双頭の骸、虚圏に立つ   作:ハンバーグ男爵

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ハイ久々の投稿〜。モチベはあるけど指が動かないの、書き物あるあるだと思う。

BLEACHのSSもっと増えてもええんやで?


キャラ改変あるから注意な









十一話 豹に罰を、骸に子を、巨悪には笑顔を

「分かった?藍染君に会ったらさっき言ったようにするんだよ?」

 

「ウッセーなあ分かってらァ。

素直に謝ってやるよ!」

 

虚夜宮の廊下を早足で歩く顰めっ面のグリムジョー、その後ろを追いかける私。

呼び出しの理由は勿論、コイツがやらかした現世への無断侵攻、それから破面五体の敗死、その責任を取らされるんだろう。じゃなきゃこっちに帰ってきた途端半ギレの東仙統括官から連絡が飛んでくる筈がない。

 

指定された部屋に行くと、穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めたDJ要と、すっげえ高い位置にある玉座に座った藍染君がお出迎えしてくれた。

 

藍染君なんでそんな無駄に高い椅子に座ってんの?

 

「漸く来たかグリムジョー…

どうした、謝罪の言葉があるだろう。」

 

「…別に。」

 

おうコラてめー、さっきあれ程言ったばっかだろがい。

 

「貴様…」

 

まーまー激昂トーセン落ち着いてー。破面は失ったけど、グリムジョーはこうして無事な訳だし?結果オーライなのでは?

 

「貴様も甘いぞジェーン・ドゥ、あと誰が激昂トーセンだ!

調和を乱す者は必ず不義となる、早々に処断せねば取り返しのつかない事態に「いいんだ、要。」藍染様!?」

 

「私は何も怒ってなどいないよ。

グリムジョーの今回の行動は、御し難い程の忠誠心の現れだと私は思っているんだ。

…違うかい?」

 

「……そうです。」

 

白々しいにも程があるゾ

 

あ、我慢出来なくなった激昂トーセンがグリムジョーの襟掴んだ。

あーやばいやばい柄に手ぇ掛けてるよ。いや調和を乱す者は許さないって、それだと私は何回アンタに処刑されてんのさ。

 

「お前自覚あったんだな…

大義無き正義は殺戮に過ぎない、だが大義の下の殺戮は…正義だッ!!」

 

音もなく抜かれた東仙の斬魄刀がグリムジョーの左肩を捉え、綺麗に()()()()()

 

「何っ…!?ジェーン貴様!」

 

こんなこともあろうかとね、グリムジョーに明鏡止水張っといたの。他人にも張れるって最近気付いたんだよねコレ。

 

「ジェーン…」

 

藍染君も、ちょっと悪ふざけが過ぎるんじゃない?部下で弄ぶのも大概にしなよ。

 

「貴様、藍染様を愚弄するk「黙っててDJ、その髪アフロにすんぞ。」で…DJ…」

 

なんかすっげえ落ち込んだ東仙はほっといて、藍染君に向き直る。

 

たかがギリアンの破面が五体死んだくらいで騒ぐ必要も無いでしょ、どうせ藍染君、なんとも思っちゃないんだから。

 

「…………」

 

それに、独断先行の方でグリムジョーに制裁が必要なら私がやるよ。

 

「…そうだね、ならグリムジョーへの罰は君に任せよう、ジェーン。

私からはこれ以上言う事は無い。」

 

はい言質取った。

Hey DJ!……は、未だに床に手ぇ突いて落ち込んでるし、ほっといていいか。

 

ねえグリムジョー

 

「…あんだよ。」

 

マカロン、好きかい?

 

にっこり笑うとグリムジョーの顔がちょっと引き吊った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

なんともいえない重苦しい空気が、部屋を包む。

松本が間借りした井上織姫の部屋には、弓親、一角、阿散井、一護、ルキア、そして俺と家主である井上が居た。

俺が招集を掛けたのだ。

 

俺達が現世に派遣されたその夜に現れた六体の破面、十二番隊の報告によると、黒崎と戦った一体を除きアイツらは全員ギリアン相当の破面だそうだ。

途中で限定解除申請が降りたから何とかなったものの、ギリアンであの強さ…藍染は想像以上にヤバい連中を従えている。

 

 

 

「なあ、冬獅郎…」

 

「オレもお前に質問しようと思ってたところだ、黒崎。

お前、何と戦ってた?」

 

最後に感じたあの霊圧。

心臓を握り潰されたような錯覚に陥った。身体が軋んで悲鳴をあげながら、全力で「此処から逃げろ」と叫んでいた。

一生分の絶望と恐怖が纏めて襲ってきたような、そんな圧倒的な霊圧。

そんな爆弾が一瞬でも炸裂して、周りの一般人や魂魄に被害が無かったなんて冗談みたいだ。

 

「俺が戦ってたのはグリムジョーって奴だ。

♯6(セスタ)って言ってやがった…」

 

6番…!

あのシャウロンとかいう奴が言っていたな。1〜10の数字が入った破面は『十刃』と呼ばれ、手強い破面の中でも特に殺戮能力に優れている連中だと。

 

暗い表情のまま、黒崎は続けた。

 

「途中まで斬り結んで、グリムジョーが刀を抜こうとした瞬間に、現れたんだ。

ベージュの色した長髪の女だった。前に藍染を逃がした時、虚が居た穴の向こうに居た奴だ。

そいつがグリムジョーを止めた。」

 

!?!?!?

 

「黒崎、そいつはなんて名乗ってた!?」

 

「……第5十刃(クイントエスパーダ)ジェーン・ドゥ。」

 

戦慄が走る、身体中から冷や汗が止まらない。

間違いない、山本総隊長の言ってたアレだ。

《始祖の虚》、奴が空座町に現れたんだ。それで、あの霊圧を放った。

 

「なんだよ冬獅郎、急に目の色変えて。あの女について何か知ってんのか?」

 

「……ああ。黒崎、それから松本達にも話しておく。

昔の話だが、嘗て尸魂界を半壊に追いやった虚が居た。そいつは《始祖の虚》と呼ばれていて、一晩で2万の魂魄を喰らい、16の街を破壊して、一時期世界バランスを大きく揺るがしたらしい。」

 

「そりゃあ物騒な話ですけど、どうしたんですか急に。」

 

「いいから聞け。前回の隊首会で爺さんに呼び出された時、唐突にその話をされたんだ。

そんな馬鹿みたいな噂話をあの真面目な総隊長がわざわざ隊長全員を呼び出してするわけねえ。

オレも半信半疑だったが、昨晩感じた謎の霊圧で得心がいった。」

 

始祖の虚は確かに居る。

そしてそいつは破面になって藍染の下で動いている。

 

俺の放った一言に、松本達はキョトンとしている。コイツら話分かってねえな…

 

「お前達、一護の所に来る前、異常な霊圧を感じただろ。」

 

「た、確かに感じました…けど。」

 

「ただ霊圧が強いだけなら俺がここまで話す事はねえ。だが、奴から放たれる霊圧は、強さもそうだが質が異常だ。

そして何より、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そんな相手がマトモな破面の筈がねえんだよ。

あの感覚をよく覚えとけ。黒崎の話を聞く限り、今回奴はそのグリムジョーって破面を連れ戻しに来ただけで、敵意は無かった。だが…次に奴が俺達を害する目的で此処に現れたら…覚悟を決めろ。」

 

ごくりと皆が唾を鳴らす。

十一番隊の二人は興味深そうに頷いていた、流石戦闘集団は違うな。

取り敢えず、爺さんに報告か。そんで、どうせどっかで監視してるであろう十二番隊と涅にも一報入れねえとな。

 

……始祖の虚、一体どれだけの化け物なんだ?

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「うぉぉおおおおお止めろオオオオッッ!!

追い掛けてくんなアアアアアアアアッッ」

 

「なんで逃げるのグリムジョー!

私はただ…試作品の味見をして欲しいだけなのにい!」

 

「両手に山盛り色とりどりのマカロン皿に乗せて追い掛けてくるからだ!

そんなに食えるか!」

 

「味は保証済みだよ!ちょっと作り過ぎただけ!」

 

「お前の作り過ぎはスケールが違うんだよ!

胃袋破裂するわ!」

 

「香料無添加、着色剤不使用、栄養満点でしかも美味しいんだよ!?」

 

「何故無駄に健康志向!?

つうか絵面が怖えんだよ!なんで両手にマンホールみてえなデカい大皿へ山ほどマカロン乗せたうえで響転使って追いかけてきてんのに皿全く揺れてねえしマカロン1つも落とさねえんだよ、不気味過ぎるわ!」

 

「ええい往生際が悪い、逃げんな!

先生!先生お願いします!」

 

「任せなさい…鎮まれ、呪眼僧伽(ブルへリア)。」

 

「ぐおっ!?脚が!?

てめぇゾマリ!お前も敵か!」

 

「全ては藍染様の御為、大人しく罰を受けなさいグリムジョー。」

 

「藍染の野郎、ゾマリに何を吹き込みやがったアアアアア!」

 

「つ〜か~ま〜え〜た(はぁと)

協力ありがとうゾマリ先生、キミの働きにきっと藍染君も喜んでるよ!」

 

「当然です、私の響転は全十刃中最速ですから(関係無い)。」

 

「クソっ!巫山戯んじゃねぇ!俺は絶対に『口を開けなさい』あがっ!?」

 

「はーい先生そのままそのまま。

さあグリムジョー君、もぐもぐしましょうね〜。お代わりは幾らでもあるから〜(漆黒微笑)」

 

 

「ひゃめろ…ひゃめ…あ…ああ……」

 

 

 

 

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙……

 

 

 

 

 

 

 

「なんや?どっかで絹を割くようなグリムジョーの悲鳴が…」

 

「気のせいじゃ…ッ無いかな……ッッ…ククッ…」

 

「えー…悪い人やなあ、藍染隊長。」

 

「DJ…なんとか払拭しなければ…」

 

「東仙隊長?早まった真似は止めよな?

なんで白粉(おしろい)片手にわなわな震えてるん?怖いよ?」

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

「ジェーン、少し付き合ってくれるかい?」

 

 

前回のグリムジョー現世襲撃事件から1ヶ月ほど経ったある日、突然藍染君からお誘いを受けた。

 

だ、ダメだよ藍染君。こんな昼間から逢引だなんて…私にはダーリンが…

 

「ふむ、いつも通りだね。

実は君に頼みたい事があるんだが…」

 

おい、スルーか。

そういう事されると泣くぞ私、虚圏が悲しみの(虚閃)で沈むぞ。

 

「少し、実験に付き合って貰おうと思ってね。他の破面達も呼んである、じきに皆集まるだろう。」

 

藍染君曰く、手に入れた崩玉を使って新しい破面を創造してみるらしい。

『願いが何でも叶う』ってのが崩玉の大雑把な内容らしいけど、まさか破面まで作れるとは…

でも、それを行う為には死神世界で言う『隊長格』の倍は霊圧を注ぎ込まないといけないらしい。本当は藍染君がそれをやって、ある死神に対するメタ破面を作ろうとしてたらしいんだけど、私が居るからって理由と、破面に崩玉を使わせたらどうなるかも実験したいみたい。そんで私で実験を行うそうな。

私ゃモルモットですかそうですか。

 

ところで『ある死神』って誰?あのおじいちゃん?あああの人…なに?どれ位で殺せそうか?ん〜…ちょっとは手こずるかもだけど、5分あれば殺せると思うよ?

そう答えたら藍染君は「そうかい」とにっこり笑って実験の準備を始めだした。なんじゃそりゃ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

場所は変わって、此処は実験室。

藍染君が崩玉を保管してる場所だ。今私の目の前には崩玉と、ガラスの箱に閉じ込められた人間大の人形みたいなのが置いてある。これが新しい破面を作る素体なんだって。見た目キモイなこれ。

 

何処から情報が漏れたのか、十刃も集まって来て、ウルキオラとヤミー以外は実験室へやって来ていた。意外なのはこういうの興味無さそうなダーリンが来てる事だね。

 

「珍しい物が見られると♯1(プリメーラ)の小僧に急かされてな。」

 

「リリネットが連れていけってうるさかったんだよ…」

 

もしかしてリリネット、私の事気遣ってダーリン連れて来るようスタークに言ったの?なんだ、今日もあの子は天使だった。帰ったらうんと甘やかしてあげよう。

 

つーかザエルアポロ、最近見ないと思ったら随分やつれてんね。どったの?

 

「少し試したい事があってラボに篭っていてね…

それと貴様が開発しろと言った装置を作っていたんだよ忘れたか!」

 

あ、そういやそんな話してたわ。ごめーんグリムジョーの件で色々やったから忘れてた、HAHAHA!

 

「こ の お ん な は…!!」

 

まっ、ザエルアポロは変態だけど腕は確かだから、そのへんは信用してる。きっと私の要望通りのオシオキ装置を作ってくれるだろう。変態だけど。

 

 

 

 

なんて話していたらウルキオラとヤミーが入って来た、これで十刃全員集合だ。

 

「では始めよう、ジェーン。

同調するタイミングは君に任せる、成功を期待しているよ。」

 

おいなんだその不吉な台詞、まるで失敗フラグ立ったみたいじゃないか。

 

確か『どんな破面にしたいかイメージしながら霊圧を込める』のがポイントだって藍染君言ってたな…好きに創れるなら、勿論私好みの可愛らしい女の子破面がいい。

なんて考えながら崩玉に手を近づけると、丸い崩玉からにゅって触手みたいなのが伸びてきて私の指にまとわりついて来た。キモイ。

えっなにこれ大丈夫?本当に大丈夫!?薄い本みたいな展開になるんじゃないの!?

ちょっと不安になって藍染君の方をチラッと見た。相変わらずいい笑顔、後で殴ろう。

 

「いい調子で霊圧が注ぎ込まれているね、その調子だ。」

 

ヤローこっちの気も知らないで…

 

…あ、やべ…くしゃみ出そ…は……ふぁ……

 

 

ぶぇっくしょいっ!

 

 

 

キュイイイイッ

 

思わずくしゃみしてしまったら、崩玉が不自然に輝き出した。

ヤバイヤバイ、力加減間違えた!?

 

すると音を立てながらガラスの箱がバラバラに砕け散って、中から破面が顔を出す。髪は綺麗な金髪で、頭にティアラみたいな仮面が付いていて、頬のそばかすが微かに目立つ女の子の破面、そんでもって…全裸だ。

 

 

ハリベェルッ!!

 

 

「む、理解した。」

 

私の意図をいち早く読み取ったハリベルが素早くローブを響転で持ってきて彼女に掛けてくれた。有能。

つーか全裸になるのどうにからなんのかコレ、なんて藍染君に言ってもどうせ無駄なので賢い私は黙ってます、ハイ。

 

「……う……ぁ…」

 

まだ上手く喋れないようで、ローブにくるまって呻いてる。

霊圧は…私程はないけど、そこらの野良虚とは比べ物にならない量だ。流石私のチカラで生まれた子。

だんだんと息も整って来たみたいなので、改めて名前を聞いてみる。

 

「ワンダーワイス…

ワンダーワイス・マルジェラ……です…」

 

たどたどしい口調だったけど、彼女はそう答えた。

 

「ふむ、成功のようだね。」

 

藍染君ご満悦、他の十刃達も興味津々って感じ。はいそこザエルアポロ、いやらしい目で見ないの「酷い誤解だ!!」。

なんせこの子は虚が進化して産まれた破面じゃない、私の霊圧を使ってゼロから産まれた人造破面だ。

……ん?私の霊圧を使って産まれた…という事は、この子は間接的に私の娘になるのでは!?

 

ダーリン!ダーリンちょっと!

 

「なんじゃア。」

 

認知して?

 

「………………oh.....」

 

 

▶ダーリンは 頭を 抱えてしまった!

 

 






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