「えっ?」
「だから、今回は分かると良いねだよ。キミはこの時間を何度も繰り返してるでしょ?」
「何を変なことを言ってるんですか?そんな能力あったらあの人と出会う前に遡ってるはずです」
「それが出来ないからこの時間をやってるんじゃないの?」
なんでこの人はおかしいなことを言うんだ。そんな人がいるなら歴史が変わってるはずだ。例えば、この学園を共学にした人をいなくすればこの学園は共学に変わることはなくそのまま女子校のままだった。
「ほんとに意味が分からない」
「私も分からないよ?だってキミだけしか知らないから」
「僕だって分かりませんよ。もう帰りますからね」
そう言って体を起こそうとしたらゆりさんに押さえつけられた。
「ダメ」
「えっ……授業はどうするんですか?」
「サボるよ」
“単位落としますよ”と言いたかったけど嫌な予感をしたので出さなかった。
……あれ?巻き添え食らうの?………まぁ、ゆりさんと一緒なら悪い気はしないな。
「ふふ」
「どうしたんですか?」
「悪い顔してるなぁ〜って」
「貴女もですよ」
「私も?じゃあ、似た者同士だから付き合っちゃう?」
「だからなんでそうなるんですか」
「好きだからに決まってるじゃん。早く返事を返せばこんなこと言わないって」
「もうちょっと待っててくださいよ」
「はいはい」
こんなあまそうな会話をしてる時に既に本鈴が鳴っていた。
☆☆☆
「奥沢、あいつを探してきてくれ」
「………」
5時間目が始まり10分ほど経った時だった。担当している先生が出席を取らず始めるものだから休んでいる人がいてもそのまま授業をやっている。この人は簡潔に内容を教えたらすぐに自習にさせるからオアシスみたいな授業だ。だけど今日は違かった。珍しく生徒に質問してきたので槍が降ってくるんじゃないかと思ってしまった。
これが違う人だったら良かったのに今日は運が悪く彼の日だった。
そして、いないことに気付き言ってきた言葉がさっきの言葉の意味だ。
「奥沢いないのかー」
どうしてあたしなのだろうか?そう考えるとすぐに出てきてしまうのが悲しい。
なぜなら、彼がクラスで話している人はあたしだけなのだから。
「奥沢ー」
このまま無視してもめんどくさいし反応してもめんどくさい。
なんであたしが探さないといけないのか。そう思った人にちょっとした過去話をしよう。
あれは入学式のことだった。
・・・・
・・・
・・
・
ってそんなことをしてる暇じゃなかった。とりあえず、探しに行こう。
「行ってきます」
そう言いながら席を立ち教室を出た。
☆☆☆
手当たり次第探してみないと。最初は体育館裏だろうか?……でも、不良じゃないからあり得ないか。なら、何処にいる?空き教室?それとも屋上?
空き教室だったら怒ろう。屋上でも怒ろう。どっちでも怒ろう。そうしないとあのバカはまたサボる。そういえば、彼ってサボったのは初めてじゃなかった?なら、怒らなくてもーーいや、だめだ。1度やったら体に染み付いて何度もやってしまう。
まったく、妹といい彼といいどうしてあたしに注意させるようなことをするんだ。
とりあえず屋上にーーってあの後ろ姿は生徒会長?どうしてこんな時間に廊下にいるんだ?それにこの階は1学年のフロアなのに。
「……ついて行ってみよう」
・・・・
・・・
・・
・
着いたのは屋上だった。
あたしは生徒会長の死角となる階段の位置につき生徒会長を見張ろうとした時だった。
「何かようかしら?」
気付かれた!?いや、他の人かもしれない。だけど、念のためじっとしておこう。
「バレてないと思っているかもしれないけど分かってるわ。1年C組の奥沢美咲さん」
あたしは生徒会長の前に姿を出して階段を登りながら話す。
「いつからですか?」
「貴女が教室から出た時から」
「お花を摘みに行く可能性もあったはずでは?」
「それもそうね。でも、私はそうではないとすぐに理解した」
「どうしてですか?」
「ここの隙間から外の様子を見てみなさい」
「隙間……なっ!?」
「ね?」
あたしが見た光景は凄かった。彼が牛込先輩に膝枕されながら寝ていて牛込先輩がそのまま寝ていた。幸せそうな顔をして2人とも寝ていたからその空間に入りづらかった。
“生徒会長はどうするんだろう?”ふとそんな事を口にしていた。
「………す、すみません!」
あたしは急いで謝った。あたしが分からないことの中でも生徒会長だったら分かることだってある。けど、これに関しては生徒会長だって分からないはずだ。なのに、まだどうなのか分からないけど聞くなんて失礼すぎる。
「大丈夫よ。……そうね、私はこのまま放っておいても良いと思ってるけど教師が許してくれないから」
「起こしにいくんですか?」
「あと10分くらいしたらね」
「な、なるほど」
さ、さすが生徒会長!……あれ?このまま放っておいても良いってどういう意味なの?りみは生徒会長とゆりさんは仲が良いって言ってたからそういうことなの?でも、そうしたらおかしいと思う。だって、彼はまりなさんが好きでゆりさんは彼が好き叶わないことを知ってるはずだ。なのになんで?
「奥沢さん」
「は、はい!」
あたしは急に名前を呼ばれたため声が裏返ってしまった。
「ゆりは、彼のことを離すつもりはないって言ってた」
「どうしてですか?」
「心の支えになるらしいわ」
「心の支えに……」
あぁ、思い出した。彼も言ってたじゃないか。ゆりさんが心の支えになってくれて助かってるって……あたしがバカらしいじゃないか。こんなことを忘れて考えてしまうなんて。
「生徒会長さん」
「七菜先輩でいいわよ?」
「じゃ、じゃあ、七菜先輩」
あたしはずっと前から思ってたことをこの時初めて口にした。
「こんなに悲しい恋があるんですね」
「……そうね。とても悲しいわね」
……こんな時に話すのは悪いと思うけど彼と出会った日について話しておこう。
彼と出会ったのは入学式の日だった。
・・・・
あたしは内部進学だったから景色も友達も変わらなかったからすぐに帰ろうと思ってた。でも、彼が転入してきてあたしの日常が少しだけ変わってしまった。そのせいでクラスの人達や教師達に“彼のことをどうにかしてくれ”と言われている。
……まずは彼を最初に見た時は真面目そうな人だと思った。その考えは合ってたけど6月の中旬には学校には来てはいるけど不真面目になった。授業中に寝てたら、授業を聞かずに窓の外を見てたり、頼まれても断るとか、色々とやってる。まぁ、あたしもやってることがあるから何も言えないけどね。
彼と話したのは入学式から2日経った日、ゆりさんに告白されてた日だ。
あたしはこの学園で付き合いたいランキング1位の人から告白だから付き合うものだと思っていたけど断っていたのでゆりさんが出て行ったことを確認して空き教室に入った。
「どうして断ったんですか?」
彼は驚きもせず後ろを振り返らずそのまま話し始めた。
「その声は、奥沢さんでいいのかな?」
「声だけで分かるなんてすごいですね」
「敬語はやめてほしいんだけど」
「……そうだね」
2人きりの空き教室で放課後、さらに誰も人が来ない状況なのに彼はあたしを襲うような素振りを見せなかった。
「それで、さっきの質問に答えればいいんだよね?」
「お願いします」
「簡単な理由だよ。好きな人がいるからだよ」
「じゃあ、告白するんですか?」
「しませんよ」
あたしはその言葉にイラついた。断ったくせに好きな人には告白しないなんて最低だからだ。
「どうして告白しないんですか」
低い声を出して脅すように言う。すると彼は振り向き落ち着いた声で返事をしてきた。
「その人には好きな人がいるんだよ。だから、振られることが分かってるんだよ」
「なら、付き合えばよかったじゃんか!」
「付き合えないことが分かってるからってあまり分からない人と付き合うなんて最低じゃないか」
「それはそうだけど」
「それに、あの人はあれで諦めないと思う。だから、見守っててくれないか?」
「あたしに特がない」
「ある程度なら勉強を教えるなら良いだろ?」
「ある程度じゃなくテスト範囲を必ず教えるなら」
「分かった。契約成立だ」
・・・・
それが彼との出会い。
「さて、起こしに行きましょう」
「そ、そうですね!」
驚いてまた声が裏返ってしまった。
彼との関係は少しおかしいけど周りから友達と思われてるのが唯一の救いかな?
さて、どうやって彼のことを起こそうかな?
ありがとうございました。