八幡のちょっとリアルな大学生活。   作:23番

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こんにちは、逃げてきました。
10月に入りました。残暑が厳しいそうです。

いつも通り拙いものにはなりますが、この文章を読んで少しでも楽しい、癒される等、なにか感情がプラスになる方が一人でもいたら嬉しいです。

沢山の感想ありがとうございます。すごく励みになります。

感想、意見、アドバイスなどお待ちしております。
誤字報告も助かりました!
またお手すきの際にどうぞ。


10月①

 

 

 戸部翔は後悔していた。

 

 高校三年、夏の大会。総武高校サッカー部創部以来最高の県大会ベスト16という成績を残し、学校から多くの祝福を受けると共に願ってもない推薦の話を貰った。サッカーの名門校という訳でもないのに学業を疎かにしていた俺にとっては正に寝耳に水、晴天の…っべー、まあいいか。大学、それも中々偏差値の高い大学らしく学校側も無理をしたとは顧問から聞いた。ギリギリだから少しのトラブルも勿論、テストの点も下げるなと喝を入れられたのをよく覚えている。

 

「はい、じゃあ問三を…戸部君お願いしていい?」英語教師が叫び、現実へと引き戻された。

「あ、え、おおっ!」急な声掛けにクルクルと回していたペンを落としてしまう。コロコロと隣の席に転がるのを目で追うと、白い手がそれを包んだ。「はい」黒髪をシュシュで一つに束ねた女子が振り返る。「戸部君話聞いてなかったでしょ。答えは二番だよ」拾ったそれを渡しながら、囁いてきた。

「…っべーマジ助かるわー」そう言うと、名前も知らない女子はニコッと笑い元の位置に戻る。

 立ち上がり、教えてもらった答えを言うと教師が驚く。教室からはお~という感嘆の声が上がった。「ちょっとちょっとー、どういう反応それー」頭を抱えると、さらに教室は笑いに包まれた。

 春学期と秋学期で英語の講義は変更することができ、何となく別の講義を取った。だからかは知らないがヒキタニ君の姿は見えない。もう一度隣を見ると、名前も知らない女子が小さくグーサインをしていて、同じポーズを返す。

 未だ残暑が続く十月、半袖シャツから伸びる腕には寒くもないのに鳥肌が立っていた。

 

 教師に呼び出されたのは他でもない、痴話喧嘩の件だった。もう恋人同士じゃない二人にはこの表現も通じないか。大岡が大きな声を上げていた為だろう、部活で後輩の指導を終え、仲裁に入った俺と隼人君、そして元凶の女は早々に解放され、職員室から出た。

 一連の恋愛旋風は過ぎ、隼人君ともギクシャクした関係になり果てていた俺は素早く退散しようとしたが、女が飄々と放った一言で身体が動いていた。

 白いシャツとブレザーを一緒に握りこみ、持ち上げるように掴んだ腕は部活終わりの半袖だった。

 

「戸部君?おーい」顔の前で手をひらひらとさせ、覗いてくる。思わずシュシュを目で追ってしまう。「もう終わったよー」

「あははは、戸部君授業ずっと聞いてないじゃーん」

「戸部ー、カラオケ行くんだけど一緒にいかねー!」

 気付けば数人に囲まれ話しかけられていた。大学が人が多く、経済学部だけでも三百人を優に超える。その中でも悪目立ちをしている俺は知り合い以上友達未満といった関係の学生が殆どだった。今俺を囲む六人ほどのグループも少し遊んだだけで、深く関わった覚えはない。「っべー、授業終わってんの気付かなかったー!」

「あはは、今度ノート見せてあげるよ」シュシュの女が机に手をついて言う。

「うわー、マジ助かるわー」女を拝むように手を合わせる。「授業中もあんがとねー」ぺこぺこと頭を下げた。感謝からではない、視線を追いたくなかった。

「ううん、いいよいいよ」シュシュが揺れる。「それより戸部君もカラオケ行くでしょ」

 女が言葉を続ける前に、鞄に手を伸ばしていた。「いや、今日バイト入ってて」素早く教材と筆箱をしまうと肩に掛ける。「ごめんみんな! また誘ってよ! 約束ね!」

 ぽかんとする集団を背に、扉を押し開け外に出る。そのまま足を止めず階段を降り始める。

 似ているというだけで苛ついてしまう自分に腹が立つ。ただ、それ以上に身体を占める後悔は日に日に増すばかりだった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 例えば、一面の銀世界に黒い墨でも落とそうものなら、俺はそれを阻止するのだろう。潔癖と倦厭されようとも今まで通り、いつも通り、仮初の布でも当てて取り繕うのだろう。

 そんなことを考えている今も、白い世界には邪悪な異物が紛れ込もうとしている。

「この感じにも慣れてきたね」隣から声を掛けられた。

「あ?」半分意識がトリップしていた為、ぶっきらぼうに聞き返す。

 頬杖をついていた右手とは反対方向、左の席に腰掛ける海浜総合高校元生徒会長の玉縄が少し身を引きながら言葉を発する。

「あ、いや、高校は黒板にチョークだったじゃないか」玉縄の頬は少し引き攣っていた。「大学に来てホワイトボードをよく見るようになったからね。チョークの音が久しくて」と言い、前方で教師がペンを滑らせる様子を視線で示してくる。

 だから気にしないでいいよ、となぜか頭を振った。

 今朝、家を出る前に小町に言われたことを思い出す。――うわ、お兄ちゃん目がゴミ捨て場みたいだよ。

 どゆこと?ごみ捨て場ってどゆこと?いや確かに週末寝付けなかったけれども。

「ああ、まあそうだな」適当に相槌を打ってから考える。大学の講義は主にプロジェクターを用いて行われていた。毎回の講義にプリントを各自印刷してきてそれを元に授業を進める事が多く、教授もパソコンから直接操作して書き込みを行う場合もあった。書き込みすら行わず、マイクで九十分間喋り続ける講義もあったのを思い出す。それでも黒板とチョークが奏でる軽快な音は少ない講義でも印象に残り、久しいとは思わなかった。「確かに、あんまり聞かないな」

 考えたうえで流した俺のセリフにも多少意味はあったのか、玉縄が目を輝かせる。「うんうん、でもどんどん変わっていくんだろうね。i-Padを導入している学校とかもあるみたいだし」お得意の手をクルクルする仕草が発動するのと同時に、口も流暢になる。

 それに相槌を打つ簡単なお仕事をこなしながら、この週末の睡眠不足の原因を遡る。

 

 葉山が発したキーワード。「迷惑は掛けられない」「怒ってない」これが示す先はなんだ。

 迷惑、これは戸部にだけではない筈だ。でなければ三浦や海老名さん、その他と距離を取る必要もなくなる。そして現在、大学で葉山の周りを囲む人はいない。導き出される答えは、葉山に近しい人間に迷惑がかかる可能性がある。というところだろう。

 では、怒っていない、とは。これも迷惑と一緒くたに考えていいだろう。短い学生時代にそう何度も迷惑を掛けるといった事態が起こるとも考え難い。戸部が葉山を怒らせることをした、という考えに至るのが必然だろう。しかし……。

 

「――そういえば、君はこの講義、前期も取っていたんだよね?」

「ああ、ああ?」玉縄の急な変化球を思わず後逸するところだった。おいおいなんの為のサインだよ。お前との間に十八メートルの絆は無いぜ?

「あれ、違ったかい?」玉縄が首を傾げる。「教科書に書き込みが見えたからてっきりそうかと…」

 玉縄の言葉にテキストのページを前へと戻す。そこには前期の戦果が乱雑に残っていた。

「いや、取ってたぞ」ページを今へと戻す。そういえば戸部はどうしたのだろうか。

「そうかい、どんな授業だったか教えてくれると助かるんだけど」玉縄は窺うような視線を向けて来る。「どうかな?」

 その視線を受け流しす。「別にいいぞ」と答え、授業の流れから小テストの頻度。ついでに試験の中身も手短に伝えた。「まあ、前期と後期で内容変わるかもしれんから、鵜呑みにすんなよ」と付け加えた。

 うんうんと頷きながらメモを取っていた玉縄だったが、俺が話し終えると顔を上げた。「ありがとう」白い歯が見えた。

 人に素直に感謝されることもあまりない為、身体をもぞもぞと何かが這いまわった気がした。

「気にすんな」顔を背けると教室内が目に入る。半年、正確には四月から七月の四か月だが、慣れ親しんだ講義と講師だからか見知った生徒がちらほらといた。小さな講義室であるために顔くらいは覚えている。「なあ玉縄、聞いていいか」丁度いいと思い訊ねる。

「なんだい?」教科書に目を落としていた玉縄がこちらを向く。

「どうして講義変えたんだ?」言ってから単位を落とした可能性に気付き、肩を竦める。「いや、意味とかなかったらいいんだが」

 玉縄は一瞬意外そうな顔をしたが、俺の意志を汲み取ったのかすぐに顔を綻ばせる。ちょっと気持ち悪いです玉縄さん…。

「ただ単に受けてみたかったからだよ。せっかく大学に来たんだし、色々な講義を受けたくてね」玉縄の視線は俺を見ているようで、その先を見据えている気配もあった。

「そうか」戸部にそんな思惑があるとも思えず、参考にはならないなと目を伏せた。「サンキュ」

 玉縄は再び教科書に向かう、が訊きたいことがもう一つあったと思い出し再び口を開きかけた、が、突然脳天に衝撃が走る。

「いっ!」舌を噛んだ。

 じんわりと血の味を口で転がしながら後ろを振り返ると、鬼瓦を思わせる形相で年配教師が立っていた。手には丸まった教科書。

「うるさい」女性に似合わない低い声が、棘をもって鼓膜に刺さる。

「す、すみません…」頭を擦りながら答えるのが精いっぱいだった。

「まったく、戸部君がいなくなって静かになったと思ったのに…」

 英語教師はぶつくさと小言を吐きながら教卓に戻っていく。

 クスクスと教室内に小さな笑い声が響く。首を縮こまらせて逃れようとしたが、どこからか視線を感じる。チラと覗くと、どこかで見たことのある黒髪ボブの女生徒がいた。

 前期で見たことのなかった顔だ。どこで見たんだか…。

 教師の終了を告げる声に、思考は消え去った。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「なあ小町、受験期に電話かかってきたらどう思う?」底の深いフライパンを振りながら隣の小町に訊ねる。

「自分がどう思うか考えればいいじゃん」小町はほとほと呆れた声を出す。ノースリーブにエプロンをしていて、裸エプロンに見えなくもない。微塵も興奮しないのはDNAの所為か。

 手元の野菜と肉を溢さないように気を付けながらヘラを扱う。「そうだな、やめよう」

「はあああ」盛大なため息に手が滑り、キャベツが飛んでいった。「これだからゴミいちゃんは…」

「え、なに。今朝から口悪いわよ? 小町ちゃん?」

「お兄ちゃんは口調が気持ち悪いよ」

「う…」返す言葉もなく、無心でヘラを動かす。まあ、と声がした。「まあ、一色さんならいいと思うよ」カシャカシャと味噌を溶かす小町の声色は、少し優しくなっていた。

「え、なんで分かんの」

「小町にはお兄ちゃんの感性が分からないよ…」と思ったら再び呆れが混じる。「ほら」と言い俺の手からフライパンを奪い取った。「電話しといで」

 飯を食ったらすぐにバイトに向かうからだろう、小町が強制力をもった声で言う。

「お、おお、さんきゅ」水道でさっと手を洗い、リビングを出た。

 

 数回のコール音、では出ない。プルルルルと無機質な音は廊下に響く。諦めてかけ直そうかというところで、ぶつっと線が切れるような音を立てて繋がった。『は、はい』

「一色、今いいか」玄関の時計を確認しながら言う。

『だ、大丈夫です』一色の声が微かに震えているのは、スピーカー越しでも分かった。『ど、どうしたんですか?』

「お前が大丈夫か、どうした」

『え、いやいやなんでもないですよ!』図星を突かれたからか一色は一際大きな声を上げる。人は本当の事を言われると怒る。『せんぱいが掛けてきたんじゃないですか!』

「まあ、そうだな、すまん。で、本題なんだが」一色が唾を飲み込む音が聞こえた気がした。「去年の夏から秋にかけて、総武高校で何か事件がなかったか調べてほしい」『は?』

 はやい、はっやいよいろはす。怖い。いや、確かに急な内容だよ、突然なんだよって感じは分かる。でも怖い。

「いや、すまん、突然で戸惑うのは分かる」見えてもいないのに、言い訳がましく手を振る。「ただ必要で…」

『は?』怖い。

 怖いよこの子。今のところ、は? しか言ってないよこの子。

「だから、事件とか…」『それはもういいです』「はいすみません」

 

 授業終わりに玉縄にアンケートを取った。周りに迷惑をかけるかもしれないから距離を取る理由とは。勉強の邪魔をしない。集中を乱したくない。といった事も上げられたが、これはどちらかと言うと距離を取る側の理由になる。俺が玉縄に聞いて導き出した解答、それは自分自身が"害"になる場合、だった。

 近寄ること、関係を持つことで、周りに何らかの害を与えてしまう可能性。これが俺の答えだ。そして葉山が害になる原因、またはそれに起因することとなった戸部に、葉山は"怒っていない"ということだろう。

 その調査を一色にお願いしようとしたところで……。

 

『せんぱい、受験を控えた女の子に電話がかかってきて、それが先輩だったとして、女の子は何を求めてると思います?』一色の声は打って変わって、芯の通ったものに変化している。しかもそれは怒りに近い芯となって。『励ましとか、もしかしたら気分転換のお誘いとか、分かります? せんぱい』怖い、最後の「先輩」が特に。

「いや、はいすみません」土下座をする気分で謝る。現実に膝は着いていた。

『すみませんじゃないですよ。電話がかかってきたらせんぱいで、二度見どころか三度見して、短い時間で水飲んで声作ってしてた私が馬鹿みたいじゃないですか』ねえ先輩、と続ける声が怖い。

「すみませんでした」気付けば額が部屋の床についていた。はっ! 考えるより先に身体が土下座する。社畜もびっくりのスキルを身に付けてしまった!

『デート』

「はい」

『日曜日』

「はい」

『千葉』

「はい、え?」

『は?』

「すみません」

『調査結果もそこで言います』

「あ、さんきゅ」

『あ?』

「すみませんありがとうございます…」

『じゃあ、バイト頑張ってくださいね♡』

 ぶつ、と今度は正真正銘切れた。

「はあ」後輩に調査を依頼したら何故かデートすることになった件。聞きたい人、いる?

 携帯をポケットに突っ込み、リビングに足を向けるとドアの隙間からアホ毛が見えた。「何やってんだお前」

 ぴょこんとアホ毛が動き、続いて四つん這いで小町が出てきた。

「はあ、お兄ちゃんに期待した小町が馬鹿だったよ…」ため息をつき、がっくりと頭を下げる。「最初は『勉強お疲れ様、無理してない?』 でしょ」

「なんだその気持ち悪いセリフは」動線を塞ぐ小町の剥き出しの脇に手を入れ、持ち上げた。「膝悪くするぞ」

「ちょ、やめ…!」すると小町が暴れ、俺の手から逃れる。フシューと気を吐く。「お兄ちゃんのばか! 変態!」ガルルと臨戦態勢に入った。

「なんでそうなる」そんな小町を無視し、完成間近だった夕食を取ろうと食卓を見るが食器ひとつなかった。「おい、まさか最初から聞いてたのか」

「お兄ちゃんが廊下で土下座してるところなんて見てないよ」小町がわざとらしく口笛を吹く。

「ちょっとこっち来い」手を伸ばすが小町は避け、笑いながらキッチンへと走る。

 あはははと声を上げる小町を見て、バイト選びも間違ってなかったかなと思いを馳せる。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 残暑が残る十月上旬だったが、生憎の天気で俺の脚の間にはビニール傘が挟まれていた。大きな車窓に目を向けると、垂れた雨粒が風で流され模様を作っている。見慣れない土地の景色は、灰色の思い出になりそうだ。

『間もなく、千葉運転免許センター。千葉運転免許センター』

 バスの車内に軽やかなアナウンスが流れる。女性が吹き込んでいるのか、合成の音声なのかは分からない。

 降りる駅の為窓枠に付けられたボタンを押そうとするが、手を伸ばすよりも早くランプがついた。バスの車内を見渡すと、席が埋まるほどの混雑にもかかわらずほぼすべての乗客がもぞもぞと動き始めている。

 まあ、このバスに乗る人9割の目的地は一緒だよな。

 前方にひときわ大きな建物が見えた。

 

「はい、ではあちら、四番の視力検査へお願いしますねー」必要事項を記入した用紙を渡し、受講手続き料を納めると背後を手で示された。「あ、はい」手際の良さにビビりながらお釣りをしまう。

 わざわざ全休の平日に来たというのに、免許センターはそれなりの混雑を見せていてげんなりする。前を見ても後ろを見ても人がいて早起きした意味を感じられなかった。それでも空間の隙を見る限り休日の混雑具合は予想でき、なんとか許せた。

 視力検査の列に並ぶ。大きな機械の横に検査官が座っていて、検査を受ける人が座るたびに機械が上下をするのが見えた。それを抱き抱えるように座る様子は少し滑稽だったが、自分もやる未来は分かっている為に笑えない。女性は大変だなと思っていると、両足を揃えて半身で検査を受ける人がいた。

 ちらと辺りを見渡すが葉山はいない。これは別に期待したわけではなく、自動車学校によって免許を取れる曜日が決まっているのだ。俺が通っていた自動車学校の場合は火曜水曜、金曜だった。同じ日に卒業検定を受けた俺と葉山だったが、免許取得日までは一緒じゃなくていいらしい。

 というかその旨のラインが葉山から届いた。

「次の方どうぞー」年配だが、どこか貫禄を感じさせる雰囲気のある男性が呼びかける。いつの間にか先頭に立っていたおれはペコリと頭を下げ、紙を渡す。「はい、えー、コンタクトではないね?」

 丸型の椅子に腰かけながら答える。「あ、はい。裸眼です」股を開く。

「はいじゃあ覗いてもらって、大きな声で穴の開いてる方向を言ってくださいねー」機械が静かに上昇し、俺の視線に合う。

 一応国家資格である為どんな検査が待っているかと身構えたが、簡単な二、三回の問答で検査は済んだ。「はいおっけー、両目0.7以上だね」

 じゃあ次は七番の受付へどうぞ、と言いながら紙を渡され、再び手際の良さにアタフタしながら離れる。

 それでいいのか国家資格。

 

 少し開けた場所、前方には大きな電光掲示板があった。合格していればそこに自分の番号が表示されるそうだ。ベンチに座って待つ人もいれば、柱に寄りかかってソワソワと携帯を触る人もいる。俺はと言うと階段の手すりにもたれていた。掲示板がギリギリ見える位置だ。

 Q.なぜこんな辺鄙なところに立っているのか。A.親父が言ったから。

 なんでかは分からないが親父に免許取ってくると言うと、「番号が電光掲示板に出るから階段近くにいろ」と言われた。

 確か百点満点中九十点以上で合格だったかなと考えていると、ビーーという音と共に掲示板が光った。自分の番号は覚えている為素早く目を走らせる。あった。ああよかった。で、次はどうするんだっけ…。

 手順を確認しようとすると、掲示板を見ていた人が一斉にこちらに向かって歩いてくる。中には走って来る人もいた。え、なに怖い。

 階段の上を見ると、合格者という文字と矢印が二階に伸びていた。そういう事か…。

 背後から迫るゾンビから逃走するように足を回し、階段を昇る。先頭を歩いていると何となくマラソン大会の葉山を思い出した。そういえば三連覇して殿堂入りしてたっけ。

 ベンチの沢山置かれた部屋に通され、先頭に座ると俺の番号を聞いた職員の人が紙を差し出してきた。それを見ると九十八点という数字が見えた。どうやら成績らしい。

 そこからすぐに終わると思っていた免許取得は、写真撮影と取得者対象の説明で二時間以上拘束される結果となった。

 

 疲弊しきった帰り際、免許が出来上がった順に名前を呼ばれるシステムらしく、俺が最初に呼ばれた。さっさと帰ろうとバスに乗り込み、後ろを振り返ったところで親父の言っていたことに納得する。

 雨のバス停にはその日初回の免許取得を終えた人が列を成し、人の渋滞を引き起こしているのが見えた。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 やってきました幕張新都心。ってまたここかよ。

「せんぱい、またここかよって顔してますね」隣を歩く一色がジトっとした目つきで言う。

「おおお思ってねえし」図星を突かれて慌てる。人は本当の(以下略)。「人の多さにちょっとやられただけだよ」

「これくらいで多いって」一色がため息をつく。「デスティニーランドも行けないじゃないですか」

 駅から続く歩道には人がごった返していて、前後左右囲まれていた。そこを歩く全ての足は一つの目的地へと向いている。

 揺れる髪の毛とそれを束ねる髪飾りに少々目を奪われていた。「ゲフン、いいんだよ行かねえし」咳払いで誤魔化す。

「似合ってます?」目敏く一色が俺に訊ねる。誤魔化せてなかった。

「前も言っただろ」半ば面倒くさそうに言うと、「ほんと、せんぱいってダメですよね」と頬を膨らます。そのまま置いていこうというのか足を速め俺の前に躍り出た。

 ゴールの商業施設はもう目の前で、これが賞金の懸かったレースであるなら大外からまくっていくところだが、何も出ないなら仕方ない。

「…よく似合ってる」蚊の鳴くような声を発するが、一色の耳は高性能らしい。ピクピクと動いた気がした。「え?」わざとらしく振り返る。

「せんぱい、今なんて言いました?」跳ねるように笑い、身を乗り出してきた。

 それを無視して追い抜く。「何も言ってねえよ」

 背後からブーイングが聞こえたが足は止めない。自動ドアをくぐったのは結局俺が先だった。

 

 一色に続き、二階から三階へと続くエスカレーターに乗る。ブティックを数店覗き、今度は一つ上の階らしい。

「せんぱいってストレス感じるんですか?」乗った時から後ろを向いていた一色が言う。

 一色の格好は珍しくパンツスタイルだが、ツナギのようにサスペンダーの付いたデニムだった。細かい花柄のシャツを合わせていて、ボーイッシュと言うか少年っぽいというか、可愛らしさと活発さが共存しているように見て取れた。足元はスニーカーで、今日は歩くぞという気概を感じる。

「感じるに決まってんだろ」ここは強気に心外だと声を出す。「ストレスに弱いから家にいると言っても過言ではない」胸を張る。

「そんな自信もって言う事じゃ…」一色の呆れ口調にはもう慣れた。「じゃあストレス発散の方法とかなさそうですね」

「まあ、ないな」

 自分の過去を掘り起こすが、ストレスから逃亡し続けてきたために記憶に残るような出来事はなかった。今までの行動も、自分の欲求に従ったものが大半でストレスを感じる方が少ない。

 スニーカーだった為、俺も油断していた。

「じゃあ、あっと…」一色が段差に躓きよろめく。「きゃっ」咄嗟に腕を伸ばしていた。

 社交ダンスを踊るように、とはいっても傍から見れば滑稽な映像だろうが、一色の身体を支えなんとかステップを踏み体勢を整えた。「なにやってんだ…」

「す、すみませ」息を吐いた一色の顔が強張る。「せ、せんぱ…」

「あ?」

「て、手が…」顔が紅潮していく。

「手がどう…」一色を支えることと、後ろから来る人の波に気を取られて気付かなかった。

 脇に差し入れて支えた指先が一色のそれなりに発達した胸に入り込んでいた。指の甲には固いものが当たっていて、何だっけこれはと思い出す。なんだっけ…。

 頬に衝撃が走る。「いっ!」パチンッと音が遅れて聞こえてきた。

「いつまで触ってるんですか!?」一色が胸元を腕で隠しながら距離を取る。

「す、すまん…」パチパチと視界が明滅しながらも何とか謝罪した。「いやまじですまん…」あ、下着の硬さか。

「ありえないですよ!? なにを堪能してるんです…か…」

 一色が状況を察し始めたのか、声が尻すぼみに小さくなる。周りには恐らく痴話喧嘩を見物しようとするギャラリーが数人足を止めていた。遠くで子供がこちらを指差している。

 その内の一人だった男性が一歩踏み出した。「君、大丈夫?」数人のグループの内の一人だった。一色に話しかけている。頬を擦りながらそれを見る。

「あ、だ、大丈夫です…」一色が肩を竦める。「騒いですみません」周りに謝罪するようにか、少し声を張った。

 こちらに歩いてこようとする一色の腕を、勇敢な男が掴む。「ちょ、ちょっと、危ないよ」俺を見て、視線が鋭くなった。「警備の人呼ぼうか?」

「は?」一色の声は素が出ている。

「いや、その男に何かされる前に」男は俺と一色交互に視線を彷徨わせる。

 葉山だったら、こんな事態になってないんだろうなあと考えていたが、一色の腕をつかむ男の腕に、胸の奥から何かが湧き出てくるのが分かった。男の背後に陣取り、矮小な笑みを立てる集団を睨みつける。大学生か。

「ヒューカッコイイー」「ヒーローじゃん」と仲間内で視線を交わし、笑いあっていた。

「やめろって、そういうんじゃないって」と男が照れ臭そうに言い返し、再び一色に目を向ける。「とりあえず離れよう」腕を引っ張った。

 おい、と口を出す前に一色が腕を振り払う。「やめてください!」甲高くよく響いた。「勘違いしてるようですけど、せんぱいは知り合いです!」

 俺に背中を見せている為に表情は分からなかったが、一色の耳は赤くなっていた。勢いよく身体を反転させるとこちらに向かって足を踏み出す。顔も赤かった。

「す、すまん、大丈…」一色に迎え入れる言葉を探しながら発したのに隠れ、聞こえてきた。「プレイ?」

 一色の歩みが止まる。

「あー、店か」「どおりで」「あれじゃね、今流行りのレンタルなんちゃらみたいな」「あー」「なんだよ水商売かよ」

 再び振り返ろうとする一色の肩を掴み、制止させる。

「ちぇ、助けようとして損した」一色の腕を掴んだ男が舌打ち交じりに言った。

 一色の顔が歪む。怒りはあるが、それ以上に悲しみが満ちていた。俺の中にあった火山から、溢れるように、零れるように、煮えたぎる何かがどろりと垂れた。「ふざけんなよ」

「あ?」グループの一番奥、顔も見えない男が声を発す。

「男がだらだら寄り添って、女子を助けた気分になってはしゃいでんじゃねえよ」一色が胸に顔をうずめる。「自分の非を認めたくないから皆でくっついて相手を辱めるとかどんだけ小さいんだよ」

「おい、何言ってんだ」勇敢な男がまた一歩踏み出した。「お前だよ」と叫び、足を止めさせる。

「お前が原因だろ」気分が悪く、吐きそうになるのを堪える。

「は? 俺たちは彼女を助けようと…」

「助ける!」俺は吐き捨てるように言う。「はっ、こいつの顔見てから助けようとする奴がよく言うわ」

 これ以上集団の顔も見たくない為一色の背中を手で押し離れる。後ろから何か言ってきたが、追いかけて来る様子は微塵もなかった。

 

 

―――

 

 

 モールの端、奥まったところのベンチに腰掛けさせると、一色は取り出したハンカチで俺の服を拭き始めた。

「いや、いいから、顔拭けって」制止させるが手を止める気配はなく、諦めて身を委ねる。

 金券ショップと旅行会社のエリアだからか、他に人はおらずもう一つのベンチも空いていた。拭き終わった一色がまたしゃくりを上げ始めた。

「お、おい大丈夫か?」顔を覗き込もうにも、ハンカチで押さえてしまって窺い知れない。ごめんなさい、とくぐもって聞こえてきた。

「ご、ごめん、なさい」嗚咽交じりに一色の声が揺れる。何度も何度も謝るその顔を無理やり起こした。「どうした」

 目元が赤い一色は見られたくないのか、俺の胸元に再び顔をうずめる。

 さっき拭いたばっかだけどいいのか、と思ったが口には出さない。

「せんぱい、のこと悪く…言われ、たのに」ぐずぐずと鼻水を啜る音が肋骨に響く。「怒れ、ませんでした…」

 そこで合点が言った。怖かったのだと勘違いをしていた彼女が涙を見せた理由。

 俺の事を守ろうとしてくれたのだ。

 一色の頭に手を置く。髪の毛に逆らわないように上から下へと撫でる。「ありがとな」と言うが、一色はフルフルと頭を振るだけだった。

 何度も何度も、柔らかい髪を撫でた。

 

「はあ…」起き上がった一色が感嘆に近いため息をつく。

 それに少し驚き、思わず目を向けた。目元の赤みが少し色気を纏い、心臓が跳ねる。

「せんぱい、ありがとうございます」目尻に小さな皺を掘り、笑いかけて来る。無理して笑っていないのは俺でも分かった。

「大丈夫なのか?」と訊くと、「はい、大丈夫ですよ」と言い俺の手を握ってきた。「せんぱい、手汗凄いですね」一色が苦笑する。

「悪かったな…」気恥ずかしいが、握りこまれて逃げられない。「というか、すまん」

 俺の謝罪に、一色の握力が強くなる。

「なにがですか?」

「せっかく息抜きに来たのに、嫌な思いさせて」本心だった。少しでも勉強の息抜きになればいいなという思いは、会った時からずっと胸の中にしまっておいた。「だから、すまん」頭を下げる。

「ちょ、せんぱい顔上げてください」一色が慌てて言い、俺の肩を持ち上げる。「せんぱいは悪くないです、悪いのは全部あいつらです!」励まそうとしているのか、そのまま肩を揺すってくる。

「まあ、それはそうだな」揺れる脳みそを働かせて言葉を紡いだ。

 それに、と一色が呟いた。「それに、せんぱいのカッコいいところも見れましたし」いたずらっ子のように笑う。

 怒りの沸点とよく言うが、沸点で物事は表せないと思う。人によっては些細なことが鉄を溶かす程の温度になることもある。全ては受け取り手の問題だ。

 これ以上この話題を引きずる必要も感じず、勢いよく立ち上がる。「で、次はどこ行くんだ」

「え」一色は口を半開きにして固まる。

「せっかくの休日だ。後味悪く終わる必要もないだろ」一色を持ち上げるつもりで手を差し伸べる。

 ぱあっと季節外れの向日葵を思い出させる笑顔を見せ、彼女は俺の手を取った。

「そういえば私パンケーキ食べたいんでした! パンケーキ!」

「ああそう、でそれはどこにあるんだ」

 モールを出るまで、その手は離れなかった。

 

 

―――

 

 

「はい、チーズ」男の店員が可愛らしい声で言う。

 ぎこちないピースと、ばっちり決まった決め顔が対照的な写真が一色の携帯に保存された。

「せんぱいにも送っておきますねー」一色はそう言い、携帯を操作し始める。「そういえばいつの間にLINE始めたんですか?」

 俺は既に切ったパンケーキを口に運んでいたところで手を止める。「最近だぞ」言ってから口に放り込んだ。

「誰かにやってもらったんですか?」一色は俺の顔色でも窺うかのように聞いてきた。

「ああ、小町にやってもらった」チョコが付いた口を拭く。「便利らしいからな」

「そうですか…」何故か安心したような声を出す。散々写真を撮っていた一色が携帯を置くと、俺の携帯が鳴った。写真が送られてきたのだろう。「あれ、見ないんですか?」気にせず次のケーキを食べようとした俺に一色が言ってきたので、頷く。「ああ、自分の顔なんか見たくねえよ」

「私の顔は見たいんですね」一色が身を引く。

「どうしてそうなった」

 俺の嘆きもそこそこに、一色がフォークを動かし始める。一切れ喰うたびに悶える彼女を見て、あざといなと感じました(小並感)。

 

 食べ終えた一色が口元を拭きながら言う。「調査結果ですけど」俺はそれに身構える。「あんまりいい情報は得られませんでした」

「そうか…」肩の力が抜けたが、一色の追加情報に身体が跳ねる。

「でも、一応事件はあったみたいです」

「まじ?」

「はい」一色がストローを咥え、喉を潤す。記者会見を開く芸能人の様で、こちらも息をのんだ。「十一月頃ですかね、男子生徒が女子生徒に手を上げたっていう事件が」

 一色の言葉に、言葉が詰まる。

「ですよね、私も聞いた時そんな顔しましたもん」あ、せんぱい程腐ってませんよ。と付け加えたので、うっせと返した。「暴力沙汰なんてあったら学校中に広まりますし」

「ああ」腕を組んで考える。「それが葉山…?」

「やっぱり葉山先輩が関係してるんですね」一色が興味なさそうに言うが、「あ、葉山先輩の事は別にどうとも思ってないので安心してくださいね」とあざとい笑顔を見せた。

「何を安心するのか知らんが」俺が言うと一色の顔が怖くなる。「他には?」

「それだけですね、私も結構甘えたんですけど」一色は項垂れる。「それ以上は話してくれませんでした」

 一色が甘えても口を割らないとか人間かよ。俺だったら三秒で口開くぞ。わあ八幡君口軽ーい。

「そうか、さんきゅな。助かった」軽く頭を下げる。

「いやいや全然、これくらいならいくらでも聞いてください。私、元生徒会長ですし」一色が胸を張る。「ですし」二回言った。

「そうだな、お前の猫かぶりなら余裕だよな」

「そういうこと言うともう調べませんよ」

「すみません…」

「分かればいいんです、分かれば」

 引き続き調査は続けますね、と言ってくれたのでお代は持とうと注文票を手に取る。「たっか!」

 思わず叫んだ。

 

 

―――

 

 

 海風が吹き付ける駅のホームで電光掲示板を見上げる。

「私の方が早く来ますね」一色の声は寂し気に風に乗る。

「そうだな」

 家に帰ったら勉強するのだろうか、彼女の休日は有意義だっただろうか。そんなことばかりが頭をよぎり、彼女の横顔をまじまじと見てしまう。

 俺の視線に気づいた一色の肩がビクつく。「な、なんですか」

「あ、いや、すまん」小さく謝り視線を逸らすと、「いや、別にいいんですけど」と小さく呟くのが聞こえた。

 それきり沈黙が流れ、遠くでさざ波の音が聞こえる気がした。それを破ったのはアナウンスだった。

『間もなく電車が参ります。黄色い線まで下がってお待ちください』

 そのアナウンスをキッカケに一色の方を向くと、同じ行動をした彼女がいた。

 脳裏に焼き付いた一色の涙が、零れた。 

「また、どっかいくか」一色の目が見開かれる。「息抜きでも、なんでも」

 けたたましい音を立てて電車がホームに滑り込む。

 届くように、響くように、叫んだ。

 

 手を振る一色の顔は晴れていて、良かったと思う。がんばれよ。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 一色いろはは叫べない。

 

 先輩の姿が見えなくなるまで手を振った。周りの視線が気になったが、それでも振り続けた。

 こんなに健気に振る舞っていても彼氏じゃないんです。車内の人に愚痴るように、唇を動かす。

 今日を思い出すと、自分が嫌になる。また泣いてしまった。また先輩に面倒くさい女だと思われてしまった。

 というのに、だというのに、頬は緩む。

「今度は泣かせない」

 ちゃんと聞こえるように、ちゃんと届くように叫んでくれた。

 先輩の声、ちゃんと響いてますよ。今も、ずっと。

 

 イヤホンを鞄から取り出し、ほどくと携帯に挿す。慣れた操作でアプリを立ち上げると音楽が流れ始めた。先輩が好きだというアーティスト。不純な動機で聞き始めたが、今は胸を張って好きと言える。

 窓の外に目を向けると、薄暮の水平線が見えた。

 もっと強くならなきゃな、今日の騒動で強くそう思った。先輩が悪く言われたのに何も言えなかった。

 そんなこと考えんでいい、とか言うんだろうな。そのくせ自分は怒って、ほんと意味わかんない。凄くカッコいい。

 LINE始めたの見たときはどっかの泥棒猫が手を出してきたかと思ったけど、小町ちゃんなら安心だ。

 携帯に新規メッセージを告げる表示が出た。そういえば今日一日放置してたな、と思いながら開く。

『これ、いろはじゃない?』

 クラスのグループに属する友人からのLINEだ。不穏な文面に、背筋を冷たいものが伝う。まさかと思いながら携帯を操作し、殆ど使っていないTwitterを開く。

『痴話喧嘩ww』と評されたそれは、一分弱の動画だった。見覚えのある光景に思考が硬直する。次に考えることが、分からない。

 イヤホンを介して、先輩の叫びが鼓膜に響く。

 繰り返し再生されるそれから、何度も何度も悲痛に響く。

 

 




読んでくださってありがとうございます。
次回も10月になります。

また逃げにくるかもしれませんが、逃げられなかったら遅くなるかもしれません。ただ、待っていていただけると、とても嬉しいです。

感想、意見、アドバイスなんでもお待ちしております。
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