【完結】ノン・プレイヤー・ストーリー 【オバロ二次】   作:taisa01

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第三話

 

 アインズ・ウール・ゴウンはイベント開催に向けて準備を加速させている。

 

 防衛における軸といえば二つある。

 

 一本目は各種罠。一度発動した罠はギルド資金を消費して再稼働するが、あえて復活しない罠や、何度でも復活する罠を織り交ぜることで、疑心暗鬼を誘発するもの。ジャングルや吹雪の中、人間心理の隙間をつくような箇所に設置し、ダメージ効果以上に心理的圧迫や疲弊を目的としたもの。そしてかかったが最後、デストラップという名に相応しい即死効果が期待できるもの。

 

 種類は多々あり、どれもこれもベクトルは違えど強力なものである。

 

 もう一本はNPCや傭兵NPC、召喚魔獣などによる戦力の運用。プレイヤーと同じスキルや装備を活用できるNPCはそれ単体でも強力な戦力である。しかしギルド拠点はその規模によってNPCを作成できるポイントが決まっている。ワールドアイテムにて補強されたナザリックは拠点の規模以上のNPCを保有できるとはいえ、無制限ではない。それを補うのが召喚魔獣や傭兵NPCである。

 

 召喚魔獣はポップすることで戦力として保有し、貯め込むことができる。傭兵NPCは契約することにより配置できる。また若干毛色は違うがゴーレムなども傭兵NPCに分類される。これらは維持費の限り増やすことができるが、レベルや行動AIという面ではNPCに一枚劣る。

 

 アインズ・ウール・ゴウンの面々はそれらを調整し、なにより全力稼働させるための資金集めに余念がない。

 

 くわえてNPC達の知りえない情報であるが、敵対ギルドへの挑発、狩場荒らしなどを行いヘイトを積み重ねている。

 

 全ては悪名高いアインズ・ウール・ゴウンが拠点バレした時、襲撃しようという機運にさせるため。理論でなく感情で報復行動をとらせるための心理戦の一手であった。

 

 しかし忙しいのはプレイヤー達だけではない。

 

 生きているNPCもそれ以上に忙しい。

 

******

 

ナザリック地下大墳墓 第六層 ジャングル地帯

 

「い班は迂回して攻撃。ろ班はい班の五秒後に西側から攻撃。は班は、そのまま防御しつつゆっくり後退、罠の位置まで誘導。敵が前進してきたら、に班を迂回させて挟み撃ち」

 

 アウラは鋭く魔獣達に指示を出しながら仮想敵を追い詰める。

 

 しかし、ある程度の動きはできる最初の攻撃にくわわったい班は良かったが、ろ班は攻撃後撤退に失敗し、反撃をくらってしまう。そしてタイミングを逸したは班はろ班の救援に向かい乱戦がはじまってしまった。

 

「あちゃ~」

「どうしよう。お姉ちゃん」

「マーレ。みんなを落ち着かせて一回一からやり直そう」

 

 そういうと、テイムスキルで魔獣の意思を一斉に自身に向ける。そして魔獣らを落ち着かせ、全員を引き離す。そして治癒能力のある魔獣らによる回復を行っているあいだ、マーレは一体一体首に抱き着いたり、背を撫でたり、一声かけながらコミュニケーションをとっていく。

 

「みんな最初に比べれば良くなったけど、一つは私が指示を出すのが早すぎたね。それに無理に追いつこうとして、失敗しちゃったかな」 

 

 魔獣たちに高い知能はない。しかし人間であれば子供程度の知恵があり、アウラの言葉がそのままの意味でないことを理解する。親が子供を気遣うような愛情を向けるアウラに対し、不満をいうものたちはいない。どうすればいいかできる範囲で考え次につなげる。もとより獣、体で覚えることは得意。そんな意思は伝播する。

 

「急がず、いっこずつこなしていこう」

 

 アウラは元気良く声を出すと、魔獣を引き連れ開始地点に戻っていく。

 

 マーレも魔法を使い戦闘痕を消し去りながら後を追う。

 

 そう、NPC達は戦えといっていきなり動けるわけではない。それが傭兵AIや魔獣AIが弱いといわれる理由である。だが、もし正しい教育者、正しい戦略をもとに十分な育成期間を積んだなら……。

 

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