超能力青年 ウ☆ホンフー   作:変わり身
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18話 安心して、希望を持って下さいね

――自然公園の中央。

小高い丘の上に展開したその魔女の結界は、酷く異質な世界であった。

 

 

「……何、ここ?」

 

 

魔法少女の装いとなり結界内部に降り立ったさやかが、眉を顰めてそう呟いた。

 

彼女の目前に広がるのは、無数の光の筋だった。

空や地面、山や建物。世界に広がる全ての景色が機械基盤のようなパネルによって組み上げられており、その表面に絶えず光が流れているのだ。

 

上を見れば赤いランプと青い線。下を見れば、銀の導体と緑の光。遠くにも多彩な色の光が瞬き、時折ピコピコといった電子音のようなものまで聞こえてくる。

どこかアンティーク調の雰囲気を持ったこれまでの魔女の結界とは違い、ある種近未来的な風景を見せるこの世界に、妙な違和感を感じざるを得なかった。

 

 

「うーん、機械の中って感じ? あっちこっちチカチカしてるけど、何だろ……」

 

「……多分、居場所を誤魔化してやがるんだ。魔力の探知、出来るかい?」

 

「え? あ……ダメだ、よく分かんない」

 

 

共に降り立った杏子の言葉に従い集中してみるが、上手く魔力感知が行えない。

周囲に存在する光全てに魔力反応があり、精密に狙いを絞る事が出来ないのだ。

 

以前遭遇した時計塔の魔女の鐘を思い出し、さやかの顔に苦いものが混じった。

 

 

「またジャミングかぁ……やめて欲しいな、こういうの」

 

「どっちかと言やデコイって感じだが……ま、ある程度大本に近づきゃ判別付くだろ。行くよ」

 

「あ、ちょっと待ちなさいって!」

 

 

杏子はそう鼻を鳴らすと迷いなく結界の奥へ進み始め、慌ててさやかも後を追う。

基盤を叩くヒールの音が二人分、いやにはっきりと響いた。

 

 

「……見えてる範囲には、使い魔の気配は無いよね?」

 

「油断すんなよ。もしかしたら、遠くに見える光の内のどれかがそうかもしれない」

 

「え」

 

 

言われて、彼方に目を凝らす。

 

しかし大小様々な光の群れはそれぞれが明滅を繰り返し、さやかにはそれらの違いを見分ける事は出来そうになかった。

それどころか発光の残像が視界に強く焼き付き、堪らずぎゅっと瞼を押さえる。

 

 

「くおぉ……目がシッブい……!」

 

「目ぇ開けて歩きな、転んだら置いてくからね」

 

 

とはいえ、杏子も騒がしい視界に辟易としているようだ。

苛つきを隠さず目を眇め、眉間にシワを寄せている。強く睨まれているように感じ、若干さやかの腰が引く。

 

そうして暫くそのまま歩き続けるものの、魔女は勿論使い魔の姿も見当たらなかった。

周囲の光は変わらず流れ、彼方の光も近づいてくる様子は無い。未だ見えぬ敵の影に、どんよりとした不安が嵩んだ。

 

 

「……なぁ、あんた。さっき、何言おうとしてたんだい」

 

「へ?」

 

 

そんな淀んだ空気の中、先を行く杏子が振り向かぬままそう声を投げかけた。

 

 

「結界に入る前、何か言いかけてたろ。魔女が出てきて流れたけどさ」

 

「あ、あぁ……あれ」

 

 

自分の為に願っておけばよかった――つい先程、詳細不明の表情で杏子が告げたその言葉。

それに何某かを返そうとしていた事は、当然さやかも覚えていた。しかし。

 

 

「やー……あたしにも分かんない、かな」

 

「あ?」

 

「い、いやほら、フィーリングってあるじゃん!? あの時は勢いで出てきそうなコトあったけど、今は出てこないっていうかさ……!」

 

「……ハッ。何だよ、そりゃ」

 

 

訝しげな声音に慌てて言い訳すれば、杏子は軽く笑って首を振る。

何か困ったものを見るような、呆れ混じりの優しい目だ。

 

 

「ま、いいさ。別に何を言い合って聞かせたいって訳でもなし。さっきも勢いで適当言っただけだしね。フィーリングだっけ?」

 

「う、うっさいな。流してよそこは」

 

 

気恥ずかしげに返しつつ、先の杏子が脳裏に浮かぶ。正確には、その瞳にあった不思議な色を。

 

……彼女自身は適当だと言ったが、きっと伝えたかった何かがあったのだろう。

さやかはそう確信したものの、今更問い質す言葉は出てこない。機は完全に逸しているのだ。

故に何も尋ねず。ただ溜息と共に呟いた。

 

 

「……まぁ、覚えとくよ」

 

「あん? 何を」

 

「あたしについて、あんたが何かを思ってたって事。分かんないは分かんないけど、なんだろなーって考えるくらいは……しとく」

 

「……あ、そ」

 

 

それは呆れか、或いは他の感情か。

さやかには判断がつかなかったが、少なくとも彼女の声音に悪い印象はなかった。

 

そして、それきり自然と言葉は途絶え。どことなく擽ったさの感じる空気が続き――唐突に、杏子が長槍を構えた。

 

 

「うえぇ!? ちょ、何いきなり怒ってん――」

 

「ちげーよ。分かんだろ、使い魔だ!」

 

 

その怒声に慌てて周囲をよく探れば、確かに異質な気配があった。

景色に流れる無数の光とは僅かに違う、澱んだ魔力。それらは二人を囲むように近づいて来ているようだ。

 

さやかも慌てて刀剣を構えると、未だ視界にかからぬ敵を待つ。

 

 

「あっぶなー……景色も反応もチカチカで分かんなかった……!」

 

「もうちょっと集中しな。よく見て、よく考えないと長生きできないよ」

 

「これ見よがしに先輩風を――、っ!」

 

 

互いに軽口を投げ合う中、けたたましい電子音がさやかの鼓膜を揺らす。

 

咄嗟にそれの聞こえた方角へ刃を振れば、数本の棒のような何かを弾き、基盤の地面へと叩きつける。

甲高い音と共にバウンドしたそれは、しかし明らかに不自然な挙動で持ってある一点に跳ね返り。そこに立つ細長い物体と合体し、組み上がる。

 

――それは、中心に線の入った逆三角形のランプであった。

その下部からは細い胴体が生え、先程飛来した棒が三本、手足代わりに付いている。

 

……さやかは、それに既視感があった。常日頃頻繁に目にする、日常に深く埋め込まれているその形――。

 

 

「……け、携帯電話のアンテナマーク……?」

 

「呆けてんな! 行くよっ――!」

 

 

叫び、杏子が地を蹴った。

 

それに呼応し、物陰よりアンテナマークの使い魔が大量に姿を表し、一歩遅れてさやかも突貫。

光と電子音の飛び交う世界の中に、新たに戦闘による光と音が加わった。

 

 

 

 

 

 

(これで、この辺りは全部……)

 

 

杏子達が突入した魔女の結界。

それより遠く離れた街角で、暁美ほむらは構えていたレーザー銃をゆっくりと下ろした。

 

その足元には一つのグリーフシードが転がっており、無造作に拾い上げるとレーザー銃とまとめて盾の中へと放り込む。

今しがた、魔女を一体屠った所だ。

 

 

(まったく、忌々しい程に勤勉ね。あの獣は)

 

 

苛立ち紛れに溜息を吐き、長い黒髪を掻き上げる。

 

姿を表さなくなって久しいインキュベーターであるが、見滝原での暗躍は未だ続けられていた。

どこから魔女を集め、誘導し。まどかを魔法少女とするため、毎日のように彼女の生活圏内を脅かしているのだ。

 

特に今はバッドエンドの件もあり、最寄りのターゲット足り得るほむら達魔法少女三人は、まどかと共に居る事が難しい状態にある。

普段は常に一緒であったさやかもそれは分かっているのか、現状まどかから離れており、常以上に気を張る必要があった。

 

 

(公園の方にも、魔女が出たみたいだけれど……)

 

 

ちらりと、先程魔力の出現反応があった方角を見る。

 

どうやら、また新しく魔女が出現しているようだが――少し前に、その結界へ突入する2つの魔力反応も感知していた。

火と水を思わせる対象的な質のそれらは、言わずもかな杏子とさやかの放つものだ。ほむらは彼女達に加勢するべきか、寸瞬考え。

 

 

(いえ、必要ないわね)

 

 

すぐにそう思い直し、向けていた意識を外した。

 

こと戦闘面に関しては、杏子の実力はあの巴マミをも凌ぐ程だ。経験の浅いさやかのフォローに回る事も多少あるだろうが、彼女が居れば魔女を倒しそびれる事はまず無いだろう。

それは今までの経験から裏打ちされた確信であると同時、信頼でもあった。

 

そうして、ほむらはそれきり公園に現れた魔女を気にかける事もなく、静かにその身を翻す。

魔女を一体二体倒した程度では、まだ安心は出来ない。己が離れている間に、まどかへ新たな魔女をけしかけられてはたまらない。取り急ぎ、彼女周辺の警戒に戻らねばならなかった。

 

 

(……インキュベーターがまどかに近づけないのは良いけれど、これはこれで気疲れするわね)

 

 

せめてバッドエンドの件が無ければ……とは思うが、彼の出現がインキュベーターの枷となっている部分もあり、どうにも複雑だ。

ほむらは憎々しげな溜息を一つ残すと、移動時間のロスを省く為、盾に手をかけ時を止め――

 

 

「――……、?」

 

 

盾の、端。内蔵された砂時計を覆う金属部分に、白く見える何かが映り込んでいた。

 

大きさは人間の拳程度だろうか。反射の角度的に、その何かはすぐ背後にある電灯に張り付いているようだ。

 

……まさか、インキュベーターが隠れそこなっているという訳ではあるまいな。

眉を顰めたほむらは、そのまま盾の機構を作動させつつ、何気なく電灯へ振り返り、

 

 

「――っ!?」

 

 

――そこにあったものを認めた瞬間、軽く息を呑んだ。

 

目に飛び込むのは、金属の銀。空から注ぐ陽光の反射を、白と錯覚していたのだ。

そして丸みを帯びた小さな胴と幾本もの細い足を持っており、頭部に輝く無機質なレンズがほむらの姿をハッキリと映し込んでいる。

 

敢えて表現するならば、それは。

 

 

「……機械の、クモ――……、っ!?」

 

 

首を傾げかけ、思い出す。

己の盾の中に眠る『TX及びクモ強奪計画』。今目の前にあるクモは、そこに記載されていた図と非常によく似ていた。

 

――つまりは、遠隔操作型の爆弾。ほむらの全身が総毛立ち、時が停止している事も忘れ反射的にクモから距離を取った

 

 

(何故こんな物がここに――違う、そんなの決まっている)

 

 

……レジスタンスによる『TX及びクモ強奪計画』は、果たされる事無く潰えたのだ。

となれば今このクモを持ち、そして操っている存在は、最早考えるまでもなく。

 

 

(――私達はもう、バッドエンドに見つかっていた……!)

 

 

繋がった。

奴は今、山奥にある例の実験施設に居る。何故そんな場所に居るのか分からなかったが――理由は、これだ。

 

……上条恭介、或いは美樹さやかの情報から辿ったのか、それとも無作為に放たれたものに偶然かかっただけなのか。いずれにしろ、発見されている事実に違いは無い。

予想以上に早く事態が進んでいる事に、焦燥だけがただ募り。

 

 

(だけど、なぜ何もして来なかった? チャンスは幾らでもあった筈……)

 

 

クモを付けられているのが己だけとは思えない。当然、さやか達にも放たれていると見るべきだ。

なのに、今まで誰が欠ける事も無く、無事だ。監視はされているのだろうが、接触も爆殺もされていない。

 

何か思惑があるのか。それとも、それが出来ない理由があるのか。止まった時の中、ほむらは静かに思考して。

 

 

(……いいえ、考えるのは後。それよりも、今は)

 

 

しかし、納得できる答えを出すには情報が足りず、疑問をひとまず横へ置く。

 

そして軽く深呼吸し――徐に、目先にあるクモに対して魔力を放つ。ほむらの得意とする、機械操作の魔法だ。

 

短絡的にクモを破壊すれば、バッドエンドがどのような行動をするか分からない。かといって、放置する訳にも行かない。

だが、クモ自体を支配してしまえば、バッドエンドを刺激すること無く無効化が可能なのだ。成功すれば動作不良を装い監視の目を逸らす事や、起爆の阻止も出来るだろう。

 

……とはいえ、ほむらには『TX』の支配に失敗している過去がある。率直に言って、あまり期待はしていなかったのだが――。

 

 

(……? これは、支配できるのね)

 

 

が。ほむらの懸念とは裏腹に、クモは至極あっさりと彼女の支配下へと落ちた。

クモの全身を紫の魔力が包み込み、今や一声かければ自爆すらさせられる状態だ。

 

……同じジャジメント製だろうに、『TX』と何が違うのか。

どうにも腑に落ちないほむらであったが、支配できるのならばそれに越した事はない。気を取り直し、機械操作の魔法をより広い範囲へと拡散させる。

 

膜を張るように、隙間なく。これで、他に潜んでいる筈のクモも一網打尽だ――そう、思っていたのだが。

 

 

(反応が、無い……?)

 

 

困惑に眉が寄る。

半径数十メートル。少なくとも、ほむらの周囲には他のクモは潜んでいないようだった。

 

何度精査しようとも、相対する一匹しかクモの存在は感知できない。

そこら中到る場所に潜み、絶えず監視されていると覚悟していたほむらにとって、肩透かしも良い所だ。

 

 

(まさか、他の個体は全て魔避けのステルス機能付き……なんて事は無いでしょうけれど)

 

 

その辺りまで警戒してはキリがない。

ほむらは、ひとまずは近くに居るクモは一匹のみであると仮定し、それを元に動くと決める。

 

そうして時を止める直前に居た位置に戻ると――同じく時を止める直前に取っていた姿勢を寸分違わず再現し、盾の砂時計を動かした。

 

長くこの魔法と付き合っていれば、こうした場合の取り繕い方も否応なく熟練する。

クモのレンズに映る世界は違和なく繋がり、バッドエンドにこちらの察知を悟らせなかった……その筈だ。

 

 

「……早く、戻らないと」

 

 

時が動き出し、色づいた世界の中で。

ほむらは敢えて聞かせるように呟くと、魔法で強化した身体能力で持って付近の建物を駆け上がり、空へと跳んだ。

 

同時にクモの動きに注視したが、流石に追いつく事は出来ないらしく、電灯の側から動く様子は無かった。

暫く観察してもそれは変わらず、途中で機械操作の魔法を周囲に展開しても、新たなクモは現れず。ひとまずは撒いたであろう事を確信し、ほむらはほぅと息を吐いた。

 

 

(この程度で引き離せるのならば、絶えずストーキングされている訳ではない? ポイントを定めての監視か、それとも……)

 

 

新たな疑問が湧き出すが、それも後だと首を振り。

まずは杏子にクモの件を知らせるべく、テレパシーを繋ごうと試みた……が。

 

 

(……駄目ね。ノイズが激しすぎる)

 

 

どうやら、魔女の魔力によりコンタクトを阻害されているらしい

杏子だけではなくさやかからも返事は無く、小さく舌打ちをする。

 

 

 

(討伐が終わるのを待つしかない、か……)

 

 

杏子達へ危機を伝えに行っている隙に、まどかに何かがあれば本末転倒だ。

安全を期すのならば、下手に動かずテレパシーが可能となるまで待つべきだろう。

 

ほむらはそう結論付けると、クモの存在に注意を払いつつ、通学路の方面に向け空を駆ける。

 

 

「――……」

 

 

……その、間際。僅かに公園を盗み見て。

鉄面皮の下、ほむらは小さく唇を噛み締めた。

 

 

 

 

 

 

――視界一面に、無数のアンテナが立っていた。

 

 

「うわっ――とぉ!」

 

 

眼前。空を裂き迫る棒のような物を咄嗟に弾き飛ばし、さやかは鍔裏のトリガーを引き絞る。

 

すると即座に刀剣の刃先が射出され、先の攻撃に乗じ不意を突こうとしていたアンテナマークの使い魔を貫き、爆散。

ちぎれた棒のような物――使い魔の手足が周囲に撒き散らされ、数体の使いを巻き込み吹き飛んで行った。

 

全方位、見える範囲は全て敵。さやか達は、そのような状況に陥っていた。

 

 

「ああもう、うじゃうじゃ鬱陶しい! どんだけ出てくんのよこいつら!」

 

 

そうして大きな隙を晒した使い魔達に、続けて刃先を打ち込み文字通り止めを刺して。

しかしそれでも減ったように見えない敵の数に、さやかはうんざりとした声を上げた。

 

先程接敵してからこちら、既に数十体以上の使い魔を屠っている。にも関わらず、後から新たなアンテナマークが現れるのだ。

背中側で戦う杏子も、言葉にはしないが辟易としているようだ。乱雑に槍を振り回し手近な使い魔を屠ると、苛立ち混じりに唾を吐く。

 

 

「……どうやら、連絡役が居るみたいだよ。見な」

 

「へ?」

 

 

そう言って杏子が指差した先には、一匹の使い魔が何やらこそこそと妙な動きをしていた。

 

よく見ればその使い魔は携帯電話を持っており、棒の手足を器用に操り何処かへと連絡を取っているようだ。

そうして頭部のランプから稲妻型の電波マークが何処かへと飛び、その方向からまた使い魔の群れが現れる。結界中の仲間をこの場へと呼び寄せているのだ。

 

 

「いやアンテナ自体が電話使うって意味不明でしょ!?」

 

「はン、あいつらに人間の理屈が通じるかってーのッ!」

 

 

無造作に杏子が投擲する長槍が連絡役の使い魔を貫き、電話共々破壊する。

しかし、次の瞬間には使い魔の群れの中から新たな電波マークが飛び始め、何処かへの連絡は途切れず続いているようだ。

 

 

「くそ、これじゃあキリねーな……!」

 

「あんたの魔法でどうにかなんないの!? 幻覚で動き止めたりとかさ」

 

「……チッ!」

 

 

遅い来る使い魔を切り捨てながらの問いかけに、杏子は不機嫌そうに舌打ち一つ。

そして、丁度飛びかかってきた使い魔を鷲掴むと、魔力の乗った視線で睨みつける。幻惑魔法の暗示により、その体の自由を奪ったのだ。

 

その行動の意図を掴みかねたさやか疑問を発する前に、杏子は金縛りにした使い魔を思い切り投げ飛ばし――直後、電波マークが使い魔の脳天へと降り落ちた。

 

 

「……は?」

 

 

さやかの呆けた声が響く中、使い魔はビリビリとコミカルな電撃エフェクトを迸らせ、地面に墜落。

しかしその身体には傷一つ無く、すぐに立ち上がると今度はさやかへ突貫する。

 

無論、すぐに刀剣の錆となったが――その動きには、杏子の暗示の影響など微塵も感じられなかった。

 

 

「えぇ……何、今の」

 

「見たろ。あの電波、連絡だけじゃなくあたしの魔法も解きやがるのさ。多分、命令か何かを受信して、暗示を上書きしてんだ」

 

 

これ以上無くアンテナしてるよ、あいつら。杏子は苦々しげにそう言い捨てた。

 

 

「そ、そんな事出来んの?」

 

「実際やられてんだから出来るんだろ。幾ら幻惑に落としても、これじゃイタチごっこにしかならねー」

 

「でもちょっとの間は動き止められるんでしょ? それに分身だって……」

 

「魔力は無限じゃねーって分かってんだろ! こんだけの数に暗示だの分身だの盛大に使ってたら、すぐにガス欠になっちまう――よッ!」

 

 

言葉の途中、杏子は襲いかかってきた使い魔を瞬時に屠ると、長槍を多節棍へと変形。

そのまま大きく振り回し、電波マークの発信元を勢いよく叩き潰す。地面たる基盤が砕け、ランプの欠片が宙を舞った。

 

……しかし、すぐに別の場所から新たな電波が飛び出した。それを見た杏子は心底腹立たしそうに石突で地を叩き、単身使い魔の群れへと向かっていく。

 

 

「あ、ちょっと!?」

 

「そっちはそっちで戦っときな! 少しでも数減らさないと押し潰されちまうよ!」

 

「わ、分かってるわよ!」

 

 

さやかはその怒気に若干腰が引けつつも、彼女と同じく自身の戦いへと戻る。

 

いつの間にか近寄っていた使い魔を振り向きざまに切り捨て、死骸を足場に跳躍。

空中で生み出した無数の刀剣を流星群のごとく降り落とし、使い魔の群れの中で爆破。それなりの数を巻き込むも――後から新たな群れが現れ、欠員を補充した。

 

 

(……やっぱ、ケータイ持ってる奴を優先して叩くべきなんだろうけど)

 

 

先の話を胸に留めつつ、一世代前の携帯電話を持つ個体を狙い、切る。

しかし、やはり根本を断つには至らない。その個体が倒れた瞬間、また新たな個体がどこからか携帯電話を取り出すのだ。

 

 

(そうだ、いっそ電波の飛んでく方向に行ってみれば魔女の所に……いや、うーん……?)

 

 

そう思い電波マークの飛び去る方向を観察するも、それぞれが思い思いの方向に飛び交っており、とてもではないが一処に集っているとは思えない。

一体どれが魔女の下に飛んでいるのか。さやかには、判別がつかなかった。

 

 

「……ねぇ! もしかしてこれ一旦仕切り直した方が良くない!? 何か作戦立てないと無理そうなんだけど!」

 

「だから同じ事考えてんじゃねーよ! あたしもバカっぽく見えるだろうが!」

 

 

どうやら、杏子も今まさに同じ考えをしていたらしい。

あまりの言い草にさやかが抗議する前に、杏子の多節棍が大きくうねり、刃の竜巻を生み出した。

 

それは使い魔だけではなく、地面やそこに走る光の筋をも細かく削り、切り刻み。風の渦に巻き込んで、即席の煙幕として広い範囲へ撒き散らす。

使い魔の肉片と、砕けた基盤の粉塵。そして撹拌された魔力の光が、その場に居た者全ての視界と感知能力を一時的に奪い取った。

 

 

「なっ……うわぁっ!?」

 

 

当然、さやかも堪らずマントで顔を覆い――瞬間、腕を強く引っ張られた。

煙幕に紛れ走り寄っていた杏子が、さやかを引きずりこの場からの離脱を図ったのだ。

 

 

「そら、今のうちだ! ぼーっとしてないで走れ!」

 

「ぺっ、げほっ……後で覚えてなさいよ、色々……!」

 

 

口に入ったアンテナの欠片を吐き出し、恨みがましい目を向けて。

さやかは杏子の手を振り払うと、その背を追って煙幕の中を駆け抜ける。

 

使い魔達は混乱しているようで、追いすがる様子は無かった。

アンテナマークの隙間を潜り、時には頭部のランプを踏み越え、砕き。そうして、少しでも敵の少ない方向へとひた走り――。

 

 

「――くそッ! やっぱ、そう上手くはいかねーか……!」

 

 

しかし、すぐに足が止まる。

既に連絡が回っていたのだろう。煙幕を抜けた先には新たな使い魔達が集い始めており、二人の行く先を塞いでいるのだ。

 

咄嗟に他の退路を探すものの、目に付く先からアンテナマークが立っていく。

 

 

「ど、どうすんのよ! このままだと数に嬲り殺されるルートじゃん!?」

 

「中々死なないあんた向きの展開だろ、丁度いいし囮やれ」

 

「誰がするかッ!? あんたこそ分身できる癖に何言って――、っ!?」

 

 

背後から襲いかかってきた使い魔を躱しつつ、さやかは杏子と背中合わせに刃を構える。

前方、後方。二人の目に映る景色に、そう差異は無かった。

 

 

「……どうにも、囮に手を割く暇すら無さそうだよ。良かったね」

 

「これじゃ囮やるのと変わんないっつーの!」

 

 

さやかはヤケクソ気味に叫びつつ。がむしゃらに刀剣を投げつけ、すぐに爆破。

同時に背後で杏子が多節棍を振り回しており、使い魔達のおぞましい断末魔が響く。

 

互いに振り向きもせず、前方の敵だけを見つめ刃を振るう。単に襲い来る目前の敵に対処していただけではあったが、背を預け合う構図にはなっていた。

 

 

「ほんと、どんだけ使い魔飼ってんのよ! ここの魔女……!」

 

「ま、棒を四本組むだけだからね! 作るのも簡単なんだろ!」

 

「結界の主ってんなら、こんな手抜き使い魔ばっかり寄越してないで自分でもてなせッ!」

 

「ハン! 魔女ごときがそんな気の利く事――……」

 

 

はた、と。唐突に杏子が黙り、考え込む様子を見せた。

使い魔達はすかさずその隙を突き、杏子の元に手足のアンテナが殺到し――慌てて割って入ったさやかが、その尽くを弾き落とす。

 

 

「ちょ……! 人にあんだけ言っといて何ボーッとしてんのよ!?」

 

「……チッ。あんた発ってのは気に入らないが、やってみる価値はあるか」

 

「お礼もナシかい……ていうか、何の話?」

 

 

怪訝な表情をするさやかに、杏子は鼻を一つ鳴らした。

そして使い魔の群れに紛れている、携帯電話を持った個体をじろりと睨み。

 

 

「――あんたの言う通り、主自らオモテナシして貰おうって話さ」

 

 

鋭く細められたその瞳に、赤い魔力が渦巻いた。

 

 

 

 

 

 

――結界の中心部。

 

ゆっくりと瞬く無数のランプに照らされながら、その物体は穏やかに宙を漂っていた。

 

 

「ロロマロロ、ロロンロロ……」

 

 

それは、酷く歪な造形をした魔女だった。

 

まるで複雑に絡み合った電源コードのような、細く黒い紐の集合体。

ギチギチと音が立つ程にきつく寄り集まったそれらは、ともすれば膝を抱えた人の形を成しているようにも見えるだろう。

 

――偽人の魔女。ある魔法少女は、その魔女をそう呼んでいた。

 

 

「ロマロロンロ……ロロロロ……」

 

 

頭や四肢、その先端から垂れる多種多様の紐先(差込プラグ)を揺らしつつ、魔女は鳴き声ともつかない異音を発する。

偽人の魔女と、その配下たるアンテナマークの使い魔にしか理解できない、異質な言語だ。

 

同時に差込プラグを翳し、魔力を稲妻の形に固めたものを――電波マークを放射する。

それは魔女と使い魔の間にのみ成立する連絡手段。今しがた発した言葉を絶対遵守の命令電波と変えて、結界中に放っているのだ。

 

 

「ロ――」

 

 

徐に、有り余る差込プラグの一つを基盤の地面に突き立て、魔力を流した。

 

すると即座に基盤が盛り上がり、幾つものアンテナが生え揃う。

それらはひとりでに地より抜け出すと、それぞれ手近にあったランプを身体に突き刺し己の頭部と変え、適当なアンテナ三つを胴に組み付けた。新たな使い魔達の完成である。

 

そうして彼らは生まれた側から走り出し、何処かへと散っていく。向かう先は結界の端、今まさに使い魔達が消費され続けている戦場だ。

 

 

――現在、偽人の魔女の結界は、敵による襲撃を受けていた。

 

 

敵――つまりは、魔女にとっての定められた宿敵たる、薄汚い魔法少女達。

無断で庭を荒らす彼女達に対し、偽人の魔女も応戦。大量の使い魔達に指示を出し、撃退に当たらせているのだ。

 

少ない魔力で生み出せる使い魔を主軸とした物量戦は、偽人の魔女の得意とする所であった。

使い魔からの戦況報告では、今回もその戦法により優位に立ち回れているようだ。このまま順調に推移すれば、問題なく魔法少女達を打ち取れる事だろう。

 

魔法少女の死体は、一般人のそれより味が良い。偽人の魔女は舌舐めずりの代わりか、上機嫌にプラグを揺らし――。

 

 

「――……!」

 

 

ふと、遠くに何かが見えた。

空中を滑るように流れるそれは、チカチカと瞬く電波マーク。魔法少女と交戦中の使い魔からの連絡だ。

 

どうやら、戦況に動きがあったらしい。魔女は差込プラグから電波を吸収すると、それに込められた言葉を咀嚼する。

 

 

「――??――??」

 

 

しかし、使い魔の連絡を把握した瞬間。偽人の魔女の首がぎしりと傾き、紐の身体が大きくたわむ。

 

 

――主の救援を求む。

 

 

受け取ったのは、そんな簡素な一言だった。

余計な情報の付随しない、これ以上無く分かりやすい報告ではあったが――だからこそ、意図が読めない。

 

少し前、偽人の魔女が受け取った連絡では、戦況は優勢であった筈だ。なのに、何故助けを求める事態になっているのか。

 

 

「――……」

 

 

同じ場所に居る他の個体からも情報を募るが、そちらには変化は無い。相も変わらず、戦況は優勢だと伝えてくるだけだ。

つまりは、この一体だけが全く違う情報を送っているという事に他ならない。

 

……低コストで産み出す使い魔に知能や思考能力はほぼ無く、それ故に嘘や見間違いとは無縁である。

起きたことをそのまま伝えてくる以上、何かがあった事には間違い無いだろう。

 

偽人の魔女はそう結論付けると、ゆっくりと差込プラグを持ち上げる。

背中側の紐が緩み、まるで翼のごとく広げられ――自身の頭上。その空間そのものに、深く深く突き刺した。

 

 

「ロロロロ、ロロロロ……」

 

 

プラグの先端が溶けるように消え、魔女の結界と同化する。空間を歪め、戦場への道を創り出すのだ。

 

無論、直接姿を現す訳では無く、のぞき穴程度の小さな道だ。

気になったからと言って安易に魔法少女達の前に姿を現す程、偽人の魔女は考えなしではなかった。

 

バチバチと、プラグから迸る電流が結界を小さな円形に切り取り、戦場の一角へと空間を繋げる。

翼の形に緩んだ紐に、頭上で輝く円の電流。それは端から見れば魔女ではなく、翼を広げた天使の姿を象っていた。

 

 

「――ン……」

 

 

そうして、のぞき穴たる円の向こうに浮かぶ、結界端の景色を見上げる。

 

極めて明瞭に映し出されたそこでは、やはり魔法少女との戦いが続いているようだ。

視認できる範囲では、青を基調とした装束の魔法少女が見苦しく飛び跳ね使い魔達を屠っており、砕けたアンテナが絶え間なく宙を舞っている。

 

とはいえ、やはり数の差は大きいらしい。偽人の魔女の目には、その奮闘は数に飲み込まれんと水際で耐える、みっともない悪あがきにしか映らなかった。

 

……やはり、優勢ではないか。

現状、この戦いに己の助けが必要だとは到底思えず、偽人の魔女の首が一層たわむ。

 

そして救援を求めた件の使い魔を探し、魔女は戦場を見回すように、ゆっくりと円に映る景色を動かし――。

 

 

「――ここ、かッ……!」

 

 

――唐突に。円の外側より、人間の手指が差し込まれた。

 

 

「!?!?」

 

 

驚き、思わず身を反らす。

その隙に指は円の縁をしっかりと掴むと、電流に肉を焼かれる事を気にも留めず、強引に円を拡張し始めた。

 

空間が甲高い音を立て、大きく深くヒビが割れ。魔女の周囲には、その負荷による衝撃波すら巻き起こる。

偽人の魔女は慌ててプラグを引き抜き、空間の繋がりを絶とうとした――その間際。

 

 

「捉えた――!!」

 

 

……一際大きな叫びと共に、円の向こうに真っ赤に燃える赫怒を見た。

 

それがもう一人の侵入者――赤い装束の魔法少女の瞳だと気付いた時には、既に遅く。

 

魔女の意識は身体の自由と共に、幻惑の闇間に吹き飛んで行った――。

 

 

 

 

 

 

「出――ッろぉぉぉおおおおおおッ!!」

 

 

――絶叫。

 

杏子の腕が空中に浮かぶ電流の円を裂き広げ、その内部より人の形に絡まり合った紐の塊を強引に引きずり出した。

 

おそらくは、それこそがこの結界の魔女なのだろう。

杏子は電流に焼かれ炭化する腕に苦悶の表情を浮かべながらも、しかし決して手は離さず。その巨躯を思い切り己の背後へ投げ飛ばす。

 

大きな紐の塊が幾度も地面を跳ね飛び、転がり。下敷きとなった使い魔の断末魔が、幾重にも重なった。

 

 

――杏子が行った作戦は、至極単純なものだった。

 

 

携帯電話を持つ使い魔に暗示をかけ、魔女を杏子達の戦うこの場に呼び出してもらう。たったそれだけ。

 

例えすぐに暗示を解かれようとも、その前に連絡の電波マークが飛べばそれで良し。

後は魔女が連絡に応え、姿を表してくれる事を祈っていたのだが――どうにか策は成ったようだ。

 

数の減らない使い魔相手に疲労が隠せなくなった頃。杏子達の前に現れたのは、魔女の開けたのぞき穴という小さなチャンス。

 

無論、それを見逃す杏子ではない。即座に電流の円に飛びつくと、その向こうでこちらを観察していた魔女に暗示を行使。

意識を奪い逃亡の隙すら与えず、無理矢理に戦いの場へと誘ったのである。……少々、乱暴な方法ではあったが。

 

 

「チッ! 無茶しすぎた……けどッ!!」

 

 

そうしてようやく現れた敵の親玉に向かい、魔法で産み出した十三の分身が突貫する。

 

意識を奪いはしたものの、余裕がない状態での暗示だった為あまり深い幻惑には落とせなかったのだ。

目を覚ます前に魔女を仕留めるべく、分身達は思い思いの斬撃を紐の身体に叩き込み――。

 

 

「――!?!! ! 、ロン、ロロマロ……!!」

 

「思った側から……! はえーんだよッ!」

 

 

直前、何処からか飛来した電波マークが魔女のプラグに吸い込まれ、その意識を覚醒させる。使い魔からのモーニングコールだ。

 

そしてすぐに状況を把握すると、咄嗟にプラグを掲げ十三の斬撃全てを受け止めた。

けたたましい音を立て刃と金属部分がかちあい、火花が踊る。

 

――だが。

 

 

「――オラァッ!!」

 

「!?!?」

 

 

直後、分身全てが自爆した。

 

強烈な爆風がプラグの紐を吹き飛ばし、魔女の身体が大きくたわむ。

きつく絡み合った紐が千々に切れ、風に煽られ弾け飛び。最早人の形すら保てず、その中身を外気に晒す。

 

――そうして解け落ちる紐の隙間に、リボンを付けた携帯電話が小さく見えた。

 

偽人の魔女。その核だ。

 

 

「ハ! 随分ちゃっちぃ心臓だねッ――!」

 

 

あれを砕けば片が付く――杏子は再び分身を呼び出すと、同じように突撃させた。

 

しかし、魔女も学習はしたようだ。何処からか湧き出したアンテナマークの使い魔が分身の進路を塞ぎ、動きを止める。

咄嗟に分身を自爆させ吹き飛ばすも、やはり使い魔の数は減らず。必死に主の姿を覆い隠そうと、壁の形に組み合い始めた。

 

 

(くそ、このまま逃したら面倒くせーぞ……!)

 

 

少なくとも、子分を上手く運用する程度の知能はある。同じ手には二度と引っかからないだろう。

 

そうなれば、後は物量に圧される展開に逆戻りだ。

杏子は舌打ちと共にまた十三の分身を送り込むと、自らも長槍を抱えて走り出す。

 

腕は未だ激痛を訴え、手指も禄に動かない。しかし杏子は歯を食いしばり、力の限り地を蹴って――。

 

 

「っ――――」

 

 

――瞬間、杏子の背に深々と刃が突き刺さる。

 

周囲のランプの光を映す、鋭い刀身。考えるまでもなく、さやかの刀剣から撃ち出された物だった。

 

 

(あのバカ、何処狙って――……、?)

 

 

瞬間的に頭に血が上るも、すぐに痛みが無い事に気がついた。

 

否、それどころか徐々に腕の痛みすらもが消えている。

手元を見れば、炭くずのようになっていた肉が徐々に再生し、元の姿へと戻っていた。

 

 

「……回復魔法――?」

 

 

僅かに首をひねり、さやかが戦っている筈の場所を見る――が、そこに彼女の姿は無い。

 

おそらく使い魔を捌き切れず、無様に押し潰されたのだろう。

大量に積み重なったアンテナの山から腕が生え、ぶんぶんと刀身の無い剣の柄を振っていた。状況の割には、意外と元気そうではある。

 

 

(……刀身に魔法込めて撃ち出したのか……? 器用っつーか、発想が物騒っつーか)

 

 

そもそも、こちらを慮れる状態では無いだろうに、よくこちらの怪我に気がついたものだ。

腕の完全治癒と同時、傷も残さず砕け散った背中の刃に失笑一つ。

 

しかしすぐに気を引き締めると改めて長槍を握り込み、躊躇う事無く突貫。分身を含めた十四の軌跡が魔女の元へと殺到する。

 

 

「――――!!」

 

 

――五つの爆炎が、群がる使い魔を吹き飛ばし。

 

――四つの刃が、アンテナの壁を切り分け。

 

――三つの旋風が、分解したそれらを散り散りに吹き飛ばし。

 

――そうして拓いた偽人の魔女への道を、残りの二人が突破する。

 

 

 

「ッッッ!?!?」

 

 

迫りくる死の影に、魔女は声にならない悲鳴を上げて。

千切れた紐を空間に溶かし込み、再び電流の円を作り出そうと試みるが――しかし。

 

 

「させるかってーの!!」

 

 

最後の分身が槍を地面に突き刺すと、無数の鎖が基盤を突き破り顕現。

別の空間へと逃亡を図る魔女を絡め取り、中空へ固定するように拘束した。

 

――最早、逃げる手立ては無し。そう笑みを浮かべる分身の髪を掠めて、巨大な槍刃が飛翔する。

 

 

「――盟神快槍(くがたち)ィッ!!」

 

 

最後に残った本体――杏子自身の突きと共に放たれたその一撃は、偽人の魔女の身体を貫き、砕き。

周囲一帯の使い魔をも巻き込み爆炎を上げ、その一切を灰燼と変えたのである――。

 

 

 

 

 

 

「あいたたたた……うわ、身体のあちこちに擦り傷ができてる……」

 

 

偽人の魔女を屠り、少し経ち。

主を失い消えゆく使い魔の山から這い出しながら、さやかは痛む身体に眉を顰めた。

 

その呑気な様子に、揺らぎ始めた結界の景色を眺めていた杏子は、呆れたように小さく笑う。

 

 

「……あんだけ群がられて、そんだけで済んでんのがすげーよ。逆に」

 

「さやかちゃんはタフな女の子なんでねー。それよりさ、ホントに終わったんだよね? これ」

 

「ああ、ほら」

 

 

そう言って掲げられた杏子の手には、真新しいグリーフシードが乗せられていた。偽人の魔女の物だ。

分かってはいたが、こうしてハッキリと倒した証を見るとようやく実感が湧いてくる。さやかは心底ホッとした様子で溜息を吐き、座り込む。

 

 

「はー、つっかれたー……暫くケータイ見る度ウッてなりそう」

 

「ま、いい経験にはなったろ。それよりも、手ぇ出しな」

 

「え? うわ、ちょっ」

 

 

ぽい、と。突然掲げられていたグリーフシードが放り投げられ、慌ててさやかが受け止める。

一回、二回と腕の中で跳ねさせ、やっとこさ握り込み。激しく動悸を繰り返す胸を抑えつつ、下手人の杏子を強く睨みつけた。

 

 

「あっ……ぶないなぁ!? 落として割れてまた出てきたらどうすんのよ!」

 

「そんな程度で割れるかって―の。いいから持っときな、今回の働き分さ」

 

「働きって……」

 

 

魔女を倒したのは杏子ではないか――そう口にする前に、彼女はこれ見よがしに腕をさする。つい先程まで炭化していた場所だ。

 

 

「……お礼、ってコト?」

 

「さぁね。まぁ――よく見て考えたじゃないか、とは言っとくよ」

 

 

杏子はそう呟きつつ、見下すような、しかしどこか温かみのある笑みを浮かべ、それきり話を打ち切った。

どうやら、突き返しても受け取る気は無さそうだ。

 

気勢が削がれ、何とも座りが悪くなったさやかは、目を逸らしついでにグリーフシードに視線を落とし。

いつもは不気味さしか感じられないその黒が、今に限っては妙に明るいものに見え――そうする内に、ふと思い出す。

 

 

「あー……そういえば、あんたに渡しそびれてたの、あったわ」

 

「あん? ……グリーフシード?」

 

 

そう言って懐から取り出したのは、先程渡されたものと同質の黒い陶器だ。

さやかは訝しげな表情をする杏子に苦笑すると、徐にそれを差し出した。

 

 

「ほら、時計塔の形した魔女のやつ。返したけど結局受け取んなかったじゃん」

 

「……ああ、あの刀に括り付けられてたやつか」

 

 

杏子が倒し、さやかが拾ったグリーフシード。

あの時はバッドエンドとの戦いで気が立っており、結局回収していなかった気がするが……再びさやかに回収されていたらしい。

 

 

「律儀だねぇ。いつ拾ったんだい、あの状況で」

 

「逃げる時につま先で……って、そんなのは良くてさ。で、えっと……いる?」

 

「は?」

 

 

返す為に取り出したのではないのか。首を傾げれば、言い訳がましく言葉が続く。

 

 

「あーいや、まぁあたしとしては返す気ではあるんだけどさ、その……受けとります? みたいな」

 

「…………」

 

 

あんたみたいな奴からの施しなんているかよ――。

 

……どうやら、当時に返却拒否された時の言葉を地味に引きずっているようだ。

おずおずといったその様子に、杏子は気まずげに後頭部を掻き、やがてひったくるようにグリーフシードを奪い取る。

 

――今は、受け取ってもいい。そう思えた。

 

 

「あ」

 

「……これでいいだろ。変にグジグジしてんじゃねーよ、気持ちわりぃ」

 

「……そんな言い方、無いじゃん」

 

 

と、俯きつつも、僅かに見えるさやかの表情に怒りは無い。むしろどこか嬉しそうな様子で、口元の笑みを隠しているようにも見えて。

……それが妙に気に食わず、杏子は舌打ちを鳴らしながら顔を背けた。

 

 

 

 

 

「……やっと、消えるか」

 

 

最早世界の体すら成せず、歪みきった姿を晒す結界に杏子の呟きが響く。

 

結界の各所に流れていた魔力光の影響か多少時間がかかったが、ようやく全て消え失せたようだ。

見る見る間にも歪な世界は薄れ、やがて元の現実世界――自然公園の光景が広がった。突然視界に日光が差し込み、その眩しさに目を細める。

 

 

「あー……太陽って落ち着くな―、やっぱ魔女の結界は精神削られますわぁ……」

 

「日向ぼっこする前に、早いとこ変身解いときなよ。誰かに見られても誤魔化してやらねーぞ」

 

 

杏子はそう言って変身を解くと、この場にもう用は無いと歩き出す。

すると大手を上げて日光を浴びていたさやかも制服姿へと戻り、慌てて彼女の背を追った。

 

 

「ちょちょちょ、待ってったら。まったくすーぐ置いてくんだもんなー」

 

「ついてくんなよ、魔女討伐は終わっただろ」

 

「恭介の周りうろつくんでしょ? 忘れてないかんね、あたし」

 

 

その声音からは、険は完全に消え失せていた。

 

……これはこれで面倒くせぇ。杏子はうっそりとした半眼になりつつも、しかしそれほど悪い気分でも無く。

そんな自分に苛立ちを感じ、気安く絡んで来るさやかを鬱陶しげに振り払い――。

 

 

 

「――……ッ!?」

 

 

 

――杏子の身体に、猛烈な悪寒が突き抜けた。

 

 

 

「っ……何だ……?」

 

「……杏子? どしたの?」

 

 

問いには答えず、再び魔法少女の装いとなり戦闘態勢。周囲に警戒を走らせる。

 

新たな魔女か、使い魔か、それともバッドエンドか。何にせよ、経験上こういった感覚には従っておいて損はない。

杏子は戸惑うさやかに無言で変身を促しつつ、悪寒の発生源を見極める。

 

 

「…………?」

 

 

――すると、少し離れた物陰に、陽光を反射する何かを見た。

 

金属だろうか。地面に張り付くそれは非常に小さく、光の反射も相まって全貌を捉えることが出来ない。

マナーの悪い誰かが捨てた、ただのゴミ――常識はそう判断するも、勘は煩く騒いでいた。

 

杏子は警戒を途切れさせないまま、その金属へと一歩近づき、

 

 

 

(――二人とも、今すぐそこを離れてッ!!)

 

 

 

「――!」

 

「うわぁっ!?」

 

 

唐突に、脳裏を甲高い声が貫いた。暁美ほむらからのテレパシーだ。

その鬼気迫る声音に、杏子は胸元のソウルジェムに触れ、さやかは呑気に憤慨した。

 

 

(ちょっとびっくりさせないでよ! もー心臓止まるかと、)

 

(いいから走って!! 今、あなた達の側には、アレが――)

 

 

 

 

 

 

(――――バッドエンドの『印』が、そこに跳んだの!!)

 

 

 

 

 

 

「――え」

 

 

間の抜けたさやかの声が、小さく漏れた。

それは、前触れ無く放たれたほむらの宣告の為――ではない。

 

 

――すぐ眼前。先を進んでいた杏子の胸元に、突如大きな穴が穿たれたからだ。

 

 

「……あ……?」

 

「はい、捕まえた」

 

 

驚愕に目を見開く杏子の付近で、どこかで聞いた男の声がした。

 

されど、立ち竦む彼女の付近に人影は無い。

 

ただ一人、呆けた表情のさやかだけが立ち。杏子の背中から胸に向かってくり抜くように開いた穴と、その先に浮かぶ赤いソウルジェムを眺め。

 

 

(ぁ、あ? あな……死っ、あ、たすっ、ぁぁ、あ――!!)

 

 

何故ソウルジェムが浮かんでいるのだと、疑問に思う余裕も無かった。

 

凍りついていた脳が徐々に溶け、焦燥と恐怖の火が灯る。さやかの顔が瞬時に青ざめ、パニック状態へと陥った。

そうしてすぐに傷を治すべく、杏子に縋り付くように駆け出して――。

 

 

「き、杏っ――!」

 

「――捕まえたのは、お互い様だ……!」

 

「……へっ?」

 

 

――しかし、当の杏子自身がそれを阻んだ。

 

いつの間にか彼女の腕が動いており、己の胸元を掻き抱くような形に固めていたのだ。

丁度、宙に浮くソウルジェムの目前。一見すると何も無い空間であるにもかかわらず――ギチギチと、何かを締め付けるような音は確かに聞こえていた。

 

 

「く……!? あなた、まさか――」

 

「死んどけ、カマ野郎ッ――!!」

 

 

――焦った声と、怒声が響き。

 

杏子の身体に魔力が満ち、炸裂。周囲一帯に、大きな爆炎を撒き散らした。

 

 

 

 

 

 

「わあああああああああああ!?」

 

(美樹さやか!? 何があったの!? 返事を――)

 

 

轟音。

 

吹き荒れる強烈な光と熱が、さやかの身体を吹き飛ばす。

石畳が剥がされ、顕になった土をマントに巻き込んで。爆風に煽られるまま、無様に地面を転がった。

 

ほむらの叫びに返す暇も無い。

何もかもが分からないまま、彼女はただ流される事しか出来ず――「んがっ!?」いきなり転がる背中を踏まれ、強引に勢いを殺された。

 

――咄嗟に首を捻れば、そこには不敵に笑う杏子の姿。胸の穴は、見当たらない。

 

 

「ぐえ……な、何で……?」

 

「幻惑に決まってんだろ。ほむらの知らせで、ギリギリ小細工が間に合った」

 

 

さやかの首筋を掴み立たせつつ、無傷の杏子は未だ収まらぬ土煙をじろりと睨む。

正確には、その向こうに居る筈の怨敵を。

 

 

「――オンナノコの胸。背中ぶち抜いてまで触ってくるとか、痴漢でもやんねーぞ」

 

「…………」

 

 

返答は無かったが、小さな呼気はあった。杏子はすぐに長槍を生み出すと、荒々しく刃を振るう。

 

それにより生み出された風が土煙を吹き飛ばし、分身の自爆により荒れた景観を露呈させた。

焼けた草木に、砕けた石畳の欠片、抉れた地面。そこには、先程までの美しさは見る影もない。……そして、人の影も。

 

 

「あ、あれ? 誰も居ない……」

 

「透明になる能力を使うって言っただろうが。見えないだけで、今もニヤけた面で立ってんだろ――なぁ、バッドエンド」

 

「っ……!」

 

 

 

――バッドエンド。

 

 

 

先程のほむらの叫びが蘇り、さやかの身体が硬直。慌てて背中の足を跳ね除け立ち上がり、刀剣を構えた。

すると誰も居ない空間から、バッドエンドの声が響く。

 

 

「……やぁ、どうも。お久しぶり……と言うには、早い再会ですかね」

 

「……?」

 

 

……少し、違和感がある。気がした。

しかし杏子がそれを問い詰める前に、前方からの言葉が重ねられた。

 

 

「まったく、お友達が近くに居たのに無茶をしますねぇ。危うく、一緒に巻き込まれるところでしたよ」

 

「フン、こいつは相当頑丈で治りも早いからね。傷つくのは実質テメェだけさ」

 

「……え、っと……?」

 

 

二人の会話についていけず、首を傾げるさやかをチラリと見やり。杏子は小さく溜息を一つ。

 

 

「攻撃の反射能力――あれ、自爆とかそういうのは反射できずに食らうんだろ? 前にやりあった時の事思い出して気付いたよ、テメェは自爆する幻惑だけ律儀に捌いてやがったからな」

 

「正解です。さっきの自爆も、逃げ遅れていれば少々日焼けしていたかもしれませんねぇ」

 

「……身体に穴でも開けたのかい? 掴んでた手が、スルッと通り抜けたけど」

 

「ふむ、ではそれを第二問としましょうか。どうぞお考え下さい」

 

 

あくまで余裕を崩さないその声音が、心底気に食わない。

以前のように声を封印してやりたい所ではあったが、姿を視認出来ない以上はそれも不可能。杏子は苛立たしげに目を細めると、長槍の刃を眼前へと突き出した。

 

 

「ともかくだ。反射能力のカラクリが分かった今、あたしはテメェを殺せる。日焼けどころかまっ黒焦げにしてやるよ」

 

「おや怖い。ですが、それだけで私をどうにか出来ると思われるのも心外ですねぇ」

 

「他にも洗脳やら何やらあるってのは、よーく知ってるよ。だが――『今』は使えねーだろ?」

 

「……さて、何のことやら」

 

 

白々しいとぼけ方に、嘲笑が漏れた。

 

 

「今気づいたんだ。さっき自爆から逃げた時、一瞬だけ透明化を解いたろ。それと、前の結界で洗脳してきやがった時もさ」

 

「……ああ、成程。本当に目が良い事で……ふふふ」

 

「え? え……?」

 

 

感心したといった様子で笑みを漏らすバッドエンドだが、さやかには全く意味が分からなかった。

しかし杏子も今度は説明する気は無いようで、静かに声のする空間を睨み続けている。

 

 

「洗脳の言葉を口にする瞬間、また声を奪ってやるよ。あたしの方が、先に出来る」

 

「……私としては、極力貴女を害したくはなかったのですがねぇ」

 

「ハッ! いきなりソウルジェムのぶっこ抜きにかかってきておいて、何ネゴト言ってんだ」

 

「いやいや、だからこそですよ。ソウルジェムさえ抜いてしまえば、殺さず無力化出来るでしょう?」

 

「……馬鹿が。胸に穴を開けられりゃ、人は死ぬだろうが」

 

 

低い声でそう返せば、バッドエンドはまたも小さく笑う。

 

 

「ええ、ええ。人は死にますね、人は」

 

「……何が言いたい?」

 

「ま、私なりの慈悲だったんですよ。約束とは言え、もう一つの方法はあまり気乗りしませんので」

 

「…………」

 

 

やはり、何かがおかしい。バッドエンドから感じる強い「ズレ」に、杏子は一層気を引き締める。

そして何が起こっても対応出来るよう、意識をピンと張り詰めて――。

 

 

(――無事かしら、杏子)

 

 

突然ほむらからのテレパシーが届き、ピクリと目元が引きつった。

 

 

(……ああ、あたしも青いのも無事だよ。今立て込んでるから、出来れば後にして欲しいんだが)

 

(悪いけど、こちらも早急に伝えたい事があるの。無事だというのならば、今すぐに)

 

 

そっけなく返せば、ほむらはどこか必死な声音で食い下がる。

 

……常に冷静さを忘れない彼女にしては、珍しい。余程の事なのか、聞くべきか否か。

杏子が警戒を解かないまま迷っていると――焦れたほむらが、言い募った。

 

 

(バッドエンドだって、既に撤退しているのでしょう? なら――)

 

 

「――……何だって?」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、思わず声に出していた。

杏子の前方からは相変わらずバッドエンドの声が響き、意図の読めぬ戯言を垂れ流し続けている。

 

違和感が、像を結んだ気がした。

 

 

(……バッドエンドなら、あたしらの目の前で喋ってる。何かの間違いだろ……!)

 

(え……? けれど、『印』は離れた場所へ移っているわ。間違いなく、彼はそこに居な)

 

 

最後まで聞く余裕もなく。半ば反射的に、長槍を地面に叩きつけた。

 

轟音と共に大地が揺れ、再び激しい土煙が上がり。

散らばる瓦礫や土塊が勢いよく空へと飛び跳ね――その合間に、銀に輝く何かが見えた。

 

 

「――――」

 

 

それはつい先程にも見かけていた、正体不明の金属であった。

 

おそらく、転がる瓦礫の影にでも隠されていたのだろう。

小さなクモの形をしたそれは、頭部にあるレンズで杏子をじっと見つめており――。

 

 

『あら、見つかっちゃいました』

 

 

――その腹部に取り付けられたスピーカーから、バッドエンドの声が聞こえた瞬間。

 

彼女は、己が致命的なミスを犯した事を悟った。

 

 

「――く、そがあああああああああッ!!」

 

 

バッドエンドが、この場に居ない――。

まんまと騙された自分への怒りのまま、クモを破壊せんと長槍を振り下ろす。

 

 

 

『――二種類以上の能力を、一度に使う事が出来ない。あなたは、私に課せられたそのルールをも見抜いたのですね』

 

 

 

土煙を裂き、瓦礫を弾き。

その刃は、疾風の如き速度で持って、銀の躯体へと迫った。だが、

 

 

 

『だからこそ、私が透明化をしてこの場に居ると錯覚し、期待した。他の能力が使えない状態であると誤解し、挑んだ』

 

 

 

……だが、遅かった。

 

確かに、杏子の刃はクモに届き、裁断した。銀の躯体はガラクタとなり、無残に宙へ散らばった。

されど、その時には既に、その一言は放たれていたのだ。

 

 

 

『本当に才があった。目があった。……それだけに、本当に惜しい』

 

 

 

それは、魔法少女という存在にとって、あまりにも残酷な言葉。

彼女達を根底から陵辱し、殺し尽くす致死の毒。

 

 

 

『……さようなら、赤き魔法少女。貴女の存在は、私の心に刻みましょう。故に――』

 

 

 

杏子は振り返り、訳も分からぬまま呆然とするさやかを見た。

 

そうして何事かを叫ぼうとしたものの――それより先に、二人へ死の猛毒(バッドエンド)が辿り着く。

即ち――。

 

 

 

 

 

 

 

 

――安心して、希望を持って下さいね――

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『偽人の魔女』
かつて「本物になりたい」と願った機械仕掛けの少女。
彼女は「本物」になれた事を喜び、絶望し、涙と共に最期を迎えた。
「そう、ロマンよ、ロマン! ロマンを感じるな」


『クモ』
これを自由自在に操作できる存在は、故・デウエスと白瀬、甲斐を始めAランク以上に属する者たちである。
その為、デウエス存命時と違い、あまり小回りの効く存在ではなくなっている。


分割しようと思ったけど、まいっか。


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