超能力青年 ウ☆ホンフー   作:変わり身

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スタート\パワマギレコクンポケットー!/


4月1週

「――ふむ。経過は順調のようですね」

 

 

とある休日の片田舎、小さな診療所の一室。

今しがた終えた診察の結果を眺め、桧垣東児はそう呟いた。

 

 

「炎症の頻度も減り、薬の副作用も見受けられない。このまま行けば、来年……いえ、半年ほどで違和感なく腕が動くようになるでしょう」

 

「本当ですかっ!?」

 

 

そう告げれば、対面に座る少年が大きな声を上げた。

彼の傍に立つ友人らしき少女も身を乗り出し、少年と共に桧垣へと詰め寄る。

 

 

「そのっ、それはどれくらいの感じですかね!? ヴァイオリンとかは……!」

 

「……まぁ、問題なく弾けるようにはなるでしょうね。完全に以前の状態に戻るかどうかは、本人の努力次第だと思いますが」

 

「や――やったぁ! 良かったね、恭介っ!」

 

 

その答えに少女は涙すら浮かべ、少年――上条恭介へと抱き着いた。

恭介は暫く呆然とした様子だったが、やがて一筋の涙が零れ。その表情が徐々に喜色へと染まっていく。

 

――上条恭介と、美樹さやか。

 

数か月前よりこの付近に越してきた二人は、週に一度桧垣の診療所を訪れている。

事故により神経の傷ついた恭介の腕を治し、またヴァイオリンを奏でられるようにするため。しあわせ草という薬草による治療を受けているのだ。

 

人間の可能性を引き出す効能を持つしあわせ草は、適切に用いればこれ以上ない妙薬と化す。

そして長きに渡る投薬の末、恭介の腕に完治の可能性が拓かれたのだ。

 

現代医療の限界を考えれば、それは正しく奇跡に近く。

恭介とさやかは、心の底から感謝と喜びに打ち震えていた。

 

 

「……あ、ありがとう、ございます……! 先生のおかげで、僕、また……っ」

 

「先ほども言いましたが、全ては治療後のあなたのリハビリにかかっています。これは無茶をしろと言っているのでは無く、適切に行えという意味です。焦って動かそうとすれば、全てが無に帰す可能性もありますので、そこはお忘れなく」

 

「大丈夫です! そこら辺はあたしがしっかりカントクしますんで! 演奏は一日30分!」

 

「さ、さやか……」

 

 

桧垣の念押しに、さやかが元気よく敬礼を返す。

恭介は眉を八の字にするが、無茶をしかねない自覚はあるのだろう。ガックリと首を落とし、苦笑を零した。

 

桧垣はそんな騒がしい様子を無感情に眺め、クイと眼鏡を押し上げて。

 

 

「もうちょっと短くて良いですね」

 

「うーん、じゃあ10分?」

 

「えちょっ、そんなぁ!?」

 

 

情けない恭介の様子にさやかの笑い声が続き、金属のアクセサリーが小さく揺れる。

パタリと、カルテブックを閉じる音が部屋に響いた。

 

 

 

 

 

 

桧垣東児は、とある片田舎に診療所を構える開業医である。

 

かつてはジャジメントに在籍し、研究者として従事していた彼であったが、それも数年前までの事。

現在はジャジメントから距離を取り、執心するしあわせ草の研究に精を出しつつ、比較的穏やかな暮らしを送っていた。

 

……もっとも、故あれば裏の世界に関わる位置には居るのだが。

 

 

 

 

「――帰ったぞー、っと」

 

 

診療を終えた恭介達を送り出した、少し後。

入れ替わるように診療所に現れたその少女は、家主の桧垣に一瞥もくれる事無く休憩スペースのソファに飛び込んだ。

 

同時に口に咥えた棒菓子が折れ、床に転がり――「おっとと」しかし少女がすぐに拾い上げ、再び口内へと放り込む。

その衛生的とは断じて言えない所作に、桧垣の眉が小さく跳ねる。

 

 

「……そういう事はやめなさいと何度も言った筈ですが。診療所の床なんて、どんな菌が居るか分かったものじゃありませんよ」

 

「三秒ルール三秒ルール。つーか魔法少女がバイキンなんかに負けるかっての」

 

 

少女は悪びれもそう吐き捨てると、桧垣の言葉を無視して新たな菓子を食べ始める。

その様子に桧垣は半眼を向けるも、やがて小さな溜息一つ。それ以上何も言う事なく、手元の書類へと向き直った。

 

――佐倉杏子。桧垣の身を守るために寄越された、ボディーガードだ。

 

魔法少女という特殊な能力者である彼女は、桧垣の身を守るためという体で、彼の住居でもあるこの診療所に居座っている。

桧垣も清廉潔白な身の上では無い以上、特に拒否する理由も無かったが――その粗雑な性格とは相性が悪く、溜息の数は増えていた。

 

 

「……さっきさぁ、そこでさやか達と会ったんだけど」

 

 

ぽつり。纏めた書類を鞄に押し込んでいた桧垣の背に、杏子がそう呟いた。

 

 

「上条の腕、ちゃんと治るんだって? ウゼーくらい喜んでたよ」

 

「ええ、経過は順調ですね。後遺症もまず残らないでしょう……リハビリで無理をしなければ」

 

「さやかの舵取り次第ってか。責任重大だな、アイツ」

 

 

杏子はそう言って嘲笑めいた表情を浮かべるが、その瞳には柔らかな光が揺らめいている。

 

彼女と恭介、そしてさやかの三人は、桧垣の友人であるウ・ホンフーの暗躍により、この片田舎へと誘導された者達だ。

どのような理由でそうなったのかは知らないが、同時期にこの地を訪れた同年代。仲が深まるのは半ば当然とも言え、桧垣も三人で会話している姿をよく目にしていた。

 

 

「つーか、あんたホントに結構な医者だったんだな。手術でも無理だったって話じゃないの、あいつの怪我」

 

「彼の身体としあわせ草エキスの相性が良かった事が大きいですね。私もここまでの効果が出るとは想定外でしたよ」

 

「またその草か……。それ、みふゆとかから超能力者作るヤバいのって聞いてんだけど、マジで大丈夫なんだろうね?」

 

 

杏子の目に宿る物が、少しの感心から大きな猜疑へと変わる。

しかし桧垣は特に気にした様子もなく、何某かの準備を続けていた。

 

 

「使っているのは、そういった効果が出るものではありませんので。開拓分校の彼と違いドーピングのラインを気にする必要も無いので、多少強いものにはしていますが……それでも酷い副作用の出る範囲は避けていますしね」

 

「ふぅん……あ? いやオイ、分校のって……」

 

「お察しの通り、最近あなた達と仲良しの野球部員君ですよ」

 

「……あいつもその変な草使ってんのか……」

 

 

複雑な表情を浮かべる杏子を他所に、桧垣は整理の終わった鞄を手に立ち上がる。

少し遅れて杏子ものろのろとそれに続き、二人揃って診療所の外へ出る。

 

 

「往診。今日はどっからどこまで?」

 

「村田さんから八坂さんの所までですね。陽が落ち切る前には終わるでしょう」

 

「じゃあ何か食って帰んない? カップ麺は暫くいいや」

 

 

天気は快晴。視界の端に夕日の影がちらつく、午後の空。

長閑な田舎道に、合わない歩幅が刻まれた。

 

 

 

 

普段は学校にも行かず街をうろついている杏子であったが、ボディーガードの役目は忘れていないようだった。

 

桧垣が地域の往診に向かう際にはいつの間にやら帰還し、彼の後ろをついて行く。

実体はどうあれ少女を連れ回す成人男性という構図に、当初は不審な目も多かったものの――彼らの癖のある人格を知れば、すぐに誤解は解けた。

 

結果として、今や杏子は桧垣の小さな助手と認識されていた。

 

 

「――へへ、今日も結構貰ったな」

 

 

……そして、片田舎の往診先とは老人達が殆どであり、彼らがそんな健気な少女を可愛がらない筈も無く。

患者の家を巡る度、次々と押し付けられる小遣いとおやつを抱え、杏子はにんまりと笑みを浮かべた。

 

 

「……その托鉢もどき、そろそろ控えてくださいませんか。毎日それでは、流石に私も罪悪感が湧き始めているのですが」

 

「せびってねーっての。向こうからくれるんだから、しょーがないじゃん?」

 

 

杏子はしれっと吐き捨て、その中から適当な菓子を齧り出す。

「食うかい?」おすそ分けと桧垣にも差し出されたが、「結構」半眼と共に拒否をした。

 

 

「ま、ビンボーなあたしは色々大変なんだ。そこんとこ分かってくれよ、センセ」

 

「報酬は過分に支払われている筈では?」

 

「それはそれ、これはこれ。貰えるもんは貰っとかなきゃね」

 

 

分かってはいたが、やはり彼女の頭には遠慮という言葉は無いらしい。

桧垣は溜息と共に会話を打ち切り、黙々と田舎道を進む。

残る往診先は後数件。これ以上杏子の戦利品が増えない事を静かに祈った。

 

 

「てかさぁ、そんな事言うくらいなら、少しはボディーガードの仕事させろよ」

 

 

そうして暫く歩く内、菓子を粗方食べ切った杏子がそう愚痴る。

 

 

「あんたが誰にも襲われないから、あたしが無駄飯喰らいの物乞いに見えるんだよ。ちったぁピンチになって助けられでもすれば、爺さん婆さんから小遣い貰うのも快く許せるようになる。だろ?」

 

「暴論が過ぎませんかね」

 

 

その言葉に意地の悪い顔で笑い、杏子は桧垣の前に出る。

首だけを傾げ振り向いたその瞳には、少しの真剣さが含まれていた。

 

 

「……で、実際どうなんだ。そろそろ来そうな奴とか、思い浮かばないわけ?」

 

「……まぁ、心当たりだけならば、幾らでもありますけどね」

 

 

超能者を作る薬の知識技術を求める者達。

かつて望まぬ超能力者にした者達。

しあわせ草の研究過程で実験体にした者達や、その遺族。

 

少し考えるだけでもこれだけのものが浮かぶが――現実に襲い来る可能性はほぼ無いだろう。

ジャジメントを離れる際に交わした約束には、個人情報の隠蔽も含まれている。桧垣が自ら目立つ行いをしない限りは、この場所へ辿り着く事は無い筈だ。

 

そう伝えると、杏子は「ろくでもねーなあんた……」とげんなりし、すぐに怪訝な表情を浮かべた。

 

 

「マジで何であたし雇われたんだ……? ボディーガードいらねーだろこれ」

 

「さぁ、私には何とも。もしかしたら、私が知らないだけで何かしらの危機があるのかもしれません」

 

「危機ねぇ……」

 

 

無論、桧垣はそれがホンフーの都合によるものだと知っている。

しかし正直に伝える気も無く、曖昧に濁せば杏子は暫し考え込み、

 

 

「あ、ひょっとしたら、超能力者にされた魔法少女が恨んでるとか。それならあたしが呼ばれたのも――」

 

「いえ、それは無いでしょう」

 

 

一蹴。

言い切る前に切り捨てられ、杏子の眉間にシワが寄る。

 

 

「……何でよ。超能力ってので色々実験してたなら、魔法少女にも何かやってたんじゃねーの?」

 

「そうですねぇ……それを話す前に一つ伺いたいのですが、あなたはソウルジェムに関してどれ程の知識を持っていますか?」

 

「は?」

 

 

突然の質問に目を丸くしたが、至って真面目なものであるらしい。

いつにも増して無感情な桧垣の目に、自然と一、二歩後退り。

 

 

「……あたしら魔法少女の力の源だろ。それが濁り切ると魔法が使えなくなるから、グリーフシードで浄化すんだ」

 

「他には?」

 

「他ぁ? あー、まぁ指輪とかアクセサリーとか、色々形は変えられるな。そんくらい?」

 

「……そうですか」

 

 

それを聞いた桧垣は、暫し黙考。

言葉を選ぶように視線を彷徨わせると、やがてふむと頷き一つを落とし。

 

 

「――端的に申しますと、生き残った者が居ないのですよ。超能力を発現した魔法少女は、例外なく死に至りましたから」

 

 

告げられたその物騒な一言に、杏子の瞳が細まった。

 

 

「……どういう事だい?」

 

「詳しい過程は省きますが、超能力を発現した瞬間、魔法が暴走するんです。そして誰もがそれに耐え切れなかった」

 

 

相性が悪いのではなく、良すぎるのだ。

 

魂を核とする魔法と、肉体に宿る超能力。

双方が干渉し合った結果、魔女化とは別の『ある現象』が引き起こされ、自身を含めた周囲一帯に甚大な被害を撒き散らす。

 

無論、その事実は魔女化を知らぬらしき杏子には語らない。

彼女の精神状態を必要以上に乱すつもりは、今の桧垣には無かった。

 

 

「私も一度居合わせた事がありましたが、あれは酷かった。こうして生き延びる事が出来たのは、本当に幸運でしたよ」

 

「……あたし、ぜってーあんたの薬飲まねーからな」

 

「それがよろしいかと。魔法少女は丈夫ですが、デリケートでもありますからね」

 

 

杏子は桧垣のすまし顔をじっと睨むが、その裏を読む事は出来なかった。

 

そのまま少しの時が流れるが、やがて諦めの息一つ。

ささくれ立った空気を変えるためか、わざとらしい伸びをした。

 

それきり会話は途切れ、土を踏む音だけが静かに響く。

 

 

「……お、あいつだ」

 

 

ふと、田畑を挟んだ道の先に野球のユニフォームを着た一団が見えた。

近所にある開拓分校の野球部員達だ。その中に少し気になっている少年の姿を認め、杏子は軽く手を上げる。振り返され、好感度が+1。

 

遠目に揺れる、赤と白のユニフォーム。

そのカラーリングに、杏子の脳裏に何となくキュゥべえの姿が浮かび――。

 

 

「あ」

 

 

突然、何かを思い当たったかのような声が上がった。

 

 

「……どうしました?」

 

「あー……いや。魔法関連であんたを狙いそうな奴、やっぱ居るかもなって思い出した」

 

「……ほぅ」

 

 

野球部員を見送った後、そんな事を呟く杏子に桧垣の視線が突き刺さる。

ちらと見返し、記憶を探るように腕を組み、唸り。

 

 

「前にキュゥべえの野郎から聞いたんだけど、魔法少女の中に何か変なのが居るんだと。生きてんだか死んでんだか分かんない、幽霊みたいなやつ」

 

「……幽霊ですか。まぁ、魂の存在は証明されておりますので、驚きはしませんが」

 

 

桧垣の目に、杏子の嵌めた指輪が映る。

 

 

「そんでその魔法少女、行動原理っつーの? それがイカレてるらしくてさ、何か――……、……」

 

「……? 佐倉さん?」

 

 

突然杏子の言葉が途切れ、明後日の方向に首を曲げた。

桧垣も彼女の視線を辿り田畑の先を見るが、そこには見えるものは無く――。

 

 

「……おや?」

 

 

否、あった。

 

田畑を数個挟んだ、少し離れた道の先。

夕闇の溢れる空に溶けるように、一つの人影が立っていた。

 

それは紙束とも手帳ともつかないものを持ち、それと桧垣達とを見比べているようだ。

 

 

「…………」

 

 

無言のまま、杏子は桧垣を庇うように前に立ち、指輪から宝石へと変化させたソウルジェムを握り込む。

その明らかな戦闘態勢に桧垣もようやく只ならぬものを感じ、すぐ逃げだせるよう姿勢を整え、

 

 

「――あのー! すんませーん!」

 

「っ!」

 

 

甲高い声が響いた。桧垣達が見つめ続ける人影の声だ。

そして勢いよく走り出したかと思うと、大きく跳躍。軽々と田畑を越え、瞬く間に桧垣達の立つ道の先へと降り立った。

 

 

「いやー、どうもどうも! 突然ゴメンね、ちょっと聞きたい事があるんだけど、大丈夫ですかね?」

 

 

ショートボブの髪をした、黒いマスクの目立つ少女だ。

おそらくは十代後半であろうが、その雰囲気に落ち着きは無く、正確な年齢は測りかねた。

 

彼女は返答もせず警戒を続ける桧垣達を気にも留めず、手元の紙束をたどたどしく読み上げる。

 

 

「えっとぉ……そっちの人は桧垣……あずまじ? ひがしこ? ですよね? で、隣の子が佐倉……あんこちゃん?」

 

「あんたさぁ、おちょくってる?」

 

 

杏子の額に青筋が走るが、少女はそれを肯定と取ったようだ。

黒マスク越しでも分かる程の笑顔を浮かべ、諸手を挙げて飛び跳ねる。

 

 

「やった、合ってたぁ! いやぁ、ワタシほんと駄目だね。人探しヘタクソ! まぁじゃあともかく、早速パパっと殺しちゃうんで、大丈夫ですよね?」

 

「……は?」

 

 

聞き間違いかとも思った。しかし少女は訂正もせず、明るく紙束を見せつける。

 

 

「だってほら、桧垣さんの方は、う~んと、じんたいじっけん……? で沢山人殺しちゃってるし、あんこちゃんは……うわ色々やってんねぇ。ドロボウ、万引き、えーてぃーえむ? の強盗に……ありゃりゃ、使い魔けしかけて人も殺しちゃってる。これ間違いないよね? リスト通りだよね?」

 

「……佐倉さん……」

 

「引いてんじゃねーよ! あんたも同じ穴だろうが!」

 

 

桧垣の半眼に怒鳴り返しつつ、杏子は魔法少女の装いへと変身。

獲物の長槍を構え、黒マスクの少女を睨みつける。

 

 

「あ~……やっぱ戦うパターン? まぁそうだよねぇ、なんで皆ダメって言うんだろうなぁ、なんで生きようとするのかなぁ。これはワタシのせいじゃないよね? でもまぁあなた達も間違いなく悪人なんだからさ、ちゃんと殺してあげるから、ね? だからだからお願いだから、しっかり死ん――」

 

 

――全てを話し切る前に、黒マスクの少女へと槍が飛んだ。

風を裂き、地を削り、大きな土煙が巻き起こり。桧垣は堪らず両腕で顔を覆う。

 

 

「……さっきの、イカレた魔法少女の話」

 

「は、はい……?」

 

「そいつ一般人とかそういうの関係なく、悪人狙って殺しまくってんだよ。確か名前は――オイ、何てーんだっけぇ!?」

 

 

呼びかけに応えるように、立ち込める土煙が吹き飛ばされる。

 

その中心には、先程の黒マスクの少女とは似ても似つかぬ姿があった。

首元をぐるりと覆う大きな襟巻、額から伸びる長い角。

顔の至る場所には縫合痕がひた走り、耳まで裂けた口端を強引に元の形へ縫い付けていた。

 

――その異貌の魔法少女は、杏子の問いにぎょろりと眼球を蠢かせる。

 

 

「――あっぶないなぁ! ユゥだよユゥ! たぶんね!」

 

「だってよ! センセは下がってな、やっとこさ初仕事だッ――!」

 

 

それを最後に杏子は突貫。ユゥと名乗った魔法少女も応戦し、夕闇空に火花が散った。

 

 

 

――これより、杏子達は波乱の日々を送る事となる。

 

魔法、魔女、亡霊、超能力、サイボーグ、友情、恋愛、殺し合い――そして、野球。

様々なものが絡み合い、それらはやがて大騒動へと発展する事となるのだが――。

 

……それはまた、別の時間の未来であった。

 

 

 

 




『プロフィール』

主人公(主人公)
ご存じパワポケ13の主人公。今作の彼は結構なイケメンであるらしい。
才能あふれる野球選手だったが、とある人為的な事故により負傷。後遺症が残り、名門である混黒高校から田舎の開拓分校へと飛ばされてしまった。
しかし桧垣に出会い完治の道が見え、奮起。開拓分校の野球部を立て直し、甲子園を目指す事となる。

海洋冒険編では船乗りとして数々の海を冒険する。


桧垣東児(今回のメガネ)
今作では主人公の怪我を治す為尽力する。
ボディーガードの杏子とはそれなりに上手くやっているらしく、二人での往診は微笑ましく見られているようだ。
杏子が他彼女候補のイベントによく顔を出す為、彼もまた必然的に巻き込まれる。
選択肢次第では殺害される事もあり、その場合主人公の怪我が完治せず能力アップイベントが起きなくなるので、頑張って助けてあげよう。

海洋冒険編では海賊の航海士として登場。主人公と度々戦う事となる。
起こすイベントによってはアンに捕まり、嫌々主人公の味方となる事も。


佐倉杏子(不良の魔法少女)
他の街からやって来た少女。魔法少女という特殊な能力者にして、本作の彼女候補の一人。
桧垣のボディーガードとして雇われており、普段は彼の診療所に居候しているようだ。
今の主人公への好感度は30くらい。告白成功域までもう少し。

チハヤなど他彼女候補でのルートでは対ジャジメントにおいて心強い味方となってくれるが、杏子本人のルートではジャジメントと敵対せず、夢遊の亡霊という魔法少女と戦う展開となる。
グッドエンドに到達できるかどうかは杏子の積んだ善行次第なので、デートでは好感度が多少下がっても彼女に良い事をさせる選択肢を選ぼう。
重要イベントが練習コマンド後にしか発生しない。うろつきばかりでは何度デートしてもイベントが進行しないので、そこも注意。

海洋冒険編では、ホンフーと因縁のある女海賊アンとして登場。海上イベントを踏むと一定確率で現れ、勝敗問わず2回戦えば仲間に出来る。
ステータスも高く頼れる仲間ではあるが、クエスト「ホンフーの逆襲!」に連れて行くと条件を満たさない限り必ずホンフーに殺されてしまう。連れて行かない場合もクエスト終了後に離脱する。
ハイバラかカミージョを一緒に連れて行けば生存させる事ができるので、忘れないようにしよう。


・アルバムNo.21『気のいいシスター』
杏子GOOD。
好感度90以上かつデートで5回以上の善行をした状態で、3年目2月に発生する定期イベントで選択肢『C・ユゥを説得する!』を選択する。

・アルバムNo.22『砕けた十字架』
杏子BAD。
好感度90以下、もしくはデートでの善行が5回未満の状態で、3年目2月に発生する定期イベントを迎える。

・アルバムNo.53『友のリボン』
アンの連続イベントを完遂し、クエスト「ホンフーの逆襲!」にハイバラかカミージョと共に連れて行く。


ユゥ(亡霊)
夢遊の亡霊と呼ばれている魔法少女にして、殺人鬼。百江なぎさの母親を殺した張本人。
自身の名前や過去を忘れ、果ては死ぬ事すらも忘れた正しく亡霊。
彼女の持つリストには悪人の名が記されており、それら全てを殺害する為に全国を彷徨っている。
殺害した人間にはジャジメント所属の者も多く、反ジャジメント組織とは別口として、激しい戦いを繰り広げているようだ。
杏子ルートにおいては、彼女に悪人も更生できると理解させる事がグッドエンドへの条件である。

海洋冒険編では船幽霊のユゥとして登場。海上でハズレイベントを起こすと一定確率で現れ戦闘になる。
何故かグントラムのアルバムの一枚絵にひっそり描かれている。


・アルバムNo32.『悪って何だろ?』
ランダムイベント「ユゥと黒野」を見た上で、杏子GOODを登録する。


美樹さやか(元気な子)
ごく普通の明るい少女。桧垣の診療所近くにある中学校に通っている。
幼馴染の上条恭介に惚れており、大怪我を負っている彼を甲斐甲斐しく支えているようだ。イベントを進める事で、彼と一緒に応援団入りをする。
杏子とのデートを選ぶと高確率で関連イベントが発生。やる気は下がるが体力と病気を確実に回復してくれるので、体調によっては都合がいい。
彼女候補でこそ無いが、上条と別れたさやかが杏子を救えなかった主人公とくっつくエピローグが用意されている。

海洋冒険編では人魚のオクタヴィアとして登場。
仲間になる事は無いが、アンとカミージョとのイベントを進めると船旅を助けてくれるようになるので、チャンスがあれば会っておきたい。


・アルバムNo.30『幸せな二人』
連続イベントを完遂し、上条のランダムイベント「僕の本当に大切なものは?」で『A・さやかちゃんだろ?』を選択する。

・アルバムNo.31『傷の舐め合い』
連続イベントを完遂し、上条のランダムイベント「僕の本当に大切なものは?」で『B・ヴァイオリンだろ?』を選択。その上で杏子BADを迎える。


上条恭介(天才少年)
天才少年ヴァイオリニスト。桧垣の診療所近くにある中学校に通う少年。
事故で大怪我を負い、主人公と同じく桧垣の治療を受けている。
イベントを進めて怪我を完治させれば、ヴァイオリン奏者として応援団に加入。野球の試合時に全選手のやる気を一段階上昇させ、その並外れた才能を披露してくれる。
ランダム要素が幾つか絡むものの、リターンが大きいので是非とも狙いに行きたい所だ。

海洋冒険編では流浪のヴァイオリン弾き、カミージョとして登場。ニューホープでのうろつきイベントで加入。
ステータス的にはイマイチだが、仲間の能力を上げる技を持つ。それと多くのマイナスイベントを回避してくれるので、パーティに空きがあれば入れておいて損はない。


・アルバムNo.54『人魚姫と王子様』
カミージョの連続イベントを完遂し、アンとオクタヴィアのイベントを最後まで見る。
その後、クエスト「カリムーの宝」へ、アンと共に連れて行く。



言うまでも無くエイプリルフール的番外編。
書いててめっちゃ楽しかったので許してください。
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