人間やろうと思えばどんな環境でも生きていける   作:憲彦

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「不運な事故で死んでしまって、異世界に飛ばされた俺はスライムと一緒に冒険者になってスローライフを送っていた」

「普通なら冒険に行きまくって金を貯めるところだけどな」

「元の世界で死んだのにこっちで態々寿命縮める訳ないだろ普通。その辺しっかり考えろよ」

「不運で死んだから運は良くなってるけどな」

「まぁだからって冒険に出るわけ無いけどな。じゃあ久し振りの第6話行くぞ」


第6話

「これは毒。こっちは食えない。これ不味い。これは食ったら即死だな。この辺は食えないのが多いぞ~。代わりに食えるのは旨いヤツばっかりだけど」

 

「マジか。まさか採った半分以上が食えないとはな」

 

「量は多いが食えないのが多い。やたらと貝類がゴロゴロしてただろ?それは毒が多いから食う魚が寄り付かないからだ。このトゲトゲと岩はよく分からんが」

 

直輝が大量に採ってきた貝だが、スライムに見てもらった結果、約7割が食べられない物だった。しかも内4割が毒。残りの3割は食用に向かない物だった。しかし残りの食べられる種類の物はどれも高級品種。中々採れない物だった。今回に関しては運が悪いのか良いのかが微妙な所だ。

 

「食えねーの持ってても仕方ねーし海に帰してくるか。食えるヤツ砂吐かせて置いてくれ」

 

「おい。この岩とトゲトゲはなんだ?」

 

「岩牡蠣とウニ。旨いぞ」

 

「とても食えそうに思えないんだが……」

 

確かにビジュアル的には食えそうに無い。片方は小さ目の岩。片方はトゲだらげでどこが食えるのか分からない。だから成人男性の顔のサイズまで成長したのかもしれない。いったい何年物なのだろうか。

 

「使い道無いのが勿体無いな~」

 

勿体無いと言う気持ちはあるが、バケツに入れた食べれない貝を海に帰し、家に戻って採ってきた岩牡蠣と巨大ウニの調理に入る。

 

「で?どうやって食うんだ?」

 

「取り合えず、牡蠣蒸しといて。この前作った蒸し器使って。このウニはどうするか……」

 

「捌き方知らねーのか?」

 

「いや。知ってはいる。昔動画で見たことあるから。でも捌いた事はない」

 

ご存知の通り、知っているとやったことがあるでは大きな違いになる。やり方を知っていても、実際にその動きをしていないなら失敗する確率は遥かに大きくなる。しかも今回のウニは直輝の暮らしてた日本では手に入らない規格外な大きさのもの。大きすぎて少し引いてしまうレベルだ。

 

「取り敢えずやってみるか……」

 

包丁のつけ根の部分を使って口の周りに亀裂を作っていく。一般的なウニの捌き方と言えばこれだ。口の周りに亀裂を作って口を外し、中の身を取り出す。その感覚でウニを捌いていくのだが、大きい分当然殻が硬い。割りと全力でやっているが奥まで入ったと言う感覚がない。

 

「もう真っ二つにしたらどうだ?ギルドに預けた剣使って。その方が速いと思うぞ」

 

「はぁそれしかないな。包丁じゃ出来そうにない」

 

と言うことで急いでギルドに向かって預けてた剣を受けとる。刀身等には一切の汚れがなく、このまま切っても問題ない様に見える。が、切った後は口に入れるため熱湯で消毒しておいた。

 

「斬れっかな?」

 

「それで切れなかったら海に捨ててこい。と言うかそれ使って切れなかったらそれ化け物だぞ」

 

「大きさは既に化け物だけどな」

 

いつまでも悩んでいても仕方無い。剣を構えて一気に降り下ろした。少し心配した物の、問題なく綺麗に真っ二つにすることができた。

 

「おぉスゲー。本当に切れた」

 

「逆に切れなかったら問題だけどな」

 

「まな板ごと切れるとは思わなかったけど」

 

「それくらい出来なかったら最上級冒険者に渡すわけには行かないけどな。昔、剣の達人がそれと同じのを使って山を切り裂いたって話もある程だぞ」

 

「成る程。これ包丁にならねーかな?」

 

伝説レベルの武器を手にしてなんと言う事を言っているのだろうかと思うが、この男ならやりかねない気もしてくる。

 

「この後はどうするんだ?」

 

「中の水捨てて、身を洗うんだよそれで終わり。やっぱり身もデケーな。味大丈夫か?」

 

殻もデカいがやはり身もデカかったが、皿に盛り付けてウニは終了した。そして殻を割るなどに時間がかかった為、牡蠣の方も蒸し上がった。

 

「さてと。食うぞ~。飯も炊けてるし」

 

普通サイズの牡蠣は兎も角、問題は大きくなりすぎたウニだ。大きい身を切り分けて口に運んでいくが、少し箸が震えている。

 

「おい、早く食えよ。俺が食えないだろ」

 

「自分で食えよ……アグッ!……お、問題ないな。旨い」

 

「マジかよ……」

 

少し疑っているが、直輝の反応を見て自分も食べる。お気に召した様で、そのまま続けて触手を伸ばして食べ続けた。どうやら直輝の世界の食べ物はこっちでも受けるようだ。食事開始から数分で皿から食べ物が消えていってしまった。

 

「あ~食った食った……あ、そう言えばカード確認したか?」

 

「あ?してねーけど」

 

スライムに指摘され、自分の冒険者カードを取り出す。そして裏側のステータスの部分を確認した。

 

「上がってるな」

 

「冒険で3日間続けて採掘したり、海に潜ったりで体が常に運動されてたからな。レベルが上がったんだろ」

 

「みたいだな。レベルが1から15になってる」

 

「ならポイントも溜まったんじゃねーか?俺も結構溜まってたからよ」

 

「ん~……お、30ポイント溜まってるな。これを振り分けるんだっけ?」

 

「あぁ。持ってるヤツに直接作用するように魔法がかけられてるから、実際にかなり変わった感じがするぞ」

 

「あっそ。運に全振りで良いや」

 

「おい!少しは考えて振り分けろよ!」

 

「いや。大した冒険もクエストも受けないのに防御や攻撃上げても意味無いだろ。だったら運に全振りしてランクの高い素材大量に採って売った方が良いだろ」

 

そう言ってポイントの全てを運に全振り。RPGで言うなら絶対にあり得ないことだ。だがそれをやってしまったのだ。スライムもその行動に仰天している。

 

「はぁ……いくら戦わないとは言え、これはどうなんだか……」

 

剣をギルドに戻すために刀身を布で拭いている直輝を見ながら呟くが、このスタンスは今後も変わらないと思われる。

 

「じゃあギルドに戻してくるわ~」

 

「おう」

 

直輝が出ていくと、テーブルの上に置かれた冒険者カードのステータス部分を覗き込んでみた。さっき振った運以外は大体60前後と言う所だ。元々の体型やこの世界に来てからの生活もあり、力や防御は結構高くなっていた。ここは100後半程ある。

 

「早さ・HPは68、MPは60、力は153、防御は122。で運が…………運360ってどう言う事だよ」

 

大体は平均的な数値を示している。力や防御は体格や性格が直結するものも直輝の体なら当然と言える位の数値だ。しかし運360は余りにもおかしい。さっき振ったポイント分を引いても330。これなら採掘で高ランク素材が出てくることに納得が行くが、本来なら運は大して上がるものではない。もはや異常だ。

 

「前の世界で死んだ反動か?兎に角この数字はどうなってんだ?」

 

この事にスライムは頭を悩ませる。人間の言葉を話し、世界に対するかなりの知識を持っている。そしてモンスター故に人間の何百倍も生きてきた。当然その中で人間に関わったこともある。だが今回の事態は初めてだ。いくら交通事故と言う最大の不運に襲われてこの世界に来たと言ってもこれはあり得ない。

 

「どっかで運を上げる物を食ったか?いや……食ってたのは俺と同じものだからそれはない……そもそもそれを食ってもここまで大きな変化が出てくるわけない……元から運が良いのか?いやそれじゃあ事故にあって死ぬわけないか……う~ん」

 

頭を捻るが一向に答えが出てきそうにない。今までの経験から様々な可能性が出てくるが、そのどれもが該当しない。それでも考え続け、悩みに悩み抜いた結果出てきた答えが、

 

「もう考えるの止めよう。分からん。めんどくさくなってきた」

 

諦める。と言うことだった。最後まで答えは出なかったようだ。




ネタをいくつか活動報告でまとめました。コメント等で設定の追加、変更を行ない実際に出すさどうかを検討します。もしかしたら出すかもですね。
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