人間やろうと思えばどんな環境でも生きていける   作:憲彦

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「死んでRPGみたいな世界でスライムと一緒に過ごしてる俺は、現在夏に備えて地下室を作っていた」

「ほとんどフリザがやってたけどな。もういつかあの女が世界を滅ぼしそうで怖ぇーよ……」

「そんな事する人には見えねーけどな。ただ単に平和に過ごしたいってだけだろ?」

「それなら良いんだけどな。じゃあ第9話始めるぞ」


第9話

地下室を作りはじめて1日。屋根や家具などは完成していないが、既に部屋は作り上げられた。大部屋と倉庫と風呂場、そして家との通路もできあがった。

 

「まさか1日でここまでできるとは……」

 

「建築の知識全く無いのにな……」

 

「フリザと言うチートがいるからだろ……」

 

確かにほとんどフリザが作ったようなものだ。他の3人がやった作業と言えば、板を貼り付けたことやコンクリートを塗ったことくらい。後の穴を掘ったり部屋を作ったり出入口を作ったりは全てフリザだ。

 

「後は料理場と水屋と家具か」

 

「屋根も忘れるな。俺は屋根なしで長時間過ごせる自信はない」

 

「その辺は明日だな。もう日が暮れそうだ」

 

「そうですね。ではまた明日……ん?」

 

「どうした?」

 

「いえ。何でもありません」

 

フリザはそのまま冒険者ギルドの方向へと戻っていき、ルーカスも自分の店へと帰っていった。残ったスライムと直輝は使ってない木材の片付けを行い、使っていないコンクリートは袋に入れて空気に触れさせないように密閉させる。

 

「これでしばらくコンクリートは大丈夫だな」

 

「どっかに売っ払って金にしたらどうだ?」

 

「欲しいヤツが居たらな」

 

片付けが終わると、明日に備えて早めの睡眠を取った。

 

「その前に飯を作れ!」

 

「おっと。忘れてた。簡単な物で良いだろ?」

 

「あぁ。食えれば大丈夫だ」

 

と言うわけで魚を焼いてそれを食べることに。特に食べ物にたいして拘りがある2人ではないため、魚を焼くだけでも問題ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぅあ~あ。朝だな。飯食って作業始めるか」

 

また魚を焼いて朝食を作り、眠っているスライムを叩き起こして食事を始める。

 

「また魚かよ……」

 

「他の物ねーだろ」

 

「まぁ別に良いんだけどよ~。たまには肉が食いたい」

 

「町出て猪でも狩ってこい。捌いてやるから」

 

「できんのか?」

 

「分からん。まぁどうにかなるだろ」

 

非常に楽観的だ。しかし運の良さの部分だけ数値が異状なためもしかしたら捌けてしまうかもしれない。そんな話をしながら朝食を終わらせると、道具を持って外に出て作業を始めようとする。しかし、何故か街の人達の様子が慌ただしかった。

 

「なんだ?朝から」

 

「客か?」

 

「いやこんなに慌てて出迎える準備するかよ」

 

「だよな~」

 

慌ただしい様子を脇目に、黙々と作業を続けていく。と言っても2人しかいない。頑丈で太い木材を運ぶことができないでいる。

 

「スライムもう少し力出せっ!」

 

「これで目一杯だっ!」

 

「バイキルトとか使えねーのかよ!?」

 

「何だよバイキルトって!聞いたことねー呪文だわ!」

 

ドラクエでお馴染みの攻撃力を2倍にするありがたい呪文だ。しかしこの世界には存在しないらしい。なんと勿体無い事だろうか。

 

「あ、スライムと直輝。お前らも急いだ方が良いぞ」

 

「なんかあるのか?」

 

「どう言うわけか、王国から大量の兵士と国王がこの街に向かってるんだよ」

 

「なんのために?何かそう言う行事か何かか?」

 

「そんな行事はねーよ。大国同士なら兎も角、そこら辺にある街なんかとする筈がない」

 

この異常事態に街は朝から慌てていた様だ。街の住人全員が入り口の前に集合し、王国から来た者たちを迎え入れた。

 

「これはこれは国王。態々こんな田舎町に何の用で?金目の物を出せと言うなら、申し訳ありませんがお引き取りを。生憎そんな物はありませんので」

 

フリザが対応している。最年長者であるからなのだろう。がしかし、金目の物なら残念ながら2つ程ギルドに保管されている。下手すれば国1つを軽々と作れるほどの物が。

 

「お前には僕が権力に物を言わせてこんな寂れた町から物を奪うと思ったか?思い上がるな町娘風情が」

 

人の神経を逆撫でするような言い方。見た目は完全に直輝が元居た世界の若者と言う感じだ。しかも周りに沢山の女性をベッタリと付けている。ルックスもかなり高い。そこら辺の女ならすぐに堕ちるだろう。

 

「ルーカス。あれ誰だ?」

 

「最近国王になったケンジってヤツだ。ほら、お前がこの世界に初めて来た時に言ったろ?妙な道具使って国王になった異世界の住人だよ」

 

「ふ~ん。で女を敵味方構わずに連れ込んで国が混乱してると?」

 

「バカ、声が大きいぞ……!」

 

「ん?」

 

「ほら目を付けられた……」

 

不用意な一言を普通に聞こえる声で言ってしまったお陰で、ケンジと言う国王に目を付けられた。余りにも不謹慎な言動にルーカスは頭を抱えている。

 

「貴様、見ない顔だな。どこから来た?」

 

「見ない顔もなにも、この街に来たこと自体が初めてだろうが」

 

「俺は異世界から神の天命を受けてこの世界に来た。そして、世界の全てを見通せる目を貰った。その他にも沢山の力をな。だがお前の顔は見たことがない。名を聞こう」

 

「あぁ。じゃあ山田太郎で良いや」

 

「「「「「ブハッ……!!!」」」」」

 

「貴様ふざけているのか?」

 

普通なら国王と言うだけでも畏まった態度を取る筈だが、直輝の一切敬意を払わない態度には流石に全員吹いた。ギリギリまでこらえてはいたものの、適当な名前を言った所で限界を迎えてしまったのだ。

 

「別にふざけてねーよ。さぁ~てと。地下室作りに戻るかな。行くぞスライム。ルーカスもだ」

 

「おぉ」

 

「なっ!?スライム?!なぜ街の中にスライムがいる!この街には結界が張られていないのか!?」

 

「このスライムは彼の仲間です。そこらにいるモンスターとは違います」

 

「黙れ!人間の住まう場所にモンスターを入れるとは何事だ!今すぐに殺してやる!!」

 

「あ、小銭。ラッキー!」

 

ケンジが直輝に向けて手を伸ばし、巨大な電撃を飛ばすのだが、小銭を見付けた直輝が屈んで直撃することはなかった。

 

「なっ!?」

 

「ん?どうした?」

 

その光景を間近でみた者全員が口を開けて驚いていた。どう考えても確実に直撃する一撃だったからだ。しかしそれが見事に外れた。かすりもしなかった。むしろ何かしたか?と言う顔をしている。

 

「どうなっている……マジックアイ!」

 

マジックアイ。自身の眼球に魔力を通して、相手の実力を見抜く技。戦う人間は誰しも最初に覚える基本的だが重用な技だ。

 

「ん?レベル21だと?魔力も体力も一般人と変わらない?何故だ!あの攻撃を避けたと言うのに……!!」

 

しかし、実力によっては見抜けないステータスもある。本来なら相手の攻撃力、魔力、体力の他にも冒険者カードの裏に書いてあるステータス全てを見抜ける。極めれば持っている魔法や技、装備に所持している道具も見ることができる。

 

つまり、この男は強力な技や魔法を使うことができたとしても、本来の実力はそんなもんと言うことだ。

 

「良いのか?フリザも呼ばなくて」

 

「どうせ王国の連中の相手で手一杯だろ。分身する魔法でも使えば別だろうけどな。そんな便利な魔法があるかは分からねーけど」

 

「それは聞いたことないな。ならしばらくは俺らだけで作業だな~」

 

と言っても、本来は直輝とスライムと業者がやるべき仕事だ。道具屋の店長やギルドの受付嬢に手伝って貰うこと自体が間違っている。

 

「と言うかお前……一国の国王をコケにしすぎだろ」

 

「別にコケにしてた訳じゃねーよ。つーかコケにしてねーだろ」

 

「あれでコケにしてなかったのか。国王の魔法を避けて「何かしたか?」みたいな顔してたのに」

 

「それ言ったらお前も、スライムがいるどうこう言われてたときガン無視してただろ」

 

どっちにしろロクな物ではない。端から見れば完全に国王をコケにしていた。そして笑い者にした。無駄にプライドの高い愚王で尚且つ周りの兵士達がその王に心底忠誠を誓っている連中なら、あの場で斬り捨てられていたのは確かだ。

 

「お前ら2人無駄に運が良いな」

 

「お陰で毎日が楽しいよ」




感想やお気に入り登録、そして次回もよろしくお願いします。

新連載、「牙狼〈GARO〉インフィニット・ストラトス」もよろしくお願いします。
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