6時間目は教師が休みだったので自習になった。
本来ならこの時間は現代文をやっている。だけど、5時間目の授業は英語表現……すなわち英表だ。その時間に僕と奥沢は授業にいなかった。奥沢は僕のせいで授業に参加出来なかったので僕が教えることになった。僕もいなかったのに“どうして教えることが出来るんだ?”って思ってる人もいる。だから言っておく。予習してるから出来る。それだけしかしていない。
「……で?弦巻はなんで参加してるんだ?面白いことなんかしてないし笑顔になることなんてしてないのに」
授業が始まって10分ほど経っている。そして、監督の教師もいないのでクラスは動物園状態。所々に1人で本を読んでいる人(主に男子)や中央に集まってざわざわしているリアルを充実しているリア充、真面目に勉強している偉い人などたくさんいる。そんな中、弦巻は椅子だけを持ってきて僕と奥沢が勉強をしているのを見てニコニコしている。ちなみに、僕と奥沢は席が隣同士なので机を繋げて勉強している。
「美咲と貴方が勉強している姿を見ればあたしは笑顔になれるわ」
「ただ勉強しているだけなのにか?」
「そうよ!」
弦巻は笑顔で元気に答える。なんていうか、めちゃくちゃ眩しい。だから、少し離れてもらいたい。
「勉強見てるより他の所に行けばいいじゃないか。あそこで本を読んでる人とかさ」
「ここにいるわ」
今度は少し小さめの声で答えた。たぶん周りを思っての行動だ。
「邪魔をしないならいいぞ」
「あたしは1回も邪魔なことなんてしてないわ」
そうだなと答えて勉強を再開する。奥沢は僕と弦巻の話し合いが終わるのを手に持っているプリントを見ながら静かに待っていた。
話し合いに参加しても良かったのにと言っても『これがあるから無理』とか言ってきそうなので何も言わずにプリントに書いてある問題を指差した。書いてくれという意思を伝えるために。
それに気付いた奥沢はプリントを机に置き問題を解き始めたと同時に弦巻が質問してきた。
「2人ってどうしていつも一緒にいるのかしら?」
「「そりゃあ、約束事があるから」」
「約束事?」
「弦巻には関係ない」「こころには必要ないことだから」
「???」
2人同時に別のことを言ったのだから分からなくなるのは仕方ない。弦巻は聖徳太子ではないのだから。
「そういえば、あんたってCiRCLEiでバイトしてるよね?」
「してる」
「1度でいいからそこで練習させてくれない?」
「予約しとくけどいつ?」
「まだいつか決まってないけどね」
「そうか……場所は分かるか?」
「これがあればね」
奥沢はポケットを軽く叩きながら言ってきた。というか、バレてないから平気みたいな顔しながら言ってくるなよ。
「なら、予定が分かったら連絡してくれ。僕が入れておくから」
「了解」
そう答えると奥沢は再び勉強を始めた。
………大変そうだな奥沢も。
☆☆☆
本日の学校が終わったのでバイト先に行くことにした。シフトを入れる曜日は決めている。ごちゃごちゃにすると分からなくなるので大変だ。だから、火曜、木曜、金曜、土曜の週4日で働いている。まぁ、そのせいで毎日眠いんだけどね。
「さて……どうするかな」
あの人は好きな人がいるのは見て分かる。その人と話す時に耳が赤くなったり触れられると変な声を出すから分かる。でもなー、あの人は好きな人の好きな物とかを知ろうとしないしその人も知ろうとしないからなー。
うわっ、めんどくさ。
なぜか自分で言ったことなのに自分でツッコミを入れた。
……どうしようかな。うーむ、あの人達はお互いに好きな物を知らないしなー。というか、なんで知ろうとしないんだよ。そのせいで僕があの人達の好きな物を知ってしまったじゃないか。
えっ?なんで知ってんだって?それは、2人だけになった空間が気持ち悪いほど違和感があったので2人に別々のタイミングで聞いたからだ。なら、知ってるから教えた方が良いのだろうか?僕が教えるよりお互いが直接聞いた方が好感度とか上がりそうな気がするんだが。どうするかー。
「………」
こうなったら奥沢を頼るか。そう考えたのならすぐに行動を起こすか。ポケットからスマホを取りだし奥沢に電話を掛ける。
5回ほどコールが鳴った時に電話が繋がった音がした。
「奥沢か?」
『あたしの携帯に電話してるんだからあたしでしょ』
「まぁ、そうだけど。念のためにだ」
『それで?用件はなんなの?』
これはめんどくさいから早く用件を言って終わらせてくれってやつか?
「ゆりさんでも良かったんだけどさ」
『なら、ゆりさんに掛けてよ』
「あの人に電話すると最初の一言がもしかして付き合う気になった?だぞ」
『あー……それは掛けたくなくなるね』
「でしょ?だからだ」
『……で?用件は?』
お前との雑談はいらないってことか……冷たいやつだな。
「直接好きな物を聞く方と誰かに教わって知る好きな物ってどっちの方が好感度が高くなる?」
『は?まさかそんなことを聞くために電話してきたの?』
「そんなことって」
『……最初の方が高くなるから!』
大きな声を出してきたので携帯から耳を離した。なんで電話してる時に大声を出すのかね?
大声のせいで耳鳴りがしているためビデオ通話にしようと思い携帯の画面を見ると通話終了という文字があった。
「あいつ」
これが逃げるが勝ちってやつか?なんかイラつくな。
……まだ時間があるからコンビニでもよるか。
☆☆☆
「ねぇ、ぐったりしてる理由って走ったから?」
CiRCLEのカウンターでぐったりしているとまりなさんに質問された。
「コンビニからここまで走ったからです」
「結構距離あるよね?」
「あります」
この周辺にはコンビニが少なく、近くにあるコンビニでもここから学校方面に700mほど進んだ所にある。
意外と不便なんだよこれが。週刊誌を買う時とか本屋よりコンビニの方が良いじゃん?ジャンプとかサンデーを買う時って本屋だとさ“この子もしかして今連載してる少しエッチなやつが目的なんじゃ”とか思われそうだけどコンビニだと“毎週ありがとうございます”としか思ってなさそうじゃん?本屋も思ってる?……とりあえずキツイってことだ。
さて、この人の為に直接言うか。
「まりなさん」
「何かな?」
「告白してくれませんか?」
変な終わらせ方だったけどありがとうございました。
勉強をしている時の形としては
◯◯弦◯◯
ーーーーー
◯主◯奥◯
って感じです。
◯は特に意味はなく。ーは机だと思ってください。