荻野陽一のS.H.I.Tな毎日   作:霞大福

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第3話「魂を掻き鳴らせ」

「見つけたわよ…あんな目に遭わせたのに呑気に夕食を食べようだなんて割りといい根性してるじゃない…」

 

篝は窓に腰がけ可愛げのある顔立ちからは想像もつかない程の鋭い目付きで陽一を睨む。

 

「どうやってここまで来やがった?」

「どうやってですって?結構簡単だったわよ…微弱であるとはいえスタンドの生命エネルギーの波を感じたもの…それにしても貴方のスタンドがまさか『卵』なんて…まだ完全に覚醒していないのか……それともこの『卵』そのものがスタンドなのかしら?」

「俺が聞きてぇよ…こいつが何かした事なんてないしピクリとも動かねぇ、それどころか俺はこいつのせいで耳鳴りに悩まされてんだ!まぁこいつがやってるっていう確証はねぇしその耳鳴りに違和感を感じたから君に気付けたんだけどな」

 

いつもの陽一ならそんな能力が自分にあると知ればメルヘンだぁー!ファンタジーだぁー!!とはしゃぐのだが今回はそんな事を言っている暇は無かった。

 

「耳鳴り…音を操るスタンドかしら?まぁそれはそれとして…今度こそ、一緒に来てもらうわよ」

「ぶっちゃけ嫌なんだが…というか組織とかの説明をしてくれよ」

「それは組織のアジトに来てから話すわ…スカウトとは言うけれど使えない奴だと困るからちゃんと試験をしなきゃいけないのよ…その試験に合格しないと組織の事は話せないわ」

「なるほどね…使えねーかも知れねぇ奴に秘密を明かす訳にはいかねぇってか」

「察しが良いわね…つまりそういう事、因みに試験は『もう始まっている』わ…どうせまた逃げようとか考えてるでしょうけど…ここ、貴方の家よね?ならここがバレたら貴方もう逃げ場無いわよね?それはつまりガメオベラ…GAME OVERって事じゃアないかしら?」

「S.H.I.T…」

 

陽一はこの話の中でずっと思考を巡らせていた…どうやってこの状況を打破するかと。

 

「色々と聞きてぇ事があるけどよ…とりあえずその試験っての終わらせないとって事だよな?」

「そうね、腹は括ったかしら?」

「上等だ…やってやるぜ……ってなんだア! ?」

 

覚悟は決めた…ならあとはやるだけやってやる…そう考えていると今までピクリとも動かなかった『卵』が震え出す。

 

「た、『卵』が割れる! ?」

「くっ、覚醒していなかったというの…?それとも進化…?」

 

注目を集める中、『卵』は割れ、中から蜥蜴のような不定形の生物が現れる。

 

ギャアース!

 

「………………」

「…なんか小ちゃいわね」

「言わないでくれよ…」

 

正直言ってそんなに強そうには見えなかった。

 

「だがこれがスタンドっていうならッ!」

「そんな貧弱そうなスタンドで挑むつもり?この私の『皇帝』に!」

 

だがこの小さな蜥蜴みたいなものがスタンドならばこのS.H.I.Tな状態から抜け出せると思った陽一は構え、それを見た篝も『皇帝』を向ける。

 

「だがその前に…この回鍋肉冷めちまうから食べちまっていい?」

「……さっさと食べちゃってよ」

「うオぉん、俺はまるで人間…」

「早く食べて」

「はい」

うにゃあ

 

 

 

回鍋肉とご飯を食べ食器を片付けをしている最中、陽一は冷静にどうするか考えていた。

 

「(……正直言ってこの家までバレた状態で逃げるのは不可能、力づくで帰そうにもあの『皇帝』とかいう銃はヤバい…どうにかするにはこいつ…さっきご飯食べながら名付けた俺のスタンド、『エコーズ』を使う必要があるんだが…)」

 

そこまで考えて陽一は溜め息をつく。

 

「(どうする?どう贔屓目に見てもこいつはあの『皇帝』の様に凄い攻撃が出来そうに見えない…だが、こいつは面白い能力がある……突破口があるとすればそこか)」

 

片付けが終わり改めてエコーズと共に篝の前に立ち、篝もそれを見て『皇帝』を陽一に向ける。

 

「食事も終わったわね?なら試験を続けるわ」

「なぁ、その試験の内容とかは知らないけどよぉ…合格したり不合格になったりしたらどうなるんだよ?」

 

篝が引き金を引こうとするのを陽一は遮る…彼からしたら最低限それだけは知っておきたかったのだ。

 

「合格なら予定通り一緒に来てもらう…不合格なら……最悪死ぬけど、まぁそのつもりでね」

「うへぇ……」

「本当なら貴方をアジトに連れて行ってから試験をしようと思ったのだけどその貴方が逃げるのだもの…だからここで試験を行い貴方が組織にとって有用かどうか……試させて貰うわ!」

 

少し予想出来ていた返答に思わず溜息が漏れ出るが、陽一からしたら今はそんな事を言っている場合ではなかった。

 

「ホワイト!留守番しっかりな!」

にゃー

「なっ…また逃げるつもr…わぶっ! ?」

 

陽一は篝の顔面に『エコーズ』を被せると一目散に玄関へと走り靴を履いて外に飛び出す。

 

「よっしゃ!戻れ『エコーズ』!」

「やってくれたわねェ!ブチ抜いてあげる!SHO…

「良いのかよ?そんな事してて…服が燃えてるぜ?」

「え…?何かが燃えている音が……まさか!」

 

篝は怒りで顔を赤くさせながら『皇帝』を構え銃弾を撃とうとするが陽一の言葉で『何かが燃える音』が自身の服から聞こえるのに気付く。

 

「あの時張り付いた時に…! ?まさか非力そうなあのスタンドにそんな力があるだなんて………あれ?」

 

急いで自分の服を燃やしている火元を探すがそんなものは何処を探しても見当たらない…篝はそれで察する……ハッタリだったと。

 

「この卑怯者めぇ!!」

「卑怯もラッキョウもねぇよ!」

 

篝はその後も陽一を追い続けるが音によるハッタリのせいで上手くいかず、結果陽一を追い詰めたのは夜中の11時だった。

 

 

 

日は沈み、月と星と街灯が僅かに照らす町外れの空き地に陽一達は居た。

 

「やっと追い詰めたわよ…覚悟しなさい」

「あぁいいぜ、今度こそ俺も腹を括った」

「それもハッタリじゃない事を祈るわ…行くわよ『皇帝』!!」

「いつでもどうぞ!やろうぜ『エコーズ』!!」

 

篝は『皇帝』を構え、陽一も『エコーズ』を呼び出す。

 

「喰らいなさい!SHOT ! !」

「やっぱ来るか…とりあえず走る!」

 

篝が引き金を引こうとしたのを見て陽一は光に照らされていない暗い所に走る。

 

「私の『皇帝』は百発百中だって言ったでしょうこのトーシロッ!!」

「じゃあ当ててみろよ!この街灯に照らされていないくら〜い所に居る俺によォ!」

「ッ!?」

 

篝はそのまま発砲し走る陽一の方に曲がり飛んで行く…だが暗い所では陽一の姿がよく見えず、結果弾を外してしまう。

 

「……成る程、やはり頭は良く回るみたいね…私の『皇帝』の特性と弱点、見抜いていたって事ね」

「まぁな…サイダーぶっかけた直後、その前まであんなに正確に俺の方へと飛んで来ていた弾が変な方に飛んでしかも電柱に当たった…その追尾する弾、もしかして撃った弾を自分でコントロールしなきゃいけねぇんじゃねぇの?それに遠くに逃げても撃って弾曲げて当てればいいだけなのに撃たなかったって事は思ったより射程は長くない…違うか?」

「ただのトーシロじゃないわね…確かに『皇帝』は弾もスタンドだから射程距離から離れると威力がなくなってしまう事と、私の視界から外れると制御が効かなくなるという欠点がある…けれどそれは私の視界にさえ入っていれば大抵はどうにでもなるのよ…こんな風にね!」

 

陽一に『皇帝』の欠点を見抜かれても篝は冷静だった…この時点で彼女は陽一を目で探すのをやめ、走る足音で場所と距離を掴み『皇帝』で射撃する!

 

「こうなったら何処に行っても無駄よ!この私の『皇帝』の弾頭が貴方を何処までも追い詰め__

 

『皇帝』の銃弾は空中を飛び回り暗闇を駆ける陽一の元へと飛んで行く…だが途中で篝は違和感に気付く…足音のリズムが一定過ぎる…足『音』?確か彼のスタンドには音を操る力が__

 

「やっぱり、『音に頼ったな』…」

「なっ…… !?」

 

気付いた時には陽一と『エコーズ』のボディブローが篝の腹に叩き込まれていた。

 




ここ最近台風がヤバいですね。
皆さんも台風の日の出勤とか帰宅には十分ご注意を(台風の中帰宅して酷い目に遭った人

やっと孵化作業が終わったみたいです。
最後はエコーズも殴ってますが原作でもエコーズはACT1でも殴る事ぐらいなら可能です。

ですけどACT3まではラッシュはお預けですね…こんなのが主人公でええのかと今更ながら思う筆者です。

それでは次の話でお会いしましょう。
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