突如現れた特異点。
野球をすれば、解消するというその特異点に向けてカルデアの英霊達はチームを結成することになった。

恐るべき第一回カルデアドラフト会議が終結し、マシュは結成されたチームの報告へと主人公の部屋へと向かうのだった……。

※ルルハワ時空
※野球はしません
※続きません

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第一回カルデア野球大会~接触編~

 大きい入道雲がいっそう引き立つ青空の下、天高く昇って行く純白の球をそこにいた誰もかれもが見ていたあの瞬間を、私はたぶん忘れることはないでしょう。

 

 

────

 

 

 カルデアの自室にいたら、マシュが訪ねて来た。

「失礼します。先輩、先日の一件の参加名簿が完成しましたのでご報告に参りました」

 書類を持ったマシュのその一件が何の事やら分からない。

「? ええっと、すみません……カルデア野球大会の参加リストなんですけど……」

 あぁ、アレか──。

 某国に出来た野球大好き人間たちの妄執がなんやかんやあって特異点になったという……アレ。

 あまりにも内容が胡乱すぎて、夢かと思ってしまっていた。

「なるほど。とはいえ、チェイテピラミッド姫路城ほどではないかと」

 マシュが強くなっていくのが嬉しくもあり頼もしくもあり……少しの不安を覚える昨今。

「現在、ネロさんを筆頭にエジソンさんやエミヤさん玉藻さんまで総動員して対サーヴァント用の野球結界を作っています。完成次第、先輩とレイシフトです」

 ──やきゅうけっかい。

「はい。英霊の身体能力で野球をやっては、それはもう野球であって野球じゃない。宇宙(アストロ)ちっくな野球になってしまうと、ダ・ヴィンチちゃんが。そんなわけで、英霊の皆さんには大幅にデチューンをして野球に臨んで貰うように……確かに、クー・フーリンさんのEX攻撃の投擲は全力ならマッハ2ほど出るというお話ですし……残念ですがこれはもう、致し方ないかと」

 ぺらりと渡された紙には、カルデア野球大会の仕様が書かれてあった。

 ──その中に、宝具やスキルの使用については『スポーツマンシップに則るコト』と書いてあるのが、もうこの野球大会が平穏に終わらないのを示唆している。

「では、こほん。不肖、マシュ・キリエライト。出場チームの紹介をさせていただきますね」

 マシュは背筋をピンと伸ばし、この胡乱な大会に出る奇特なサーヴァントを紹介した。

 

 

「──まずは優勝候補。ラウンド・ライオンズの皆さんです」

 円卓ェ……

「監督は……アルトリアさん、と書いてあります……すみません、いったいどのアルトリアさんなのか不明なので今度までに確認しておきます」

 それは仕方ない。

 騎士王の側面居すぎ問題だ。

「ええっと、その監督のアルトリアさんからのコメントです。"どの様な戦いであれ、我が騎士達は最強なのを証明しよう"とのことです」

 ううん、コメントでもどの騎士王なのか分からない……少なくともエっちゃんやXではなさそうだけど。

「一番一塁手、ジャック・ザ・リッパーさん……これは、意外ですね。いえ、敏捷値的に一番打者でも納得なのですが、その、一塁手というのは……」

 肩が弱かったり、守備が苦手なのかも。

「なるほど……二番二塁手、ロビンフッドさん……これは納得ですね」

 嫌なバッターになりそうだし、嫌な守備しそう。

「噂では、すごく渋がったロビンさんをアルトリアさんが強引に説得したとか……続いて、三番遊撃手・トリスタンさん」

 とうとう円卓が……!

「そうです、四番三塁手ランスロットさん。そして五番中堅手ガウェインさん、六番右翼手モードレッドさん、七番捕手ベディヴィエールさんと続きます」

 勝てる気がしない……!

「流石の優勝候補ですね。続いて、八番左翼手はフランケンシュタインさんです。なんでもモードレッドさんがお誘いになったとか」

 ……あれ? でも、そうなると投手は誰が?

「はい。これはビックリです。九番投手はなんと! フランシス・ドレイク船長です!」

 うわぁ……。

 えげつない。

「あとは、助っ人が三人登録されています。読み上げますね」

 ……助っ人?

「はい。"野球は18人で出来るがそれは出来るだけ。代打に代走、守備固めもいれば中継ぎや抑えもいる……そうだな、一チームに三人、助っ人枠を設けよう"とダ・ヴィンチちゃんが」

 なるほど。

「ライオンズの助っ人はこの三人です。ニコラ・テスラさん、アルジュナさん、エルメロイ二世さん」

 えげつない!

「そうですね、アルトリアさんの負けず嫌いっぷりが伺えます……ですが、他のチームも負けていませんよ! ──ユーロ・レインボーズ」

 ユーロっていうと。

「はい。欧州連合というべきチームです。フランス&ローマ&ギリシャ……それに留まらず色々な英霊の皆さんが集っています。監督は、ジャンヌ・ダルクさんが推挙されて任されたようです」

 このチームも強力そうだ。

「コメントですが"至らぬ身ですが誠心誠意努めます"とのこと。では、一番中堅手、全チームで最速でしょう。アキレウスさんです」

 ピノい。

「(ピノい?) ジャンヌさんも負けず嫌いですからね……二番遊撃手、アストルフォさん」

 ……一抹の不安が。

「内野の守備は意外と複雑と聞きますがアストルフォさんにできるのでしょうか……ええっと、三番左翼手ナポレオンさん」

 欧州王……!

「続いて四番三塁手はシグルドさんです。ですが、続く五番一塁手はアタランテさんですが……これは……?」

 まさか。

「え、ええっとその後は、六番捕手ヘクトールさん。七番右翼手デオンさん。八番……二塁手ジークフリートさんです!」

 間違いない、ダブル・四番システムだ。

「なるほど、一番と五番はアキレウスさんとアタランテさんでともに俊足。四番と八番はシグルドさんとジークフリートさんで主砲になっています。こんな戦法もあるんですね」

 しかも主砲が両方とも竜殺し……。

「はい、ええ。そして、やはりというか九番投手はネロさんです」

 知ってた。

「はい……ええっと、助っ人はヴラドさん、レオニダスさん……あと一人はすいません……何故か焦げていて……」

(察し)

「え? 焦げて見えない方、お分かりになられたんですか? せ、先輩。笑ってないで教えてくださいよーぅ……」

 初歩的な事だよ、後輩よ。

「声真似、お上手ですね!?」

 え? 本当?

「はい。流石です、先輩。あ、ええっと次は……アメリカン・ヒーローズ。監督は、エジソンさんです。チームメンバーは主に第五特異点に所縁が深い方たちですね」

 あれ? でもそういえばアルジュナは……

「えぇ、アルトリアさんの手腕により、ライオンズに……。ヒーローズはカルナさんが在籍しておりますから……」

 まぁ、スポーツで競うくらいが丁度良いのかもしれない。

「はい。ええっと、エジソンさんのコメントです。"野球といえばアメリカ・アメリカといえば野球。ピーナッツとクラッカージャックも買って応援しよう"」

 エジソンらしい。

「確かに。野球発祥の地としては負けられませんね。一番中堅手クー・フーリンさんです」

 どの……?

「……クー・フーリンさん側面ありすぎ問題ですね……二番二塁手ディルムッドさん」

 アメリカっていうかケルティックだね。

「三番三塁手ラーマさん。四番右翼手は先ほども話題に出たカルナさんです」

 1.2番のケルトからの3.4番のインド……まさに北米神話大戦。

「はい。5番一塁手はベオウルフさん、六番捕手のフェルグスさん、七番遊撃手の書文さんと皆さん第五特異点でご縁が出来た方々です」

 神話大戦に平然と居る李先生の異常っぷりよ……。

「あ、でも8番左翼手は、エリザベートさんです」

 エリちゃんはどの霊基でも神話とかあまり気にしなさそう。

「……エリザ粒子には気を付けましょうね。九番投手はビリーさんです」

 アメリカ人が監督と投手しかいないのにアメリカンとか!

「イ・プルーリバス・ウナム……多数からなる民族国家という意味では、これもアメリカらしさなのかもしれませんね」

 そういうものか……。

「助っ人は、燕青さん・ジャガーマンさん・ケツァルコアトルさん……こちらはベオウルフさんや書文さんがよく居るファイトクラブでお馴染みの方々ですね」

 カルデアファイトクラブ……。

「最後になりましたが、ジャパン・フォックス。こちらは監督は玉藻さんです。ええっと、コメントは"古き良き昭和の野球中継&家族団らん、最近はそういうALWAYS的なのもいいかなー☆なんて、キャッ///"とのことです」

 相変わらず考えることがわからない……。

「同意します……。ええっと、一番三塁手牛若丸さん」

 一番で三塁手とは、牛若丸らしいね。

「二番遊撃手の風魔さん共々、相手チームには厄介そうな一・二番ですね」

 守備も上手そうだしね。

「三番二塁手はエミヤ先輩です。こちらも相対すると中々いやらしい打者ではないかと!」

 選球眼よさそう。

「四番一塁手は宮本むしゃ……武蔵さん!」

 かんだ。

「こほん。5番中堅手ですが名簿にはゴールデンバット、と」

 ごーるでんばっと。

「はい……十中八九、金時さんですね」

 ですね。

「六番左翼手は宝蔵院さん。七番右翼手は佐々木小次郎さん。八番捕手は俵藤太さん……皆さん油断ならないサムライたちですね」

 バットで対人魔剣は出来るのだろうか……?

「野球結界のデバフ次第ですね……宝具やスキルは明確に禁止とされていない以上、フォックスの皆さんの明暗を分けるかと」

 バットで繰り広げられる燕返しが見られるかもしれない。

「はい……やりかねないのが小次郎さんの恐ろしさですね……。そして九番投手はなんと、信長さんです」

 メタ野球になる……?

「対神性や対騎乗でお得意の相性ゲーになるか、興味が尽きませんね」

 台風の目になるかも。

「はい。助っ人も沖田さん・頼光さん・岡田さんと個性的な方たちになっております」

 聞いてるうちに楽しくなってきたかも。

「はい。私もです」

 ニッコリと笑うマシュ。

 球場の下、見るその顔を少し夢想して、立ち上がる。

「せ、先輩? どうされました?」

 手伝うよ、一緒にやろう。

「あ、いえ、先輩……あ、まってくださいー! せんぱーい!」

 楽しそうなマシュの声を聴きながら、管制室へと急ぐ。

 ──夏が来る。その予感に胸を弾ませながら。

 

 

──

 

 

────

 

 

──────

 

 んー、ヨシヨシ。さすがわたし、天才だ。

 カルデア野球大会開催による特異点の抹消……そのスケジュールはタイトなモノになったが、目途が立った。

 結果的には最低限の労力で、最高の仕事となる。

 ……魔術協会の査問が遅れに遅れているのはこちらとしても僥倖だ。

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 お祭り騒ぎに参加できないのは、ちょーっとだけ不満だけど、まぁ仕方ない。

 万が一不備があっては、彼にあとを託された面目が立たないからね。

 っと。

 いつの間にか、紛れ込んでいる書類を見つけた。

 間違いなく参加者のチーム名簿だ。だが。

「英雄王に征服王に戦闘王に太陽王……女帝たちまで。チーム名はキング・オブ・キングス!? あっはっは、うっそだろオイ」

 少し、思考を巡らす。

 完全に、予定外の事だけど。

「うん、なんとかねじ込むかー! 面白いしネ!」

 作業時間を見直しながら、作業速度を上げる。

 うん、酷い苦労だが報酬としてマシュ達に少しでも楽しい思い出を残せるのなら苦ではないとも!

「ココをこーして、あそこをあーして……まったく、ロマニめ……勝手にいなくなりやがって……おっと、失言だ。まぁいいや、今は管制室に誰もいないし。失言ついでに言っておこう! あーあー、キミが居れば、わたしも一緒に遊びに行けたのになぁ……」

 うん、でもまぁそれは、仕方ない。

 願わくば最悪の展開はしなくて、来年の夏はわたしも一緒に……っていう展開が望ましいんだが。

「天才の"こんなこともあろうかと"は、まず使う羽目になるんだよなぁ……」

 少しだけメランコリックなダ・ヴィンチちゃんなのでした、っと。




公式が野球ネタをチラつかせたので、もう先に書くしかないじゃない!ってなりました。

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