今回はアンメアのお二人。当初こそ一人ずつにしたり、三人称で二人同時になんて考えておいたのにいつの間にか筆が動いていた……筆じゃないけど。
アンメアは一人ずつ、Sideで分けてます。ぶっちゃけ難産でしたよ……アンの台詞回しが難しい。
あと自己解釈もあるので読む人はお気をつけて。肌に合わないならブラウザバックぷりーず。
そんなんで良ければ、読んでやって下さい。
では今回は彼女達を。
自分勝手に勝手気ままに生きながら、それでも手を離したくなんて無かった、彼女たちの話を。
Side:Mary Read
夕食に食堂でアンとピザを食べ、一度部屋に戻った後に何となく散歩したくなった僕は、何の気なしにカルデアの中を歩いていた。特に理由があったわけでもないけど、強いて言うなら食後の運動だろうか。アンとは別行動だ。確かに何時も一緒に行動しているけど、今は一緒じゃない。声をかけようと思って部屋に戻ったらいなかったから、仕方なく散歩ついでに探そうとしているわけだ。
──アンが一人でいるのは結構珍しい。彼女は余裕のある大人の女性として振る舞っているけど、あれで結構子供っぽい所があるからだ。海賊として我が儘なのは僕も同じだけど……もっと言えば『寂しがりやで執着心が強い』。だから僕から一人になることはあるけど、彼女から一人になることはあんまりなかった。
カルデアに来てから心理的な変化が起きた……と考えると、やっぱり原因はマスターなんだろう。
マスター、藤丸立香。
……マスターは……なんというか、変わった男だ。
見た目は普通で体格も普通なのに、フレンドリーな性格で気付いたら誰とでも仲良くできる不思議な雰囲気がある。何となく頼りない顔で、よく困ったように笑うけど……心の強さは誰にも負けない。いつもみんなの中心にいて、それなのにいつも隣にいてくれる……僕の大好きなマスター。
……マスターの顔を思い出すだけで、ちょっと笑ってしまう。自分でも流石にどうだろう、って思うくらいマスターが好きだ。色を知らない生娘じゃあるまいし、なんて考えてしまうのに、気付けば足取りが軽くなっているのだから。
そうだ。マスターの部屋に行こう。
あと一時間くらいで消灯時間だ。この時間帯ならマスターも自室にいると思うし、だったら何かお喋りでもしよう。本当ならアンも一緒が良いけど……いや、もしかしたら既にマスターと一緒にいるかもしれない。それならアンが一人でいるのも納得だ。
……そういえば、最近マスターと一緒にいられてなかったし。
人理焼却も終わり、今はその後片付けの時間……みたいなものらしい。そのせいか少し前まで忙しそうにしてて……そのぶんマスターと話せていなかったから、ちょっと寂しかった。いっそのこと海賊としてマスターを拐って、好き放題遊ぶのも良いかと思ったけど……結局止めておいた。怒られるならまだ良いけど、失望されたら僕はともかくアンはすごく悲しむから。
最近のカルデアはかなり落ち着いて、マスターものんびりやってるみたいだし、今ならきっと大丈夫だろう。うん。いけるいける。大丈夫。でも怒られたら謝ろう。
「──おっと。もう着いちゃったか」
足を止めると丁度マスターの部屋に着いてたらしく、すぐ横には『藤丸立香』のプレートがかけてあった。前にマスターが、皆の部屋が分かるように作った手作りのプレートだ。ライオンの顔した人が大量生産したプレートを、マスターが子供サーヴァント達に手伝ってもらってデコレーションしたとか言ってたけど……明らかに女のサーヴァントが作ったような可愛いらしい意匠にちょっと苛立ってしまう。どうせなら僕達も一緒に作れば良かった。
「マスター、入るよ……っていない。あれ、当てが外れたかな?」
スライドするドアの先には、見慣れたマスターの部屋があったけど肝心のマスターがいない。当てが外れたのかもぬけの殻だった。
……アンも、マスターもいない。
何だか、ちょっと寂しい。
ちょっと重くなった足を無理矢理動かしつつ、マスターの部屋に入る。海賊のお通りだー、なんて揚々とした声は出せそうにない。
マスターの部屋には色んな物があった。机の上にはパソコンと青い鳥のマウスや色んな箱が置いてあって……きっと大事な物が入ってるんだろうと予想できる。部屋の隅には棚があって、その上には『Sir.モン5世』の
勝手に動いた足は、ベッドの前で止まった。僕はちょっとだけ悩んだ後、靴とコートを脱いでマスターのベッドには寝そべる。
正直、あんまり柔らかくはない……当然だ、ベッドはどこの部屋も同じ物だし、違うベッドを持っているのは
……でも、何だかあったかい。あと良い匂いする。
もしかしたら、ちょっと前までここにいて仮眠でもしていたのかもしれない。ベッドには何かの温もりが残っていて、僕はそのまま毛布も自分にかける。眠りを誘う心地の良い暖かさだった。
匂いは……何だろう。毛布の洗剤、というよりシャンプーの匂いかもしれない。前にネコミミのついた褐色のキャスターが色々売ってたけど……何故か、マスターの匂いって感じがする。根拠はないけど……優しくて、ずっと嗅いでいたい匂いだ。
「…………んっ」
顔を横にして、息を吸う。マスターの匂いが体の中に充満して……何だかぞくぞくした。顔を枕に埋めるようにして、もう一度吸ってみたけど、身体中に電流が走ったみたいにピクッって動いて……すっごく恥ずかしいことをやってる気がするけど、止めたくない。
「…………ますたぁ」
蕩けた声でマスターを呼びながら、枕に顔を押し付ける。マスターの温もりを頬で感じながら、愛しい匂いを嗅ぐ。それだけで体がポカポカして……正直に言えば興奮する。鼻を動かす度に不安な気持ちが晴れていって、その分だけ喉が渇いていく。滾ってきた体が熱を持って、下腹部の方に血が溜まっていく。
きっと触れば、この寂しさも紛れるだろう。
でもそれは……何だか惨めな気がする。
構ってもらえなくて、一人自分を慰めるのは嫌だ。そんな、恋人に捨てられた未亡人のような……いや、案外間違っていないか。
……こんなに一人でいるのは、久し振りだ。
今までは何がなくても、隣にはアンがいた。だからここまで一人なのは生前──アンと出会う前くらいまで、久しい。昔は一人でも気にしなかったのに、アンやマスターと出会ってから、僕は一人っきりを考えることがなくなっていた。
……これじゃアンのこと、寂しがりやなんて言えない。
思えば、僕は何時も残される人間だった。
兄と父は僕を残して死んでいったし、生涯を誓った男にも先立たれた。ラカム達に海賊にされてからはアンと一緒にいられたけど……それも一年程の短い時間で、結局最後は牢屋の中で一人病死した。
悔いはない。海賊になったのも後悔はしていないし、あの一年は本当に楽しい時間だった。バカな仲間と酒を飲み、大好きなアンと最後まで戦って……海賊が無様に死ぬのは当然だから、悔いなんてない。
でも。
冷たい牢屋の中で、まるで火だるまになったみたいな体を押さえつけて、一人で唇を噛むのはもう嫌だ。
死ぬときまで一人なのは嫌だ。
……一人でいるのは、嫌だ。
「……アン……マスター、一人は嫌だよ……」
涙は、流さない。そんなものは、生前で枯らしたから。
だから、ただ瞼を閉じる。
静かに、息を引き取るように──。
「──起きて、メアリー」
声がする。
友人と同じくらいに大好きな、優しい声が。
目を開けると、そこにはマスターの顔があった。何だか不思議そうに、もしくは心配するようにこちらを見ていた。
「……………………ますたぁ?」
「うん。そうだけど……大丈夫? なんかうなされてたけど……てゆうか何でオレのベッドで寝てるの?」
…………ベッド、そうだ。
僕はマスターの部屋に来て、でもいなかったから……ベッドに入って……そうか、寝ちゃったんだ。
それにしても、マスターだ。
会いたかった、マスターだ。
僕の大好きな、マスターだ。
「…………えへへ、マスター……」
「えっ、あ、ちょメアリー?」
僕はそのままマスターの首に手を伸ばし、その体を引き寄せる。結構強い力で引き寄せたからか、マスターの体が僕の上に覆い被さって……ちょっと重いけど、それ以上に嬉しい。
マスターの首を、締まらない程度に強く抱く。ギューと抱き締めたマスターからは枕と同じ匂いがした。
気持ち良い……さっきも嗅いだ筈なのに、さっきよりももっと気持ち良くて、まるで幸せになれる薬みたいだ。千金の価値ある香辛料よりも、万金の価値ある財宝よりも、ずっと魅力的なお宝だ。
「メ、メアリー? ちょっと……は、離してくれないかな? 寝惚けてて分かんないかもしれないけど、多分これ後で後悔するやつだよ?」
「……ますたぁの、良い匂い……」
大きく深呼吸をする。深く呼吸した肺が、暖かな物で満たされていくような気がする。体がポカポカして、もっとギューってしたくなる。
ん、と喉が鳴った。渇いた喉をマスターが潤してくれたみたいだ。
いまなら、素直になれそう。
「あー……えっと、ア、アンも見てるし……」
「ますたぁ、だいす──んっ?」
ちょっと待て。
僕何して、てゆうか今なんて──。
「あらあらまあまあ♡」
「アン!? てゆうかマスター──いや違うんだマスター今のは何ていうか寝ぼけてただけでそういうのじゃ──」
慌ててマスターを突き飛ばすと、マスターはよろけながらアンへともたれ掛かった。ポヨンという効果音と共にバウンドしたマスターをアンがキャッチすると、心底嬉しそうな顔したアンが顔に手を当てつつもう一方の手でサムズアップしながら、
「ええ、分かってますわメアリー。ついにツンデレ期からデレデレ期に移行しましたのね? 今までも結構グイグイ押してましたけど、これからは──性的なアレも辞さないと」
「ちが、違うから! 今のはそういうじゃなくて!」
「ええ、分かってますわメアリー。つまり──これからも焦らしプレイは続けると」
全然分かってないじゃないか!!
Side:Anne Bonny
「むぅぅ……」
「もう、いい加減機嫌を治して下さいな。先程はからかいすぎましたわ」
メアリーが可愛らしい声で喉を鳴らした。私いま不機嫌です、と言わんばかりに
メアリーの弁明を聞き、不機嫌になったメアリーを
「えーと……まあ寝ぼけちゃうのは仕方ないっていうか……結局メアリーは何でオレのベッドで寝てたの? オレのこと探してたりした?」
何だか妙な状況になりながらも平常心を保ったままメアリーに話しかけるマスターは流石だと言わざるを得ない。無理なことを頼んだ自覚はありますが、それに答えてくれるマスターは間違いなくお人好しだ……いつか悪い人に騙されそうですわね、海賊とか。
それと……後ろから抱きついてる私の胸に、極力触らないように腹筋に力をいれてるのが分かって……その気遣いは、結構嬉しい。
私も、恥ずかしいものは恥ずかしいですから。
「……アンとマスターを探してたんだよ。僕らの部屋にも、マスターの部屋にもいないし……そしたら、突然眠くなったから寝た。それだけ」
「まあ──それは申し訳ありません。部屋に戻る途中でマスターにお茶を誘われたので……」
「べっつにー。気にしてないもーん」
「あぁん、ごめんなさいってばーメアリー」
そう言うとメアリーはへそを曲げたのか、抱きしめられたマスターの腕を掴みながら子供のように体を揺らした。妙に間延びした声は明らかに気にしている声だ。
「もう……分かりました。では今日は三人で寝ましょう。それならみんなハッピーですわ」
「…………………じゃあ、それでいい」
「イェーイ! ということでマスター、今日はジャパニーズカワノジで寝ましょう♡」
「今オレの意見聞く気なかったよね……んー寝るのは別に構わないんだけど……またマシュに怒られるよ?」
「ええ、まああれは可愛い嫉妬のようなものですし……海賊ならしたいことするのが普通ですもの。我慢なんて体に良くありませんわ」
私はそう言って笑うと、壁に立て掛けていたマスケット銃を掴む。そのまま持ちつつベッドに寝転がろうとして、
「ちょっと待った。……アン、それ持ったまま寝るの?」
「はい? ええまあ生前からの癖、と申しましょうか……持っていないと落ち着きませんの」
言われてそういえばと愛用のマスケット銃を見る。
愛用、というほど深い思い入れがあるわけではありません。あの時代の銃は良く不良になりますし、そうなると修理するよりも商船から盗んだ方が安くなることもありましたし……まあ、良く使っていた、という意味なら愛用と言えるでしょう。この子は長持ちしましたから。
だからこの銃を抱いていないと落ち着かない……というのは、実際は嘘だったりしますが。
……ただ、怖いだけですもの。
海賊は自由なものです。好きなものを食べ、好きなことを為し、好きなように奪う。自由気まま、勝手気ままに生を謳歌して……呆気なく死ぬもの。
死ぬ覚悟が無いわけではありません。そんなもの、実家を追い出された時にはしていましたから。
ただ、怖いのです。
もし、寝ているときに何も気付かず死んでしまったらと思うと堪らなく不安になる。
もし、これ以上ないくらいに幸せな時に理不尽を強いられるように殺されたらと思うと恐ろしい。
もし……また、私だけ生き残ってしまったらと思うと、体が震えるほどに、寂しい。
「アン?」
「! あら、すみませんマスター……少し考え事をしていましわ。気を取り直して早く寝ましょう、今夜は抱き締めて差し上げますわ」
私は朗らかに笑ってマスターに返すと、そのまま手を広げる。何時でも良いとばかりに腕を広げて──そのまま本当に抱きつかれてしまって、思考が停止した。
「!? あ、あらマスターったら……今日は甘えん坊さんなんですね?」
「無理しないで良いんだよアン。離して欲しかったらちゃんと言ってね」
思わず上擦った声のまま強がりを口にして、軽く
「え、いや、その……」
声が上手く出せない。強く抱き締められてるわけじゃないのに、何だか心臓を掴まれているようで──それが意外と嫌いになれない。
……ダメだ、それはダメ。だって私は海賊だもの。
何時だって余裕のある大人の女で、我が儘を言いつつ周りを振り回すロクデナシで──必ず誰かの、優位に立たなきゃいけないから。
『挑発』はそのための道具。そのための方便。
何時だって優位に立てる女は余裕のある女。周りの男を言葉巧みにたぶらかして、骨抜きにして上に立つ。
そうすべきです。そうあるべきでしょう。
そうじゃなきゃ──怖いから。
誰かに上を立たれるのは嫌だ、怖い、何をされるか分かったものじゃない。何より一人にされるのが一番怖い。
だから、わたくしは──。
「──大丈夫だよ、アン」
マスターの優しい声が聞こえる。
暖かくて、怖くなくて──自分の隣に寄り添ってくれるような、そんな声音。
「アンは一人じゃない。カルデアなら危険なこともないし……特異点じゃなければ、武器なんて持ち歩く必要はないんだよ?」
「いえ、でも……その、な、何かあってからじゃ遅いでしょう? 歩いてて、突然襲われたりとか……」
「流石にそんな危険な場所じゃないよ……アンはちょっと気を張り詰めすぎ。海で遊んでた時みたいに息抜きしよう」
「あ、あの時だって、危険な事だらけでしたわ」
「んー……それじゃあ、その時になったら考えようか。少なくとも、アンが一人で抱え込むような事じゃないし」
「……無責任ではなくて?」
「責任感のある海賊がいるの? 少なくとも、カルデアじゃそれはオレのお仕事だから」
「で、でも……」
「──むぅ」
何か答えなければと声をあげて──マスターの後ろで不機嫌そうにしているメアリーに気付きました。頬を膨らまして、何だかいつもとは違ったように怒る彼女がそこにいて、そしてふと思い付いたように、
「……そんなに嫌なら、アンは一人で寝てなよ。僕はマスターと二人っきりで寝てるから」
といって、私に抱きつくマスターの胴体を抱えて強引に引っ張ります。おわっ、という声を漏らしながらマスターの──体温が奪われて「あっ」と声が出ました。
残念そうな。物欲しそうな。
まるでお気に入りの人形を取られた子供のような。
恋人に見捨てられた少女のような、声が。
「め、メアリー?」
「マスター、今日は二人で寝ようね。アンはマスターと寝たくないみたいだしー」
メアリーの声が、わざとらしく見せつけるような声が聞こえた。マスターの体にギュッと抱きついて、首にそっと頬を近付けて、楽しそうに笑って。
でも、私は仲間外れで。
──また、一人で。
「まっ、て──待って!」
無意識に体が動いて、左手に握ったマスケットを捨てて二人に抱きつく。いきなり飛び出した私の勢いに負けて、二人が悲鳴をあげながら後ろに倒れこみましたが、私はそれでも二人にすがるように抱き締める。
「わ、わた、わたくし、も──いっしょに、いっしょが、いいっ」
カタカタと震えた唇で、子供の鳴き声が堰を切ったように吹き出しました。とても格好悪くて、無様で、恥ずかしくて、とても余裕のある女性の姿じゃなくて、それでも私は追いすがる。
一人は嫌だ、一人は怖い、もう一人でいるのなんて耐えられない。みんなが惨めに死んでいくなかで、一人だけ残されたように生きるのはもう嫌。一人だけ生き長らえるのは、一人だけ残されるの、一人だけ、一人だけ、ひとりだけ、ひとりだけは。
「ひとりは……もう、いやです」
ああ、なぜ私はあの時死ねなかったのでしょう。
キャリコ・ジャックの最後の戦いで、友達を残すのが嫌で、一人になるのが嫌で最後まで戦って──結局私だけ残された。
ラカムは死んだ。最後の戦いで、一人船の奥で頭を抱えて震え、最後には犬のように首を吊られて死んだ。
メアリーも死んだ。牢屋の中で、熱病にうなされて、悲鳴を圧し殺すように苦しんで死んだ。
では、わたくしは?
一人だけ、生き残った。
金持ちの父親の後ろ楯で刑が延期して、いつの間にか一人で牢屋をでて、そのまま何も為さずに生き長らえた。
幸運だった、悪運が強かった、でもそんなものは欲しくなんてなかった。
私は、わたくしは──。
「みんな……いっしょが、いいです……」
──せめて、誰かの隣で死にたかったのです。
泣きじゃくるように呟いた言葉は頼りなくて、二人に届いたかも分からなくて。
ただ、肩を震わせる私を、二人は抱き締めてくださいました。
Side:Mary Read
まるで子供のように僕達を抱き締めて泣いたアンは、そのまま疲れてしまったのか寝てしまった。その手には愛用のマスケットはなくて、顔も泣きはらしたように赤くなっていたけど、何だか安心したような顔をしていた。
「ありがとう、マスター……あんまりこういうのはしたくなかったけど、それでも受け入れてくれて」
マスターと僕でメアリーをベッドに寝かすと、僕はマスターに感謝を告げた。マスターは僕の言葉を聞いて、照れたように頬を掻くと、
「いや……オレは何もしてないよ。メアリーがアンの為に話して……アンが、自分の為に頑張っただけ」
「それでもだよ。マスターは拒絶しないで受け入れてくれてくれた。アンのして欲しいことから、目を逸らさなかった」
「みんなのマスターになったときからオレは……みんなを信じてるからね。アンの子供っぽい所も、勿論メアリーのして欲しいことだって受け入れるつもりだよ」
痛いのは勘弁してほしいけど、なんてマスターは笑った。
当然のように、というよりは、そうして欲しいと。
迷惑かけられる覚悟がある、というより、迷惑かけられても許してあげたい、という風に。
「……ほんと、マスターは格好いいね。マスターのそういうところ……僕は好きだよ」
「ありがとう。俺もメアリーの、アンに甘くて優しいところが好きだよ」
「そりゃあ、僕の方が年上だからね。生前の僕とアンは、十歳くらい年が離れてるんだよ? アンが寂しがりやなのは良く分かってるし」
僕は満足したようにため息を吐くと、そのままアンの左横に寝転がる。体を横にして、彼女の左腕を右手で抱き締め、お腹の所に左手を置く。
寝付けない子供を、あやすように。
「ほら、マスターも寝よう。今日はなんだか疲れちゃった」
「……うん、そうだね。早く寝ないと、明日起きられなくなっちゃうし」
マスターは優しく笑うと、そのままアンの右横に寝る。仰向けになりながら……でも、手を繋いであげて。
三人で、川の字。
間に挟むのがアンになっちゃったけど……まあ、寂しがりやな彼女だから、たまには良いかもしれない。
僕はそのまま瞼を閉じる。
ついさっきも同じように眠った気がするけど、牢屋のような冷たい気持ちは嘘のように消えていて──きっと隣のアンとマスターがとても暖かいからなんだろう。胸を焼くような痛みは、きっと彼女のマスケットが撃ち抜いて、マスターが癒してくれたに違いない。
……明日も、良い日になりますように。
海賊だった頃にはきっと考えなかったことを、僕はみんなに願ったのだった。
「フォッフォフォー、フォフォウ」
(やっはろー、諸君。休みの日には寝転がってゲームしてるくせに平日に執筆する作者から頼まれてまたまた登場だ。どうか暇人と罵ってやれ。今回のヒロインは二人だったので文字数が増えてしまったが……三話で10000字越えてるので今さらかもね。今回のコンセプトは『一人っきり』だ。いつでも二人、どこでも二人な彼女たちなので、今回はちょっと一人ずつにして内心を吐露させてみた感じだ。ひとまず注意として、二人の過去については『教えてfgo』ならびにマテリアル等を参考にしつつ作者の自己解釈を織り混ぜてるのでそこのところ注意だ。アンメアの二人ともメンタル弱いのはその辺からきてるよ。それでも良いなら進もうか。今回は彼女たちに一人であることを突きつけた時の反応について書かれているね。どちらにも共通することは『一人でいるのが嫌だ』ということだが、メアリーであれば、『一人寂しく死んでしまうのは嫌だ』『誰にも気付かれず惨めに死ぬのは嫌だ』、アンの場合は『一人残されて生き長らえるのは嫌だ』『たとえ惨めでも誰かと一緒に死にたい』って感じかな。正直イチャイチャさせるのにこの辺必要かとも思ったけど思い付いてしまったのは仕方がない。デレデレメアリーがマスターに頬擦りしていたり、涙目になった子供っぽいアンを幻視してほしい。ここまで着いてこれた甘いのがお好きなマスター達なら出来ると信奉している。強いて詫びるとするなら……アンの出番が少な目なことか。続編がでたらアンも甘々にしたいらしいのでまあまあ期待しといてくれ)
アンメアは良いですよ。作者が保証する。
今回のアンメアは絆レベル5以上にしつつ、カルデアを魔改造したり、彼女達を一人っきりにするとこうなります。メアリーは心を開くとデレデレになりますが、アンは心を開きつつメアリーがデレているのを見せつけると恥ずかしがりながらイチャイチャしてきます。慣れるとデレデレになるので二粒で五回くらい美味しいです。
そろそろ二週目を書くべきか……でもアーサーオルタとか邪ンヌとかデオンくんちゃんとかマタハリさんとかタマモキャットとか沖田さんとかノッブとかその他諸々書けてないし……どうしよっかね。