速、減速の仕方などを教わっていて、ちょうど終了したところだ。

 

鎮守府に戻る途中、遠征に向かう駆逐艦達とすれ違った。

先輩駆逐艦を筆頭に何人かの駆逐艦が列になっていた。

 

先輩艦「よ~し!遠征成功させるぞ!」

 

後輩艦「は~い!!」

 

その様子を見ていた私は羨ましく思っていた。まだ遠征に行ったことがないのだ。

着任して1週間、新人の殆どは簡単な遠征などに先輩艦と組んで行けている。潮の艦隊も何度か遠征に行ったと聞いていた。

私の艦隊では今のとこ一度も遠征に行っていない。

(因みに私の艦隊は若葉先輩を筆頭に私と村雨の三人だけである。)

 

おそらくこの1週間、遠征に行っていないのは私の艦隊だけだ。毎日毎日同じような訓練ばかり、正直退屈だ。私はこの事態に少なからず不満を持っていた。いったい若葉先輩は何を考えているのだろうか?

 

一方、村雨も私と同じく不満を持っていた。彼女も、遠征に向かった艦娘達を羨ましそうに見ている姿を何度も見ている。

 

鎮守府に到着して海に浮くための艤装を外して地上に足を出した。陸地に足がついてホッとする、私は海上よりも地上の方が好きかもしれない。

 

若葉「はい、お疲れさん。んじゃ、艤装の点検を怠るなよ。ちゃんと倉庫にしまうこと、以上。」

 

そう言って若葉先輩はいつものように先に寮へと向かっていた。しかし今回はいつもと違う光景に出くわした。

 

村雨「若葉先輩!!」

 

村雨が普段より強い口調で先輩の名前を呼んだ。

若葉先輩が足を止めて振り返る。

 

若葉「ん?どうした、村雨。」

 

 

村雨「先輩、お尋ねしたいことがあります!」

 

 

若葉「・・・・言ってみろ。」

 

 

村雨「では、遠慮なく。」

 

 

村雨「私と曙は着任して一週間です!私たちは今日までずっと同じような訓練をやり、自分の艤装の点検も欠かさずし続けました!」

 

 

若葉「・・・・・・。」

 

 

村雨「私たちの艦隊はもうすでに、遠征に行くには十分な準備はできているはずです。」

 

 

村雨「ですが、何時になったら遠征に行けるのですか!」

 

 

村雨「他の艦隊は新人を連れて毎日遠征に行っています。」

 

 

村雨「さらに他の艦隊の遠征の成果は良好だと聞いています。それに比べ、私たちは毎日鎮守府の周りの海を訓練と言ってただ走っているだけではありませんか。」

 

村雨「若葉先輩はいったい何を考えになっているのですか?」

 

 

私が思っていたこととまったく同じだった。彼女も相当不満にだったのだろう。

私は意見を言わず、ただ黙って若葉先輩の方を見ていた。

 

そして黙って聞いていた若葉先輩が口を動かした。

 

若葉「お前らは・・・・・まだ遠征に行くには早すぎる。それだけ。」

 

 

村雨「ですから!それはなぜなのですか?」

 

 

若葉「・・・お前らはまだ艦娘としては未熟。もし遠征中に敵に襲われたら確実に沈む。」

 

 

村雨「・・お言葉ですが、他の艦隊が遠征で敵に襲われたという情報は聞いておりません。たとえ敵に襲われたとしても私は応戦できる自信があります。」

 

若葉「自信か・・・それだけで戦場じゃぁ戦えないよ。ただの命取りにすぎない。」

 

 

村雨「で、ですがぁ・・・」

 

 

若葉「本当なら新人が遠征に行けるまで、一か月以上の訓練が必要だ。たった1週間ちょっとで気軽に行ける任務ではないはずなのに、ここの上の連中はナニを考えてるのやら。」

 

 

村雨「では、他の艦隊のやっていることは・・・間違っていると?」

 

 

若葉「そう解釈してもいいよ・・。」

 

 

若葉「まぁなんだ、私には私なりのやり方ってもんがある。他は他、うちはうち。そういうことだ。」

 

 

村雨「・・・・・・私は・・・納得いきません。」

 

 

若葉「・・・・・・。」

 

 

村雨「失礼します・・・。」

 

 

そう言って彼女は自分の艤装を持って早歩きで寮へと戻っていった。

 

 

 

若葉「曙。」

 

 

曙「は、はいなんでしょうか!」

 

 

若葉「お前はどう思う。」

 

 

曙「・・・・・確かに遠征などの任務などやりたいと村雨と同じ気持ちです。先輩の意見も御尤もかもしれませんが・・その・・・えっと・・・。」

 

 

若葉「もういいよ・・・突然聞いてすまなかった。」

 

 

若葉「私はしばらくそこらを散歩する・・。」

 

 

若葉「私の艤装は後で自分で点検しとくからそのままで置いといてくれ。だがお前の艤装はちゃんと自分で点検しとけ。訓練の報告も私がしておくから、点検終わったら自由にしていいぞ・・・。」

 

 

曙「・・・分かりました。」

 

 

若葉「んじゃ、解散。」

 

 

そう言って私に背を向けるとそのまま先輩はドックの方へと向かっていった。

先輩を見送った後、晩飯の時間もあるので、自分の艤装を持って点検をするために工廠の方へと向かうことにした・・・・・。

でも・・なぜ先輩はドックへ?

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

私はドックへ向かっている。何をするためかって?まぁ、大したことじゃない。ただ一服しようと思っただけだ。ドックまでそんなに遠くはない。

 

ここの鎮守府のドックはなかなか大きい。

戦場で傷を負った艦娘達が傷を癒しに来るのだ。だが、私はこの施設に入ることは許されない。たとえ、大破して瀕死寸前だったとしても。病棟にならは辛うじて入れるかもな。

 

・・・・・周りの草木を抜けて、ドックの裏に着いた。砂浜に面した綺麗なところだが誰もここには来ない。私ともう一人の奴の秘密のテリトリーだ。

 

私はドックの壁にもたれかかり、ポケットから煙草とマッチを出し、煙草に火をつけた。

ゆっくりと煙草を吸って溜息とともに煙を吐く。

 

うまい、煙草のにおいが微かに香のように立ち込める。私にとって煙草は最大の癒し道具だ。

私は休憩時間の時、いつもこの場所で煙草を吸っている。

 

空を見上げると空は雲に覆われていた。

 

私はしばらく空を見上げ、そのうちまっすぐ立ちのぼる煙草の煙に視線を移した。

 

?「なんや?もう後輩の訓練は終わったんかいな?」

 

突然、隣から声が聞こえた。だが別に驚きはしない。なぜかって?知り合いだからだ。

 

 

若葉「ああ、龍驤か・・。」

 

 

龍驤「相変らずつれない顔しとるなぁ~隣、失礼するで。」

 

 

若葉「どうぞ~。」

 

 

龍驤「よっこらしょっと。」

 

 

 

私の隣に座り、ポケットから煙草の箱を出し、一本銜えた。そしてまたポケットに手を突っ込む。

 

 

龍驤「アカン・・ライター忘れた・・。」

 

 

 

若葉「・・おう、私のマッチ使うか?」

 

 

 

龍驤「おお!ええんか?おおきに。」

 

 

 

マッチを私から受け取るとすぐさま煙草に火をつけ、煙草を吸い始めた。

 

 

龍驤「スゥー、ハァーかぁ~旨い!この瞬間がいちばん最高やわ~。」

 

 

 

若葉「・・・・・この瞬間が一番最高って、悲しいな。」

 

 

 

龍驤「やかましいわ!うちの唯一の癒しの友は煙草だけや。もんくあっか!」

 

 

 

若葉「すまん、すまん、俺も同じようなもんだよ。」

 

 

 

龍驤「まったく・・スゥーハァー・・ところで、自分とこの後輩、もう一週間やろ?どんな感じなん?」

 

 

 

若葉「ああ、そうだなぁ~・・・今日、遠征行かないことに文句言われたな。」

 

 

 

龍驤「ほぅ、後輩に文句言われたんか、先輩の立場危ういなぁ笑」

 

 

 

若葉「ほんとにまいったよ。」

 

 

 

龍驤「てかなんや?まだ一週間やろ?そんなに早くに遠征に行けるはずないやろ。」

 

 

 

若葉「・・・最近、新人は先輩の許可が下りればいつでも遠征任務に行ける制度が駆逐寮でできた。」

 

 

若葉「ただし、先輩が同行しなくちゃだめだがな。」

 

 

 

龍驤「はぁ~ってことは・・・鎮守府全体の資材が足りんちゅうことか。」

 

 

 

若葉「・・おそらくな。」

 

 

 

龍驤「そーいや、うちの寮のせーきー空母さんらが資材が足りんて愚痴いうてたわなぁ~。」

 

 

若葉「そうなのか・・。」

 

 

若葉「その空母さんらは最近どうなんだ?なんかあったか?」

 

 

龍驤「あいつ等か?いつもどうりや、今日も軽空母の連中ボコボコにしてるんちゃうんか?」

 

 

若葉「ほぉ~それはそれは。」

 

 

 

龍驤「まぁ、またあいつが正規空母に首突っ込まなきゃええんやが・・・。」

 

 

 

若葉「あいつ・・・・大鳳のことか?。」

 

 

 

龍驤「せや、この前も加賀に反発してたわ。」

 

 

 

若葉「大丈夫だっだのか?」

 

 

龍驤「んなわけあるかい!その後加賀にぼっこぼこだったわ!ついでにうちも指導不足って理由で殴られたわ。」

 

 

若葉「おおぅ、そりゃお気の毒に。・・・・・でも大鳳はこの鎮守府の環境を変えたいって張り切ってただろ。頑張ってんだな。」

 

 

 

龍驤「有難迷惑ってやつや。まぁあいつも自分のせいでうちに迷惑がかかるのを気にしてはいるわ。」

 

 

 

龍驤「・・・・無理するなとは言ってるんや。仮にもうちの可愛い後輩やからな。うちは誰に殴られようが全然平気や。」

 

 

龍驤「うちが今心配なのは大鳳や、多分加賀とかに目を付けられとるんや。そのうち袋詰めリンチとかにされそうでな・・不安でしょうがないんや・・・。」

 

 

 

若葉「・・・・先輩の鏡だな。」

 

 

 

龍驤「うっさい・・・たった一人の後輩やねん・・・大事にせな・・。」

 

 

若葉「・・・・・・・・・。」

 

 

しばらく無言が続いた・・。私と龍驤は黙々と煙草を吸っていた。

そして龍驤から話し出した。

 

 

龍驤「そーいや、今日うちの寮で夜に招集がかかるみたいや。」

 

 

 

若葉「・・・・ってことは。」

 

 

 

龍驤「・・せや、第一艦隊が出撃するで・・。」

 

 

 

若葉「・・・いつもより早いな。またどっか攻略したいのか・・。」

 

 

 

龍驤「んなこと知らんわ、まぁ駆逐寮も今日招集かかるんちゃうんか?」

 

 

若葉「だろうな、誰が選ばれるか・・・・。」

 

 

龍驤「選ばれたら運の尽きやな。お前さんが選ばれないことを祈るわ。」

 

 

若葉「おう、ありがとさん。俺はそろそろ寮に戻るよ。」

 

 

龍驤「・・・うちはもう少しここで煙草吸ってるわ。ちょいと考え事したいしなぁ。」

 

 

若葉「そうか。そろそろ食堂へ行く時間だ、艦隊で行かないと入れてくれないからねぇ。」

 

 

龍驤「ほうか、駆逐艦の飯は早いもんなぁ。」

 

 

若葉「んじゃ、失礼するよ。」

 

 

龍驤「ん、あんまし後輩に嫌われるようなことするんやないぞ!」

 

 

若葉「余計な心配だ。」

 

 

龍驤「ほうか、ほな、さいなら~」

 

 

私は龍驤に軽く手を振って、ドック裏を後にした・・・・。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ハァ~、ようやく艤装の点検が終わった、部屋に戻って溜息をついた。

 

私の部屋は駆逐艦寮の三階の四人部屋だ、一艦隊で一つの部屋を共有している。私の艦隊は三人だ。四人部屋を三人で使っているので布団は一つ余る。

 

村雨は今、他の艦隊の部屋に行ってるし若葉先輩はどっか散歩に行ってる、暇なのは私だけだ。

 

自分の布団に飛び込んで仰向けになった。近くの時計を見ると今は午後五時頃だ、七時から食堂に集合しなくちゃいけない。一時間以上時間があるわけだ。ほんとに暇だ。

 

 

曙「・・・・・・。」

 

 

潮は今どうしているのだろうか?潮の部屋は二階の六人部屋だ、六人でその部屋を共有してると聞いている。潮の部屋に遊びに行ってもイイが正直その部屋の先輩が気まずい。そもそも若葉先輩とも気まずいというのに・・。

 

 

曙「・・・ハァ〜。」

 

思えば若葉先輩との出会いは最悪だった。

私がこの鎮守府に着任して早々寝坊し、無我夢中で走っていたら前方不注意で衝突してしまった。

 

その衝突した相手が若葉先輩である。しかもその後私が勝手に逆切れしてしまった。しまいには私の指導艦だった。

 

結局私は先輩には謝ってはいない、先輩の方もその話をしないから恐らく気にしていないのだろう。でも私は今でも若葉先輩と話すとき少しぎこちなくなる。

 

曙「ハァ〜・・。」

 

布団の上でまた溜息・・・。

今日の夜、気晴らしに寮の近くを散歩しようかな?あっ門限あるんだった・・。  

潮は先輩方と旨くやっていけているだろうか・・・。             

 

 

 

 ガチャ

 

 

 

突然部屋の出入り口のドアが開いた。入ってきたのは・・・・・・・・村雨だった。

 

 

村雨「曙ちゃん、ちょっといい?」

 

 

曙「ん?どうしたの?」

私は起き上がって布団の上で胡坐をかきながら村雨に尋ねた。

 

 

村雨「いや、その、若葉先輩のことよ・・。」

 

 

曙「若葉先輩のこと?」

 

 

村雨「うん、ちょっと他の艦隊の先輩方からいろいろ噂を聞いてね・・。」

 

 

 

 

 

 

 

                                     to be continued

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 




また会いましょう
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