剣士のいくリリカルvivid!   作:シャイニングピッグEX

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まぬけな負けかたをするのはうちの主人公の登竜門です(酷
畜生といってもよっぽど酷いのはヴィヴィオ相手にだけだったりします。荒れてるのは確かですけど。


第二話

「しかしあいつ、全然練習でねーなー、どこで何やってるんだか」

 

  ノーヴェがガラナにメールを送る。ヴィヴィオが練習試合をやるから見に来てはどうか、という旨のものだ。

 

  期待してのものではなかったが。

 

  (どうなろうと、あたしがしっかりしないとな。あいつが言うこと聞けばそれでよし。聞かないなら聞かないにしても・・・だ)

 

  ~朝早く、図書館にて~

 

  「おはよう、ガラナ。久しぶりだな」

 

  「ああ―――決勝後の打ち上げ以来か、レイ」

 

  図書館でガラナの隣に座ったのは、三年連続剣闘大会二位のレイである。

 

  彼と対戦した記憶はどの試合も鮮明に思い出される。一位と二位だからといって、優劣が簡単につくものではなかった。

 

  それでもガラナは自分が最強の剣士であるという自負があったが、それは友情には関係のない話。

 

  「悪いなー、お前に勝ち逃げされたからって勝手にむくれて」

 

  「勝負ならいつだって受けるさ。オレ達の仲だろ」

 

  それだけのことを言えるほどにお互い三年間競い合ってきた。

 

  「―――ま、そうさな。それより調べたいものってのは?」

 

  「格闘技について、最低限知っておく必要があるかと思ってな」

 

  「なんだ、お前のことだからもうガッチガチに理論構築済みかと思ってたんだけど違うのか」

 

  「大方の有名選手の情報はサーチ済みだ。だからっていくら対策を組んでも基礎がなければどうしようもないだろ」

 

  「その通りだな。お前の身体能力なんてたかが知れてるしやっぱり効率的なのはそれだ」

 

  「それに・・・」

 

  レイは黙って続きを促す。

 

  「最近ちょっと会いたくないやつがいてだな」

 

  「まあ、上手く付き合ってけよ。誰も彼もと仲良くなれるなんてそんな世の中ありえないんだからさ」

 

  「わかってるよ、そんなこと。それよりとりあえずこれくらいの本運び頼む」

 

  「とりあえずじゃなくねこれ。多くね?」

 

 長い付き合いのレイにはこの先の展開がわかった。

 

  「図書館だからな。それに、DSAAってのは女子の花形スポーツでこのご時世、かなり有名なんだろうよ」

 

  「俺のこと呼んだの本運び、その間にお前は研究か。いい身分だねえ」

 

  「後で飯おごるから。な?これ持ってきてくれ」

 

  「飯なら仕方ないな・・・うわやばいくらい多い」

 

  肩をすくめ了承の意を示すとレイは椅子の上に荷物を置いて立ち上がり、去っていく。

 

  メモを片手に探し物をしてうろうろする姿はNO2剣士には似合わず少年らしい。しかしそんなことをさせている間に自分のやることをやろうと思った。

 

(・・・さて、考えるか)

 

  私物のノートを開くと鉛筆を片手に思考に没頭し、理論を構築する。

 

  そうしているとすごい早さで時間が流れていくのだが―――

 

  「・・・ずいぶん集中してたぜ。最低限って指定されたものはもう見終わったっぽいし、少し休憩しねえ?」

 

  「っと、レイか。悪いな、何度も往復させて」

 

  時計を見ると、もう二時間も経過していた。確かに少しくらい休んでいいだろう。

 

  荷物を持つと外へ出る。そして自販機で飲み物を買うと一服する。

 

  「お前って昔っからカフェイン中毒だよなー。それも微糖の」

 

  「考え事の息抜きにはちょうどいい。お前もどうだ?」

 

  「俺甘いの好みなんで」

 

  「しかし少し混んできた・・・確か今は昼前、しかも休日。だからか」

 

  「そうだな、残りやりたいの済ませたら昼どっかいこうぜ」

 

  お互いに飲み終わると再び図書館に入る。席はギリギリ

 

  「・・・なぁ、あの子」

 

  「うん?服装からして女の子だな。よく見えないけど」

 

 顔が見えない。それだけ本を持っているということはすごい力持ちだろう。雰囲気も鍛えてそうなアスリートのそれだ。だが、目の前で無茶をされるのも困るので声をかける。

 

  「そこの人、もしよろしければ少しお持ちしましょうか?」

 

  「いつものごときイケメン発言はいいけど見栄を張るなよ」

 

  うるさいぞレイ、と軽く返すと思ったより元気な返事が帰ってくる。というより、つい最近聞いたことがあるような?

 

  「あ、大丈夫です。もうすぐそこに席をとってあるので・・・」

 

  そういって机の上に本をドンと乗せる。

 

  「あの子は三人組かー。でも混んできてもう他に空いてないし、入るか」

 

  「・・・邪魔したら悪いだろ」

 

  「空気読みすぎてヘタレな悪癖どうにかならねーの?俺達だって二人組だ、雰囲気とかも問題ないだろ」

 

  「お前がいうなら、いいけどよ・・・」

 

  「どことなく歯切れが悪いけど、どうしたんだ?」

 

  そういうことで座ることにするが、いきなり座るのはさすがに躊躇われるので声をかける。

 

  「相席いいですか?」

 

  「あ、大丈夫で・・・ガラナ?」

 

  「やっぱり、ヴィヴィオか。そうだろうな」

 

  「知り合いか、なら話は早―――」

 

  「よし、帰るぞレイ」

 

  一瞬でレイの頭を掴むと連れていこうとするが力ずくで止められる。

 

  「待て待て落ち着け。お前に限ってそんな仲悪い友達いねーだろ?」

 

  ヴィヴィオの方をちらりと見ると明らかに引いている。

 

  (・・・お前ウブだからいつかやるんじゃないかとは思ったけど、何した?あんな人当たりの良さそうな子に)

 

  (違う、そういうあれじゃない。俺からはもう話しただろ?)

 

  (そりゃそーだけど!だからってあんなに引くって普通以上になんかあるとしか・・・)

 

  「えっと、あの。あなたがガラナさんですか?」

 

  「えっと、とりあえず待て、誰?」

 

  「そうだよな、図書館ではお静かに・・・」

 

  「コロナって言います!ファンなんです、サインお願いします」

 

  「・・・」

 

  ガラナは一瞬にて凄い顔をしてしまっている。

 

  「三年前、初めて剣闘大会に出てるときからずっとかっこいいと思ってて・・・」

 

  「お前も有名になったもんだなー?おらっ」

 

  「三年前ってことは有名になる前、デビュー当時から知ってるだろ。茶化すなよ」

 

  なんだこの状況は、とガラナは叫びたかった。図書館の中なのでそんな訳にはいかないが。

 

  「えっと、もしかしてそっちはレイさん?」

 

  「あ、うん。どした?」

 

  「リオです!三年前、そっちにいるガラナさんと決勝で戦ってる時から―――」

  「や、待って待って。とりあえず、座って一旦落ち着こう。話はそこからでもいいでしょ」

 

  「・・・その通りだ、レイ。何を調べてるんだ?」

 

  「ええーっと、古代ベルカの歴史だよ」

 

  相変わらず妙に馴れ馴れしい、それでいて近すぎるわけでもないヴィヴィオ。わざとそうしているのは明白だったが訂正するのは諦める。

 

  「・・・トラディメント。手を貸してあげてください」

 

  デバイスのトラディメント・ハートに話しかける。

 

  『分かった。でも、手を貸すというのはどういう意味だ?普通にか?』

 

  周りから見れば何をしているか分からないだろうが、ガラナはデバイスと相談をしていた。

 

  『判断は任せます』

 

  『お前の分は必要ないな?』

 

  『後からで構いません』

 

『了解した』

 

  「そのまえに、えっと、ガラナさんは何を調べているんですか?」

 

  「調べものなんかない。小説を借りてただけだ」

 

  そこは素直に情報収集してた、でいいんじゃないか。レイはそう思ったが親友の面子を守るため黙っておいた。

 

  そこからは二人の雰囲気を察したのか黙々と時間が過ぎていった。・・・それに巻き込まれたコロナとリオは気の毒なことこの上ないが。

 

  ~そして昼過ぎ~

 

  『しかしここまで言葉遣いが古風かつ不遜ですまないな、ヴィヴィオ君。分かりにくくなかったか』

 

  「そのくらい気にしませんよ。むしろもっと教わりたいくらいです!・・・いいデバイスだね、ガラナ」

 

  「俺のデバイスだ、当たり前だろ」

 

  「それじゃあ、私この後少しスパーがあるんだけど。いっしょに行かない?」

 

  「・・・お前と?何で?」

 

  「じゃあ俺に免じて頼むわ」

 

  「引っ込んでろ、レイ。―――お前が言うなら仕方ないか」

 

  (ありがとう、レイくん)

 

  (いいっていいって、気にするな。・・・こいつも本当はいくつもりなんだろうしな)

 

  『お前の言うとおり、中々見込みのある娘のようだ』

 

  『見込みだけでは、意味はないと思いますが』

 

  『ははは、お前が言うと重みがあるな。だがあれは伸びるぞ』

 

  『・・・そうでしょうね』

 

  『お前に限って忠告する必要はないだろうが、一応な』

 

  「なら早速向かうか」

 

 「あ、待ってください!」

 

 ファンとして特別な感情を抱いているのがバレバレな様子でコロナがガラナの後ろをついていく。

 「―――あ、用事もう終わったんですか?レイさん」

 

 「気を使わせて悪いな、ガラナのやつが―――えっと、リオだったか?」

 

 「はい。でもいいですよ、一生懸命にしてるみたいだったので」

 

  「ま、いい加減あいつも真面目にやってくれるだろ―――多分」

 

  (そこは言い切ってほしかった・・・)

 

 そして一同は―――奇妙な集団だったが―――目的地へと到着した。

 

  そこにいたのは旧ナンバーズ軍団+スバル、ティアナ。(ガラナは知るよしもないが)

 

  「なんだ、来たのか。ガラナ」

 

 「気が向いたので」

 

  「―――ま、今はいいか。せっかくだし見学してけよ」

 

  「それで、紹介してくれる子って?」

 

  「ああ、場所は抑えてある。行くか」

 

  そしてまた移動。向かった先にいたのは―――

 

  「アインハルト・ストラトスです。よろしくお願いします―――ってあれ?」

 

  「お前は・・・」

 

 一瞬の沈黙を疑問に思ったコロナが声をかける。

 

  「二人はお知り合いですか?」

 

  「ああ、家ぐるみで付き合いがな。・・・しかしお前はただ戦闘が目的なだけだと思っていたんだが、心変わりか?」

 

  「そういうガラナさんこそ、一生を剣に尽くすのが本懐、みたいな人じゃないですか・・・」

 

  「―――ここはお互い追求しないことでどうだ?」

 

  「そうですね、そうしましょう」

 

  「・・・よくわからないけどまとまったみてーだな。それと、レイも観戦希望か?」

 

  「せっかくですし、お願いします」

 

  「分かったぜ、始めるか」

 

  ヴィヴィオとアインハルトのスパーリング。4分1ラウンドで格闘のみの搦め手なし。非常に分かりやすいルールだったのだが・・・ヴィヴィオはあっけなく負けてしまう。

 

  『あの子の戦闘、どう思いますか?』

 

  『覇王の系譜だな、どことなく面影がある』

 

  『才能の塊ですね・・・ヴィヴィオとは正反対だ』

 

  『だが勝てるだろう?お前なら』

 

  『もちろんです。心に剣がある限り』

 

  「・・・じゃあ今回はここまでにして次回練習試合ということで―――」

 

  「まあ待ってくれよナカジマさん」

 

  「だからノーヴェって・・・もういいか。前みたいな醜態は晒すなよ?」

 

  「そうしようと思えるほど弱くはないな、アイツは」

 

  そういってリングへ上がるガラナの雰囲気は以前の対ヴィヴィオの時とは違う。以前は言い様のない圧迫感だが今回は逆に静かな感じだ。

 

  「ルールは変更して構わないか?ハル。1R4分間、ただし魔法もありで戦法は自由。デバイスの使用はなしだ」

 

  「こちらは問題ありません」

 

 「全く、あたし置いてきぼりで進めやがって・・・ええい、もう勝手にしろっ!開始!」

 

 「そらっ!」

 

  ガラナは必殺剣『一』で右手に剣を展開すると超速スピードの連続移動でアインハルトを撹乱しにかかる。

 

  「・・・そこっ!」

 

 (これに初見で対応するか・・・やっぱりヴィヴィオの時ほど手を隠す余裕はないな・・・!)

 

  剣を左手に持ち変えるとアインハルトのカウンターを弾く。

 

  「・・・レイさん、あれって」

 

  ヴィヴィオにとってはショックな光景だろう。声をかけられたレイはそう思いながらも答える。

 

  「あいつの利き手は左手だ。しかしいきなりってのはビビったぜ」

 

  しかしそういって目を向けるとむしろヴィヴィオは楽しそうだった。

 

  (・・・いい才能だ。アインハルトとは違う意味で、な)

 

  「せー、のっ!」

 

  アインハルトがまたしても移動をとらえると畳み掛けるようにラッシュへ移る。始めは対応していたガラナもたまらず剣を後方へ打ち飛ばされてしまう。それだけでなく体も耐えきれず後方へ飛ばされる。

 

  (ここで攻め――ッ!?)

 

  しかしガラナの手から離れたはずの剣が手へ戻っていた―――否。至近距離にいたアインハルトにはそう考えるしかなかったが、リングの外の観客には何が起きたかよく分かっていた。

 

 ガラナが魔法で『剣を伸ばした』のだ。そしてそれを掴んでから即座の対応。どう考えても吹き飛ばされた直後にそれをやるのは至難の技。まるで剣がどう動くか理解していたかのような流れであった。

 

  しかしアインハルトも負けてはいない。反射的な後退で最悪の事態を避ける。

 

 「ふう―――・・・・」

 

 (・・・この感じ、来るか!全力勝負!)

 

  ガラナはアインハルトが『あがった』のを感じ取っていた。

 

  「読み合いはなしだ・・・――『受けて勝つ』」

 

  「―――覇王断空拳!」

 

  (先程のヴィヴィオとの対戦、さらにここまでのスピード勝負から考えられる間合い・威力―――『視えた!』)

 

  対応しての剣での防御。

 

  だが、アインハルトはその防御がくることを当然分かっていた。戦いでガラナが嘘をつくはずがないからだ。故に考えは一つ。『剣ごと撃ち抜く』

 

  「ああああぁぁぁっ!」

 

  加速しての拳は剣へついにぶつかり―――

 

  はしなかった。

 

  外れた。あるはずの剣から。

 

  (・・・幻影魔法!!?この状況でっ!)

 

  騙された、という恨みを大した人だ、という称賛が上回る。

 

  「終わりだな――「まだですっ!」・・・!?」

 

  断空拳で全身から前へ加速した勢い。普段ならこれは相手に乗せるものだ。だがこれを今回は自分に乗せる。

 

  間違いなく転ぶが、久しぶりの熱い勝負。この『上がりきった』瞬間を逃すはずはない。

 

  「二重、覇王!断空拳ッ!!」

 

  (っ、間に合え・・・!)

 

  アインハルトの拳の先がガラナの体を掠める。だが間に合った。

 

  「ライジングテレポート!」

 

 その刹那、黒い雷光がリングへ、それもアインハルトの後ろへ走った。もちろんそんなはずはないのだが、少なくとも全員がそう見えた。

 

  「ぐっ・・・」

 

  さすがのアインハルトも完全に前に倒れこむ途中で隙をさらしている。ここから打てる手はない。

 

  「・・・本当に終わりだ。せっかくだし持っていけ、必殺剣『鍾』」

 

  「・・・」

 

  アインハルトは倒れたまま立ち上がらない。

 

  「ここで止めだ!おいアインハルト、大丈夫か!?」

 

  「軽く脳を揺らしただけだ、それも一瞬。すぐ治る」

 

  『・・・及第点だな』

 

  「ガラナ!いい勝負だったよ!やればできるじゃない!」

 

  「やっぱりガラナさんはすごい・・・!」

 

  「ちょっと!レイさんのがすごいよ!」

 

  反応は三者三様だったが。

 

  (あいつも育ってるな、前の決勝より―――でもやっぱり・・・)

 

  「そうだな、とりあえずおめでとう。しかし技のキレが落ちてりゃよかったのに前より上がってるとかマジかー」

 

  「そういうなレイ、お前ならすぐに追い付けるだろう。目的は果たした、帰るぞ」

 

  「・・・ふう、落ち着いてきました。対戦、ありがとうございました」

 

  「ああ、こちらこそ。手荒にして悪いな、ハル。埋め合わせにまた今度出掛けよう」

 

  「はい、予定が空いたらまた連絡します」

 

  その瞬間空気が凍りついた。こんなに易々と男が女を誘うなんて。いくら若いからといってもこの場にいる全員が衝撃だった。

 

  「あれ?お二人様はどういう関係で?」

 

  その凍結を打ち砕く犠牲となったのはレイ。

 

  「何って、幼なじみですよ?―――あれ、いってませんでしたっけ?」

 

  皆が聞いてないよ!と叫びガラナはこの後問い詰められることとなったのであった。




主人公はここでテレポートを使うつもりはなかったので内心ハラハラ。主人公とハルは周りから見たら付き合っちゃえと言われてもおかしくないかも。
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