人間やろうと思えばどんな環境でも生きていける   作:憲彦

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「車の事故で死んだ俺は異世界で目が覚め、ミノタウロスに追いかけ回されて町に到着。道具屋の人からお勧めできないと言われたが、それなりに考えがあるため無事登録をすませた」

「町の規模の割に、海は近くにあるし町を出れば動物が生息する山もあるし川もある。冒険者ギルド以外のギルドも充実してる」

「本当。良い場所だよな~」

「でも、この小さい町のギルドにあんなヤバい化け物がいるとは……」

「あぁ。レベル530000のフリーザ様ね」

「フリザだろ。前回から思ってたけど、誰なんだよそれ」

「気にすんな。ただの悪の帝王だから。それより俺達の家ってどんな感じなんだろうな?と言うか冒険者そこそこいるのに家が与えられるってどう言うことだよ」

「当たり前だろ。優秀な冒険者が1ヵ所に留まってる訳ないだろうが。家が気になるなら早く第3話行け」


第3話

「えっと……家どこだ?」

 

「地図ではどこになってるんだ?」

 

「この辺の筈なんだけど……」

 

「どれどれ」

 

与えられた荷物を地面に置いて、スライムと一緒に地図を凝視。確かに地形を見るからにこの付近であることに間違いはないのだが、どうもそれらしい物は見えない。

 

「よう!お2人さん。さっき振りだな。その様子を見ると、冒険者登録してきたな?」

 

「あ、道具屋の」

 

「ルーカスだ。あの店の店長やってる。ところで、なにやってんだそんな所で?」

 

「家を探してるんだよ。地図だとこの辺になってるんだけど……」

 

地図をルーカスに渡して見てもらうと、すぐにこの先だと言われて案内して貰うことに。着いていくと、坂を少し下った海岸付近だった。

 

「ここだな」

 

「おぉ、ありがとう。意外と敷地面積広いな~」

 

「この町は人口が多いって訳じゃないからな。それに町の経済に直接関わる冒険者は多少優遇されるんだよ。まぁこの家は中々買い取り手が居なかっただけなんだけどな」

 

「良い場所なのに何故」

 

「昔住んでた冒険者が、原因不明で死亡したらしくてな。その次に住んだ人は盗賊の強盗殺人に、その次に住んだ女は自殺。この前まで住んでたジーさんは突然訳の分からない事を叫びながら門を飛び出て、そのままモンスターに殺られた」

 

事故物件だったようだ。確かに場所も良し広さも良し見た目も良しなこの家を、現在収入が全く無い新入り冒険者に与えるのは可笑しな話だが、そんな曰く付きの物件なら当然だと思えてしまう。

 

「一応、何度かお祓いはしてんだけどな。教会の神父さんや大国のまじない師が来て。しばらく俺の家にでも住むか?」

 

「いや。俺スライムと一緒だから大丈夫だろ。呪われんならアイツの方じゃねーか?」

 

「ハハッ!ソイツは面白いわ!仲間と酒を飲むときの話題にさせてもらうよ!」

 

「おい!何俺が呪われるの確定してんだよ!大体モンスターに呪いが効くか!!」

 

効かないと自信ありげだったが、それを強いモンスターが言っているなら説得力があったかもしれない。しかしスライムが言うとただの強がりに感じてしまう。

 

その後、ルーカスは明日の準備があると言うことで帰宅。直輝とスライムの2人は家の中に入って荷物の整理をすることにした。

 

「中は綺麗だな。もっと汚れてると思ったんだが」

 

「流石にそれはないだろ。人に渡す物だぞ」

 

「それもそうか。あ、ベッドが付いてる。台所も充実してんな~、釜戸だけど。あ、水だ。井戸でも引いてんのか?」

 

「こっちには風呂もあるぞ。しかも広い」

 

そんなスゴくラッキーな部屋だった。事故物件ではあるけども、それを入れても好条件。人が生活する分には全く問題ない。と言うか十分だ。

 

「この箱は何だ?」

 

「あ?これお前らの世界にもあるぞ」

 

「こんな箱が?どれどれ」

 

正体不明の箱。上下に把っ手が2つ付いており、2ヶ所開けることが出来るようだ。スライムは正体を知っているようで、開けるように促した。

 

「空っぽ……」

 

開けてみると、中には何も入っていなかった。しかし妙に冷たい。上の小さい戸を開けてみると、そこは更に冷たかった。内側に氷が貼るくらいにだ。

 

「もしかして、冷蔵庫と冷凍庫か?」

 

「正解」

 

「嘘だろ!?電機も何もないし、見た目ただの木で出来た箱だぞ!?どう言う構造だよ!!?」

 

「南極方面と北極方面に行くと、万年氷って言う氷が取れる。それは名前の通り、何万年経っても溶けない氷と言われ、出てくる冷気も普通の氷とは違う。しかも火山にでも投げ込まない限り、自然に溶ける事もない。この世界では食材の保存とかによく使われるんだよ。それを木で覆ってる。下の冷蔵庫は厚めの木、上の冷凍庫は薄めの木で作られてるんだよ」

 

「高いんじゃないのか?それって」

 

「いや。その地方に行けばよく取れるから、Eランクの素材だ。結構安い値段で買うことができるぞ」

 

「ほぇ~。便利な世界だな~」

 

この世界の物に感心した所で、今日は眠ることにした。まだ時間的に言えば午後の8時程度だが、色々と精神的にも肉体的にも疲れた日だ。早く寝入ってしまいたい。そんな気持ちなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こけこっこう~!!

 

近くの家が飼育している鶏の鳴き声。この町ではこれが朝の合図になるようだ。この世界に来たばかりの直輝もこれで目が覚めた。

 

「……水」

 

起きて早々に井戸から水を組み上げて飲む。長い間使われていない訳だが、特に吐き出したりしていない所を見るに、問題はないようだ。そして服をこの世界の物に着替えて、身の回りの整理を始める。普通ならすぐにでも冒険やクエストを始める所だが、そんなRPG的展開を律儀に守るつもりはない。

 

「おい起きろスライム」

 

「んあ?もう少し寝かせろよ」

 

「冷凍庫で寝かせてやろうか?」

 

「遠慮しとくよ。クエストにでも行くのか?」

 

「行かねーよ。この家の整理とその他諸々をやるんだよ」

 

それを伝えてから、スライムを連れて昨日の道具屋に向かう。早い時間帯のため開いているかは心配だったが、意外にも開けていてくれた。

 

「店長おはようさん」

 

「おうおはよう。これからクエストでも受けてくるのか?」

 

「まさか。箒とバケツと雑巾くれ。家の掃除をしたい」

 

「え~っと……ほい。お待ちどうさん。銅貨1枚ね」

 

「ん」

 

「はい。ちょうど貰うよ」

 

購入した後は家に直行。そして開けられる窓と言う窓を全て開ける。掃除に支障をきたす家具の全てを外に出して、天井から床までの埃を全て外に飛ばす。

 

「スライム、お前体に埃付けて掃除できないのか?」

 

「洗い流すの面倒だから嫌だ。代わりにこれなら出来るぞ」

 

そう言いながら水の入っているバケツに浸かり、体に水を吸収。徐々に体が膨れ上がっていく。そして勢い良く跳ね上がると天井付近から勢い良く吐き出す。それは高圧洗浄機の様に小さいゴミも浮き上がらせて流してくれる。

 

「おぉ便利(乾くまで何時間かかるかな)」

 

「ポコッ……どうだ!スゴいだろ!!」

 

「あぁ。スゴいな。そのまま乾かしてくれ。俺は食材とか買ってくるから」

 

「え?」

 

疑問符を頭の上に浮かべて、直輝に声をかけようとするが、既にいなくなっていた。こう言うときの行動の早さには驚きを隠すことができない。仕方なく風魔法で部屋の中に風を起こして乾かし始めた。

 

そしてその頃直輝はと言うと、木工ギルドまで足を伸ばしていくつか木材を買い漁ってた。因みに買ったものは薪と炭、まな板、何かの器と木の棒を数本買っていた。その後に水運ギルドの港に寄って何匹か魚を買い込んだ。何故か淡水魚も置いていたが、深く触れるのは止めておいた。後は道具屋で調味料を購入。

 

「乾かせたか~?」

 

「ご覧の通りだ。少し休むぞオッ!?何しやがる!」

 

「ごめんごめん。もう1回水吸い込んで膨らんで。屋根とか外壁洗いたいから」

 

「ふざけッブシュゥゥゥゥゥゥ!!!!(×_×)」

 

「よし。水追加するか」

 

新手のモンスターに対する拷問か何かに見える。無理矢理スライムに水を吐かせ続け、壁と屋根を洗い流していく。この作業が終わったときには、スライムはグロッキー状態だ。

 

「オェ……気持ち悪い」

 

「ご苦労さん。さてと、飯でも作るか」

 

「そうしてくれ。なんか食わせてくれ……つーか、なに作るんだ?」

 

「鰻の蒲焼き。もしくは白焼き。まぁ今ある調味料的に白焼きの方が楽なんだけどな」

 

「どっちも知らねー料理だな。てか鰻!?あれ食えないだろ!不味いだろ!!」

 

「不味いって……どうやって食ってたんだよ」

 

「生で丸かじり」

 

「そりゃあ不味いわ。じゃあ白焼きで良いな?道具は揃ってるし……って、蒸し器ねーじゃねーかよ。鍋1つに穴開けるか」

 

※道具は大切に使いましょう

 

「お前その体の形変えられない?アイスピックとかに」

 

「え?まぁ見たことあるものなら」

 

「じゃあ細長い針に変わってくれ。折れないくらいの太さに」

 

「ほれ」

 

言われた通りの形に変わって、直輝の手に飛び乗る。そして直輝は鍋の底に押し当てて、大きめの岩で打ち付けながら穴を開けていく。

 

「よしご苦労。休んでて良いぞ~」

 

「いや。調理法気になるから見てる」

 

とのことだったので、頭まで這い上がってまな板を見下ろす。さっきまで水を吸ったり吐き出したりしてたお陰か、少しひんやりしてて気持ちい。

 

「まずは氷水にぶちこんで動きを鈍らせる。動かなくなったら取り出して中骨を断ち切って絞める。その後、俺は背開き派だから背中を手前にして尖ったもので目打ちをして固定する。後は中骨にそって開くだけだ」

 

「死んだやつじゃダメなのか?そっちの方が動かなくて楽だろ」

 

「死んだのは臭くて食えたもんじゃねーよ。開いたら中骨を剥がして、一緒に尾を切り落とす。内蔵や血合いをとったら頭から離して、腹骨にも包丁を入れても掻き出すんだ。面倒だろ?」

 

「だな」

 

そう。鰻は旨いが、調理行程がやたらと多い。勿論これよりも面倒な物は沢山あるが、難易度はかなり高いだろう。因みに、今は普通の出刃包丁を使っているが、鰻を裂くための鰻裂包丁と言うのもある。しかし扱いが難しいらしく、大体は使いなれたもので捌く。

 

「で捌けたら丁度良いサイズに切って串を打つ。そして蒸し焼きだ。10分程度で大丈夫かな?」

 

「食っても腹下すのはお前だから大丈夫だ。俺は下さないからな」

 

「そうか。なら今度トラフグ毒食わせてやるよ。反応を見るのが楽しみだ」

 

※トラフグ、特に旬を迎えた時期のトラフグの非可食部分は本当にシャレになりません。特に卵巣は爪の大きさ程度を食べただけでも死にます。

 

そんな冗談を言いながら蒸していく。出来上がるまでの間は外に出した家具を中に取り込んでいく事にした。重たいかと思ったが、パーツごとに分解したためかそうでもなかった。意外にもサクサク運んでいける。あとはそもそも家具が少なかったと言うのもある。

 

「ん?おい。ベッドのマットレスと布団と枕は入れないのか?」

 

「あぁ。昨日使ってて何か埃っぽかったから。埃とか叩き出してから入れるわ」

 

そう言うことで取り出したのが木工ギルドから買ってきた木の棒。かなり丈夫そうで細くもなく太くもない。何かを撲るのにちょうど良さげだ。

 

「こいつで殴って埃やダニを飛ばす」

 

そう言って殴り続ける事5分。埃も何も出なくなってしまったマットレス、布団、枕を家の中に運んでいく。心なしか3つ共少し薄くなったような気がする。

 

「あ、鰻いい感じになってきたぞ」

 

「お。じゃあ次は焼きだ。両面に焦げ目が付くくらいまでな。焼けたら皿に盛って完成だ」

 

皿に盛り付けた白焼きをテーブルに持って行って、早速1切れスライムの口に突っ込む。

 

「おぉ!ウメー!!あのウナギがちゃんと食い物になってる!」

 

「いやウナギは食い物だろうが……ん~今度は蒲焼きにでもするかな。タレもちゃんと作って」

 

スライムは満足そうに食べているが、直輝的には少し物足りないと感じているようだ。次は蒲焼きを作ると誓うと、買ってきた調味料を幾つか取り出して使うことにした。

 

「なんだそれ?」

 

「ワサビと醤油。まさかこっちの世界にもあるとは思えなかったよ……」

 

「あぁ。調味料とかはそっちから伝わってきた物がそこそこ置いてあるからな。それに昔こっちに来た人間がここでも製造してたって言ってたし」

 

「ふぅ~ん……昔から交易があったってのは本当なんだな」

 

「人が行き交えば嫌でも文化は交流するからな」

 

「成る程……ホイッ」

 

「ん?グアァァァァァァア!!!」

 

「わぁお。ワサビの効果は絶大だ」

 

スライムの口にワサビを投げ込んだようだ。




フリザさんの見た目は「ヲタクに恋は難しい」の小柳花子(高校時代)な感じ。ただし落ち着いた性格。この世界最強で最凶の存在。見た目は20代のそれだが、実は600年以上生きてる。RPGのラスボスや裏ボスをワンパンで倒せる強さ。ゲーム廃人が作ったキャラとも言える。

主人公も「ヲタクに恋は難しい」の樺倉太郎の前髪を下ろした黒髪Verな感じです。ただし熱くないしどっちかと言えば冷めてる。生きるために必要最低限の努力しかしない。彼女なし。と言うか興味ない。

そしてスライムはドラクエに出てるヤツじゃなくて、バレーボールサイズの球体でそれに目と口が付いてるのを想像してください。でもスライムで柔らかい為、完全な球体と言うより楕円形。それがポヨンポヨン跳ねてます。

感想よろしくお願いします。次回?あれば期待してください。
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