人間やろうと思えばどんな環境でも生きていける   作:憲彦

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「前回は前枠無かったな」

「忘れてたらしい。アンケート機能の宣伝してたし」

「じゃあ前回のお復習からだな。前回は業者が入って地下室が完成。その間は作りすぎたハンバーガーを売り歩いて時間を潰してたな」

「俺がルーカス。お前がフリザん所に行ったんだったな~。俺は全部売るのに1時間と少しかかったが、お前は全部フリザが買い取ってくれたんだよな?」

「あぁ。しかもコーラにありつけた。最高だ」

「大量に地下室の倉庫に入れられたな。スペースがソコソコ持っていかれたけど」

「まぁ風呂上がりに飲んだり何かつまみながら飲めばすぐに無くなるだろ」

「俺は飲んだら体が少し黒くなるけどな。じゃ、本編行くぞ~」


第14話

「では明日、少し早い時間に出ますのでよろしくお願いします」

 

「はいはい。王国までだっけ?」

 

「えぇ。あのときの請求書を渡しに行きます」

 

手に持っているのは200枚はありそうな大量の請求書。ドラゴン討伐の時にこの町にやって来た王国の兵士達がやらかした問題の数々。小さな者は無銭飲食や食器の破壊などで、大きいものでは傷害罪や店の壁やドア等の器物破損。その他多くの苦情。被害総額が気になるところだ。

 

「いや~それにしても」

 

「ん?なんだ?」

 

「良い部屋ですね。この時季でも涼しく快適に過ごせるなんて。お酒が美味しいです」

 

「なんだ?エールか?」

 

「いえ。これはラガーです。最近解禁されたようで、この町にも流通する様になったんですよ」

 

「ふ~ん。そう言えば、エールとラガーって何が違うんだろうな?俺はどっちも飲めねぇけど」

 

「エールは高温発酵で発酵期間が短い。それに対してはラガーは低温発酵で発酵期間も長いです。まぁ、私は美味しければ何でも良いので気にしませんけど」

 

因みに発酵温度はエールが20℃~25℃、ラガーが0℃~15℃程で、低温のラガーの方が雑菌の繁殖が少なく管理しやすい等のメリットなどがある。日本でビールと言えばラガーを指すことが多い。

 

「あ」

 

「どうした?」

 

「エールで思い出した。王国から昔こっちに入れて貰ってたエール。粗悪品で不味かったんですよね。この程度の町ならこれで十分だとか失礼な事も言ってたんですよ。その分も請求書に入れましょう。舐めた酒を買わせた慰謝料として」

 

現代では完璧に法律に触れそうな行為だが、この世界ならまぁ問題は無いだろう。

 

「と言うか直輝さんはお酒飲めないんですね」

 

「あぁ。どうもアルコールの感じが苦手でな。昔上司から一応飲めるようになっておいた方が良いとは言われたんだが、いつになっても飲めないんだよな~。コーラで十分」

 

ジョッキに注ぎ込んだコーラを飲みながら、テーブルの上に置いておいた肴を食べる。

 

「でも意外だよな~。冷蔵庫に使われてる素材をコンクリートに混ぜ込んで作った壁なのに、温度は過ごしやすいままだ。もっと冷えるもんだと思ってたんだが……」

 

「万年氷の配分が良かったのかもしれませんね。あと少し多かったら寒かったかもしれませんが、まぁ良かったじゃないですか」

 

建築中に無意識に運の良さを発動していた様だ。もう固有スキル「幸運」と言われてもなんの疑問も抱かないだろう。

 

「あれ?今日スライムさんはどうしたんですか?」

 

「コーラ樽の上で寝てるぞ。なんか樽と樽の隙間がちょうど良いとかで、最近はそこに嵌まって寝るのが楽なんだと」

 

「あぁ。あれスライムさんだったんですか。なんかゴミがたまってるな~と思いましたよ」

 

「何で倉庫に行ったんだよ……つーな掃除はしてねーよな?スライム捨ててねーよな?」

 

「捨ててませんよ。倉庫には私のラガーとエールを置きに入りました。ついでにルーカスさんのウィスキーも樽で置いてます」

 

「いつの間にか飲み物共有スペースに……?!」

 

「さてと。十分涼みましたので今日は帰ります。明日はよろしくお願いしますね」

 

「はいよ~」

 

ジョッキはマイジョッキの為、軽く水で濯いでから帰っていった。その姿を見送りながらコーラを飲むと、1つの疑問が頭に浮かんだ。

 

「…そう言えば、俺まで王国に行く必要はあるのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ~あ……眠い」

 

「おはようございます」

 

「おう、おはようさ~ん」

 

寝ボケ気味の直輝とスライム、そしてバッチリ目が覚めているフリザが町の入り口に立っていた。その数分後にフリザが手配したであろう馬車が到着。2人と1匹はそれに乗り込んで王国へ出発していった。

 

「そう言えば、何で王国に請求書出すだけの仕事にコイツまで同行させてるんだ?」

 

「まぁ、本来なら私1人で行くところなんですが、あの国王相手です。適当にあしらわれれば王国滅ぼせば良いんですが」

 

「おい何サラッと国1つ滅ぼそうとしてんだよ……」

 

「それは最終手段です。国王殴れば済むのですが、今後絶対に面倒な事になるので、運がステータス異常起こしてる直輝さんが必要と言うことです。なんか上手く行きそうな気がしますので」

 

「結構適当だよね……人選が適当すぎるよね?」

 

「とは言え、運はかなりの武器になります。私はレベルの割りには運のステータスが低いので。全部魔力や攻撃力、防御、HPに振ってましたし」

 

所謂ガチ勢タイプがフリザ。ネタ勢タイプが直輝と言うことになる。恐らく装備を付ける時は完全にネタ装備になることは避けられない。

 

「取り敢えず外交問題は起こしたくないので、運の良い直輝さんを連れて自分に都合の良い方向に持っていこうと言う魂胆です」

 

「あんた相手に歯向かえる人間なんてこの世にいねーだろ……」

 

案外ブラックな内容の話を聞いてしまったが、その後も馬車は順調に進んでいき休憩ポイントに辿り着いた。馬車馬と運転手は軽く休憩を取り、フリザと直輝とスライムは馬車から降りて体を伸ばしている。

 

「あ、ガーディアンだ。こんな所にもいるんだな」

 

周りを見渡していたスライムが見慣れた人型のモンスターの1種であるガーディアンを見つけた。ナイフ型の武器を腰にぶら下げて歩いている。

 

「この前洞窟に素材収集に行ったときも見掛けたけど、アイツらってなんなの?」

 

「さぁ?基本穏やかだけど森を汚すヤツを問答無用で潰すモンスターってことしか知らねーからな」

 

「あぁ。彼らですか」

 

「知ってるのか?」

 

「知ってるも何も、作ったの私ですから」

 

「「………………」」

 

「何百年前だったかな?確か勇者一行が魔王討伐した後でしたけど、モンスターが大量発生したときがあってギルドに大量にモンスター討伐依頼が届いてたんですよ」

 

因みに、当時のフリザはただの冒険者である。レベル6万程の控え目なレベルではあるが。

 

「一々討伐が面倒だったので、自立してモンスターを討伐するモンスターを造り上げたんですよ。それがガーディアンです。因みに種類は沢山いますが、大きく分けて3つ。目の前にいる割りかし何でも対応できるオールマイティー型のマルチガーディアン。高レベルモンスター専門のキラーガーディアン。天災クラスの異変を解決するゴッドガーディアンが私の造り出した大本のガーディアン達です。ふむ……自己進化して繁殖と私が作ったときよりも多様な存在ができたようですね」

 

直輝とスライムは何か聞いてはいけないことを聞いてしまったかのように、顔を引きつらせている。その後もう1度馬車に乗り込んで王国に向かって進み始めた。

 

「ウォット!?……ありゃ~。こりゃ今日は進めないな……」

 

「どうしたんですか?」

 

「あぁお客さん。いやその……あれが道塞いでて」

 

「ん?なんだあれ?」

 

「これは……」

 

馬車から出たフリザが道を塞いでいる巨大な岩を触り始めた。

 

「珍しい形と色の岩だな。丸いし色も普通の岩と違う……」

 

「魔力が微量に含まれてる……この岩、攻撃魔法じゃ破壊できませんね」

 

「なんで?」

 

「こう言う無機質なものに魔力が混ざると、人間やモンスターの使う攻撃魔法が通じなくなるスキルが発動して強度も上がるんですよ。上位冒険者が身に付けてる装備はこの原理が利用されています。なので物理攻撃での破壊しかありません。とは言え……こんなに大ききものとなると」

 

そう言いながら拳を握り岩を殴ってみた。が、軽く動くだけで壊れる様子はない。普通ならフリザが軽く殴っただけで砕けて前方に数十メートルの範囲の地面が風圧で抉れる。その拳でも破壊できないのだ。

 

「大きさに比例して硬さが異常なまでに上がってる様だな」

 

「仕方無い……スキル、筋力向上。レベル3」

 

「え?なにそれ」

 

フリザの体の周りを赤いオーラが包み筋肉が膨れ上がったように見えたが、それは一瞬ですぐにオーラの様な物も消えて膨れた筋肉も元の状態に戻っていった。

 

「今のは単純な筋力向上スキルだ。レベルは確か20まであったはずだな」

 

「私は30まで行けますけどね」

 

「何で上限越えてんだよ!!おかしいだろ!!」

 

スライムの鋭いツッコミが入ったところで、岩の周りをぐるりと1周。掴みやすそうな場所を探しだす。

 

「この辺で良いかな?よっと!」

 

「え?」

 

「ホイッと」

 

岩を持ち上げ、近くにある岩山に投げ飛ばした。飛んでいった岩は綺麗に山の中腹に突き刺さり固定。山が崩れない限り二度と落ちてくる事はないだろう。

 

「地面も直して……これで通れますよ~」

 

「あ、あぁ……じゃ、出発しようかな……」

 

開いた口が塞がっていないが、2人を馬車に乗せてから再び馬を走らせ始める。この旅があと2日も続くとなると、少し先が重たくなってきた。




次回もお楽しみに!感想やお気にいり登録等もよろしくお願いします!!

スキル紹介~

「ツッコミ」
スライムの固有スキル。様々なボケに対して鋭いツッコミを叩き込む。なお、ダメージを与えるようなスキルではない。

「驚愕させる」
フリザの固有スキル(と言われてもおかしくないもの)。規格外な強さと人生経験で、相手の度肝を抜くような言動する。された相手は一定時間行動不能。

「筋力向上」
ソコソコのレベルになれば取得可能なスキル。単純な筋力底上げスキル。レベルは20までだが、フリザに限り30まである。この世界で1位2位を争う脳筋スキルである。
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