双頭の骸、虚圏に立つ   作:ハンバーグ男爵

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ちょっと待って欲しい、なんで評価バー赤なん?
なんでランキング4位?どうした?作者死ぬのか?

まだ3話しか続いてないぞ!?

高評価に耐えられるほど作者のメンタルは強くない!

▷さくしゃ は しんでしまった !!


評価ありがとう御座います(土下座)



バラガンのキャラがアロガンテされるので注意な!絶対やぞ!?






四話 双頭の骸、遺骸の王

おうちが建ったよ!やったね私!

 

遂に念願のマイホームを手に入れました!

場所は虚圏の辺境も辺境、バラガン軍もやってこないような砂漠の果て。見上げた月が1番綺麗に見える絶好の場所に家を建てた(建てさせた)。

オプションで仮想太陽と無限水源を付けてもらって、完全無欠の私の城が完成した。ザエルアポロ流石!天才すげえぇ!

 

私の図体のせいでかなり大きめのお家になってしまったけど、ここは辺境だし狙われることなんてないだろう。私にとって最高の立地だ。

 

仕事を終えたザエルアポロへ約束通り残魄玉を渡す。そーっとね。

気を付けて扱ってね、強い刺激を加えると簡易ブラックホール化してその辺のもの全部ドンドン吸い込むナウしちゃうから。

それを聞いてちょっと笑顔が引き攣った彼を見送って、別れを告げた。

 

「私達もそろそろ発とう、今まで世話になったな。」

 

ハリベルさん達とも此処でお別れだ、4人は旅を続けるらしい。

元気でね~、いつでも遊びにおいで~。

 

「ああ、必ず行くよ。また会おう、ジェーン。」

 

手を振って去っていく彼女達を見送った。

あ、そうだ。アーロニーロも今度ウチに招待しよう。といってもアイツ今何処に居るのか分からないしなあ…ま、会った時でいっか。

 

湧き出る無限水源を使ってルドボーン君達に身体を洗ってもらう。んで、湯船に浸かる。

はあ~最っ高!夢の虚ライフがここに完成した。

 

まったりのんびり虚圏ライフ、これにて私は魂の安寧を…

 

 

 

 

 

 

 

得られないんだよなあ、これが。

 

 

 

 

 

 

▶バラガン軍やって来た!

 

なんでこんな辺境に!?

 

初まりはご飯を調達するために少しだけ遠出した時の事。少し大きめの虚が襲って来たから返り討ちにしてやった。そいつを生かして返したのが不味かったらしい、少し期間が開くと続々と虚が現れて、私に襲い掛かってきた。

やって来た虚達を追っ払う内に、集団のリーダー格みたいな奴らを見つけた。

鯨みたいな虚、やたら叫ぶ鳥型虚、オカマ虚、エサクタエサクタうるさい虚、残りは影薄くて分かんないや。

 

それすら残党を残して追い返してしまったのが不味かったんだろう、しまいにはバラガン本人が出張ってきた。

 

バラガン・ルイゼンバーン、「虚圏の神」を自称し「大帝」とも呼ばれる彼は、王冠をかぶり、ボロボロのマントに身を包む骨と髑髏のガイコツ虚だった。

絶対子供ウケしない見た目で「虚圏の神」を自称する彼には、数多の下級虚が付き従っていて、正に軍隊と呼ぶに相応しい大所帯だ。

 

なんでウチにちょっかい掛けるんですかー!

 

「虚圏は等しく儂のモノ。故に《始祖》たる貴様に問うてやろうと思ってな、《双頭の骸》よ。」

 

えっ何その字名(あざな)

 

「逃げ帰ってきた儂の部下が揃ってその名を口にするのでな。

その姿、あながち間違いという訳でも無いらしい。貴様、名は?」

 

ジェーン・ドゥ、年齢不詳、出自不明、平穏を夢見るイカ乙女でっす。

 

「呵呵ッ…覚えたぞ、ジェーン・ドゥ。」

 

精一杯のお茶目を華麗にスルーですか大帝様。

ぶわっとバラガンの霊圧が一気に増す、周りの部下達がガクガク震え始めた。

 

「儂の傘下に加われ。その力、野に離しておくには惜しい。儂と共に虚圏統一の礎となるが良い。」

 

なるほどなるほど、大帝様は私を戦力に加えたいご様子。

私ってばモテモテで困っちゃうな。

 

だ が 断 る

 

「…何?」

 

私はやりたい事やって生きたいんだ、社畜は御免だよ。

 

「ならば貴様の『やりたい事』とは何だ、申してみよ。」

 

いっぱい食べていっぱい遊んでいっぱい寝る!やりたい事なんてそれで充分、領土争いとか、虚圏統一とか、そんな事は私抜きで他所でやってろバッキャローー!

 

「……呵呵ッ!

滑稽ッ!余りに滑稽ッ!!

その絶大な力を有しながら、行使せんとは。『宝の持ち腐れ』とは貴様の事よ!」

 

いやあ照れるなあ

 

「褒めとらん。

じゃが困った。儂の傘下に加わらぬとなれば、貴様も我が行く手を阻む蟻一匹に他ならぬ。ならば…」

 

バラガンから黒い何かが溢れて地面を這うように広がっていく。慌てたバラガンの近くに居た虚達が逃げようとして、そのうち一匹が逃げ遅れて黒いのに飲み込まれ、悲鳴を上げながらグズグズに朽ちて消え去った。

 

「ジェーン・ドゥ、双頭の骸。

大帝の前を阻む者、全て愚物に他ならぬ。せめてもの情けじゃ、儂の手で朽ちて逝け……!!」

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

まず動いたのはバラガンだった。

死の息吹(レスピラ)によって周囲の砂漠が侵食されていき、加速度的に虚すら滅ぶ死の空間が形成されていく。それを見た双頭の骸は、頭の骨から大量の棘のように尖った塊を射出した。

なんの意図があって奴は棘をばら蒔いたのかは知らないが、バラガンの《老い》の力からは誰も逃れられない。あの黒い波が広がって、奴の下まで届けば勝敗は決まる。

放物線を描きながら大量の骨のトゲがバラガンに向かって降り注ぐ。それを見たバラガンは薄ら笑い、懐から巨大な戦斧、《滅亡の斧(グランカイーダ)》を取り出しひと振りすれば、たちまち棘は霧散し朽ちていった。それを見た双頭の骸は尚も棘を射出し続ける。また同じ真似を…と棘の第二斉射に向かってバラガンが斧を振った瞬間。大爆発が巻き起こった。奴の放った棘が、赤黒い波動を撒き散らしながら弾けたのだ。

その衝撃に一瞬身を怯ませたバラガンだったが、直ぐに持ち直した。双頭の骸は相変わらず、棘を射出し続けている。

その図体は遠目で見るとハリネズミの様に丸く膨らんで、発射した傍から次の棘を生やし、絶えることなくバラガンに向かって撃ち続けていた。

 

どんどん自分の方へ死の息吹が寄ってくるのにも関わらず、双頭の骸はひたすら棘を空へ向けて撃ち続ける。

 

まだ撃つ

 

まだ撃つ

 

まだまだ撃つ

 

…おい待て、あいつはいつまで棘を撃ち続けるんだ?

 

ふと俺はさっき爆発した棘の威力を思い出した。さっきバラガンに直撃したのは二、三発の棘だったよな?

今空いっぱいに広がってるあの棘が一斉に落ちて弾けるとしたら…

背筋が凍った。俺の周りのヤツらも察しのいい者は気付いているだろう。

 

気づいた瞬間駆け抜ける逃れられない死のイメージ、間違いなくこの辺一帯は更地に変わる。

 

俺は一心不乱にその場から離れた、ここは砂漠だ、遮蔽物も何も無い場所で無数の大爆発なんてされたら、衝撃で跡形もなくなっちまう!できるだけ遠くへ離れろ…!

バラガンの側近達もこの危機に気付いたのか、顔を青くしながら後ろへ向かって走り出した。

 

必死に逃げたら頭の後ろで世界が弾けたような爆発音が連続して轟いて、巻き起こった砂嵐に吹かれ砂漠をバウンドしながら転がった。くそっ、砂が口に…ペっぺっ!

 

衝撃が収まった頃を見計らって顔を上げる。

 

絶句した

 

 

虚圏の砂漠が半分以上消し飛んで、文字通り更地になった。バラガンの周りだけ深いクレーターみたいに地形が変わってる。死の息吹も侵攻が止まり、それを見越していたのか既に双頭の骸も攻撃を止めており、じっとバラガンを見ていた。

 

「ヌゥ嗚呼アアアアアアッッッ!!」

 

直後、バラガンの雄叫びが聞こえて、砂煙が一気に散る。

…周りには俺以外誰もいない、遠くの方でバラガンの側近達がひっくり返って腰から下だけ出して頭から砂に埋まってるくらいだ。

それ以外の者は避難が遅かったのか跡形もなく消し飛んだ。

 

「爆発する直前に棘の動き鈍くなったね、それもアンタの能力?」

 

「……ふん。ネメスセンシアといってな、儂の力を防御に回したのだ。並の攻撃ならこれで威力が朽ちる。

じゃが貴様ァ…手を抜いておるな?」

 

「あれ?ばれちった。」

 

てへ、と双頭の骸は触手を頭に乗せておどけるような仕草をするが、奴のような巨体がやると不気味でしかない。

…ていうか、今ので手を抜いてたのか。手を抜いてこの被害なのか。

 

「…理解出来ぬな、力があるなら何故振るわぬ。

最早野望すら生まれぬほど始祖の貴様は枯れ果てたというのか?」

 

「人を枯れたバァさんみたいに言うのは止めろォ!ぶっ殺すぞコラァ!」

 

双頭の骸から一気に霊圧が溢れ出す、今までで1番大きい。アイツも乙女なんだな…

 

「ふんっ!さっきも言ったでしょ、私は()()()()()()()()()()()()()()()んだよ。

虚圏を統一するのはナイスな判断だと思うよ、無法地帯より力で無理矢理にでも誰かに統制された方が()()()()()()()()()()()()から。

でも、それに私を巻き込むのは止めて。私は静かに暮らしたいの。ひとまずね。

……まあ出来れば人型に進化して?素敵な旦那様と虚圏に一軒家建てて末永~く一緒に暮らしたいなとか思ってるけど?」

 

照れるようにぐねんぐねん動く巨大イカ、怖い。

 

「…何故儂を殺さぬ。虚の戦いは力が全て、勝者は敗者を喰ろうて生きるのが常じゃ。」

 

「なんだコイツスルースキル高いな。

要らないよ、勝負にも興味無いし。大体こんなもん殺し合いじゃないもの。

それにアンタが居なきゃ誰が虚圏を纏めるのさ。

傘下に入らなきゃ即排除なんて無茶言わなくても、「虚圏を統一するまで俺達に干渉するな。」とでも言ってくれれば私は此処で大人しくしてるよ。」

 

「その口約束を貴様が護る保証は何処にもない。」

 

「その辺はホラ、信用して欲しいな。私の日頃の行いとか鑑みて。」

 

「我が配下を喰い散らかす貴様の何処を信じろと…」

 

「そりゃアンタが襲わせてるからでしょーが!あー言えばこー言うよね、めんどくさいジジイだ!」

 

「貴様こそ、そんな性格じゃからヴァストローデの癖に無駄に図体デカいままなんじゃろ。

人型なんぞ夢のまた夢よ。」

 

「かっちーーん!

…自分の能力も制御しきれてない奴に言われたくないわー。何?老いの力ってそういう風に自分に作用すんの?使ってるとボケんの?うwけwるw」

 

「貴様あの一瞬で儂の弱点を見抜いて…!?

いや、まだ現役じゃて言うとろうが!」

 

「ふーん!耄碌ジジイ!骨オバケ!老害!」

 

「んじゃと貴様ァ!?」

 

 

ギャイギャイと舌戦を繰り広げていた2人だが、やがてお互い罵倒のボキャブラリーが無くなったのか黙り込み、気まずい沈黙が走る。が、突然バラガンの笑いによってそれは破られた。

 

「呵呵ッ…呵呵呵呵ッッッ!!

愉快!いや愉快!久々に感じた感情よ。

「私を信用しろ」だと?この虚圏でそのような台詞を本気で吐く阿呆が居るとは思わなんだわ!

儂にここまで食い下がるその気概、気に入った。気に入ったぞ貴様。

儂も成すべき事がある。良い、儂を殺さず退けた礼じゃ。その言葉、信じてやろうジェーン・ドゥよ。

儂は虚圏を統一する、それまで貴様は我が軍に手を出すな。統一出来た暁には…貴様を儂の伴侶として迎えてやろう。それまで此の辺境のねぐらにて待つが良い。」

 

「おいちょっと待て髑髏ジジイ、アンタ今どさくさに紛れて爆弾発言しなかった!?」

 

「誰がジジイか!儂はまだ現役じゃと何度言わせるか阿呆!

男に二言は無い、必ず貴様を捕まえる。

呵呵ッ…クカカカカカッッッ!!」

 

「うわー勝手に俺の嫁発言された。アンタそんな俺様キャラだっけ?

でもちょっとだけキュンときた悔しい~~!」

 

奴は悔しそうに触手を地面へ叩きつけている、それだけで地割れが起きて地が揺れた。

それでいいのか双頭の骸。

 

 

………………

 

 

 

「二度と来んなダーリン!いーだっ!」

 

「儂は諦めんぞマイハニー!」

 

 

 

背中にそんな巫山戯た台詞を吐くジェーン・ドゥの声とバラガン大帝の叫び声を聞きながら、結局、俺達は生き残った配下を連れて引き上げた。

 

なんだかんだコイツら仲良いだろ。なんだよダーリンにマイハニーって、リア充爆発しろ。

…現世で得た偉大な言葉の一つだ。

 

それから数十年、バラガン軍は破竹の快進撃を続け、虚圏中の領土を征服し続けた。全ては双頭の骸との一戦から、バラガン本人の雰囲気が一気に変わった為だろう。

奴を迎えに行くと決めてから、バラガンは更に王としての気質を発揮し始めた。それが配下達にも伝わり、伴って士気も高くなる。

虚となって久しく忘れていた事だが、俺みたいな木っ端虚達もその熱に浮かされて、やりがいを感じ始めていた。

 

全てが順調かに思えた。

 

だが、終わりは唐突に訪れる。

 

 

 

 

たった三人の死神の手によって

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

帰ってきましたマイハウス、いやーバラガンの攻撃がここまで及ばなくて助かった。

新築に傷でも付けられたら危うく本気ビーム撃つとこだったよ。

 

「おかえりなさいませ、ジェーン・ドゥ様。

お食事のご用意は出来ております。」

 

え?まじで?どっから取ってきたのさ。

 

「たまたま近くに野良虚が居たもので。」

 

わーいやったー、いただきまーす!

気の利くルドボーン君が用意してくれたごはんをペロリと平らげて、横になった。

あ、食べたらちょっと眠くなってきた。

虚に睡眠なんて必要ないってザエルアポロは言ってたけど、私は偶に眠くなるんだよね。1度寝て起きたら数年経過してましたとかよくある事だ。

 

にしてもあの老害、私の事を嫁にするって…

いやいや万に一つも無いな、だって私の姿はイカだ。バラガンが海生軟体動物に求婚する変態だとは思わなかった。…なんだ私の周りには変態しか居ないのか。

 

 

 

 

 

 

 

???『イッキシッ!!…誰かがこの僕の才能に嫉妬しているな?ふふ、天才はツラいなあ。』

 

 

 

 

 

でも…万に一つ…いや億に一つでもいいから…私が人型になれたら…

 

大切な誰かと一緒に死ぬまで過ごしたい、かなあ……?

 

もういいや、考えるの止めよ!

バラガンといっぱい遊んだ、ごはんも沢山食べた、ならあとは寝るだけだ。惰眠を貪らせてもらおう。虚にゃ学校も仕事もないからね。

 

おやすみなさい、虚圏。

 

 

ゴロンッ

 

バギィッ!!

 

あっ、寝返りうったらまた壁壊しちゃった…ザエルアポロに頑丈に作ってくれって言ったのに…あの三流建築家めえ(彼は研究者です)、またラボ破壊しに行ってやる。

ごめんルドボーン君、後で修理お願いします…

 

 

 

 

 

やっぱこの身体、不便だよう…

それに…人型になったらやりたい事一杯ある。まずは一番にハリベルさんの褐色パイオツを鷲掴みにしてやるんだ…ふへへ…

それからそれから…

 

あ〜あ、人型になりたいなあ〜…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かくして彼女は眠りについた。

虚圏の始祖たる虚、始まりの骸、噂話程度しかないその存在を聞く者は数あれど、眠りにつく彼女が姿を現すことは無い。時が経つにつれ噂も風化していき、彼女の存在は徐々に忘れられていく。あの時彼女と言葉を交わせ、共に過ごした者を除いては。

 

 

そして知らぬ間に時は過ぎ、新しい風が虚圏(せかい)に吹き荒れた。新たな役者の登場は彼女にとって果たして吉報か、凶報か。

 

 

巨大な悪が、虚圏に訪れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





指摘されたハリベルの皇鮫后はいい感じに修正しときます。

破面とヴァストローデの違いがイマイチ分かってないニワカ作者が!死んでしまえ!なんの為に古本屋で原作まとめ買いしたと思ってんだ!


つづけ

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