人々の泣き声はもう聞こえない。
燃える身体で全てが焼かれ、街は見るも無惨な光景へと。
何も今までと変わらない。
人間という者は総じて愚かだ。
私という存在が生まれ、そしてこの光景に近しくもあるのを何度も。
神でも救いようのない欲望の権化は己のために人を犠牲にする。
そんな者に価値など果してあるのだろうかと。
太陽を隠すように空は赤黒く、何かが垂れ流されている。
それは人々の願い。
己の願いが具現化し、そして反転された呪いの願望。
「Break」
私に触れようと、干渉しようとする呪いを破壊。
魔力の篭った言霊は、
「・・・」
何も変わらない。
ただ無実で、罪を侵していない人間に憐れみを感じた。
人間ではない私にとって、それは羨ましくもあった。
人としての生はいったいどのようなものなのだろうと。
冬木の大災害は、尋常ではない被害を生み出して幕を閉じた。
私という存在がいるだけで世界はどんどん変わっていく。
同じ時間でも数千、数億という並行世界が存在し稼動をする。
大昔、私を慕ってくれたあの子が亡くなってからもう何も感じなくなっていた。
ただ生きて存在するということだけしかしていない。
感情が抜け落ちてしまったのか、表情も分からない。
「ん・・・」
冬木の町はなんとなく好きだ。
他の場所よりも居心地がよかった。
今この時にいなくなってしまったあの子もいれば。
私はどんなに幸せだったのだろうか。
最早私に幸福という感情も、無いのだろう。
その現実を突き付けるような悪魔の契約を私に迫る世界なんて壊れてしまえと思えてしまう。
それでも、あの子が生きた証があるのなら。
大昔だろうとこの世界にあの子の話があるのなら構わない。
所詮は神話の話。
それでも、私は壊そうと願いはしない。
いつか逢えるのだから。
「ん・・・?」
いつものように過ごす日常は恐らくこの日から崩れていた。
魔力の収束を確認。
集う魔力量、観測、計測、予測・・・演算完了。
「聖杯・・・か」
今日のこの日は恐らく魔術師とかいう人間が行う儀式の日の始まりなのだろう。
数えれる家から魔力を感じる。
中には膨大な魔力を持っているものがいる。
少し、動いてみよう。
右足で三角を描き、その中心を軽く踵で叩く。
魔術師がやっていた術を見よう見まねで真似した物が私だけが扱える
私自身がこの身に宿す能力があるからこそ出来る芸当であり、この能力のせいでこんなつまらない世界を生きないといけない。
「よっ・・・っと」
先程私がやったのは脚力の強化。
それに加えて私という存在を感じにくくする。
存在を感じ取りにくいので気配で感じ取っている相手からはほとんど気づかれることはない。
「・・・ん」
まだ行動を起こす訳じゃなさそうだった。
それでも今日、何かが起きる。
それだけは分かった。
今日の夜。
時間なんてあまり気にはしなかったが、月の光りは綺麗に照らす。
私をも照らされ、長らく気にしなかった長い髪が月光により輝く。
白銀色の私の髪はそれはもう月光でよく反射する。
「・・・これ、は」
この世界に、この星に宿る地脈。
魔力が集う大本山へのアクセスを確認。
聖杯と呼ばれし黄金の杯。
ありとあらゆる願いを叶える万能の願望器には地脈をも扱わなければ顕現出来ないのか。
「ふふ・・・」
ならば、私が自らそれを操作しよう。
醜い私の願いを。
叶えろ、聖杯。
「
従来の世界線では有り得ない事を今、私が自ら起こそう。
聖杯に仕組まれた全てを把握。
聖杯という物が存在できる物を鑑定・・・想像・・・理解・・・再現・・・演算・・・。
その全ての必要な情報を集め、そして干渉する。
「・・・こんな、方法・・・怒られちゃう、かな」
全てはあの子に会うために。
そのチャンスを逃さないように、願う。
だから・・・もう一度・・・。
もう一度だけ、見苦しいかもしれないけれど。
会いたいんです。
fateシリーズをやってみた結果です。
確実にここはおかしいだろうという内容がありますが、作者が理解できなかったので諦めてます。
そんなのでよければこれからも読んでくださると有り難いです。