サーヴァントといちゃつくだけ   作:PRD2

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書いちゃった♥
……違うんだ話せば分かる。
確かに私は焼きマシュマロを書くべくFGOのマイルームでマシュをお気に入りに設定しようとしたんだ。
Twitterでマシュの色々な画像も検索し、甘さ多目に行こうと思ったんだ。
そしてマイルームを開けば、そこには裸エプロンのタマモキャット。
そう、そういえばランダム設定にしてたんだった。
それはそれとして耳掻きして欲しくね?

そういうことなんだ。
キャラ崩壊は……まあタマモキャットだし、微妙に喋り口調が変でも突っ込まないで欲しいのだ。キャットとの約束なのだ。
わりとセリフ考えるの楽しいなこの子。
というわけで、あんじょうよろしゅう(酒呑並感)

追記
読む専用さん、誤字報告ありがとうございます。
でも実は「時代」は「事態」の誤字だったりではなく、その後の特異点のくだりと掛けてるだけなんです。
面倒臭くて御免なさい。


タマモキャット 01

「やっほーなのだご主人。キャットのデリバリーサービスのお時間なのだな」

 返事を聞かずに即参上。右手にお玉、左手に包丁を持ちつつ裸エプロンで部屋の扉をオープンすれば、そこにはマスターが御寛ぎの様子。ちゃんと休むことは良いことなのだな。両手が塞がっているのに扉が開いたことは些細なことであろう。

 ご主人はうんともすんともポカンとも驚かず、優しい笑みをこちらに向ける。お日様であろうか、いやご主人である。

「どうしたのキャット。一緒にお昼寝する?」

「うむ、魅力的なお願い過ぎてつい尻尾が狂喜乱舞してしまうがそれはそれとしてお耳に一つ。つまりはお願いがあるんだワン」

「お願い?」

「実はそこの廊下で、つまりはついさっき思い付いた事なのだが──ご主人の耳掻きをしたいのだ」

「耳掻き?」

 おうさ、と声をあげつつお玉と包丁をエプロンポケットに仕舞う。ポケットの容量はどうなってるか? 大したことでは無きにしもあらず、つまりはキャット七不思議だ。

 それはそうとついさっき、つまりはキャットの私室で耳掻きを見つけた事から始まる。そういえばご主人のお耳のお世話をしていない事に気付いたキャットは脱兎の如く犬走、飛ぶ鳥を落とす勢いでキャッツした次第である。

 これは由々しき時代である。燃え盛る本能寺のごとき特異点なのだ。

 主従とは金を稼ぐ者と家を守る者、つまりは夫と妻の関係性。ならばキャットのお世話はご主人の、ご主人のお世話はキャットのお仕事。非の打ち所のない完璧な理論武装である。キャットのインテリジェンスはキャンプファイヤーだ。

「というわけでご主人、大人しく耳を出すのが賢明である。あとお昼寝は耳掻きの後で頼む」

「んー……まあいっか。最近あんまりしてなかったし、キャットがしたいなら。ほら、こっち来て」

 マスターがベッドをポンポン。ほほう、つまりそこに寝転がれと。いや、逆か。

 ワンツーステップでベッドにダイビング。巻き上がるご主人のスメルが鼻を過り──むう、これ以上はいかん。これより先は耳掻きどころではなくなってしまう。

 気を取り直してベッドの縁に座り、膝をポンポン、つまりは頭を垂れるのだ。

 ご主人は素直に横になり、そして今さらながら気付いたキャットの剥き出しの太股に赤面のご様子。なんとあざといご主人なのだ、鼻を肉球でフニフニしても宜しいか?

 ちょっぴり無理矢理に左の頬を太股に置く。自然と上を向いたご主人の右耳がピクピク動いた。

 そしてポケットから取りだしたるは市販の耳掻きだ。安物だが耳に傷がつかぬよう工夫を凝らした一品──良妻たるもの無駄な出費は抑えるが吉なのだ。それはそれとしてネコ缶は高い物ほど総じて美味しいのでゴールデンな物をあげるとキャットが喜ぶのだ。

「ではゆくぞご主人。心残りは十分か」

「心の準備は十分かの間違いでは?」

 そうとも言うがよし行くぞいざ鎌倉だ。

 耳掻きをご主人の耳に挿入、見たところそこまで汚れてはいない様だし、ここは掃除と言うよりは耳マッサージ方向にシフトが良いか。それはそれとして曲がった匙の方で耳をカリカリ。

 傷がつくと炎症などが起こるため実際はなぞるくらいで十二分、なんならやらずとも風呂に入れば自然に垢はふやけて流される物だ。だがしかしキャットのテクならお掃除も容易い。良妻が耳掻き上手なのは魚が跳ねるのと同じくらいに当然である。

「痒いところはないかご主人」

「うん、大丈夫。気持ちいいよ」

 目ぼしい汚れを掻き出しつつティッシュにくるみ、フワフワした梵天を回し入れれば仕上げの時間だ。取りだしたるは赤ちゃん用綿棒、これで止めと行こうではないか。

 綿棒の先をチョロっと一舐め、キャット印の万能綿棒の完成である。キャットの唾液にはきっと恐らく色んな薬効成分が配合されているので少なくとも汚くはない、良いのだな?

 耳の中に綿棒を入れて壁をなぞる。それで終わりではない、綿棒を少し奥まで前進させるのだ。

 細い綿棒はススーっと奥まで直進、通常の耳掻きでは中々躊躇う耳の奥まで這い寄るのだ。ご主人の背中がくすぐったそうに動くがそれで止まるキャットではない。そのまま誰にも触れられない所を綿棒で擦るだけで、もうご主人はまな板の上の鮭と同じである。

 上擦った声がご主人の口から漏れる。なんとハシタナイもっと言うのだ。何だか頭の隅っこの、何だか良く分からない所がゾクゾクしたが、きっと気のせいである。

 ──数分後。

「っと、こんな物であろう。ご主人、右は終わったぞ」

「ん、あぁ……やっぱり逆もやんないとダメ?」

「ダメなのだな」

「でもほらその、ふ、服がさ」

「それがどうかしたのか?」

 ご主人の言葉をピシャリと一閃。片方だけでは決まりが悪いのだ。あとキャットも物足りな。

 ご主人は少し躊躇った後、諦めたように目を瞑りながら体の向きを変えて此方を向くように寝そべり、頭をそっとキャットの太股に置いた。こちらの、エプロン一つ隔てた此方側が気になるようで、ちょっと膝の方に頭を置いている。

 なるほど、ご主人の年ともなれば気になるのは当然の事。どうやら溢れ出るパトスが止められぬご様子。

 ──だが、断る。

「遠くてやりにくい。もっと此方に寄るが良い」

「で、でも」

「有能キャットの言葉は聞いておくべきだワン」

 躊躇うご主人を、優しく諭す。

 無理矢理に動かしたりはしない。あくまで、ご主人に、自発的に、動いてもらう。

 ご主人は顔を赤くしながら、少し悩んで此方に頭を寄せる。気になる場所と距離数センチ。恥ずかしげにギュットっと目を瞑るご主人の顔を見下ろす。

 ……まずい、本格的にまずい。

 つい楽しくなってやってしまったがこれは恥ずかしい。キャットもちょっと調子に乗った。いやそれは良い、いや良くないがケースバイケースである。

 何よりも背中の方がゾクゾクするのが本当にまずい。

 具体的に言えばこう……まずいのだ。

 このままではビーストモードに変身したキャットのテクが炸裂し、最終的にご主人は我にメロメロ……あれ? 別に良いのでは? キャットは訝しんだ。

 高鳴る心臓に休暇通達。有給取ってゆっくりして欲しいものだがどうにも言うことを聞かぬ。ええいこのまま行くぞ何とかなるさそれがキャット。

 ──数分後。

「……よし、こちらも終わったのだ」

「う、うん。ありがとう。キャット」

 何とかなった。

 何とかなったのだ。

 ご主人の吐息がエプロン越しにかかったときは流石のキャットもどうにかなってしまいそうだった。これが若さか……。

 そして今更ながら気付いたが、キャットの反対側に寝そべれば良かっただけなのでは? やだ、このご主人テンパりすぎ。鼻先ペロペロしても宜しいか?

「何だか綺麗になった気がする。流石キャット、耳掻き気持ち良かったよ」

「アハハハハ! 当然であろう、キャットは良妻にして敏腕……む、これ以上は何だかネタバレになりそうというか、キャラ被りになりそうなので言わぬが、まあよし。ご主人も満足そうでなによりだワン」

「うん、そうだな……これはお礼が必要だね」

「よいよい気にするなご主人よ、キャットは善意80パーセントで出来ている故、おねだりなどそうそうすることではない。時にご主人、我はゴールデンなネコ缶とか気になってるワン」

「あぁ、わかったよ。後で用意しとく……でも、それ以外のお礼もしないとね」

 ご主人は立ち上がり、自分の机の方へと歩き出す。何やらゴソゴソ物を探し、すぐにそれを見つけ出した。

 プラスチックの容器に入った白くて長めの棒、それは綿のようにフワフワで棒のように手のひらサイズ。

 つまりは綿棒だった。

「耳掻き、してあげるよ」

 ご主人はゆっくり此方へ歩いてくる。

 ──何故であろう、この悪寒は。

 ご主人の顔に悪意は無い。これこそまさに善意100パーセントの耳掻き要求。先程弄られた仕返しという風でも無いらしい。

 ──なのに何故であろう、この誘惑は。

 これ以上先に進むべきでは無いというか進んではいけないというか、進んだら最後もう戻れなくなりそうな、そんな予感が止まらない。

「い、いやご主人、お返しは十分だ。キャットのフォックスイヤーは年中キレイに──」

「お座り」

「わん」

 あぁ勝手に体が動いてしまう。なんという反射神経、流石はキャット、少しは自重しろ。

 ご主人はそのまま我の隣に座り、膝をポンポン。ほほう、つまりそこに寝転がれと。ではお言葉に甘えて。

 ……ハッ! 完全に手玉に取られていた。なんという策士、世が世なら太公望もしくは諸葛孔明であったか。太平ワンチャン狙えるぞご主人。

「それじゃ、いくよ」

「う、うむ。分かったぞご主人」

 むう、仕方があるまい。

 なに、所詮は耳掻き、キャットイヤーは無敵のイヤー。耳掻き程度で陥落するほど柔ではない。

 ゆっくりと綿棒がキャットの耳に入れられる。耳毛を擽りながら奥へと入っていく綿棒が、耳の内側を擦った。

「にゃふぅ」

 ──気持ち良い。

 頭を撫でられるのとも、喉を擽られるのとも違う、不思議な感覚。誰にも見せないような部分をさらけ出したような多幸感が頭を支配する。

 喉が鳴る。尻尾が立って声が出る。

 そこに追い討ちをかけるようにご主人の手が──我の首へと伸びる。

 首輪の内側を指の腹が這い、かと思えば気付けば顎を撫でている。ソフトなタッチで弄られる首筋から、何だか幸せが染み渡るようだ。

「んっ、ふぅ……あぅ」

「動かないで」

 でも、思いっきりじゃない。

 耳掻きは耳を擦っても少しの動きで離れてしまう。

 首筋をなぞる指は、もう少しで頭がフワッとなる所で離れてしまう。

 ……切ない。

 もっと、もっと思いっきり、欲しい。

 グシャグシャになるくらい耳をなぞって、真っ白になるくらい撫でて欲しい。

 飼い猫を可愛がり倒すように思いっきり、逃げられないくらい強く、もうどうにかなってしまうくらいに激しく欲しい。

 ──あれ?

 キャットは何我慢してたんだっけ?

「……うん、よし。こっちはOK、綺麗な耳だったよ。次は反対側を──」

「ご主人っ!!」

 起き上がり、ご主人を押し倒す。

 目の前には倒れたご主人が目を丸くしていた。パッチリおめめがキュートに開かれ、驚いたように口が動く。

「ど、どうかしたの? 耳掻き、痛かった?」

「ご主人! ご主人ご主人ご主人!」

「えと……お、オレ?」

「もっと、もっもっと一杯撫でて欲しいのだ!!」

「え、あぁうん。良いけど……」

 綿棒を離して両手で我の頭へ手を置き、何時ものように撫でるご主人。

 でも、足りない。

「もっと、思いっきりして欲しいのだ!」

「えと、こう?」

 手の動きが速くなる。髪の毛がフワフワ動いた。

 でも、足りない。

「もっと、思いっきりだ」

「こ、こう?」

「もっと、もっとなのだ。もっともっともっともっと強くして欲しいのだ。頭をガシガシ、喉をゴロゴロ、体がピクピクするくらいにして欲しい」

「そ、そんなに?」

「はやく、はやく、ほしいのだ。おもいっきりほしいのだ。つよくていたくしてほしいのだ。はげしくメチャクチャにほしいのだ。ごしゅじんがほしいのだ」

「キャット?」

「ごしゅ、ごしゅじんが。ごしゅじんごしゅじん」

 何で手を止めてしまうのだご主人?

 もっとちょうだいなのだ。

 もっと一杯可愛がって欲しいのだ。

 もっと一杯撫で回して欲しいのだ。

 もっと一杯愛して欲しいのだ。

 溶けるくらいに、惚けるほどに、胸がホワホワして頭がフワッとして、胸が疼いてお腹の下が熱くなるくらいに。

 

 ご主人が欲しい。

 

「キャット!」

「……ん? どうしたのだご主人?」

「どうしたって……こっちの台詞だよキャット。なんか凄い動揺してたけど」

「……そう、か? そんなことあったか? はて、記憶が…………むう、良く覚えておらなんだ」

 ──はて?

 どうしたことだろうか。

 どうにも先程まで何を考えていたか良く分からない。

 キャットは何をしていただろうか。

 ……本当に覚えておらぬ。

 むむう、これはまさかキャットのインテリジェンスが暴走をきたしたか。熱暴走か? なんだか体もヤケに熱いし、裸エプロンが丁度良いくらいだ。

 なんだか色々とまずいというか、これ以上はいけないというか、ビーストモードじゃすまないような何かが脳裏を過ったような気がするが……まぁ、気のせいであろう。キャットは獣の如き速さで英断するのであった。

「そんなことよりもご主人、お昼寝の時間であるぞ。これよりは午睡、強者共が夢の中なのだな」

「……本当に大丈夫? 体は変だったりしない?」

「うむ、至って健康優良キャットである。体は程よく熱く、お腹も減っていない。つまりはベストコンディションだワン」

 手も動く、足も動く、喉も渇いてないしお腹も空いていない。

 だが、なんだろうか。

 何かが足りない? いや、物足りない?

 ──まあ良いか。

 きっとそれは、お昼寝より大事な物では無いのだろう。ご主人とのお昼寝は何よりも大切だ。

 つまりはそういうことなのだ。

 




「フォーウフォォォォォウ!」
(クソッタレあの野郎前回のコーナー取りやがったな! FGO本編でも中々出番無いくせにアルトリアシリーズになったらいきなりでしゃばりやがって……まあいい。今回はタマモキャットだ。前回の作者の予告は詐欺だったようだ、どうか罵ってやってくれ。今回は……なんというべきか、色々ぶっ飛んでるからツッコミは入れない方向で行こうか。となると、やはり耳掻き戦争終盤戦が気になるところだね。これはやはり玉藻の系譜といかアルターエゴだからというか、あのシリーズには共通して『満たされると調子に乗る』傾向があるからな。キャットの方はオリジナルより社交的だし、奉仕精神も旺盛だが……やはりビーストモードは共通して存在しているのだろう。マスター的には甘えん坊が一人増えるくらいの認識かもしれんが、素直に喜べない変化だね。ただ、本人に自覚症状が無いから、余計なことをしなければワンチャンだ。マスターの飼い慣らしテクが要求されるな。それ以外は耳掻きの時と同じようにかなり好意的な可愛いキャット。なんとあざとい、これが猫……いや犬、もしくは狐か)

思えばぶっ飛んだバーサーカーを書くのはキャットが最初ですね。
今回のタマモキャットは絆レベル5以上で、結構な回数一緒にお昼寝をすることが条件、その最中にラキスケが起きると高確率でこうなります。溢れ出る恋心とか愛とか母性がない交ぜで良く分かんなくなった状態。
ビーストモードになることは回避できず、そこから傾国の女帝モードに派生するともれなくカルデアの危機、キャットの構ってモードに派生するともれなく献身的なお嫁さんができます。
女帝モードはSっ気が、構ってモードはMっ気が強くなりますが、幻の第三ルートも存在するとかしないとか。ここから先は要課金なのだな(黄金のネコ缶とか)。

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