サーヴァントといちゃつくだけ   作:PRD2

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ラブコメが……癒しが……足りない。
もっと我に癒しを……あい にーど もあ いやーし……。


退屈しのぎに、どうぞ。


追記
立花→立香 に修正
鳥が使えないさん、報告ありがとうございます


マシュ 01

 

 マシュ・キリエライトは何時ものように自分の先輩である藤丸立香の元へ赴いていた。

 時刻は六時三十分、人理修復の旅路にあるカルデアでの起床時間の三十分程前だ。今日は午前に訓練、午後には次のレイシフト先への事前ミーティングがあり、朝食迄に時間の余裕はあるが、マシュは立香自身に起こしてもらうように頼まれていた。

 寝起きは良いが時間通りに起きるのは苦手なんだ、と彼から起床時間より早めに起こして欲しいと頼まれたのは数ヶ月前のこと、それからマシュは一度も欠かさずこの時間に立香を起こしに来ている。最初こそ彼はマシュに迷惑をかけない程度と言ってはいたが、何度もすれば慣れたものでマシュにとってもこの時間は大切なものになっていた。

 ──もっとも。

 ──彼が指定したのは起床時間の十分前なのだが。

 空気の抜けるような駆動音と共に扉が開く。

 部屋の中には様々な物で溢れていた。小さな冷蔵庫や幾つも四角形が空いた棚にはヌイグルミや小物が、ベッドの横に置かれた黒いデスクの上にはパソコンが置いてあり青い鳥の形をしたマウスがついている。部屋の角にはクローゼットと縦長の収納が置かれ、中には制服や戦闘服、収納にもきっと色んな物が入っているだろう。

 清潔感のある白い部屋だった彼の部屋には、いつの間にか色んな物で溢れていた。デスクや棚はエミヤさん達と作ったオーダーメイドなんだと笑っていたし、ヌイグルミや小物はヴラドやブーディカ達に裁縫を教わったと聞いている。

 この部屋には沢山の『彼』が詰まっているのだろう。ニコニコ笑う彼の姿を幻視して、自然と口角が上がってしまう。

 件の彼は部屋の奥のベッドで眠っていた。寝相は良い方だと豪語する彼はベッドの上で静かに寝息をたてていた。

 マシュがベットに近づくと、布団がモゾモゾと動きながら足元の裾から毛玉が出てきた。彼の側で眠っていたフォウが起きたようで、マシュは人差し指を立ててジェスチャーを送った。

 起こさないように。シーー、と。

 フォウもそれを察してか、立香がかけていた布団の中に退散していく。それに小さくありがとうございます、と呟き、立香の元へと静かに歩いた。

 立香はまだ眠っているようで、体を横に向けて優しい寝息と共に瞼を閉じている。胸に羊のワッペンの付いた水色のパジャマは、寝苦しかったのか前のボタンが幾つか外れていて、布団も腰の辺りまでしかかかっていない。そのせいか、彼のはだけた上衣から鎖骨と胸板が覗けてしまった。健康的で、頼もしい筋肉に少し頭が熱くなってしまうが、今からやることに比べればきっと可愛らしい反応だと自分でも思ってしまう。

 マシュはベットに手をついた。ギシッというスプリングの音に少しだけ驚き、彼が起きてしまわないかドキドキしたが、幸運なことに彼の寝息のリズムが変わることはなかった。手はそのままにして体を支えながら、これからは手をつかないようにしようと思いながら彼の顔を見た。

 こちらの方向を見ながら寝ている立香の寝顔はとても凛々しく、そして愛おしかった。近くで見ないと分からないけど彼の睫毛は結構長いんだなとか、男の人の唇だからか少し乾燥してるんだなとか、そういった些細な事が妙に気にかかってしまった。

 心臓の鼓動が自然と速くなる。

 頭がボーッとして働かなくなる。

 息が上がっていくのを必死に堪える。

 彼を見て息が上がってしまうのがとてもはしたなく思えて。

 呼吸の音が、心臓の鼓動が聞こえて彼が起きてしまうんじゃないかとビクビクして。

 起きた彼が今の熱にうなされたような私を見たら、きっと青い顔して心配してくれるだろうな、と思うと顔が赤くなってしまった。

 高鳴る胸を抑えつけて深呼吸、落ち着いたマシュは自分の顔を立香の顔に近づけた。

 長い睫毛が目の前に迫る。彼の髪の毛が少し当たった。

 何度も嗅いだ彼の優しい匂いが鼻腔を擽り体を捩りそうになるのを耐え、そのまま彼の頬に──そっとキスをした。

 一瞬だけの、仄かなキス。

 それだけで、頭がグルグルして、幸せになる。

 マシュは顔を少し離して唇を舌で舐めて湿らせると、そのままもう一度キスをした。

 今度は数秒、優しく押し付けるように。

 声が漏れそうになるのを、息が荒くなるのを、生唾を飲み込みそうになるのを、耐える。それだけで心音はペースを上げ、彼に聞こえてしまいそうになるくらい大きな音をたてる。

「──ん、ぅ」

 不意に彼の口からそんな声が聞こえた。

 慌てて顔を離して、その勢いのまま手も上げてしまった。

 ──ああ、ギシッという致命的な音が聞こえる。

 彼が体を起こしそうになるのを見て、マシュは急いで何時もの言葉を紡ぐ。

「せ、先輩っ、もう起床時刻ですよっ!?」

「……ん、んぅ」

 思っていたより大きな声が出てしまい、彼が驚いたように体をあげた。暫くキョロキョロした彼はマシュを見ると、眠い目を擦りながらも笑いかけて、

「……おはよう、マシュ」

 と、朝の挨拶をした。

「お、おはようございます先輩。すみません、少し大きな声がでてしまって……」

 高鳴る心臓を隠すように手を胸に当て、声が上擦らないように、気を付ける。

「いや大丈夫、少し驚いただけだから。……それより顔が赤いけど、何か急ぎの用事とかあった?」

「な、何もしてません。ええ、何もなかったです」

「そ、そう? ならいいんだけど……」

 そういいながら彼はベッドから降りようと、足元にあるスリッパを履く。腰にあった布団をどかすと、その中からフォウが出てくた。

「あれ、フォウそこにいたの? 最近良く布団の中にいるね」

「フォウ、フォウフォウ」

 立香がそういうとフォウは返事をするように鳴き、そのままマシュの方へと跳んだ。おっとっと、と言いながらも優しくキャッチ。フワフワの毛が何時もよりも艶やかな気がした。

「さて、それじゃあ着替えを……あれ?」

「ど、どうしました先輩?」

 マシュは彼から体を隠すようにフォウを抱き締める。そして彼が彼の頬に触れたのを見て、もっと力を入れてしまい、フォウから非難の声をあげたが放すことは出来なかった。

「いや、なんか頬っぺたに違和感というか、虫刺されみたいなのが……あ、少し濡れてる」

「…………!! し、失礼しましゅ……!!」

「あ、ちょ」

 彼が不思議そうに指──マシュの唾液の付いた──を見てとうとう耐えきれなくなり、彼女は脇目もふらずマイルームから飛び出してしまった。

 後ろで彼が何か言っているのが聞こえたが、足を止めることは出来なかった。

 ──今日も、退屈しない一日になりそうだ。

 




「フォウフォーウ」
(流石はマシュだ。あざとい、実にあざといよ。あざとさ英霊選手権があれば今のマシュは間違いなく一位になれるとも。まずマスターに頼まれて朝起こしに来る辺りでポイント高いが、何より少し早めに来てマスターの寝顔を見ているのは言うに及ばないね。三百あざとさポイントだ。朝はマスター見守り隊の三人がいなくなる時間帯でマシュとマスターで二人きりになれる貴重な時間でもある。マスターは多くのサーヴァントと交流しているから二人っきりになれる時間は何物にも代えがたいだろうとも。その時間を少し長めに、あるいは眺めにくるマシュの可愛らしさが分からない奴はいないだろうね。さらに頬にキスだ。もう一度言うぞ? ほっぺに、ちゅーだ。唇は恥ずかしくて出来ないが、おでことかじゃ物足りないという彼女らしいいじらしさが出ているよ。文句なし、五百あざとさポイントだ、持っていきたまえ。その後のマスターに対する対応も王道でいて外れなしの台詞だが、やはり重要なのはラストだ。わざわざ唇を濡らしてキスしていたのが作中でも少し描写されているが、これも彼女のあざとさポイントだね。きっとマスターが誰かにキスの跡を指摘されて、恥ずかしながらもマスターを独占したみたいで少し嬉しい、みたいな物を期待している顔だねあれは。いじらしい独占欲だね、わかるとも。マスターは誰がやったか分からないだろうけど、他のサーヴァントならきっと気付くだろうし、その辺りに恐らくマシュ自身気付いてないのが彼女らしさだね。最後はさらなり、言うに及ばず。失礼しましゅでフィニッシュだ。まったく完敗だよ、千二百あざとさポイント。合計で二千あざとさポイントだ。いやはや、ここ何日かは同じようなやり取りを見ていたけど本当に飽きないなぁ、彼らは)
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