人間やろうと思えばどんな環境でも生きていける   作:憲彦

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「運勢が最悪の時に事故で死んでしまった俺は、RPGみたいな世界に来てしまっていた。スライムと共に町に来て、そのまま冒険者に登録。資源豊富なこの町に家を貰うことが出来た」

「家って言っても事故物件だろ。住んでた人は相次いで死んでるんだからな」

「気にしすぎだろ。何も見なかっただろ?」

「いや。実は初日の夜に誰かが部屋を歩いてた……」

「あ、それ俺だわ。寝相悪くて歩くことあるから」

「お前かよ!無駄な時間使ったわ!さっさと第4話行くぞ!」


第4話

「ヤバい……」

 

「なにが?つーか飯まだ?」

 

「スライムのくせに飯が必要なのかよ……悪いが金が無くなってきてるんだ。暫くは米と塩、水、釣った魚だけだ」

 

「なんで無くなったんだよ。そんな無駄遣いして無いだろ?」

 

「無駄遣いしなくても生活の浪費ってのはデカいもんなんだよ。普通に生活してるだけで無くなる。つーか、大体3万程度の金でよく3ヶ月生きられたな。結構買い物してたのに」

 

「お前のいた世界とは根本的に金銭の価値が違う。ギルドから貰った金、この世界じゃ遊んで暮らせるぞ。短い間だけど」

 

日本円にして30000円程の金。この世界では2ヶ月は遊んで暮らせる金になる。しかし直輝はこの世界に来てからと言うもの必要な物を購入したり食料を購入したりと、そこそこの出費をしてきた。手持ちが少なくなってきたのは当然と言える。

 

「あ、」

 

「ん?なんだ?そのヤバいみたいな「あ、」は」

 

「俺たち、ギルドに納めるもの納めてねーだろ」

 

「あ……忘れてた」

 

ギルドには自分の獲得したカネなどを納めなくてはならない。それは4ヶ月に一度で、納められなければギルドから冒険者登録は抹消。過去に抹消されては再登録、抹消されては再登録を繰り返し金を得る輩が居たため、登録抹消後の再登録は不能。つまり住む場所が無くなると言うことだ。

 

「ヤベーな。なぁ、この世界で1番金を稼ぎやすいのはなんだ?」

 

「んあ?鉱石や素材だな。この世界では様々な職業に必要なものだ。そこら辺にある石ころだって、価値は低いが金にはなる」

 

「鉱石ねぇ~。あ、あそこ行くか」

 

ギルドからもらった荷物を漁り、中からこの周辺にある採集可能な物が記されている地図をだす。そして目を付けたのは、鉱石が大量に入手可能な洞窟。事前にギルドからは初心者でも浅いエリアなら問題ないと聞いている。問題はただ1つ。

 

「ツルハシ、大量に買うぞ」

 

と言うことで来たのはいつもの道具屋。冒険に行かないお前が急にどうしたと驚かれたが、生活費と行ったらすぐに理解してくれた。ツルハシを10個購入し、サービスとして干肉を3日分ほど貰った。これで所持金は0円となり、何としても金を作らなくてはならない状況へとなってしまう。

 

「で?洞窟に鉱石採取に行くのは良いが、なんかプランはあるのか?」

 

「ツルハシ全部ぶっ壊れるまで掘り続ける。以上。だからお前は取り敢えず荷作りしてくれ。俺は飯作っとくからよ」

 

木工ギルドで買ってきていた弁当箱を大量に取り出して、炊いた米で作った握り飯を大量に詰め込んでいく。当然悪くならない様に塩を使ったり酢を入れたりしてだ。後は残ってる魚でオカズ。大量の水筒を準備していく。

 

「おい。詰め込んだぞ」

 

「おう……って、道具袋ペッタンコじゃねーか。本当に入れたのか?」

 

「あぁ、そっかお前知らないんだったな。この世界じゃ、冒険者や業者が使う袋は全部魔法をかけられた物を使ってんだ。破けにくいし、一種の時空間魔法を使ってるから入る量も多いんだよ。まだ入るな……」

 

所謂ドラえもんの四次元ポケット。仕組み的にはそれと同じ様だ。しかも食料や道具を含めそこそこ入れたのだが、まだ余裕があるようだ。ついでに明かりになる物も詰め込んでおいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたな」

 

「あぁ。ここだな。あ、あんま奥に行くなよ。奥には普通に強いモンスターが結構いるからな。その分価値の高いものが多いけど」

 

「今回は準備してないなら行かねーよ」

 

スライムの言うように、この洞窟は奥に行けば行くほどに強いモンスターが出てくる。場合によっては上級冒険者でも冒険者生命を断たれるレベルのモンスターも。それ故に奥に行くのはかなり危険なのだ。だがその分、ランクで言うSSSクラスのとんでもない鉱石が出てくる事がある。希にそれすら超えてしまう化け物鉱石も転がってきてしまう。随分と上手く出来たシステムだ。

 

「さてと、どの辺を掘れば良いんだ?」

 

「あ~……こんな感じの亀裂が入った場所だ。砕きやすいしな。何でこんなところからってのがあるが、気にするなよ。お前らの世界の常識が通じるような世界じゃないからな」

 

「そんなもん初日で散々感じたわ。ほら見ろ。こんなところから水晶出てきてる時点でおかしいだろ」

 

「マジかよ……いきなり価値のある物が出てきたな」

 

水晶。SSS~Gの10段階ある内の7番目のDランク鉱石。高価な置物の装飾、城等の建物の内装、魔法使いの道具などを作る際の素材として扱われる。大きさによって値段が変わるが、用途が広いため成人男性の掌サイズは日本円で2000円程の値段で取引される。

 

「いきなりスゲーの出たな」

 

「昔から地形の変化は頻繁にあったからな。ここ800年位は落ち着いてたけど。こんなのが出てくるのもおかしくは無いのかもな」

 

「あ、また出てきた。さっきより大きいな」

 

もう一度ツルハシを突き刺してみたらまた水晶が出てきた。しかもさっきのはピンポン玉程度だが、今度出てきたのは野球ボール程の物。しかも透明度がかなり高い。これなら結構な金になる筈だ。その後も堀り続けるが、ボロボロボロボロと何かしらの物が出てくる。

 

「……こここんなに出てくるのか?」

 

「いや。普通は出てこない筈だが……お前運がいいな」

 

「もう帰ろうか考えてた所―ん?なんだこれ?」

 

「あ?剣の柄だな。しかも高価な作りだ。掘り出すか?金にはなると思うぞ」

 

高価な物と聞くと、ツルハシを器用に使って周りの岩を砕いて行き、剣に傷を付けない様慎重に外していく。

 

「もう少しか……」

 

少し強めに1番下の岩を叩く。すると綺麗に縦に割れて剣を取り出すことが出来た。そして本当に値打ち物かどうかを確かめる為に、スライムによく見せる。

 

「で?どうなんだ?」

 

「こりゃあ王国の最上級冒険者に与えられる物だな。大体2、300年前の物。強い魔法も掛けられてる。モンスターに対して絶大な攻撃力を発揮する。つまり」

 

「つまり?」

 

「売ればとんでもない金に。冒険者として使えば一気に名がしれわたる」

 

「よし。売るか」

 

「勿体ないことするな~」

 

「俺が持ってたって宝の持ち腐れ。ギルドに俺の貯金として預けとくなら話は別だけど」

 

「はぁ。お前さんの現金主義には少し呆れるよ」

 

「誉め言葉として受け取っとくよ。あ、鞘も出てきた」

 

魔法の力が込められた高価な剣。鞘とセットで獲得。スライムの見立て通りなら、これはとんでもない値打ち品。恐らく売れば莫大な金が手に入るだろう。と言っても、どこの店がこれを買い取ってくれるかは定かではない。むしろそれだけ高価なら買い取ってくれる場所があるかどうかが危うい。

 

「暫くはギルドに預金として預けとくか。あ、何か鉄っぽいの出てきたな。ここ地下何メートルだよ……」

 

「お前らの世界の常識が通用しないって言ったばかりだろ。悩むだけ時間の無駄だ。まぁ、この位置で鉄っぽい何かが出てきたのは確かに不自然だが。お前の運の良さの一言で片付きそうだな」

 

「止めてくれ。元いた世界じゃ運が最悪だったんだ。死んじまうレベルでな。今の運の良さがどこかで切れたら、マジでどうなるやら……」

 

頭の中にグロテスクかつ嫌なイメージが大量に流れてきたが、その考えを振り払って堀り続けた。持ってきた食糧3日分とツルハシ10個全てが完全に壊れるまでだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んお?直輝とスライムじゃねーか。久し振りだな。なんだ?そのアグレッシブルな格好は」

 

「あ、ルーカスの旦那か。いやな、金が無くなったって言ったろ?3日間稼ぎに言ってた。洞窟に」

 

「採掘か?その袋を見る限り、結構な量取ってきたんだろ?」

 

ルーカスの言う通り、袋はパンパンに膨れ上がっている。普通ならあり得ないだろと言うレベルでだ。あと少し入れれば100%破れてしまいそうだ。

 

「後で売りに来るから、買い取れる物は買い取ってくれ」

 

「おう。サービスしとくよ。で?いつくる?」

 

「今日はもう眠りたいんだ。明日にしてくれ。体中バッキバキなんだよ」

 

そう言うと、何故か憐れみの目を向けられてしまった。だが状態を見るからに満身創痍なのは分かる。夜通し作業に取り掛かっていたのだろう。2人の目の下にデカい隈が付いている。

 

~次の日~

 

「う~い。持ってきたぞ~」

 

「よう!来たな。さぁ、見せてくれ。何を取ってきたのかを」

 

「ほい」

 

袋をテーブルの上で逆さまにすると、ゴロゴロと派手な音を立てながら大量に流れ出てくる。どうやらとんでもない量の様で、見ているルーカスは完全に引いている。口角が完全に引き攣っているのだ。

 

「これで全部だな。査定してくれ。買い取れない物はギルドに預けてくから」

 

「あ、あぁ。じゃあ少し時間くれ。えっと……これが水晶でこっちが鉄鉱石、石コロに化石、ダイア……ダイア!?どこで掘ってきたんだよ……後は滅茶苦茶立派な剣、金鉱石。どれも量が尋常じゃねーな」

 

ブツブツと呟きながら、1つ1つ丁寧に査定していく。まず結果を言うと、全部日本円換算だと合計40万円程で買い取ってもらえた。だが1番高そうな剣だけは買い取っては貰えなかった。これはある意味予想通りだ。

 

「この剣、家じゃあ買い取れないな。高価すぎる。4年かかっても払えそうに無い。これは、専門の店に買い取ってもらうか自分で使った方が良いかもしれないが……」

 

「俺モンスター相手と戦う気無いんだよね~。でも買い取ってもらえないんだろ?」

 

「あぁ。そこら辺の店で買って貰うのは無理だ。王国の専門店に買って貰うか、ギルドに預けるかだな」

 

「そもそも王国に持っていったら偽物や盗品、最悪盗んだ物って扱われるだろ」

 

「そうだな。あり得なくはない。最近新しいヤツが王になって国の内政が混乱してるって言ってたからな。余所者のほとんど門を潜って早々に憲兵に捕まって尋問を受ける。スライム連れてたら間違いなく斬られるな」

 

スライムの予想にルーカスは同意し相槌を打つ。聞く限りではかなり危険な状態のようだ。これは行かないと言う選択が正解だろう。

 

「じゃあギルドに預けてるわ。買い取ってくれてありがとうな~」

 

「おう。また頼むぞ」

 

恐らくしばらくの間は採集に行かないだろう。店を出ると、そのままギルドへ直行。必要以上の金と見付けた剣はまとめて預けた。そしてついでに納める分を入金して帰っていく。

 

「あ、食材買うの忘れた……」

 

「おい!1番大事な物忘れんなよ!」




この世界での通貨の単位どうしよう……

あ、タイトル変えました。なんか気に入らなかったので。
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