200枚はあるんじゃないかと言う大量の請求書。相手は全てドラゴン討伐に来た王国。被害総額を全額払ってもらうため、フリザと直輝とスライムは王国に向かっていた。
「そろそろ王国ですね。直輝さん、これを腰に着けてください」
渡したのは直輝が発掘した剣だ。貯金としてギルドに預けていたのだが、ハッキリと言ってまともに使った試しがない。一度だけ国王のケンジに喧嘩を売られたときにフリザが丸腰じゃ可哀相と言うことで渡して以来だ。
「何でこんなのが必要なんだ?」
「面倒なことに、あの転生者が王になってから冒険者は王国には一定以上の実力の持ち主以外入れない事になったんですよ。そこでこの剣が頼りになると言う事です。因みに私は適当に魔法でも見せれば問題ありません」
「あぁ。成る程」
この剣は最上級冒険者に与えられるもの。つまりこれが身分証明書みたいなものになると言うことだ。
「俺は大丈夫なのか?コイツと一緒とは言えモンスターだぞ」
「まぁ問題無いんじゃないんですか?多分どうにかなります。じゃ、行きますよ」
門を潜り中へ入っていった。王国全体を囲んでいる壁は思ったよりも薄い印象がある。大体2歩3歩で通り抜けられる程度の厚さしかない。フリザが殴れば一瞬で砕けそうだ。そしてそのイメージが鮮明に直輝とスライムの頭に流れた。
(確か、うやむやにされたらこの国を消し飛ばすんだったよな……マジで簡単に消し飛びそうだな)
冷や汗をかきなから、国全体を見渡していた。一応最強の王国として名高いのがここなのだが、フリザの手に掛かれば一瞬にして瓦礫の山に変わる。お手軽に巨大な古墳が完成しそうだ。
「おい、止まれ」
2人の兵士に止められた。恐らく憲兵だろう。しかしやり方が手荒い。いきなり槍を突き付けられた。
「人に尖った物を向けないでください。邪魔です」
「ハェッ!?」
結構高価そうな槍だったが、フリザに握られ形が歪んでしまった。この光景に憲兵の2人は顎が外れそうなくらい口が開き、目玉が飛び出そうなほど目を見開いている。
「ッ!この国に何の目的で来たか話せ」
「だから尖った物を向けるなって言ってるでしょ」
槍を捨てて腰の剣を抜いて向けるが、刀身がサラダ味のプリッツの様にポキポキ折られていく。
「この前のドラゴン討伐の際の請求書を届けに来ました。国王に全額支払って貰います。身分はこれで証明できますよね」
直輝の腰に着けている剣、自身の得意魔法であるサンシャインを見せ、通してももらおうとした。
「待て。そのスライムはなんだ?モンスターだぞ」
「あぁ、俺のお供だ。気にしないでくれ」
適当に憲兵をあしらい、フリザと共に城に向かっていった。中は一般解放されているようで、1階は普通の人も出入りしている。特に重要なものは無いと言う事なのだろう。
「国王の部屋は3階です。用事は特にありませんが、特別ここには居たくないのでさっさと仕事を終わらせましょう」
「へいへい。まぁ観光じゃねーからそりゃそうか」
「モンスターの俺でも普通にはいれる城ってどうなんだよ。ヤベェと思うぞ」
「未熟者が強さを持つと傲ると言う事です。ここ200年、天変地異クラスの災厄は到来してません。魔王も勇者がボコってから音沙汰なし。当時の魔王軍も消息不明ですから、警戒心が無くなったのでしょう。故に現状王国最強と言われている戦士は、レベル60程度の雑魚ですし、魔法の技術も600年前に比べて随分と衰退しました。良くも悪くも、争いが人間の文明を発展させるんですよね~」
「本来ならふざけるなと一蹴りする言葉なんだろうが、600年以上生きてきたアンタが言うと妙に納得しちまうな」
「実際、今ある技術のほとんどが争いが元ですからね。普段使ってる冷蔵庫は飢餓に備えるための物でしたし、造船は海上戦や新天地発見のため、攻撃回復防御等の全ての魔法や武術は言わずもがな。喧嘩に型ができていくつかに派生したのが現在の武術と言うものです。護身用だ何だと取り繕おうが、実際はそんなもんですよ。さてと、着きましたね。あれが国王達がいる部屋です」
「立派なもんだな~」
「一国の王がいる部屋ですよ。当然じゃないですか」
細かい装飾が施され、きらびやかなデザインをした巨大な扉。大人の男が全力を出して漸く片方が開けそうなイメージだ。
「妙ですね。普段なら扉の前にも近衛がいるはずなんですが……」
「良いんじゃねーの?」
「扉を勝手に開けるのは失礼ですからね。壁をぶち抜きましょう」
「そっちの方が遥かに失礼だろ!ここ王国の城だぞ!」
「客人が来るのを分かってて居留守を使うのが悪いんですよ」
スライムのツッコミを無視して、扉から少し離れた位置にある壁にデコピンをした。するとどう言うことだろう、綺麗に風穴が開き中の様子を確認することができた。
「お久し振りですね。ケンジ国王」
「ふ、フリザ!それにスライムを連れた妙な冒険者の直輝まで……!」
「あぁ、バリケード作って待っててくれたんですね。これは大変失礼しました。今から扉を開けて入ってきます」
その言葉に、重そうなタンスやテーブル、机や椅子で扉を固めていた近衛2人は顔を見合わせ、悲鳴を上げながら急いでその場から離れる。
バゴーン!!
またデコピンで吹っ飛ばしてきた。
「さてと、これで話ができますね。既に憲兵のお2人から話は聞いていると思いますが、この大量の請求書、全額支払って頂きます。理由はお分かりですよね?まぁ払っても払わなくても構わないのですが、払わなかった場合はどうなるか、ご存知ですよね?」
右手に請求書。左手にサンシャインを出しながら脅しにかかった。もはや王国には、請求額を全額払うと言う選択肢以外無いようなものだ。
「ま、待てフリザよ。こちらにも準備と言う物がある。流石に今すぐと言う訳には」
「なら家具を売ってでも金を作ってこい。それくらいは国王でもできるでしょ」
「流石にそう言うわけには……」
一刻の猶予も無いのだが、ドラゴン討伐時に自分達が仕出かした事は鮮明に覚えている。額は恐らく伝説的な物になっているはずだ。それを今すぐ全額支払うのは王としての信頼が揺らぎかねない。故に少し待ってほしいのだが、目の前の帝王はそれを許さないだろう。
「おい貴様。一国の主に向かって何をしている」
「戦士長!戻ってきたのか!」
「国王陛下、ただいま戻りました。して、この者達は?」
「ドラゴン討伐の際に拠点にした町の者だ。兵士が手荒な真似をして町を荒らした為、その請求に来たのだ」
背後から突然普通の兵士よりも高級そうな装備で身を包んだ男が現れる。この国の戦士長の様だ。
「なぁ、このオッサン誰だ?」
「さっきフリザがコケにしてた王国最強の戦士だよ。フリザに慣れちまったせいで弱く見えるが、普通の人間からしたら化けもんだよ」
後でスライムと直輝が話しているが、それと平行してフリザ達の話もズンズン進んでいく。
「たかが小さい町の請求なんぞ、無視してしまえば良いじゃないですか」
「しかし此方に非があるのだ。無下にもできん」
「まったく……王は優しすぎますぞ。ならこうしましょう。この戦士長ギガに、この女が勝つことができたら払うと言うのは」
「は?」
「兵士たちから話は聞きましたよ。なんでもこの女、ギルドの受付嬢にしては相当の力を持っているとか。でしたら!この私と一騎討ちをしてもし、勝つことができたら払ってあげれば良いのです。まぁ、私が負けるなど万に一つもありませんけどね。魔法使いが戦士に勝つなど笑止千万!すぐに終わりますよ」
「良いですよ。そちらがそれで払ってくれると言うなら、いくらでも勝負は受けましょう。とは言え……先程の言い草には少々腹が立ちましたね。貴方には地獄以上の恐怖を味わわせて上げますよ」
「ふん。大した自信だな。だが後悔するぞ。怪我では済まんのだからな」
こうして、城のど真ん中で派手な喧嘩が起ころうとしていた。
「あぁ、また宇宙の帝王を見れるのか……」
今日はここまで!次回の更新は未定です。ゴールデンウィークに休みなんてありませんからね。ではでは次回もお楽しみに!感想や評価、お気にいり登録などもよろしくお願いします!!
フリザVS戦士長
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