アイディアはあったけど書いてる途中にR-18になったので何度か修正して完成。
最後のちょっと投げやり感が気になるけど、ぶっちゃけこの話を健全なまま終わらせるのは難しいです。
作者は筆がノリすぎるとすぐにエロに手を染めてしまう病に冒されています。筆じゃないけど。
前回はやり過ぎた気がするので、もしかしたら修正するかも。てゆうかいきなり10000字は馬鹿だろ私。
そんなこんなで良かったら見てやってください。
では今回は彼女を。
叶えられぬ願いを抱きながら、それでも止まれなかった彼女の話を。
「……雨が強くなってきたな」
音をたてて降り続ける雨を見ながらアタランテはそう呟いた。一人言のつもりだったが、隣にいたマスターが壁に寄りかかりながら頷いていた。
現在地は第三特異点オケアノスのとある島。既に聖杯の力もなくなり、存在を維持する物もなくなったオケアノスだが、依然として特異点跡地としてカルデアでは観測されている。聖杯という特異点の主柱は無くなったものの、未来が確定していない現在では未だオケアノスは存在している。ダ・ヴィンチ曰く、何時無くなってもおかしくはないという話だが、未だにここは架空の島々として存在していた。
「お使いのような物だと聞いて付いてきてみれば……存外時間がかかってしまうものだな。特異点の発生地点も詳しくは分からないのだろう?」
『んー、どうにも特異点としての性質が弱すぎるせいか、反応を追うのが難しいようだ。オケアノスは規模自体は大したこと無い特異点だから、探していれば見つかると思ったんだけどね』
「……そんな曖昧な作戦でレイシフトさせたのか? 貴様、仮にも天才を自称する者だろう」
『自称じゃなくて事実だとも、麗しのアタランテ。……まあ、今回は少し手を抜いたのは否定できないね。その特異点にはもう大した魔獣もいないだろうし、私としては軽い気持ちで、それこそピクニックみたいな扱いだったんだよ。最近立香君も忙しかったし、大自然の中でリフレッシュ! みたいな?』
「森を嘗めるな芸術家。魔獣の
自然と口から毒が漏れていく。芸術家、という人種に対して恨みがあるわけでは無いが、どうにも彼女(彼?)とは馬が合わない。計算高く合理的だが、どこか会話の節々から自分の美意識が見え隠れするところや、何より話していると何故かシェイクスピアが脳裏を
眉をひそめつつ、魔術による映像に文句でも言ってやろうかとマスターの方を向くと、彼のちょっと困った顔が見えた。
「まあまあ、別に急ぐことも無いんだしさ。取り敢えず今日のところは雨宿りして、明日もう一度周りの島て特異点反応を探そう。このどしゃ降りじゃ歩き回れないし、ちょっとのんびりしていこう」
「マスターは……全く、マイペースが過ぎるぞ。野宿などしなくとも、レイシフトで一度カルデアに戻り、寝てる間に特異点の解析を進めてもらえば良いだろう?」
「いやほら……そうするとレイシフト一回ぶん無駄になっちゃうし……最近知ったけど、レイシフトって結構なお金がかかるらしいから、ちょっと節約した方がいいかな、って」
「……貧乏性というか、なんというべきか……金銭で安全が買えるならこれ以上に楽なことは無いだろうに」
そう言いながらため息を吐くアタランテだが、実のところ彼女はマスターの貧乏性に異を唱えるべきか決めかねていた。彼女にとって金銭とは『あれば良いが無くても困らない物』であり、生前の経験でも所謂『金銭的価値のある物』に触れる機会とは微々たる物だ。現代の知識はある程度召喚された際に置換されてはいるが、金銭感覚は使わなければ培われない。
以前の──召喚される前の彼女なら、そういったことに構わずマスターをレイシフトさせていただろうが、現在の彼女は使役される身だ。マスターの意思は尊重すべきだろう。
……決して、マスターと二人でいたいわけではない。
……結果として二人っきりという状況になったに過ぎない。
「? どうしたのアタランテ? 耳がピコピコしてるけど、何か鳴き声とか聞こえた?」
「……いや、近くに生き物はいないようだ。洞窟の奥には何がしかの巣のような物があったが、既に使われていないだろう。ひとまずここは安全とみて良い」
「分かった……じゃあもう少し奥に行って野宿にしよう。ちょっと早いけど、明日に備えて寝ちゃおうか」
マスターは立ち上がると、洞窟の奥へ体を向ける。奧は鍾乳洞のように要り組んでいるため、その手前の辺りでちょっとした拠点を作るつもりだろう。
ならばアタランテの役割は──。
「ふむ、では私は狩りにいくとしよう。何か仕留めて──む」
すぐに行動と歩き出した矢先にマスターに左手を捕まれた。後ろを振り向けばちょっと困った顔をしたマスターが、
「さっき鹿食べてお腹は減ってないから大丈夫」
「森は気紛れな味方だ、食べられる時に腹を満たしておくべきではないか?」
「今が我慢するときじゃない? 雨も降ってるし、今日はおとなしくしていよう……何か採ってきても、この雨じゃ火なんか点けられない」
そう言って外に行こうとした私を制止する。私は少し考え、マスターのそう言うのであればと了承した。
……少し、焦っていたのかもしれない。
久し振りにマスターと二人しかいない状況だ。今さら遠慮をするような仲でもないが、どうにもむず痒い感覚がある。自然と体が動き、背筋が伸びて、鼓動が高鳴って……恥ずかしい訳ではない。話し相手がいて、嬉しいだけだ。
マスターはそのまま私の手を引いて洞窟の奥まで歩き出した。子供ではないのだから手を引かれずとも自分で歩ける、そう言って手を離そうとして……結局私はマスターの右手を強く握った。
手を引かれる、というのは初めてのことだ。そういえば我が女神アルテミス様に
……手を繋いで、手を引かれて、歩く。
それだけのことで、顔に血が上る。顔が赤くなる。
……止めろ、考えるな。
勝手に動きかけた右手に力を込めて止める。
危なかった。あのままなら、右手はきっと彼の腕を引き返していた。その後の自分は、多分戻れない。この関係には戻れない。
「この辺でいいかな……アタランテ、本当に大丈夫? 顔赤いけど」
「き、にするな……少し、眠くなっただけだ」
「今日は結構歩いたからね……それにしても意外と寒いな。洞窟だからかな?」
手を離したマスターは体を擦ると、洞窟の壁に背中を預けて座った。仄かに彼の体温が残る手を握り、私は彼の向かい側の壁に座った。
何となく、左手を地面につくのが嫌で、私は膝を抱えるように手を回す。少しして、スカートの裾が捲れていることに気付いて膝を強く抱いたが、彼が此方をあまり見ないようにしているのが分かって……今さら膝を直すのも嫌で、そのまま座っていた。
遠くから、雨が降る音がする。
喋らない時間が続く。
彼は良く喋る人間だ。私が
今日は特異点での活動で疲れているせいか、少しうとうとしながら壁にもたれ掛かっている。横になれば楽だろうに、私がいるせいか座ったまま寝ようとしていて。
くしゅん。
くしゃみの音が洞窟に響いた。声の主は鼻を啜りながら腕を手で擦っていた。
「マスター、寒いのか?」
「ちょっと、ね。焚き火が無いからかなー」
えへへ、と優しく笑う。
何となく、見ていられなかった。
私は少し考えて……立ち上がって歩く。
彼の前まで、三歩。
戸惑う彼の前に立ち、膝をついて……抱きついた。
彼の股の間に尻をついて、脇の下から腕を回して。
「ちょっ……アタランテ、さん?」
「寒いのだろう? 毛布も無いんだ、人肌が一番暖まる」
そう言いながら彼の胸に顔を埋める。顔はきっとリンゴのように赤くなっているだろうから。それでも胸を合わせるような向きで無くても良いだろうと誰かに言われた気がして……そう、そうだ。背中はさっき洞窟につけて汚れただろう。マスターに押し付けるのは礼儀に失する。体温で暖め合うなら、前にするべきだ。それがいい。
彼の体温を感じる。私より少し体温が低いようで、けれど安心する暖かさだ。胸も結構がっしりとしていて、ギリシャの男共のような隆起した物ではないが、安心のする筋肉質な体だ。息を吸えば、彼の汗の臭いが鼻腔を
「……アタランテ、本当に大丈夫? 無理してない?」
「していないっ。……早く寝るが良い、明日に響くぞ」
マスターの疑問に、素っ気なく返して、目を
私も……今日は疲れた。どうにも彼と共にいるのは心臓に悪い。横を歩くだけで体が言うことを聞かなくなる。
「……分かった。じゃあ──仕返し」
そう言って少し笑うと、マスターは両手で私を抱き締めた。
強くはない。優しく、安心させるように。腕を背中に回して、母が子供を抱き締めるような抱擁。
「はぅ──」
声が漏れた。
頭が真っ白になって、心臓がはち切れそうなくらいに拍動する。下腹部が疼いて、喉が渇く。息が荒れるのを必死に抑える。
……駄目だ。ここは特異点だ。何が起こるか分からないような危険地帯だ。そんなところで私は何をしようとしている? 私は人間だぞ。たとえ獅子の耳と尾が生えていようと私は理性で本能を律することのできるヒトだ。だから大丈夫だ、心配はない。我が女神に純潔の誓いをした私にとってこの程度の獣欲は──待て、ちがう。私は発情してなんかいない。ダメだ、考えるな。
唾を飲み込み、身じろぎをする。鼻息が荒くなるのを押し止める。息を止めるように口を塞ぐ度に、口の端からあえぎ声が漏れていく。
距離は取れない。優しく抱かれた腕によって動けないからで、断じて抱かれていたい訳ではない。彼の体温が恋しい訳でもない。
──あぁ、でも。
きっと、あの唇で喉を潤せたら。
きっと、あの臭いをまた嗅げたなら。
きっと、女として抱かれたのなら。
きっと、気持ちいいだろうなぁ。
……結局、朝まで寝ることもなく、自分の欲望に耐えることとなった。
特異点を修正した後、ダ・ヴィンチがニヤニヤしているのが堪らなくムカついたので本気で射った。むしゃくしゃしてやったが反省はしない。
アタランテさんは獣成分マシマシです。
絆レベルは「かなり気に入ってるけどボディータッチはされると少し困る(満更でもない)」のレベル5より高めの状態で、何度か彼女とフラグを立てつつ自然と体に触れたりするとこんな姐さんになります。
リンゴあげて徒競走で使って良いとか言ったり、絆レベル10になると金のリンゴを「お前には必要ないな」とかいったりするけど、多分純潔の誓いは守ろうとするので、その辺を揺るがしてみた。
ラストの辺りで何度もR-18展開になりましたが耐えました。ぐだが耳かぷっ、てしてたらアブナカッタネ。