人間やろうと思えばどんな環境でも生きていける   作:憲彦

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「RPG的な世界に来た俺は、冒険もそこそこにスライムと一緒にゆっくりライフを送っていたのだが、俺が拾って来た龍血結晶でドラゴンが町に来ることになった。それを討伐するために、国王が兵士を引き連れてやって来たのだが……」

「見た感じ役に立ちそうには思えないな。レベル600のドラゴン。魔王でも勇者でも負けるわ」

「今日がドラゴン到着日。さぁどうなる?!」


第11話

「ドラゴンが到着するまで時間がある!焦らずに陣形を組み警戒しろ!砲撃班は弾詰めを急げ!地上に降りたら集中砲火だ!」

 

ケンジ自らが指揮をとり兵士を動かしているのだが、レベル600のドラゴンに対して有効なのかと言う不安が残ってしまう。前日の夜にフリザから平均的なレベルのドラゴン相手でも、大国が4つ同盟を結んでやっとと聞いているからだ。

 

「街壊されないと良いけどな~」

 

「それは大丈夫だろ。ほら」

 

直輝がぼやくと、スライムが後ろを見るように促す。そこではフリザが街全体に結界を張ってくれていた。確実にドラゴンは破壊できないかもしれない。むしろ兵士たちも必要ない。

 

「こりゃ街は問題ないな。フリザさんへのストレスは別として」

 

「言うな。後が怖い」

 

兵士たちが着てから今日で3日になるが、その3日の間にフリザが受けたストレスは今まで生きてきた中で上位にランクインするほどの物。髪型と肌が少し荒れており、目付きが鋭いものになっている。そして、激しい怒りのオーラが身を包んでいた。

 

「こりゃ助かっても地獄だ……」

 

それから1時間後、ドラゴンが街へと向かって飛来してきた。それを見て、王国の兵士たちは攻撃を開始する。最初は国王のケンジ自ら巨大な攻撃魔法をドラゴンに放ち地上に落とす。それが攻撃の合図となり、兵士たちが砲撃を開始。数分の間、辺り一帯が轟音と土煙に包まれていた。

 

「砲撃止め!!」

 

ケンジの指示で砲撃が止まる。数分間絶え間なく大量の砲弾を浴びせたのだ。当然ドラゴンは死んだ。王国の兵士達は自分達の勝利を確信して武器を納め、喜びの声を上げようとした。だが

 

『グオオオオオオオ!!!!』

 

「「「「ッ!?」」」」

 

ドラゴンは全くダメージを受けていなかった。砲弾は全て固い鱗に阻まれ、ドラゴンに傷を負わせることができずに割れており、そのまま地面に転がっていた。そしてこの攻撃がドラゴンの怒りを買うことになり、怒り狂ったドラゴンは巨大な爪を付けた腕を振り上げて、一気に地面に叩き付ける。単純な攻撃だが、それは地面を割り風圧で多くの兵士を吹き飛ばす程の威力。普通の人間では当然勝てそうもない。

 

それでも負けじと兵士達が攻撃をするのだが、当然人間の腕力ごときでどうにかなる相手ではない。剣を叩きつけても真っ二つに折れ、斧も砕けるだけだった。

 

『ハァァァァァァァ……』

 

「ッ!?炎が来るぞ!重装兵前へ!!」

 

『グワァァァァア!!!』

 

大量の空気を吸いこんたドラゴンを見て、炎のブレスが来ることを確信した兵士は、分厚い盾と鎧を装備した者を前に出して攻撃を防ごうとする。しかし、その熱量は凄まじいもので、鉄でできたが分厚い盾と鎧はあっという間に溶けてなくなり、重装兵が全滅した。

 

「も、もう駄目だ……勝てるわけがない……!」

 

兵士達は既に戦意が喪失している。戦争では前線にいる兵士の2割~3割が倒れただけで壊滅状態として扱われる。それは見ている側の兵士達が戦う気力を失うからだ。そして現在、王国の兵士は全体の7割が消失。士気が落ちて戦えなくなるのも無理はない。

 

「エクスプロージョン」

 

膝を着いて戦う気力を無くしている兵士達を無視して、ケンジが巨大な攻撃魔法をドラゴンに叩き込んだ。

 

「使えない連中だな。下がってろ。僕がヤツを消し飛ばしてあげるよ」

 

言葉は乱暴だが、ケンジのこの行動は戦えなくなっていた兵士達に希望を与え、取巻きの女達はそんなケンジに黄色い声援を浴びせる事になった。

 

「派手な魔法バンバン浴びせてるな~」

 

「なんか不味いのか?」

 

「魔法ってのは、体の中にある魔力よりも体力を大きく消費するものもある。あの王さまの使ってる魔法、とりわけ体力の消費が大きい物。あの調子で撃ってたら後2発3発で―」

 

と言っている間に、魔法の威力が落ちてきた。今だドラゴンは派手な土煙に包まれているが、倒れたと言う感じは全くしない。そしてついに

 

「グッ……!ま、魔法が……撃てない?!」

 

魔力、体力共に尽きて倒れこんでしまう。しかしドラゴンにも深傷を追わせたと言う確信があるのか、やりきったと言う目をしている。

 

「流石にあんだけ魔法撃たれたら、レベル600でも無事じゃ済まねーだろ」

 

「いや。ありゃ駄目だな」

 

「え?」

 

スライムがそう言うと、街の住民は土煙に視線を向ける。時間が経つに連れて煙は薄くなり、次第に中心部の様子が伺えるようになる。ドラゴンは倒れている。そう思う人も沢山いるだろう。しかし、立っていた。ドラゴンは倒れることなく立っていたのだ。ドラゴンは攻撃をして来たケンジを無視して、街に向かって突っ込んでくる。攻撃を浴びせた者には目もくれず、自分が引き寄せられた力の根源を破壊しようとしているのだ。

 

「これ、大丈夫か?」

 

「あぁ……フリザの魔法なら大丈夫だろ。な?」

 

「私、防御系魔法苦手なんですよね」

 

「本当に大丈夫なの?!つーかフリザさん戦わねーのかよ!?」

 

「王国の人達に泥を塗るわけには行きません。彼らが討伐を約束したんです。ここで見物しましょう。ほら、王様が剣を取り出して走ってきましたよ」

 

もはや力のない王国の兵士達と国王を嘲笑うかのようだ。実際嘲笑っている。溜まりに溜まったストレスがこの様な形で吹き出しているのだろう。実に凶悪な笑みで魔法の向こう側にいる国王達を見ていた。

 

「ドラゴンごときが、僕に勝てると思うな!僕は誰よりも強い!神に認められ異世界から来た最強の存在なんだ!モンスターごときに負ける筈がない!!」

 

うるさい。と言いたげに、ドラゴンが尻尾で吹き飛ばしてしまった。もうこれで、王国から来た人間で戦える人間はいなくなった。

 

「フリザさん。俺のいた国には、『人間時にはガス抜きが必要』って言葉があってね、たまには派手に暴れまわることが必要とされる意味の言葉があるんだよ!だからそう言う意味でドラゴンを相手に暴れてくれないかな?!ねぇお願い!300円あげるから!!」

 

言ってることは滅茶苦茶だが、間違ってはいない。人間たまにはガス抜きと称してストレスを発散させる物だ。それを利用して、目の前のドラゴンを倒して貰おうと言うのが直輝の魂胆なのだろう。

 

「成る程。ガス抜きですか。それは、実に良いですねぇ!」

 

「え?」

 

「良いでしょう!このフリザが、ドラゴンの相手をして差し上げましょう!!」

 

「え?」

 

「言っておきますが、簡単に壊れないで下さいね?せっかくのお遊びが台無しですから。では、行きますよ!」

 

「ちょっ!激しく別キャラ降臨してるんだけど!!?不味いって!その方向は不味いって!!!」

 

普段とは全く別のキャラになってしまったフリザに一抹の不安を抱えているが、今の状態のフリザ相手にドラゴンが万が一にも勝てる可能性はない。金色に輝く伝説の力でも身に付けない限り不可能だ。

 

「ハァッ!」

 

きれいなアッパーカットがドラゴンの顎に決まる。相手は自分の何倍もの大きさだが、簡単に飛んでいってしまう。

 

「おやおや。その程度で吹っ飛ばされては、私に勝つことなんてできませんよ?はぁ!」

 

倒れそうになった所に、後頭部に蹴りを叩き込みそのまま前に倒れこませる。

 

「たった2発ですけど、この程度ですか?もっと骨のある相手だと期待していたのですが、どうやら私の勘違いだったようですね」

 

空中に浮かびなから、ドラゴンを見下ろしている。兵士達が大量の砲弾を浴びせ、ケンジが強力な攻撃魔法を撃ってもダメージを与えられていなかったにも関わらず、たった2発の攻撃でドラゴンを地に伏せさせた。

 

「……フリザさん強いな」

 

「味方で良かったって心底思うよ……」

 

「どう言う原理で飛んでんだよ」

 

飛行の原理は簡単だ。体内の魔力を外に放出して巨大な膜を張り空中へ浮遊する。そして一部の魔力の膜を破裂させ推進力にして縦横無尽に空中を駆け回る。詰まる所膨張と破裂だ。それを繰り返しているだけのこと。口で言うのは簡単だが、実際にやるとなるとそうも行かない。調整を1つ間違えば全く別の場所に飛んでいく上に体が破裂する可能性だってある。熟練の魔法使い以外には絶対にできない芸当だ。

 

「いつまで寝ているつもりですかっ!もう少し全力を出してください。それとも、あんなちっぽけな大砲や魔法でダメージを受けた。なんて言いませんよね?」

 

倒れていたドラゴンを蹴りあげ、空中で容赦なく攻撃を叩き込んでいく。圧倒的すぎて止めてあげろと言いたくなってくるレベルだ。

 

「おっと。どこへ行こうと言うのですか?逃がしませんよ!」

 

翼を広げて逃げようとするドラゴンだが、そんなドラゴンの翼に指を伸ばして何かを出すと、翼を貫いて再び地面に落とした。

 

「なにあの魔法」

 

「魔法って言うよりは、ただの魔力の塊を撃っただけだな。とんでもない勢いで」

 

「オォホホホホホホホ!!逃がしはしませんよ!私は貴方を殺すと決めました。ですので、この場で塵になってもらいます!!」

 

もうフリザが誰も届かない向こう側へ行ってしまった。本当にドラゴンを消し飛ばすまでこの一方的な蹂躙は続きそうだ。

 

「この程度で音を上げるとは、だらしないですね~。言っておきますが私はまだマックスパワーの半分どころか、その半分も出していないんですよ?」

 

もはや爆弾発言が多すぎて、どれが本当の爆弾発言か理解できなくなってきた。しかも戦いの様子を見るからに、ハッタリではなく本当の事だと理解できる。

 

「しかし、それが実力だと言うのなら仕方ありません。そろそろ飽きてきたので、ここらで終わりにしましょう」

 

指先に小さい太陽にも似た球体を出現させる。それを徐々に膨れ上がらせていき、ドラゴンを簡単に呑み込みそうな大きさにまでする。街には防御魔法のお蔭で影響はないが、フリザやドラゴンの周りは熱で焼け焦げて行っている。

 

「これで終わりと言いたいところですが、さすがに地上で爆発させるのは不味いですね」

 

そう言うと、作り上げた太陽ごとドラゴンを空中に持ち上げ、爆発の被害がでない場所まで移動。太陽はまだ膨張を続けているが、もう良いですねとフリザが呟き開いていた指を閉じた。

 

ドカアアアアアアアン!!!

 

ドラゴンはフリザの作り出した太陽と共に消滅し、辺りに素材を撒き散らしながら消えてしまった。

 

「少しは発散させないと本当にダメですね。と言うよりも、久し振りに戦ったので随分体が鈍ってましたよ」

 

「あれで鈍ってたのか……」




力尽きたので今日はここまで!次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入り登録もよろしくお願いします!!
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