ファランコス、このすばす 作:頭シー◯ス
女騎士とは頭シーリスであれとの協定でもあるのだろうか?
そうファランが本気で考える程に、ダクネスは頭がイッていた。具体的に言うなら、敵を見つけ次第に突撃してなぜか命中しない剣を振り回すのだ。
ソードマスターと対をなすと言われるクルセイダーは、防御に秀でておりパーティーのタンク役をこなす存在だ。その為にいかに敵を引き付け、耐えるかが問われる。基本的に人間より身体的に優れたモンスターの圧力は強く、精神的にも身体的にも耐えるのは並大抵の事ではない。
もしもタンク役が怖じ気づいて後ろに下がったり、倒れて前線が崩れればそこから被害が広がってしまう。正に後衛を守る盾であり、安定したパーティーを目指すなら是非とも欲しい存在である。
しかし、ダクネスはいくら後衛がいないからといって、攻撃が当たらない癖に敵に突撃をかましたのだ。これにはやる気あるのかと流石のファランも言いたくなる。
「やる気は無論ある」
やる気はあっても、実力的に不可能な事をやろうとする無謀はお呼びではないのだ。頭シーリスか。
「っん!…そのシーリスがどんな人物かは知らないが、罵倒されてるだけはわかるぞ!」
駄目な所だけに物分りが良いダクネスの背後で、件のシーリスが下を指差して煽っている姿を幻視したファランの目が濁る。
覚悟だけは騎士だったシーリスでは、特殊性癖持ちのダクネスにすら劣るであろう。煽ったのはファランの中のシーリス像なので、本人はきっとしないはずだ。せいぜいが亡者化して襲ってくるくらいである。
しかし、いくらなんでも攻撃が一切当たらないのは流石におかしい。わざとやっているのか、それとも神にでも呪われたりしているなどが疑わしい。
「……攻撃が当たらないのは昔からだ。決してわざとやっている訳ではない」
目を逸らしながらのダクネスの言葉がなんと白々しい事か。だいたい、スキルポイントさえあれば命中率を上げるスキルは容易に習得できるのだ。そういったのを優先的に習得すれば、攻撃は自ずと当たるようになる筈である。
なのだが、ダクネスはスキル振りはクルセイダーのスキル群の中から防御系スキルだけを習得するという、防御極振りというもの。
スキルはあくまでも技術なので、ダクネスの剣の腕が一般人以下の、それこそ一般人ですら剣を握って生きるのを諦めるように説得するレベルの才能という事になる。そういった者でも人並みの腕にはスキルはしてくれる救済措置みたいなモノなのに、ダクネスは習得していないのだ。
尤も、スキルがあるからこそ才能というのが際立つ例も存在する。属性魔法などは、得意なモノなら少ないポイントで習得でき、逆に苦手なモノは多くのポイントが必要になるか、そもそも習得出来なかったりする。
ダクネスの場合は防御系が得意なモノでポイントが少なく済むが、剣の才能を必要する攻撃系は多くのポイントが必要になるのかもしれない。それでもマトモに戦えないのなら、無理をしてでも一つくらいは習得しているべきである。
「う、動けない相手なら私の攻撃も当たるぞ…」
それはファランも承知している。絶対に当たらないのかの検証で、脚を切って動けなくしたコボルトに攻撃させたら当たったのだ。ただし、最初の数回はギリギリ掠めるで当たらず、あまりの恐怖でコボルトが気絶してようやくだが。
そうであっても、ダクネスはステータスは低いどころか高い―――運と技量はおそらく低い―――のでコボルトは一撃で絶命した。ステータス上は本当にダクネスはシーリスと違って優秀なのだ。頭がある意味悪いので、誰かがキチンと指示を出せば化ける可能性はある。個人プレイ上等な根っから不死人なファランには無理な話だが。
「…そ、その、このパーティーはやはり今回限りだろうか……?」
普通であれば突撃思考クルセイダーなどお呼びではない。だからダクネスは不安そうなのだろう。また一緒にやっていられるかと、パーティーから追い出されると。
そんな心配など、普通ではないファランには無用であったが。将来的には別れるにしろ、この死が重い世界で放っておいても死なないであろうダクネスの硬さは貴重である。なにより、硬すぎて殺し方を近くで観察して考えたい。
「そうか!よろしく頼む!」
大鎚で叩き潰すべきか、それとも呪術で焼くべきか。そんな事を考えているとはいざ知らず、ダクネスはそれはもう嬉しそうであった。
エリス教は女神エリスを崇める宗教である。ファランの今いる国である、ベルゼルグ王国の国教にもなっている。更に付け加えるなら、通貨の単位もエリスである。
ライバル宗教にアクシズ教があるが、今は置いておく。
そんなエリス教の教会にファランはダクネスに連れられて来ていた。
クエスト中は嬉々としてモンスターに突撃するダクネスだが、流石に教会では凛とした雰囲気である。もしかしたら、懺悔室で神父に性癖暴露して悦に入ってた事とかあるかもしれないが、ファランには知れない事なので問題ない。
それよりも、つい並んでいる椅子を壊したくなる方が問題か。たまにアイテムが隠されていたりするので、邪魔な椅子は壊すに限る。流石に人の手が入っている場所なのでやらないが。
教会に来たからには祈るべきだろうと、ファランはその体勢になる。女神エリスは運を司る、ならばこそ人間と相性が良いのも頷ける。運とは人間の本質故に。
一応聞いておくべきか。耳いるか。
『え、耳ですか…?』
頭に響く声に、ファランは思わず目線だけで辺りを伺う。やはりというべきか、自分にしか聞こえていないようである。
この現象には覚えがある。エンマに連れ去られる時にも似たように声が聞こえるのだ。たぶんであるが、奇跡の範疇の術である。
『えっと、捧げ物でも耳はちょっとご遠慮してもらってもいいですか?』
推定女神エリスなまだ困惑中なのか、神族特有の威厳は感じられない。
『って、この声は信者の人?でも信仰心が欠片も感じられない?』
推定女神エリスの言葉で、ようやくファランはこうなった原因が自分にあると判った。極まった信仰のステータスのせいで、推定女神エリスに意識を向けたから何らかの繋がりを作ってしまったのだ。
何に向けているかも自身ですら判らない、ドーピング信仰がよもやこういった事態を引き起こすなど、聖職者からすれば憤慨物であろう。
向こうが困惑している間に、意識を無名の王に向ける。その判断が良かったのか、直ぐに推定女神エリスとの繋がりは断ち切れる。
「…どうした?」
推定女神エリスと精神的接触があったなどと、エリス教徒であるダクネスに言えるはずもない。ファランは曖昧に笑うと、教会から出るかと提案した。
前衛二人しかいないパーティーはバランスが悪い。ロスリックであれば、友情チェインに白霊と召喚者は互いを害する事はできない法則によって問題が無かった。だが、互いが生身であるので、下手に至近距離で武器を振るうと当たるのだ。主にダクネスの攻撃がファランに。
その為にいつでも距離を離し、万が一が起きないようにファランは気をつけていた。ダクネスは攻撃を一発くらっても、平然としているのだから不公平である。
ダクネスの有効的な使い方は、ひたすら敵を引き付けるデコイを使わせ続けるだけである。モンスターに袋叩きにされて本人も満足、危険を減らせてファランも満足である。
ただし、デコイをやらせるだけではダクネスはレベルが低いままになってしまう。なのでほとんどのモンスターは動けないまで痛め付けて、トドメだけはダクネスが差すとなっている。
レベルが上がれば異形のソウルになると踏んでいるファランであったが、果たしてその時にダクネスは殺せる範疇にあるかが少しだけ心配であった。
シーリス
ダクソ3での最弱協力NPC
暗月エンチャしても雀の涙なダメージしか出せない。
敵の真ん前で無駄に断固奇跡を使う。
しかも場合によっては使っても無駄な奇跡を使う。
祖父は最強のNPC候補。
騎士の誓いを断ると亡者の穴倉で亡者化して襲ってくる。
などとネタに困らないキャラ。頭シーリスは某掲示板で使われた暴言。
エンマ
謎奇跡でエルドリッチとヨームを倒した主人公を強制召喚する婆。
先に殺害しておいても召喚されるので、初対面時に仕込まれたか、ロスリックの小環旗に細工されている模様。
耳
約定の証。暗月の誓約は達成が安定しない、銀騎士からのドロップが渋いと集めるのが大変だった。
アプデによって多少はマシになったが、やはり集めるのは苦行である。
友情チェイン
複数人で攻撃して抜け出せないようにする事。これが俺達の友情・勝利・相手の死だ!