ONE PIECE −LOG COLLECTION : ELEANOR−   作:春風駘蕩

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第139話〝目覚めた亡霊〟

「奴は……まさか」

「あれは……報告にあった青海人の一人か? だがあの姿………まるで空の住人のようだな」

 

 遺跡の上に降り立った、空の住民達と酷似した姿を持つ侵入者の一人を凝視し、クロウリーとオームがこぼす。

 同じくガン・フォールも、初めて真面にエレノアの姿を見て、戸惑いの声を漏らしていた。

 

「あれは…あの娘か⁉︎ だが雰囲気が全くの別物………どうしたというのだ…!!!」

「ピエ〜〜‼︎」

 

 ほどけた髪を風になびかせ、悠然と佇む天使を前に、空の民は言葉を失くす。

 だが、それ以上に衝撃を受け、固まっていた者達がいた。

 

「あ…ああ…‼︎」

「ウソだろ……まさか本当に…………!!!」

「真祖…なのか!!?」

 

 ワイパーが、ゲリラ達が目を大きく見開き、ぎろりと鋭い視線を向けるエレノアを仰ぐ。

 どこか、人間離れした殺気を孕んだそれを受け、その場にいた者達は敵味方関係なく硬直する。研ぎ澄まされた刃の切先のような鋭さに、ごくりと溢れたつばを飲み込まされる。

 

「ジュララララ…‼︎」

 

 大蛇でさえ、突如姿を現した天使を凝視し、固まる。だが、彼に関しては警戒というよりも、強い驚愕による硬直のようにも見える。

 そんな中、誰よりも先に我に返ったゾロが、エレノアの姿をしたその女に向かって吠えた。

 

「おいエレノア‼︎ お前なんでこんなところにいやがる!!! 調子悪いっててめェで言ってんだからひっこんで――」

「おい、そこのマリモ」

「あァ!!?」

 

 どこぞのコックのような不名誉な仇名で呼ばれ、ビキッ!と剣士のこめかみに青筋が立つ。

 だが、続いて向けられた鋭い視線に、怒りが全て吹き飛ばされた。

 

「邪魔だ。しばらくそこでおとなしくしておけ」

 

 従わなければこの場で殺す、とでもいうような凄まじい殺気に、ゾロは確信する。

 これは、自分の知っている仲間ではないのだと。

 

「何だ…貴様は? 地を這うだけの者がよくもまァ我々の姿をマネたもの……」

「…黙るがいい」

 

 神聖な試練の最中に水を差されたオームが、得体のしれない姿を晒している天使を睨みつけ、口汚く吐き捨てる。

 だが、向けられる敵意を一切意に介さず、むしろ苛立たし気に睨み返し、天使は冷たい台詞を放つ。

 

「…よくもこの地をここまで荒らしてくれたものだ………我らが願い踏みにじるだけに飽き足らず、我が誓いをも邪魔立てする慮外者共めが」

 

 青紫色の瞳が、オームと神兵達を射抜き、彼らの背筋にゾクリと震えを走らせる。

 彼らは困惑する。目の前にいるこの女は、尋常ではない威圧感を放ち、まるで巨大な怪物のように立ちはだかるこの存在は、一体何者なのかと。

 

「不敬であるぞ、神の紛い者を崇める小僧共。誰の許しを得て私にその様な目を向けている」

「…あれこれ考える必要もなさそうだ…」

 

 一筋の冷や汗を垂らし、オームは鉄雲の剣を構える。

 油断ならない、青海の剣士とさえ比べる事も馬鹿らしい何かだということは、この邂逅で十分に理解した。

 故に彼は、自身らを害しかねないあの天使を、この場で討つ事を選択する。

 

「〝神〟は高き御方!!! それを嘲笑いおって………そして何より俺を見下ろすな青海人の分際で!!!」

 

 鞭のようにしなる、鋼鉄の硬度を誇る刃が、凄まじい速度で天使に迫る。

 避けることなど叶わない、何処までも追いかける鉄の雲の刃が、天使の首を斬り飛ばさんと襲い掛かる。

 しかしそれは、気だるげに振るわれた天使の手で、ガキンッ!と呆気なく弾き返された。

 

(ハジいた…!!?)

 

 手を抜いた覚えはない。むしろ今の一撃で全てを終わらせるつもりで振り抜いた刃は、黒い光沢を有した天使の手で無効化された。

 唖然となるオームの横を、斬撃貝を備えた神兵達が勢いよく通り過ぎ、天使に一斉に襲い掛かった。

 

「オーム様に加勢しろ!!!」

「あの妙な青海人を討ち取れ!!! メ〜〜!!!」

 

 盾ごと敵を斬り裂く、強烈な切れ味を誇る斬撃貝を手に、左右上下から一斉に飛び掛かる神兵達。

 気圧されていたゾロが駆け寄ろうとした時、天使が鬱陶しそうにため息をこぼした。

 

「不敬だと言っているだろうに…」

 

 天使がそう呟き、おもむろに瞼を閉じる。そして次の瞬間。

 ドクン…ッ!と。

 カッと瞼が見開かれると同時に、まるで空気が数十倍に重くなったかのような圧が、天使を中心に放たれる。

 それはまるで津波のように、周囲にいた戦士達全員に叩きつけられた。

 

「…ァ」

「ガ…カッ…‼︎」

 

 至近距離でその圧を受けてしまった神兵達は、そしてホーリーが、次々に白目を剥き、その場に崩れ落ちていく。

 ブクブクと泡を吹き、意識を飛ばされていく神兵達の中心で、平然とした様子の天使が呆れた様子で肩を竦めていた。

 

「ふむ…やはりこの体では効果が落ちるな。未熟にもほどがあるぞ、我が血縁ながら情けない……‼︎」

 

 目の前で起こった光景に、神官達やゲリラ達、ゾロやガン・フォールらは絶句し、天使を凝視し立ち尽くす。

 気をしっかり持っていなければ、彼らも神兵達と同じように、意識を彼方に飛ばされそうになっていた。

 

「…………てめェ、誰だ……!!? そいつの体で何をしてやがる…!!!」

 

 滝のように噴き出す冷や汗に気付かないふりをしながら、ゾロがよく知る仲間に剣の切先を向ける。

 正直に言うならば、挑んだところで勝てる気が微塵も起きない。雑魚の様に叩き潰されることを理解しながら、ゾロは悲痛げに顔を歪める天使に殺気を向け続けた。

 

「…すまんな、しばらくこの者は預かる。用事が終わればすぐに返すのでな………そう目くじらを立てんでくれ」

「何を…」

 

 心底申し訳なさそうに、しかし確かな意志を感じさせる表情で、エレノアの姿をした天使がゾロに告げる。

 納得がいかない彼は、この場で問い詰めようと一歩踏み出しかける、だが。

 

「ジュララララララララ!!!」

 

 詰め寄ろうとした矢先に、ひときわ強烈な咆哮を上げた大蛇が、大きく口を開きながら天使に向かって突進してくる。

 遺跡を破壊しながら向かってくる巨体に、ゾロやワイパーは咄嗟に距離をとっていた。

 

「〝空の主〟!!!」

「‼︎ しまった‼︎ あいつがまだいるんだった!!! よけろエレノアァ!!!」

 

 中身が異なるとはいえ、散々大暴れした怪物に狙われていることは変わらないと、ゾロがその場に佇んだまま天使に叫ぶ。

 しかし、彼の注意は意味をなさず、棒立ちのままの天使に大蛇の巨体がズズンッ!と激突する、そして。

 

「ジュララララララララ!!!」

「にはははははは!!!」

 

 ボロボロと涙を流し、ぐりぐりと巨体をこすりつけて吠える大蛇と、それを平然と受け止め、愛おしそうに皮膚を撫でる天使の姿を目の当たりにし、全員の目が点になった。

 

「…は?」

「ジュララララララララ!!! ジュララララララララァ!!!」

「にははははは!!! どうしたどうした⁉︎ 私がわかるのか⁉︎ そうかそうか、お前はいい子だなァチビよ!!!」

 

 大蛇はまるで幼子のように泣き叫び、だばだばと辺りを濡らしながら、己よりはるかに小さな天使に甘える仕草を見せる。

 それを天使は心の底から嬉しそうに受け止め、豪快な笑い声を響かせて自身も頬ずりを行っていた。

 

「ジュラララ…ジュラララララララ‼︎」

「んん? そうか…セトらとはぐれてずっと彷徨っていたのか…かわいそうに、いったいどれだけの寂しさと苦しみだっただろうな」

「ジュララララ‼︎」

「ああ、わかっているとも…私にも色々あった………こんなに遅くなってしまったが、こうしてここに辿り着いた。もう残る障害はあってないようなものだ‼︎」

 

 ゾロたちには欠片も理解ができない、大蛇の放つ言葉を正確に聞き取り、天使はうんうんと痛ましげに頷く。

 ごつごつとした水色の皮膚を撫でながら、天使は大蛇の目を見つめ、慈愛に満ちた笑顔を向けた。

 

「一緒に鐘を鳴らしにいこう………みんなに届くようにな」

「ジュラ♪」

 

 大蛇は天使の誘いに、にっこりと顔をほころばせて鳴く。

 唖然としている周囲を完全に放置し、一人と一体が固く心を通わせあっていた。

 

「…………〝空の主〟を……手懐けやがった……‼︎」

「ほ……本物だ…本物の真祖様だ…!!!」

「真祖様がまた降臨されたんだ…!!!」

 

〝神の島〟において最も危険と呼ぶに相応しい生物が、こうも容易く無力化されているという信じがたい光景に、ワイパーは驚愕を隠し切れない。

 徐々にゲリラ達の顔に歓喜が広がり始めた時、彼らは頭上に大きな影が差し始めたことに気付いた。

 

「オォオオオオォォオ!!!」

「おわああああ!!!」

 

 我に返ったゲリラ達は、慌てて左右に散って振り下ろされてきた巨腕を回避する。

 ズシン、ズシンと地響きを鳴らし、土塊の異形を操るクロウリーが、大蛇と戯れる天使に強い敵意とともに迫った。

 

「おれの邪魔をするなァ!!! エインシェン!!!」

「クロウリー…!!! 外法に手を出した大馬鹿者めが!!!」

 

 向かってくる巨体に、そこから感じ取れる気配に気づき、天使は―――エインシェンと呼ばれた女は表情を変える。

 強烈な怒りの形相となり、黒く染めた拳を構えたエインシェンだったが、彼女が動くよりも先に、大蛇の巨大な尾が鞭のように振り回された。

 

「ジュララララララ!!!」

 

 涙で濡れていた目に、大蛇は明確な怒りを宿し、クロウリーの異形を弾き飛ばす。

 バラバラと分解し、吹っ飛んでいく異形たちを睥睨した彼は、突如自身の頭をエインシェンの前に差し出した。

 

「ジュラ‼︎」

「…乗れというのか? 共に戦うと?」

「ジュララララ!!!」

「くくっ………一丁前に男らしいことを言いおって」

 

 にやり、と不敵な笑みを見せる大蛇に、エインシェンがどこか嬉しそうに微笑みをこぼす。

 とんっ、と軽く跳躍した彼女が大蛇の頭部に乗ると、大蛇は獰猛に牙を見せつけながら、ボコボコと復活していく異形たちに向き直った。

 

「ならばゆくぞ!!! お前の今の力を見せてみろ!!!」

「ジュララララララララ!!!!」

 

 雄々しい咆哮とともに、天使を乗せた大蛇が異形の軍勢に向かって突っ込んでいく。

 赤い雷を迸らせるクロウリーは、向かってくる巨体に舌打ちをこぼし、新たに生み出した異形たちをぶつけ、迎撃を行い始めた。

 

「真祖様に加勢しろォ!!!」

「裏切り者を討ち取れェ!!!」

「オイ!!! お前ら!!!」

 

 異形の軍団に、巨大な怪物を付き従えて向かっていく天使を目の当たりにし、ゲリラ達が追随するように攻撃を再開する。

 ワイパーのみがそれに懐疑的な目を向け、大蛇の頭上で仁王立ちする天使を睨みつけた。

 

「〝空の主〟を従えただけで図に乗るな!!!〝鉄の扇(アイゼンファン)〟!!!!」

 

 激突する異形と大蛇の戦いに、呆気なくあしらわれたオームが仕切り直しだと言わんばかりに剣を振るう。

 扇の形に変わり、エインシェンに向かって放たれた鉄雲の刃は、次の瞬間真横からの斬撃に弾き飛ばされた。

 

「待てよ。てめェの相手はおれだぜ…」

「青海の剣士………生意気な事を‼︎」

 

 邪魔をされたことに怒り、眉間にしわを寄せるオームに、ゾロが剣を突き付けて不敵に笑う。

 そこに、大蛇の頭に乗ったままのエインシェンが高慢な態度で語りかけた。

 

「マリモよ、そこな無礼者は任せたぞ。其奴程度ならお前でもなんとかなるだろう…………適材適所というものだ」

「てめェ!!! おれをナメてんのか!!?」

「相性の問題だ、相性の」

 

 あからさまに下に見た物言いに、ゾロが敵前という事も忘れて怒鳴り声を返す。

 エインシェンは一切臆することなく、むしろさらに煽るように、小馬鹿にした笑みを浮かべて鼻を鳴らしてみせた。

 

「それともなんだ? 其奴の相手は厳しいから私に任せたいのか? ん?」

 

 異形を尾で薙ぎ払う大蛇さえも、エインシェンの態度に同調してかゲラゲラと嗤い出す。嘲笑を受けたゾロは、カッチーンと頭に血を昇らせ、やけくそ気味に全ての刀を構えてオームに向き直った。

 

「あとで覚えてろクソ女ァ〜〜!!!!」

 

 絶対に一人で叩きのめし、あのふざけた言葉を撤回させてやる、と新たな意気込みを抱き、神官に向かって突撃する。

 単純な剣士を横目に苦笑しながら、エインシェンはもう一人の戦士にも、今度は穏やかに語り掛けた。

 

「カルガラの子孫の子よ………お前の力も貸してくれぬか」

「!!? 何をふざけた事を…!!!」

「頼むよ…」

 

 突如懇願されたワイパーは、疑惑と拒絶とあらわにしながらエインシェンにバズーカを構える。

 危うく牙をむきかけた大蛇を制し、悲痛な微笑みを見せたエインシェンが、今にも泣き出しそうな声をワイパーに聞かせた。

 

「約束なんだ…!!!!」

 

 その声に、顔に、バズーカの引き金にかかったワイパーの指が止まる。

 引けば仕留められる、そんな距離にありながらも、避ける素振りを見せようとしない天使に、初めてワイパーの表情に迷いが生じる。

 一瞬の硬直が起きた、その時だった。

 

「きゃあああ」

「待て、メ〜!!!」

「メ〜‼︎」

 

 ボフンッ、と遠く離れた、巨大豆蔓の方から、女の悲鳴と男の怒号が響いてくる。

 何事か、と振り向いた戦士達は、猛スピードで飛んでくる彼女達に驚愕の目を向けた。

 

「!!? ナミ…⁉︎」

「アイサ」

「娘っ!!!」

 

 ウェイバーに乗り、腰にアイサをしがみつかせ、神兵達から逃げてくるナミ。

 必死の形相で、泣きわめきながら逃げる彼女達を追う神兵達が、斬撃貝を構えてさらに加速を開始した。

 

「仕留めろ〜メ〜!!!」

 

 次の瞬間、辺りに血の花が咲く。

 だがそれはナミたちのものではなく、ナミ達と神兵達の間に割り込んだゾロとワイパーに蹴り飛ばされた、神兵達の血反吐だった。

 同時にナミ達はガン・フォールに抱えられ、神兵達から引き離されていた。

 

「アイサ!!! ここで何してる!!!」

「ナミ!!! てめェまで何でここに!!!」

「ああっ‼︎ ゾロっ!!! エレノア!!! みんなは!!?」

「ワイパー‼︎」

 

 振り向くゾロとワイパーの前で、ナミとアイサがほっと安堵の息をつく。

 ひとまず傷を負っていない事を確認したガン・フォールは、船にいたはずのナミがこの戦場ににいる事を厳しく詰問する。

 

「おぬしらなぜこんな場所へ来た!!?」

「なぜって…‼︎ だって…すっごい大っきなヘビが…」

 

 来るつもりは一切なかったのだ、と叫ぶナミ。

 だがその時、空を舞うピエールの位置と、異形に噛みつき破壊を続けていた大蛇の口が、運悪く重なってしまう。

 そして彼らは、パクリと大蛇の口の中に飲み込まれてしまった。

 

「あ」

「…!!! アノアホ…」

 

 思わず間抜けな声を漏らすエインシェンと、絶句するゾロの声が重なる。

 ごくりと喉を鳴らす大蛇に、エインシェンがぺしぺしと平手を当てながら、呆れた目を向けた。

 

「こら、チビよ。むやみやたらに口に入れるな。それだからさっきのように腹を下すのだ」

「ジュラ…」

「…まァいい、うっかり消化せぬようにだけ気をつけてくれ」

「ジュラ!」

「いやおかしいだろその会話!!!」

 

 まるで粗相をした子供を叱る母親のような台詞に、振り向いたゾロが大声で待ったをかける。

 仲間が怪物に食われるという衝撃的な一幕なのに、平然としている天使が異様に見えて仕方がなく、ゾロは刀を突き付けて再び吠えた。

 

「吐けェ!!! 今すぐに吐き出させろ!!!」

「案ずるなマリモ…そうすぐには溶けぬ」

「いやそういう問題じゃねェだろ!!!」

「そうわめくな………少なくとも外にいるよりは安全だ…!!!」

 

 ギャーギャーと喚くゾロを放置し、エインシェンはぎろりと周囲を睨む。

 いつの間にか、大蛇の周囲は完全に囲まれていた。今も数を増やし続ける土塊の異形が、四方からエインシェンを標的として、距離を詰めてきている。

 様々な咆哮から、耳をふさぎたくなる耳障りな咆哮が響いてきていた。

 

「オォオオォオオ!!!」

「アァァアア!!!」

「アレをどうにかせねばならんな…チビよ、しばし時間を稼いでくれ」

「ジュラララ!!!」

 

 バシン!と尾で地面を叩き、任せろと言わんばかりに吠える大蛇に、エインシェンがフッと笑みをこぼす。

 そして視線が上げられると、彼女の顔は戦士の物に変わっていた。

 

「どーにもこの〝真理〟とやらはややこしくてかなわぬな………私はこう言うクリエイティブな戦いは苦手なんだがなァ……」

 

 響き渡る異形の咆哮に顔をしかめ、エインシェンはパンッと手のひらを打ち合わせる。

 その視線は、一体の異形の肩の上に乗るクロウリーに向けられ、ビキビキと彼女のこめかみに血管が浮き立った。

 

「――まァ、あいつらを救うためには、四の五の言っていられんかのォ」

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