双頭の骸、虚圏に立つ   作:ハンバーグ男爵

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あけましておめでとうございます(白目)

いや何さ…色々あったんや…

おじさんは悪うない!労働者に優しくない社会が悪いんや!だから辞めてやった!私は自由!
( ゚∀゚)フハハハハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

とまあ、のっぴきならないリアル事情があったため投稿が遅れたゾ(鼻ホジ)。あ、ハンバーグ男爵は今日も元気です。
オバロとヒロアカのSSで英気を養わないと危なかった…ヒロアカの原作買って書きたくなっちゃうじゃないの。ふたにゃんほんとすこ。

戦闘シーン書き直しまくってわけわかめなんで、変なとこあったら許せトキ。
バチカン市国の国土面積くらい寛大な心で閲覧して、どうぞ。






二十二話 開幕、登場、蹂躙

「あれ…なんだ……?」

 

 

ボソリと、誰が言ったかは分からない。

 

空座町の空が裂ける

 

青空を引き裂いて、口を開く様にぽっかり空いた空間から、巨大な影が現れた。

それを見て、炎の牢獄に囚われた黒幕、藍染惣右介は静かに口元を吊り上げた。

 

「…やあ、待っていたよ。」

 

シルエットしか見えなかった影が晴れ、その姿が顕になる。

まるで平たい団子を幾つも重ね合わせたような、ぶくぶくと太った異質な虚。崩玉により創られた際、「鏡餅みたいやね。」とは市丸の言だ。

だが、藍染はそちらに声を掛けた訳では無い。

 

その横、1匹佇む大虚の頭に腰掛ける友人が、ベージュの髪を揺らしながら微笑んだ。

 

「お・ま・た・せ、藍染君。

いやぁごめんね連絡無視してて。ちょーっと準備運動に熱中し過ぎたよ。」

 

「構わないよ、これから存分に働いて貰うんだからね。」

 

「わーい私ってば社畜ゥ~。」

 

「早速で悪いんやけど、この炎どーにかしてくれん?熱うてのぼせてまうよ。」

 

「はいはい、フーラーやっちゃって。」

 

ジェーンの意図を汲み取ったフーラーは大きく息を吸い、藍染を囲む炎に向けて息を吹き掛けた。煉獄の檻はいとも簡単に吹き消され、死神達は驚愕している。

理由は簡単だ。『総隊長の技を無力化した。』これだけで彼らの警戒心は最大レベルまで引き上がる。

 

「いやあ助かったわ、ありがとなージェーンちゃん。」

 

「出ようと思えば何時でも出られたでしょうに。

なんか出発した時より人数減ってんだけど、もしかして皆殺られちゃった?もうちょい早く来れば良かったかな。それにしても…」

 

なんの気なしにそう言いながら、ジェーンは空座町を見回し、最後に一言呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと遊び過ぎじゃない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死神達の背中にぞわりと冷たいものが走る。

 

 

その呼び掛けに呼応するように氷の華が砕き割れ、No.3の褐色美女は解き放たれた。

 

大質量兵器の爆発が巻き起こす戦塵を吹払い、卍解が直撃したはずのNo.2が髑髏の頭を覗かせた。

 

帰刃したはいいが、殆どマトモに戦闘を行う気のなかったNo.1はギクッと身を震わせ溜息を吐き、漸く手に持った銃を強く握り直す。

 

 

明らかに先程とは違う雰囲気を纏う3人の十刃達に対面する各隊長に緊張が走った。まだ終わりではない、ここからが本番だと。

 

 

 

 

「いい鼓舞だ、流石だね。」

 

「この調子なら私要らないよね、帰って寝てていい?」

 

「いやいや、仕事してえな。」

 

「えー。」

 

相変わらず表情の読めない笑い方をする市丸と無駄話を続けるジェーン。そんな2人を見つめながら、藍染は余裕たっぷりの笑みで死神達を見下ろす。

 

「役者は揃った。さあ、始めよう。」

 

宣言と共に、フーラーが口を開き、真っ黒な液体が空を汚す。広がった黒い泥は蠢いて、やがて大量の大虚となった。

 

ベチャベチャと汚い音を立てながら、空いっぱいに大虚の耳障りな呻き声が響き大気を揺らす。

 

「純度100%、虚圏から新鮮な大虚を貴方にお届け♪」

 

「嫌な宅急便やね…」

 

その数ざっと50体ほど、それぞれ支柱と死神達に向かって猛然と襲い掛かる大虚達。

最早万事休すかと思われたその時現れたのは、現代服に身を包んだ謎の集団だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いね死神サン。ジェーンの嬢ちゃんが来ちまったから、手抜きが出来なくなっちまった。」

 

ポリポリ頭を掻きながら第一十刃(プリメーラ・エスパーダ)、コヨーテ・スタークは向き合う死神達に呟いた。

隊長二人相手にのらりくらりと戦ってきた彼だったが、漸く真面目に戦闘を行う気になったようだ。

 

「あらあらそりゃあ残念だ、手を抜かれたままの方が色々と都合が良かったんだがねぇ。」

 

隊長羽織の上から女物の着物を羽織る八番隊隊長、京楽春水は戦いが始まってから相も変わらず飄々としているが、スタークの雰囲気が変わったのを見逃さない。

 

(アレは覚悟を決めた漢の顔だ。浮竹、構えなよ。)

 

(お前が言うなら尚更気を張らないといけないな…!)

 

京楽と同期にして長年の友人であり、今も刃を共にする十三番隊隊長、浮竹十四郎は稀に見る真面目な京楽の忠告に身が引き締まる。

 

轟、と霊圧がスタークから吹き荒れた。

先程までの緩みきったものでは無い、獲物を見つけた獣が狩りを始める直前に放つ様な、研ぎ澄まされたもの。

霊圧のうねりは勢いを増し、逆巻くようにスタークを取り囲む。どこかに隙は無いものかと京楽は伺っていたが、どうもそのようなものは何処にもなさそうだ。

誰に言うでもなく、『孤独』を死に刻む破面は嵐の中で呟いた。

 

 

「リリネット。」

 

『…スターク。』

 

「『あいつら、やっちまおう。』」

 

 

 

群狼(ロス・ロボス)

 

 

刀剣解放第二階層(レスレクシオン・セグンダ・エターパ)

 

 

 

 

 

 

 

嵐が晴れ、解き放たれた人影は二つ。

 

1人は先程も見た、帰刃し2丁の銃を手にするスタークと。

まるでカウガールを彷彿とさせる格好をした、大人になったリリネットだった。背丈もスタークと変わらないほど伸びており、その手には彼女の身長に対し不釣り合いなほど長大なガトリング砲が握られている。

 

「やっぱ第二解放はいいなー♪︎これで私も全力で戦える!」

 

「あんまハシャギ過ぎて物壊すと後で嬢ちゃんに怒られるから、ぶっ放すのもホドホドにな。」

 

「こ、壊さねーし!余計な事言うなよスターク!」

 

「といっても、此処は偽物の街だったっけか?じゃあいいや。

…隊長サン達、待たせたな。これが正真正銘、本気の俺達だ。

十刃の第2解放を見るのは初めてかい?」

 

「まあね、多分死神(僕ら)で言う卍解みたいなものだろう?

量の同じ霊圧が二つ…その姿を作る為にお嬢ちゃんに自分の分を譲渡したって訳じゃ無さそうだ。」

 

「…察しが良くて助かるよ。

俺達の第二解放は、本来薄いリリネットの魂を確立させて、さらに器を与えて呼び出す。まあ、期間限定の召喚術みてえなもんだ。」

 

「簡単に言ってくれるねぇ…」

 

京楽が警戒心を顕にしたのは、帰刃した際のスタークと全く同じ量の霊圧をリリネットが持っている。という点だ。

リリネットへの力の譲渡ではない。

リリネットの霊圧がスタークと同じ分だけ増えた。

 

譲渡ではなく増幅

 

この破面、さらっととんでもない事をやってのけている。

 

「まあ…俺達なりに色々と試行錯誤した結果だよ。」

 

「どーだ白髪野郎、私だって戦えるぞ!

子供じゃねーぞオラァ!?」

 

(体は大きくなっても精神はそのままなのか…)

 

ガトリング砲を振り回しながらぎゃんぎゃん吠えるリリネットを、浮竹はそんな感想で眺めている。そんなリリネットを静かに窘めたスタークは第2解放により一回り程大きくなった魔銃の筒先を京楽へと向け…

 

「《黒虚閃》」

 

「「……ッッ!?」」

 

容赦なく放たれた黒い虚閃を2人はすんでのところで反応し、左右へ大きく身を翻した。

銃口から伸びた1本の線が瞬く間に膨れ上がり、掻き毟るように周囲の空間を飲み込みながら、轟音と共に眼下の街を抉り取る。

黒い波動の通った後には瓦礫すら残っていない。

 

「…ッ!?破壊力が段違いだな!」

 

「あっぶないねえ!?そんな威力有るなんて聞いてないよ!」

 

「悪ぃな、俺達にも返したい『義理』が有るし、報いたい『恩』も有るんだ。今回ばかりはダルいなんて言ってらんねーの。

リリネット!」

 

「あいさー!《無限黒虚弾(バラ・オスキュラス・メトラジェッタ)》ァッ!」

 

リリネットの持つガトリング砲から轟音と共にばら撒かれる数え切れないほどの黒い虚弾が享楽達の視界を覆い尽くし、第二ラウンド開始のゴングを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて

 

藍染君の計画は最終段階に突入した。

虚圏を陽動に使い、釣られてきた死神を幽閉した上で現世へ侵攻。

NO.1(スターク)No.2(バラガン)No.3(ハリベル)の札を切れば、残りの隊長達を全員倒せると踏んだんだろう。

だがしかし、誤算が1つ。彼が思っているよりも破面は弱かった。いや、隊長達が強かったのかな?あの三人で藍染君の合格ラインに達しているのは…多分スタークくらいのものだろう。あの変態の強さ尺度はm単位だからcmは計れないし、計る気もない。

 

虚圏も破面も藍染君にとっては只の通過点なのだから。

 

子供隊長と戦ってるハリベルの所にはさっき現れて死神達に加勢した人達がやって来てる。黒髪メガネに金髪ジャージの女二人。特に金髪の方、声が五月蝿い。もっとお淑やかにできんもんかね。

ダーリンの方にはなんか…饅頭みたいな丸い人が敵に加わったようだ。見た感じ鬼道が得意らしい。『老い』が相手じゃ意味無いだろうけど。

藍染君は藍染君で、おかっぱ野郎が突然斬りかかって来て、DJがその対応に追われてる。

 

おーい、私も手ぇ貸そっかー?

 

「問題無い、ジェーンはそのまま自由にしてくれていいよ。」

 

アッハイ。

 

我らがボスは相変わらず腹立つくらい余裕の表情だぜ。フォローしなきゃいけない私の身にもなれ。短剣で背中刺されろ(ボソッ)。

命令通り追加の大虚をデリバリーした私だが、さっきの仮面集団に殆どやられちゃったので暇。じゃあお言葉に甘えて、大虚ちゃんの頭の上で昼寝でもしようかな。この子の頭、ぶにょぶにょしてて落ち着くからお気に入りなのだ。

あ''〜破面をダメにするクッションなんじゃ^〜。

 

 

「うりゃーッ!!」

 

 

なんて掛け声が響いた直後、私の隣に居たフーラーの身体が水風船みたいに弾け飛んで、残骸の中から仮面付けたヒーロースーツみたいなのを着てる女の子が飛び出してきた。

 

なんだよう、私の安眠を邪魔するなよう。

 

「わっ、きれーなおねーさんだ!

けんせー!この人が破面ー?」

 

「1回戻って来い馬鹿!そいつが敵だよ!」

 

タンクトップのお兄さんが叫んで、フーラーを殺した女の子が飛び去っていく。

どうも私も敵に目をつけられてしまったらしい。しょうがないから大事な大虚(クッション)を黒腔で送り返し、彼らに向き合う事にした。

星型頭のグラサン、不健康そうな肌した金髪、それからタンクトップとヒーロースーツの計四人。

 

…すっげえキャラが濃い。

 

初めまして、知らない誰か。

私は第5十刃、ジェーン・ドゥ。宜しくね。

 

「あたしは久南白!こっちがバカのけんせーで、グラサンはラブ。顔色悪いのはローズだよ!」

 

へえそうなんだ、宜しくね白ちゃん。

ちゃんと挨拶が出来て偉いね、飴ちゃんあげよう。

 

「わーいやったー!」

 

「秒で懐柔されてない?」

 

「アイツにファーストコンタクト任せた拳西が悪いだろ。」

 

「デカブツ蹴り飛ばすっつった白が勝手に接触したんだろ。俺は悪くねェ。」

 

なんだこの色物集団、面白過ぎるだろ。DJ東仙が霞んでしまうな…

仮面の軍勢(ヴァイザード)だっけか。前に藍染君が言ってたな。

虚化の実験に使われた可哀想な死神達。死んだって藍染君は言ってたけど、現世に身を潜めてたんだね。

 

ともあれ。仕事を任された以上、流れ的に彼等が私の相手という事になる。

余裕綽々の我らが藍染サマは「指名した奴以外は半殺しでOK」と仰ってましたのでそれに従って、虚になりかけの半端者達だから乗り気でないけど仕方ない。

 

『明鏡止水』を解除、警戒されないよう霊圧を極力抑えながら彼らと同じ高さまで降りて空中に立つ。

 

 

「随分とのんびり屋さんな破面だな。

仕掛けて来ねえのか。」

 

私をそこらの野良虚と一緒にしないでよね、星型アフロマン。

品性が服を着て歩いてる様な私ですよ?突然襲い掛かるとか獣ですかってーの。

 

そもそも、子供相手に問答無用なんてド畜生じゃん?

 

「子供ね…」

 

え、違うの?

たかだか数百年、虚化してから百年ちょっとの死神なんて子供と同じじゃん。

 

「子供扱いとかひどっ!」

 

「お前は黙ってろ馬鹿。」

 

「不思議な破面だ。

彼女は歪ながら調和のリズムを刻んでいるよ。」

 

おっおう、そうだね…

 

「ローズの言い回しは破面でも困惑するんだな…」

 

まあ、ちょっと良く分からないお兄さんは置いといて。

本命が出てくるまで、君達で時間潰そっか!

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

「打ち砕け、《天狗丸》ッ!!」

 

解号と共に、身の丈5倍はある程の大きさをした金棒を担ぎ飛び出してきたのは『仮面の軍勢』の1人、愛川羅武だ。ジェーンへ力いっぱい金棒を叩きつける。重い音が響き、手応えを確認したラブが舌打ちを1つ吐いた。

巨大で鈍重な刺付きの金棒、並の破面なら掠っただけで即死ものの一撃。

 

ジェーンはそれを片手で受け止めている。

 

当然ながらその腕に傷一つ付いていない。彼女の鋼皮強度はそこらの破面とは一線を画しているのだから。

 

「見た目の割に結構軽いね、その金棒。」

 

「そりゃ悪かった、じゃあもっと強く打つよ。ちっと熱いかもだがなアッ!!」

 

不敵に笑うラブの顔面を鬼の面を思わせる仮面が覆い隠す。途端、彼の霊圧が膨れ上がり、天狗丸の刀身が炎に包まれた。

 

「《火吹きの小槌》ッ!!」

 

まるでジェットエンジンでも取り付けられたかのように急加速し、熱せられた鉄の塊が受け止めたジェーンごと押し飛ばし、声を上げる暇もなく直線状にあったビルまで叩き付ける。

激突の衝撃でビルの壁はクレーターの様な凹みが生まれ、ガラスは全て粉々に割れ散った。

 

「ローズ、立て直す隙を与えるな!」

 

「オール、ライッ!!」

 

奏でろ、《金沙羅》

 

ラブの叫びに呼応する様に、金髪の指揮者じみた格好をした男、鳳橋楼十郎の抜いた刃がムチのようにしなり、そのまま伸びてジェーンをビルごと縛り付けた。

 

「金沙羅奏曲第十一番、『十六夜薔薇』。」

 

金沙羅から伝わる振動ががんじがらめにされたジェーンまで届き、続く大爆発が大気を揺らす。虚化したローズの虚閃は金沙羅を伝い、蓮の葉状に開いた先端部分より至近距離から円形に炸裂させ、爆発でビルは半ばからポッキリと折れそのまま倒壊しジェーンごと下敷きにしてしまった。

激しい土煙が舞い上がり、視界が悪くなる。崩れていく建物を仮面越しに眺めながら、ラブは溜息を吐いた。

 

「なあ拳西。あの破面、五番だったよな。

他の連中が戦ってる奴らより数字は下のハズだ。なんでそいつが今更現れた?」

 

「浦原が言ってたろ、昔噂になってた『始祖』の事。

藍染がこのタイミングで現世(こっち)に投入したって事は、あの五番が隠し球だったんだろ。」

 

「その割には彼女、随分と簡単に吹き飛んでくれたね。…だが、リズムは途切れていないようだ。」

 

 

轟ッ

 

 

音を突き破って、コンクリート塊が土煙の中から飛んできた。車一台分はゆうに超えている、鉄筋モロ見えのコンクリートの塊。当たればただでは済まされないそれを、拳西は自らの斬魄刀で叩き落とす。

 

「吹っ飛ばせ、《断地風》!」

 

サバイバルナイフほどの小さな斬魄刀に触れたコンクリート塊は、まるでバターを切るように二つに両断され、断地風の効果により粉々に爆散した。爆風に煽られながらも、3人(白は明後日の方へ口笛を吹いている)は未だ晴れぬ土煙を睨み付けている。

 

弾かれる様な音が数回、何処かで谺響した後に大量の瓦礫が四人へ下から降り注いだ。

尖ったものから平たいものまで、速度は当然音を超え、大小様々なコンクリート塊が大量に。

マシンガンの様に撃ち出されるそれは、的確に四人を狙って飛んできている。

 

 

「うおおおお何だこりゃああああッ!?」

 

「もしかして瓦礫投げてるのぉ!?すごーい!」

 

「もしかしなくてもそうだろうよ!つーか白、テメーも見てないで手伝え!」

 

次々飛んでくる瓦礫の雨を斬魄刀で打ち払いながら告げる拳西に、白は「ぶぅーっ」と嫌そうな顔をした後、仮面を被って飛び出した。

蹴りで、拳で、次々と飛んでくる瓦礫をまるで格闘ゲームのように大仰なモーションで打ち落としていく。

 

「白、スーパーアクロバットぉ!」

 

「俺達が戦ってんのは破面じゃなくてピッチングマシーンか何かだったのかァ!?」

 

「さっきから変化球も飛ばして来てるよ!

瓦礫でナックルボールとか軽くトラウマになりそうだ!」

 

「いつまで遊んでる気だあの破面は!」

 

焦れた拳西が叫んだ直後、不意に瓦礫の雨が止む。不気味なほど静まり返った土煙に四人が息を飲んでいると、程なくして再び飛んできた。

 

「オイオイオイ嘘だろ!?」

 

「でっっかーい!」

 

ラブが唾を撒き散らすのも構わず叫び、白は純粋に驚いている。

現在彼等が戦闘しているのは、尸魂界がこしらえたコピーの街とはいえ、精巧に作られた街並みは本物と変わらない。

ジェーンが激突し、ローズによって破壊されたビルは、空座町の中でも有数の大企業の本社ビルであった。空座町の安い土地いっぱいに積み上げられた30階立てのオフィスビルだ。

 

 

それを投げた。

 

倒壊したビル、その形を保っていた屋上部分から5階分の欠片を丸ごと。

 

 

「うおおおおおおっ!!天狗丸ゥ!」

 

迫る大質量。

ラブの掛け声と共に更に肥大化した金棒をバッターの様に振りかぶり、力の限り振り抜いた。勢いのまま金棒と正面衝突したビルは破片をぶちまけながら派手に砕け、四人を避けて散り散りになっていく。

 

「ハァッ…ハァッ…あの破面、ビルを丸ごと放り投げるとか無茶苦茶しやがる!」

 

「それにアイツ、手を抜いてやがるな。

気付いてるか?あの破面、斬魄刀を抜くどころか帯刀してすらいねえ。」

 

その通り、ジェーンは仮面の軍勢と出会ってからこれまで1度も抜いていない、それどころか本来腰に差しているはずの斬魄刀は影も形もなかった。

 

「舐められてる、となるといい気はしないね…」

 

ローズがそう呟き、土煙の中からキラリと光るものを見つけ報告しようと口を開いたその刹那。

 

「ごっ……ッ?」

 

「「「ッッ!?!?」」」

 

弾丸の様に飛んできたジェーンの膝蹴りが、ローズの腹に突き刺さる。肋骨が折れる音とパァンっと弾ける音が共に響き、くの字に曲がった彼は民家を破壊しながら一瞬で数百メートルほど吹き飛ばされた。

 

「いやん、やり過ぎちゃった?」

 

「ローズッ!テメェ…!!」

 

見えなくなったローズに、はっと我に返ったラブが天狗丸を振り上げるが、振り下ろす前にジェーンの腕が伸びてきて手首をがしりと掴み、至近距離で彼女の深淵の様な瞳がラブを覗き込んだ。

蠱惑的な笑み、というのが最も適切な表現だろうか。破面の荒々しさも、彼女から一切感じられない。悪戯する子供のように無垢な笑顔。

ジェーンの顔が間近に迫る、平時であれば俗っぽく『ガチ恋距離』なんて言われるかもしれない。呼吸の音まで聞こてきそうだ。

 

だがこの時、ラブは全身が粟立つ様な悪寒を味わう事となる。

 

「おイタする手はこうしちゃおう。」

 

なんとなしに、掴まれたラブの腕が握り潰された。

肉の引き千切れる音と骨の砕ける生々しい異音が同時に響き、ラブが雄叫びにも似た悲鳴を上げるまでそう長くは掛からなかった。

潰れへしゃげ、捻じ切られた右腕は肩から離れ、天狗丸と共に落下していく。おびただしい血が流れ痛みにもがくラブの眼前にジェーンは人差し指を向けた。

 

「《圧縮黒虚閃(セロ・コンプレシオ)》」

 

指先からぽつんと生まれた黒い塊は、あぶくのように膨れ上がり、あっという間に野球ボール大にまで成長し妖しい輝きを放つ。

指先から放たれようとしているそれが何なのか、1番早く気付いた拳西の行動は速かった。

 

「卍解、《鐵拳断風》ェッッ!!」

 

伸ばしたジェーンの腕に拳が叩き込まれ、爆音と共に僅かだが手が左に逸れる。

 

次の瞬間、黒が瞬き拳西の視界を埋め尽くした。

 

黒い光が空を割き、悲鳴のように耳触りな異音が響き渡る。圧縮された黒虚閃が指先から解き放たれ、空を削り取ったのだ。虚閃の軌跡に沿って街は抉り取られ、衝撃で僅かに逸れたので、幸いにもラブの首から上は無事だったが、星型だった髪の毛の左半分がなくなってしまっている。

 

「ありゃ?逸らされちゃった。」

 

「白、ラブ連れて下がれェッ!!」

 

「う、うんっ!」

 

拳西は白に息も絶え絶えのラブを連れて下がらせた。

 

「あれ、君が残るの?

え〜っと…バカのけんせー君。」

 

「六車拳西だ、白の紹介真に受けんな破面。」

 

「そっちこそ、私の事は親しみを込めてジェーンお姉さんと呼ぶといいよ。もしくはお姉ちゃんでも可。」

 

「…絶対ぇ呼ばねえ。」

 

呆れる拳西。なんだかこの女は白と同じ雰囲気がある、絶対めんどくさい奴だと確信していた。

だが、ラブの腕を笑顔で潰し、顔面に容赦なく虚閃を撃ち込むあたり、やはり彼女も破面だ。気を抜いてはいられない。

 

「だぁいじょーぶ、さっきの2人みたいにさくっと半殺しにしてその辺に放るだけだから。

身体中穴だらけがいい?それとも抵抗できないように腕も足も全部もぎ取って達磨にしてあげようか?藍染君からは生かしたまま戦闘不能にしろって言われたんだけど、案外難しくてさ…」

 

「…狂ってやがる。」

 

「ちょっと、心外なんだけど。勘違いしないで欲しいな。

私だってぇ?死神に喧嘩ふっかけるとかしたくないし。あの変態は背中刺されればいいと思ってるけどさ。

虚圏の為だからねえ〜。」

 

だらだらと呟いたジェーンが差し向けた手から今度は虚弾が弾け、すんでの所で拳西はそれを躱し無防備な懐へと潜り込んだ。大きく右腕を引き、拳を引き絞る。

 

「悪ぃが、女だからって容赦しねぇぞ。」

 

「お好きにどうぞ〜。」

 

そして力いっぱい無防備な彼女の腹を殴りつけた。

 

拳西の卍解、『鐵拳断風』。

両手に持つナックルダスター状の刃が触れている間、始解で用いたのと同じ炸裂を無尽蔵に与え続ける超攻撃的な効果を持つ。

空気が震え、ジェーンの腹部が弾けるのを合図に、そこから拳西による無慈悲なラッシュが始まった。

身体中に鐵拳断風の撃剣が食い込み、触れた部分から爆発が巻き起こる。速度も増して、正に無間地獄とも呼べる爆砕の嵐がジェーンを襲った。

 

 

 

傍から見れば拳西のガラの悪さも相まって、女性を殴り付けるかなり酷い絵面の光景だが、当の本人は拳を打ち付けるうちに、奇妙な違和感に襲われていた。

 

(何故だ…何で血が一滴も出ねぇ?

俺は手加減してねえぞ!鐵拳断風もずっとヒットし続けてる、これだけ打ち込みゃ塵も残らねえ筈だ!なのに何故…)

 

「手応えはあった?」

 

「ッ!?」

 

ラッシュの締めに放たれたストレートを顔面に受け、勢いのあまり仰け反ったままのジェーンは、何の気なしに呟いた。

 

「女の子をこんなに殴って、悪い奴だなあもう。遠慮無さすぎじゃない?」

 

そう言いながら顔を上げた彼女は…無傷だった。全くと言っていいほど身体に外傷は無く、顔面ですら痣ひとつない。

 

拳西は理解した、全て無駄だったと。

 

「…無傷だとッ!?」

 

「無傷だよ?」

 

にっこり笑って、徐に拳西の両肩を掴みそのままトンっと押し出した。

 

「じゃ、お返しね。」

 

「なっ…」

 

霊圧の足場を崩され、重力に従うまま空座町へと落ちていく。

 

「仮面出しときなよ、死ぬ程痛いから。」

 

その忠告は悪寒と共に拳西の耳にすんなり届き、咄嗟に仮面を出現させたその刹那、ジェーンの右腕が小さな黒腔に呑み込まれ、更に彼女の背後から大きな黒腔が開き…

 

「ばっしーん。」

 

飛び出した巨大な何かがムチの様にうねり、高速で拳西を地面へ叩き付けた。

地割れでも起こったかと錯覚するような揺れと大気が震え、街が大きく歪む。ずるりとそれが動き出し、街を破壊しながらジェーンは自分の手足を操作する。

黒腔から伸びているのは、骨だけの首長竜。もといジェーン・ドゥ本体の触腕だった。硬い外殻に覆われた触腕の先端には、竜の頭骨らしき部位が着いている。

人の姿となる前の、奈落の星の原初の姿。

 

「ガッ…」

 

音速をゆうに超える叩き付けによって地面と触腕にプレスされた拳西は仮面が砕け散り、衝撃で手脚があらぬ方向に歪んだ状態で気絶し地面に横たわっている。忠告通り仮面を出して防御力を上げていなければ、車に轢かれた蛙のようにぺしゃんこになって命は無かっただろう。全身骨折だけでラッキーだ。

 

「ん、おしまい。お勤めゴクローサマ。」

 

ジェーンの手が黒腔から引き抜かれると共に触腕も黒腔へ戻っていく。完全に抜かれたジェーンの右手には、黒く輝くハルバードが握られていた。

 

「さてと。」

 

ハルバードを肩に担ぎ、そのまま白と片腕を失い横たわるラブのいる民家の屋根まで降り立った。

 

「あとは君だけだよ、白ちゃん。

そっちのアフロマンは…」

 

「生きてらァ…よっ…」

 

止血を施されたとはいえ、未だ激痛の走る半身を押してラブは立ち上がる。

自覚が有るのか無いのか、じわじわとジェーンは始祖の霊圧を解き放っていた。間近で受けた白の肩が震え始め、恐怖でカチカチと歯が鳴り出して止まらない。そんな白を庇うようにラブは前へ出た。

 

「やっぱ半殺しって何処までやりゃいいのかわかんないや。破面と違って君達脆いし。」

 

「言うじゃねえか…化け物が…ッ!!」

 

「てゆーかさっきから君達辛辣過ぎない!?

その程度の怪我、虚圏じゃ日常茶飯事だよ?悪意も敵意も無いのにこれ以上どうやって加減すればいーのよさ。はぁ〜憂鬱…」

 

ああもうめんどくさい、ダメだったら後で藍染君にごめんねしよう!

 

暫く悩んで、吹っ切れたように叫んだジェーンはハルバードを構え大きく振りかぶる。

…正直な話、別に死神全員を必ず生かして戦闘不能にする必要はない。藍染は「半殺し」とは言ったものの、殺してしまったのならそれはそれで構わないと思っているのだが。

 

(律儀な子だ。

もっと適当に「死にそうな奴は放っておけ」くらいに言っておけば良かったかな…)

 

ジェーンが遠くで悩む姿を当たり前の様に盗聴しつつ、平子と戦う東仙を眺める藍染は少し申し訳なく思っていた。

 

 

「よし、取り敢えず2人には真っ二つになってもらうよ。上と下が離れて生きてりゃラッキー。死んじゃったらまぁ…虚圏(ウチ)で面倒見てあげるから!サヨナラ!」

 

黒金の刃が迫る。

怯えて動けない白と片腕を失い昏倒寸前のラブ。最早抵抗は許されない。

始祖の力を無駄に駆使して繰り出される一撃、万物を断ち斬る一閃は反応など許さぬ速度でラブの脇腹に迫り…

 

「……ッッ!!!うそっ!?」

 

なにかに反応したジェーンがハッと顔を上げ、ある一点だけを凝視し驚いた。

刃はすんでの所でラブの腹に僅かに食い込むだけに留まって、切り口から血が溢れる程度で済んだ。

 

「あの馬鹿…ッ!

()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

柄にもなく焦り、そう吐き捨てたジェーンはラブと白の事などどこかへ放り出し、響転を使いどこかへ消えてしまう。

 

悪夢の様な霊圧は遠くへ消え去って、張り詰めた緊張感が緩みだした頃、ラブは肺の中の空気を漸く吐き出した。震えの収まった白はまだ注意深く辺りを見回し、彼女が帰ってこないか確認している。普段陽気で何を考えているか分からない白がこれ程警戒するのだ、間違いなくジェーンは破格の存在なのだろう。

 

(あのバケモンみてえな霊圧以外、本当に何も感じなかった。もし奴が敵意を向けて俺達を殺しに掛かっていたらきっと…クソッ!!)

 

自分の不甲斐なさに悪態を吐く。

 

「鈍ってるつもりは無かったんだけどなァ。これが始祖…か。」

 

圧倒的な力の差を痛感し、一人絞り出す言葉に応えるものは誰もいない。

 

(浦原の野郎、「始祖に関しちゃ彼処(あちら)さんがどうにかしてくれると思うんで大丈夫っス。」って言ってたが、どこの誰があんな化け物どうにかできるんだよ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談ではあるが、ジェーンがハルバードを振りかぶったのと同じタイミングで、ある破面が敗北しようとしていた。超弩級の爆発を至近距離から浴びせられたうえに、更に自身の力を体内に移され、自己崩壊を起こしている虚の王が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




初めてフォント使ってみたけど「無駄無駄ァ!!」って言われたら直します。



もぅマヂ無理、社会人嫌になったからJKに回帰する。

1年E組 ハンバーグ男爵ちゃん
身長…166cm
髪…紫でぼさぼさ
目…銀色で猫っぽい
得意科目…音楽
バスト…C
特徴…ピアスあけてる
性格…ツンデレ。やさしい子とは相性よし

ツンデレJK作者ハンバーグ男爵の次回作にご期待下さい!
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