「貴方に許される答えは『はい』か『YES』…それ以外の答えは『認めない』ッ! !」
女の子は拳銃を陽一に向けながら鋭い目付きで一方的な『要求』ではなく『脅迫』をする!
「俺に拒否権ってねぇーのかよぉー! ?」
「無い!一つとして無いわ!」
「ならば逃げるんだよォ!」
こちらの話を一切聞こうとしない女の子に目を丸くしながらも陽一は背を向けて全速力で走り始める!
「なっ待ちなさい!逃げるんじゃアないッ!」
「待てと言われて待つ奴が居るかよ!」
「くっ…この三鶴城篝、容赦はしないッ!」
走る陽一に篝と名乗った女の子は拳銃を構え撃つ姿勢をとる。
「SHOT!」
篝が引き金を引くと重厚な発砲音と共に弾丸が陽一目掛けて飛んで行く!
「ハッ!飛んでくる弾を見て避ける事は出来ないけどよぉ、撃ってくる方向を予測して走る方向変えれば真っ直ぐ飛ぶ事しか出来ない銃弾はまず当たらねぇんだよォ!」
「あら意外と冷静、悪くない判断ね…だけど……貴方、激甘よ」
陽一は向けられている銃口を良く観察し引き金を引く瞬間に横に移動する事で弾丸を避けようとする…だが、本来真っ直ぐしか飛ばない筈の弾丸が『曲がり』陽一の肩に当たる。
「なッ……なにぃぃぃい!?銃弾が曲がった…だとォ!?」
「私の『皇帝』は百発百中!貴方のようなトーシロにはキツかったかしら?」
それじゃあお代わりあげるわと呟くと更に足を手に持つ拳銃、『皇帝』で撃つ。
「がぁっ…!」
「ふむ…あまり傷付けるなと言われているからこれ以上は望ましくない…これで理解したでしょう?抵抗は無駄なのよ」
篝の追撃の銃弾が陽一の身体に撃ち込まれるが、どういうわけか最初に喰らった一発も追撃の一発も身体に激痛を与えるがそれによる外傷は無かった。
「理由も無くそんな事言われりゃ誰だって似たような反応すると思うんだけどな…それに、喰らって分かったが…君の持つ拳銃、『皇帝』とか言ったか?それは…?」
「あまりベラベラ喋る趣味は無いから簡潔に言ってあげるわ…これは『スタンド』と呼ばれる力のある生命エネルギーのヴィジョン…私のこの『皇帝』もスタンドよ…貴方にもスタンドがあるでしょう?『悪霊』だったり、『変な動物』だったり、『怪物』だったり…」
「……え?」
篝からの説明を受けてファンタジーやメルヘンでありそうな話だなぁと思っていた陽一だったが、自分にもそんな能力があると言われた時にはこれまた目を丸くする。
「いやいや…そんなの知らねぇって」
「そんな事は無い筈よ…だって貴方『皇帝』が見えるんだもの……スタンドは同じスタンドの能力を持つ者にしか見えないの」
「は?そうなのか?だったら………アレ…なのか?」
「やっぱりあるんじゃない…その年でボケてるのかしら?」
「いや、だってよ……」
陽一は言えなかった…いや言いたくなかった。
中々イカしたデザインの拳銃がスタンドの篝とは違い、自身のスタンドであろうそれは…恐らく『卵』なのだという事を…。
「マジかぁー…アレがそのスタンドってヤツなのかァ…」
「フフ、その様子だと随分自分のスタンドに振り回されていたみたいね」
「……間違ってねぇのがキツイぜ…で、そのスタンドってのと俺をどっかに連れて行こうとしてるのは一体何の繋がりがあるんだ?」
「…この際だから教えてあげる。貴方を組織にスカウトしに来たのよ」
陽一の質問には篝はウエスタンハットをクイッと指で上げながら答える。
「……組織?」
「えぇ、組織よ……それと、悪いけど質問タイムはもうお終い、私から逃げ切りたいのなら貴方もスタンドを出して抵抗すれば?それでも私の『皇帝』には勝てないでしょうけどね」
もうこれ以上は話の無駄だと言い篝は再び『皇帝』を陽一に向ける。
「ちょ、まっ……待ってくれよ!」
「待てと言われて待つ奴は居ない…なんでしょう?」
「仰る通りですね畜生ゥ!」
問答無用で『皇帝』で撃とうとしてくる篝から逃れる為に陽一は再び全速力で走る。
「S.H.I.T…!あの拳銃の銃弾はヤベェ……あんな自由自在に弾道を曲げられる銃弾どうにもなんねぇよ…あー畜生俺のスタンドってのもあんなイカしたのだったらこんなハードラックな目には遭わなかったんだろうなァ!」
「下手に動き回ると当たりどころが悪くて死ぬわよ?SHOT!」
「おーこわ…そいつは勘弁願いたいぜ!」
逃がさない為に『皇帝』で撃うとした篝に向けて陽一は何かを投げ飛ばす…その時には既に銃弾が飛んで行っていたが、『皇帝』の能力で弾道を変えてその飛んで来た物を撃ち抜き破壊する…だがそれが陽一の狙いだった。
「なにッ!?これは…!」
「そうだ!俺が飲もうと思ってた自販機で買った三ツ矢サイダーだぜ!130円の威力を思い知りなア!」
「チッ、してやられた……ぐっ、目に入って狙いが…!」
先程まで完璧に追尾し不規則な弾道で襲って来た銃弾も明後日の方向に飛んで行き、近くの電柱に当たり消えてしまう。
「激甘はそっちだったみたいだな!good by 嬢ちゃん!」
陽一はハンカチで顔を拭いている隙を狙い被っているウエスタンハットを目深に被らせて視界を遮りさらに足払いで篝を転ばせると、路地裏へと駆け込んで行った。
「うわぁッ!?おのれ…だがすぐに見つけてやる!見つけて今度は逃がさない!」
篝は尻餅をついた体制のまま走り去る陽一に怒鳴っていた。
「ふぃー……何とか戻れたぜぇ…」
なーご
「おぉーホワイトー悪かったなーこんな時間まで待たせちまってよぉー」
うにゃーん
「とりあえずサイダーは犠牲になったがそれ以外は大丈夫だな…うし、回鍋肉作ろうっと」
何とか自分の住むアパートまで逃げ切った陽一は帰りを待っていたホワイトと少し遊んだ後、色々気になる事があったがとりあえずすっかり遅くなってしまった夕飯を作り食べる事にした。
「しかしスタンド…ねぇ、まさかこの耳鳴りみたいなのがお前の能力なのかよ?なぁ『卵』君よぉ」
篝の説明曰くスタンドだと思われる『卵』を見ながら回鍋肉を作り炊き立てのご飯と一緒に食べていく。
「あー…この回鍋肉の匂いたまんねぇ〜少し多めに入れたにんにくが食欲をそそる〜飯も進むぜ〜」
うにゅう
「お前さっき餌食っただろー?デブ猫になるぜ?デブ猫に」
シャーッ
「うおっ、乱れ引っ掻きはやめろってイテェよマジで……」
爪で引っ掻いてくるホワイトを相手にしていると耳鳴りが激しくなり頭を抱える…そしてその感覚には覚えがあった。
「嘘だろ……もうバレたのか?」
「もう一つ重要な事を教えてあげるわ…スタンドを使える人達って惹かれ合うそうよ」
陽一が振り向くと、窓から『皇帝』を手に持った女の子、篝が不敵な笑みを浮かべて其処に居た。
どうも、霞大福です。
第2話でございます。
主人公の使うスタンドよりも敵のスタンドが先に現れるというハードラックです。
今回はちょっとした説明だけで終わらせたので本当の戦いはこれからです。(終わるフラグじゃないです。
それでは第3話で会いましょう。