双頭の骸、虚圏に立つ   作:ハンバーグ男爵

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なんか感想で破面化の様々な憶測が飛んでるけど、最初に考えたコンセプトは変える気ないんで宜しく。

今回破面になるよ

時間軸が曖昧過ぎるぞジョジョ、今原作何時の時期だ。
作者の気持ち的にはバラガンを藍染がボコって虚夜宮を手に入れて少しした辺り、現在の十刃はプリメーラ以外揃った状態(スタークと藍染の出会いのシーン、藍染は既にメガネをグシャアした後の姿だったので、スタークが十刃の最後に加入したメンバーかなって思ったので。)
もう少ししたら私が天に立つとか言い出す。

ああもうめんどくさい、物語に矛盾を感じたらこう唱えるんだ。
「これは二次創作の独自設定だ。」と。

本当に申し訳ない(メタルマン並感)






五話 あらんかる・めたもるふぉーぜ

藍染惣右介

 

 

彼は死神である。瀞霊廷に集う護廷十三隊の隊長を任される身でありながら、護廷を裏切り、かの王にまで弓引かんとする大逆者。

その恐るべき神算鬼謀を持ってして、来るべき日に備え、彼と彼に与する2人の死神は虚圏へと訪れていた。

 

まず彼は「虚圏の神」なる虚の集団に目を付け、これを無力化。更に各地を転々とし、力ある虚達を自らの傘下に引き込み、自らの持つ未完成の『崩玉』を使い力を試しながら、着々と虚圏を支配していった。

そんな彼はある時、とある噂を耳にする。

 

 

「《始祖の虚》?聞いたことがないね。詳しく説明してくれるかい、ハリベル。」

 

「はっ、《始祖》とは虚圏誕生より生き長らえると言われる程高齢なヴァストローデの事です。

私の友人がそれに当てはまります。」

 

嘗て藍染一味が恩を売り、味方につけた破面、ティア・ハリベルの『友人』という単語にふむ、と少しだけ藍染惣右介は思考する。

虚はその好戦的な性格故に短命だ、それを生き長らえるという事は、相応の力があるのか、知性が優れているのか、それともただ臆病なだけなのか…真偽の程は定かではないが、もし利用価値がありそうなら仲間に引き込むのもいいだろう。力が強ければそれだけ優秀な駒になる。

もし反発し、敵対しても殺してしまえば済む話だ。どちらにしろデメリットは無い。

その後も、事情を知っていそうな破面の面々から情報を得た。技術者ザエルアポロ・グランツは今まで見た事も無い程嫌そうな表情をしていたのが気にかかるが…

その《始祖》は虚圏の辺境で他との繋がりを絶ち、お供のアジューカスと2人で生活しているらしい。場所はハリベルが知っていた。

アーロニーロが珍しく着いて行きたいと申し出たが、彼は光に当たるのが苦手な為渋々辞退する事になった。

 

「どないします隊長、なんならボクが行ってこよか?」

 

表情の読めない笑みを浮かべながら部下の市丸ギンは問う。

 

「いや、私も行こう。要も支度を。

ハリベル、案内を頼むよ。」

 

「承知致しました。」

 

「…仰せのままに。」

 

盲目の死神、東仙要は静かに頷き、ハリベルもまた頭を垂れた。

一行は虚圏辺境へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

虚圏は広大な砂漠が広がり、その中でも一際目立たず、何も無い真っ平らな砂漠が続くこの地域では、虚すら1匹たりとも存在しない。

藍染、市丸、東仙、ハリベルの4人は、何も無い砂漠を歩いていた。

 

「虚圏ってなんもないとこやと思てたけど、この辺はホンマになんもないなあ。」

 

「無駄口は慎めギン。」

 

「そないなこと言って、東仙隊長もちょっと飽きてきとるんちゃう?」

 

「…………」

 

「アラ、審議拒否。」

 

「その知人の家は近いのかい?ハリベル。」

 

「はい、もうすぐ見えると思います。

……あれです。」

 

ハリベルの指し示す先にあったのは何も無い砂漠にポツンと佇む宮殿だった、大きさを除けばごく一般的な虚圏の建築物と変わらないが、その大きさは他のものと比べて圧倒的に小さい。嘗てのバラガンのように、己が力と権力を象徴する為巨大な建物を建てたがる虚には有り得ない程小さな宮殿だ。

 

「恐らく使いのアジューカスが居ると思われます、彼と話をさせて頂けますか?」

 

「構わない、呼んでくれ。」

 

宮殿の前に立ち、名を呼ぶハリベル。

すると宮殿の影から無数のドクロ頭の虚が現れ、囲まれた。その中でも他とは違う、牛の頭骨を模したような仮面を被った虚が宮殿の玄関口から現れた。

 

 

「いらっしゃいませ、ティア・ハリベル様。

お久しぶりで御座います。」

 

「久しいなルドボーン。壮健か?」

 

「お陰様で、今日もこうしてジェーン・ドゥ様のお世話をさせて頂いております。

して、其方の方々は?」

 

「…そうか、この辺りまでは情報が行き届いていなかったか。彼等は…」

 

「自己紹介は自分でやるよ。

お初にお目にかかる、私は藍染惣右介。こちらは市丸ギンと東仙要。

僕らは死神だが訳ありでね。そう警戒しないでほしい、君達に害を成す気は無いよ。」

 

力でねじ伏せてもいい。

だがバラガンの時とは違い、相手は虚らしからぬ真摯な態度で接してくる、ならば礼には礼を持って返さねばと、興が乗ったのか死神時代で培ってきた対人スキルをフル活用する愛染。

 

「…失礼致しました、ようこそ藍染様。

分身を引かせます。」

 

ルドボーンが指を鳴らすと、髑髏の影達は音もなく消えていく。

 

「立ち話もなんですし、どうぞ中へ。

死神の方々もどうぞ、お茶をお出しします。」

 

無機質にそう答え、宮殿内へと入っていくルドボーンの後ろを追って、藍染達は始祖の寝床へと招かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮殿の中は藍染の思うほど暗くなく、こざっぱりしていた。照明の様な光の玉が所々に浮いていて、常に明るい状態を保っている。

そして何よりも、清潔だった。至る所にまで掃除が行き届いている。生活感は度外視する虚には考えられない。

藍染は内心感心していた。

 

「綺麗にしているんだね、これも主の命令かい?」

 

「はい。ジェーン・ドゥ様は綺麗好きなお方で、この宮殿を手に入れてからずっと、私は殿内の掃除や身の回りのお世話を任されております。」

 

「彼処で窓拭いとるんもキミの仲間なん?」

 

そう言ってギンは高い位置にある窓をエプロン姿で拭いている骸骨兵を指し示した。

エプロン姿の骸骨と言うのもかなりシュールではあるが…

 

「はい、私の能力によって生み出されたものです。

自身の劣化分身を複製できるもので、このチカラのお陰でいっそうジェーン・ドゥ様のお役に立つことができます。」

 

「そのジェーン・ドゥっちゅうのが《始祖》ってコトでええの?」

 

「はい。私の主人にして虚圏原初の虚、《双頭の骸》とも称されるお方です。」

 

誇らしげに語るルドボーン、その姿からは《始祖》に対する尊敬と心酔が見て取れる。

彼の案内に従って、部屋へと通された藍染達、ルドボーンは主を起こしてくると言って去っていった。

 

 

「なんや予想外ですねえ、虚がここまで生活感のある家を作るなんて。」

 

「虚の中には生前の自我を強く残す個体も居ると聞く、件の奴もその一体ではないだろうか?」

 

ギンと東仙がそんな話をしている中、藍染は分身の一人が持ってきた紅茶を一口含む。

 

「(…!美味い。生活環境の整っていない虚圏では考えられない程質の良い紅茶だ。後で彼から入手元を聞き出さなければな…)」

 

虚圏に娯楽は無いに等しい。彼の計画では完成品の崩玉を手にれた後、拠点は此方へ移すつもりだった。しかし、如何なる天才も娯楽のひとつなくしてモチベーションを保つ事は出来ない。故に紅茶は趣向品の1つとして必要な物なのだ。

藍染が二口目を飲もうとカップを傾けた時、屋敷が震えた。続けざまに、凄まじい霊圧が4人を襲う。

 

「……ッッッ!!!?今のは…?」

 

「いや、おっかないなあ…」

 

「この霊圧も懐かしい…何年ぶりか。」

 

「…どうやら実力には事欠かなそうだ。是非、我々に協力してもらいたいね…」

 

顔色一つ変えずに紅茶を堪能する藍染だが、「通常の隊長格の霊圧の2倍はある」とまで言われた彼と同じかそれ以上の霊圧を感じている。相手はとんでもない化け物だ。

 

「(敵対し、戦闘になった場合。いざとなれば鏡花水月を使うか…)」

 

そう考え、斬魄刀の柄に手を置いておく。

 

「(一体どんな化け物が現れるか見物だね…)」

 

 

その時、部屋の奥にある巨大な両開きの扉が勢いよく開き、巨体が顔を出した。

 

「ハリベル~!遊びに来たってホントー!?」

 

体躯に似合わぬ可愛らしい声でハリベルの名を呼ぶそれに、思わず藍染達は呆気に取られる。

 

巨大な骨に覆われた身体、2本の骨で出来た首長竜を思わせる触腕、ギラつく眼。死神10人に聞けばおそらく全員が「凶悪な虚」だと断定するであろうその姿。そしてかなり大きいが、その姿は紛うことなきイカだった。

しかしその凶悪な姿とはうって変わって、年頃の生娘のようなテンションと高い声を合わせ持つ。

 

「「「(なんだこの虚…)」」」

 

「久しぶりだ、ジェーン。」

 

「久しぶりー!ようこそ我が家へ!」

 

触腕を伸ばし、ハリベルを掴む。そのまま口へ放り込んでしまいそうな勢いでぶんぶん振り回しながら再会を喜ぶ始祖の虚に彼等は終始反応に困った。

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

ハリベルだー!久しぶりー!80年ぶりくらいかな?

三人娘も元気してる?そう、良かったねー!

私の方は大変でさ、あの後バラガンは攻めてくるわ残魄玉落っことしちゃって家がブラックホールに飲み込まれそうになるわ、とにかく大変だったんだよ~!

 

んで、この人達は誰?虚じゃないよね。

 

………え?死神なの!?なんだ!私は何も悪いことしてないぞ!やるなら家の外で相手してや……ぇ?違う?そうじゃない?

 

 

 

 

ルドボーン君に起こされて、久しぶりに部屋の外へ出た私。…決して引きこもりなんかではない。なんでもハリベルがお友達を連れて遊びに来ているらしい。行かねば(使命感)

ハリベルと一緒に居たのはいつもの三人娘ではなく、見慣れない黒い服着た男の人たちだった。彼等は死神で、とある大きな目的の為に虚圏にやって来たらしい。

 

おばちゃんウケしそうな顔のハンサムお兄さん、藍染惣右介

 

いつもニコニコ糸目の腹黒そうなお兄さん、市丸ギン

 

1人だけ国籍が明らかに違うと思うんだけど名前は漢字の東仙要

 

 

話してみたけど悪い人達じゃなさそう…?少なくとも敵意はないみたい。今の所はね。

どうやら藍染君は私と友好関係を築いて、他の死神達と戦って欲しいようだ。

 

私は極力やりたい事しかしたくない。

 

死神同士の争いに加担するとか面倒くさくて正直嫌なんだけど、彼の一言で気が変わった。

 

「君を人型のヴァストローデに変えることが出来る」

 

マジか、嘘じゃないよね?

虚はヴァストローデに進化する時、もしくはするまでの過程に何らかの理由で仮面が剥がれると、《破面(アランカル)》と呼ばれる存在になるらしい。

私はたまたま仮面の剥がれるタイミングが回ってこなかったんだってさ。そこで、藍染君のひみつ道具を使って破面化を引き起こし、上手くいけば私も人型になれるらしい。

話では、既にアーロニーロやハリベルさんもその『崩玉』とやらの力を使って虚でありながら死神の力を得たようだ。

どうりでハリベルさんが昔会った時よりボンキュッボンのエロ魔人になってた訳だ。

その口元かっこいいよね。

 

「え、エロ魔人…」

 

 

死神の力云々はどうでも良いとして、人型になれる…!この哀しきイカボディーからの脱出…

 

「君程の虚が仲間になってくれるのなら心強いよ。」

 

と、藍染くんはバックに花が咲きそうなくらいにこやかにヨン様スマイル。

要は私の人化と引き換えにこっちの陣営に来いと、そう言ってる。

 

ん〜〜〜…よし!

 

ちょっとだけ考えて、承諾する事にした。

だって私も人型になりたーい!もう体動かす度に家の壁にヒビが入るのは嫌なの!毎度毎度修理してるルドボーン君が可哀想だよ!(某マッド野郎のラボは除く)

 

 

 

 

???『……ッッッ!?!?なんだ?悪寒が…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍染君の取り出した小さい水晶玉みたいなのから淡い光が出て、私を包み込んだ。

視界がぼやけて、段々視点が小さくなっていく。そして次に目を開けた時、私の視点はハリベルさん達と変わらないくらい低くなってた。

 

両手を確認する、すべすべのお肌に五本の指がちゃんと付いてた。すらっとした脚、ある程度膨らんだ胸元、さらさらの髪を掻き分ける。髪型は触った感じ、ポニーテールになったみたいだ。

そんでもって…全裸だった。

 

「おわああああああああっ!?!?

な、なんで裸!?」

 

 

 

変わって二秒で慌てふためく私に藍染君は笑いながら「虚は本来服など着ないだろう?」とか言うもんだから…

 

ぷっちーん

 

「何真面目に答えてんだこっち見んなエロメガネぇッッッ!!」

 

「何ッ!?速ィ亻''ッ!!?」

 

「いや、私は盲目デッ!?!?」

 

「ボクも゜ッ!!!?」

 

思わず3人の頬をぶっ叩いてやった。

スパパパァンっと風船の弾けるような音と共に男どもが宙を舞い、3回転半して床に叩き付けられる。

 

すかさずルドボーン君が何処から持ってきたのか服を手渡してくれた。ありがとね。

 

「こんな事もあろうかと、予め作っておきました。」

 

わお、お手製だ。嬉しい、でもさ…

 

「アンタもまじまじ見んなバカーッ!!」

 

「我々の業界では御褒美でグボァーッッッ!?!」

 

グーで殴ってやった、グーで。

 

 

 

 

 

 

 

~~~ちょっと待ってね~~~

 

 

 

 

 

 

…ふう、ルドボーン君から渡された服を着たのでなんとか落ち着いて椅子に座った。

なんで服のサイズぴったりなんだろう…

 

「さっきは済まないね、女性に対して配慮が足りなかった。

兎に角おめでとう、これで君は目出度く破面となった。

これから宜しく頼むよ。ジェーン・ドゥ。」

 

藍染くんは頬に椛を咲かせながらも実・験・大・成・功☆と言わんばかりの笑顔で微笑みかけてくる。が、こいつは突然虚を裸に剥く変態だ。私の中の変態リストの中に一人追加しておこう。

 

「なんだがあらぬ誤解を受けた気がするが、気のせいかな?」

 

気のせいっすよHAHAHA

 

さて、改めて。こんなこともあろうかと予めザエルアポロを脅して作らせた鏡で自分の姿を眺めてみる。

身長はハリベルよりちょっと低いくらい。それでも170はある、女子としてはちょっと高めかな。

胸は彼女と比べると小ぶりだけど、それでもメロンとリンゴを比べるようなもんだ。私としては充分合格ラインです。

髪の色は…ベージュか、前髪も顔にちょっとかかる、ポニテを解くと太ももまで届く長い髪、お手入れが大変だァ!唸れ私の女子力!

んで、問題は目だ。少しツリ目なのと、奈落の底みたいに深い紫色の瞳。ちょっと威圧感あるなあ…理想的な悪役ヅラしてるよ。

それから目を惹くのが、ポニテを留めてる髪留め代わりの帽子みたいなアクセサリー。これ、イカ時代の頭に乗ってた竜骨じゃん。先がちょっと欠けてやんの。これが破面の仮面って訳ね。

 

「外見は気に入ったかな?

次は破面としてのチカラを見せてもらいたいんだが…」

 

あーはいはい分かりましたよヨン様

 

「ヨン様…?僕の事かい?」

 

細かい事は気にしなさんな。

 

じゃあ次は能力の方なんだけど…

破面は死神の力を有する虚、その本来の力は斬魄刀に収納されてて、《帰刃》する事によって解放される、らしい。なら私が斬魄刀解放するとあの巨大イカに逆戻りするのか…ちょっと嫌だなあ…

ええっと、私の斬魄刀…ざんぱくとー…あれ?

 

「私の斬魄刀は!?」

 

「ふむ?普通なら破面化したと同時に付いてくるものなんだが…」

 

「隊長隊長、アレちゃいます?」

 

え?アレ?

と、私がそっちを向くと、部屋の隅に転がっていたそれは勝手に起き上がり、磁石に引き寄せられるみたいに回転しながら私の手元に収まった。

うおおびっくりした。

 

「これが…私の斬魄刀…」

 

刀…刀?

 

え、どう見てもハルバードなんですが。

黒に綺麗な金の装飾が入った重厚感のあるハルバード、長さも私が両手を広げても余るくらいある。穂先も斧の部分も限界まで研磨されてて凄い切れ味良さそう。

試しに振り回してみる。おお、思ったより馴染むね、やっぱ元々体の一部だったからかな…?

 

帰刃(レスレクシオン)には解号が必要になる。

既に君の頭にも浮かんでいるはずだ、試してみるといい。」

 

言われて外に出た。

 

ん~良くわかんない。わかんないけど、なるようになるか!

ハルバードを両手で構えてバトントワリングみたいに軽く回しながら、柄を地面に突き立てると、勝手に霊子がハルバードにまとわりついて、まるで旗のような形に変わった。

あ、なんだろこれ。前世で見た事ある。確かなんかのゲームでどっかの国の聖女が持ってた武器と似てるわ。槍と旗が一緒になってるアレ。

 

霊子と一緒に色んな情報が頭に流れ込んできた。

…なるほどなるほど、イカの身体はそっちに……私の能力の本質ってこんなんだったんだ。納得納得。

 

「(なんやジェーンちゃん、目ぇ瞑ったままえろう頷いてますけど。なんかあったんやろか…?)」

 

「(今まで無自覚だった自身の力を再確認しているんだろうね。

それにしても凄まじい力だ。ますます逃すに惜しい。)」

 

ギン君と藍染君がなんか言ってる、霊圧の嵐で軽い砂嵐巻き起こってるから内容までは上手く聞き取れない。

 

最後に、私の本当の姿を呼び出す解合が頭に入ってきた。

 

胸の中にストンと落ちる感じ、実家の様な安心感とはまさにこの事。

 

 

 

静かにその名を呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━阻め、《白骸妖星(オストガロア)》。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっぶね…外で解放して正解だった〜…

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

始祖の宮殿を後にしながら、藍染は半ば上機嫌でハリベルへと話しかけた。

 

「とても有意義な時間を過ごせた。有難うハリベル。」

 

「いえ、勿体ないお言葉です。

私としても、彼女が味方になってくれるならこれほど心強い事はありません。」

 

「まああの実力なら十刃入りは確定やろなあ。はて、誰が抜けるんやろ。」

 

十刃に選ばれる基準は『殺戮能力の高さ』に比例する。

ジェーン・ドゥの帰刃を垣間見た4人はその圧倒的な制圧力と攻撃性に感心していた。藍染は既にその頭脳をフル回転させ、彼女をどう利用するかを思案している。

 

「(彼女の帰刃は強力だ。

他の破面とは一線を画す固有能力、霊圧、更には()()()()()()()()()()()()()()()()()…これも始祖の虚たる所以なのか、それとも…どちらにせよ、彼女は優秀な駒に他ならない。重宝させて貰うよ…)」

 

そう考え内心ほくそ笑む。

実際の所、適正距離を維持した彼女1人居れば護廷十三隊など取るに足らず、あの山本元柳斎重國すら互角以上に相手取れるだろうと確信していた。

更に素の戦闘力も並ではない。油断していたとはいえ、藍染達が全く反応出来ずに頬を叩かれたのだ。その事実が彼女の力を証明している。

…正直かなり痛かった。

初めての人型に慣れていないようだったし、死神の基礎、斬拳走鬼を覚えさせて更なる成長を促しても良いかもしれない。

 

しかし、彼女の能力上おいそれと戦線に投入するわけにもいかない。それ程味方にとっても敵にとっても危険な力を彼女は有している。

 

「僕に御しきれるかどうか、腕が鳴るね…」

 

「藍染隊長、なんや上機嫌ですねえ。」

 

「ふふ、分かるかい。ギン。」

 

だが彼は知らなかった。あのマッドサイエンティスト、ザエルアポロ・グランツをして「頭のネジが外れたイカレ女」と言わしめる最狂の虚、ジェーン・ドゥの性格を。

 

後に彼女が引き起こす様々な厄介事に胃を悩ませる未来、それを知る由もないまま、藍染惣右介は予想外だった戦力強化の喜びに少しだけ酔いしれていた。

 

 

「この戦い、我々の勝利だ…!」

 

「なんでやろな、藍染隊長がそれ言うと良くない事が起きそうな気ぃするんやけど…」

 

「……そうかい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜その頃のジェーン邸~~~

 

 

 

 

「のあああああああハリベルのおっぱい揉むの忘れてたああああああ損したァァァァァッ!!」

 

そこには部屋着でカーペットをのたうち回る始祖の虚がいた。

 







破面大百科~外伝〜

ギン「なんやこのコーナー久しぶりやなあ、今日は《始祖》について解説するで。」

ギン「始祖とは虚圏創世期から生き永らえる始まりの虚や。そうは言うても世界の始まりから存在した虚とか、ボクに伝えられる事も限りあるし、にわかには信じられへんけどなあ。」

ジェーン「はいはい!そこで私が昔の虚圏を解説するよ!」

ギン「おっ、ジェーンちゃん。ええタイミングやな、頼むわあ。」

ジェーン「昔の虚圏は今と変わらず…ていうか今以上になーんもなかったんだ。無限に続く白い砂漠、輝くお月様、虚もトカゲとか虫みたいにちっちゃいのしか居なかったからね。お腹がすいて困っちゃうよ。」

ギン「へぇー、そうなんや。アラ?でもそない昔から生きとる言うことは、ジェーンちゃん一体今何さ「燕返しッ(ビンタ)!!」バブォフアッ!?」ガクッ

ジェーン「あらやだ、市丸君ったら寝ちゃったみたい。もーしょーがないなー、パーソナリティが突然の死を迎えちゃったから今日はここまで。またね、バイバーイ!」



東仙「……なんだこのコーナーは………続かないぞ?本当だぞ?」



つつつ

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