ヴィクターは後々割と出そうな気がする
「・・・さて、第70回、70回!?取り乱しました、すみません。とにかく会議を始めます。司会は私、ガラナ・ディスターヴが「長い。巻くぞ」ひどい・・・とにかく、男子ベスト5から考えましょう」
「本人紹介は客観的な視点とはいえないので代理紹介します。第一位ガラナ・ディスターヴ。まあ強さは言うまでもないですが、ルール上交流戦に出していいのかはグレー」
「ではここからは私が。第二位レイ・フォード。攻防一体の珍しいタイプ。三年連続決勝で敗北。例年ならまず一位と呼ばれている」
「「「「決まりじゃね?」」」」
大勢の声。気持ちはわかる。
「問題は攻撃がどうしても地味なこと。剣士の持ち味は派手なムーブなのにあんまり地味だと、ファンの方々が、ね」
「・・・ですね。では第三位クロム・グレース。強い、もしかしたら才能が誰よりあるんじゃないかってくらい強いんだけど、精神性からかムラがありすぎる。もしダメな時にあたったら男子がナメられる」
「ああ?ナメられるだって?この俺が?」
「どこが、って聞かない辺り自覚ありますよね。はい次。第四位、空中戦が真骨頂のスカイフィード・ヴェーラ。色々と突っ込みどころがありすぎる。なんだよ剣士なのに得意なの空中戦って」
「仕方ないだろ!親父は空前魔導師なんだよ!」
「戦闘系の職種だとそもそも択が少ないよ。空前魔導師の子で空中戦得意な剣士って何人いると思ってるんだ?死に長所じゃないか。はい次。」
「私d「進行を邪魔するな」あ、はい・・・」
「第五位、とにかくバ火力。そのバカ戦法から引き分けからのサドンデスが多すぎる。相手にしたくない剣士ランキング堂々一位のバカ。バカランキング一位のバカオブバカなバカでもある」
「・・・あんた俺のこと嫌いすぎない?」
「よくわかったなバカ。毎回毎回リングぶっ壊すあげく遅延しまくるから頭下げて下手すれば弁償しなきゃいけない相手に好印象抱くわけないだろバカ」
「なんだとバカだと!バカっていうほうがバカなんだぞこのバカ!」
「わかった、わかったよ!後でまた、な?」
「・・・で。まあ、そういうわけで、どうする?」
「「「「二位(レイ)でよくね?」」」」
知ってた。何でオレ呼んだんだよ。
なんて夢を見た。
というオチならよかったなと今でも思う。
「・・・言ってる場合じゃないでしょ」
ん?と思った。なんだかおかしい。自分は伯父と自分の二人暮らし。なのに下から人の話し声がする。それも電話口からのそれじゃない。単なる来客とするには早すぎるし親しすぎる。
「ん、おはよう、伯父さん」
前日は先ほど書いてあった会議の後に帰宅、そのまま用意をして就寝。
「はい、おはようございますガラナさん」
「・・・いや、なぜお前がいる?」
そこにいたのはアインハルト。まだ朝の四時。これはまずい。色々と。
「昨日からいましたよ?」
「泊まり?親の許可は?」
「もらってます。そうでなくても、うちの両親は仕事が多いです」
「あ、そう、いや、そういう問題でなくて」
「案外奥手だよなぁ、ガラナ。兄さんには似てないよ」
「あ、伯父さん。おはよう」
「うん、おはよう。こんなかわいい娘が傍にいてくれるなんて、この子も隅におけないね?」
「ちょっと、やめてくれよ」
「・・・?」
当の本人であるアインハルトはまるでなんとも思ってないようだった。ガラナにとってこれは地味にショック。
「・・・案外強敵みたいだね、頑張って」
「はい、ガラナは強敵です。でも、負けませんから!」
(ダメだなこれは。というか、いるんだねぇ実際こんな人)
「しかし、いつもこんなに早くに起きてるんですか?眠いです・・・学校の用意は?」
「学校は行ってない。自分のことは気にしなくていいから寝ていいよ、うん。ってまだ理由を聞いてない。伯父さん、これは一体どういうこと?」
「さあ?君の自業自得じゃないの」
(オレが何かしらマイナスの影響を与えた相手?となるとノーヴェが最有力か)
「・・・自分のことを監視する必要はないよ、ハル。やるべきことはしっかりやるさ」
「そうですか・・・ふぁぁぁ」
「やっぱ、寝たら?」
「そうします・・・」
のろのろと二階へ上がっていくアインハルト。
「まさかと思うけどオレの部屋で寝かせてないよね、伯父さん?」
「寝かすわけないでしょ。もう8歳年取ったら考えようと思ってたけど、あの様子だと少しばかり強硬策に出ようかと」
「・・・」
「外堀埋めた方が早いかなと」
「おい」
「でも実際君も満更じゃないんじゃ―――いや、ごめん。今のは僕が軽率だった」
「分かればいいよ」
一瞬ついガラナが出してしまった険悪な雰囲気を察したのかライトは話を変えることにした。
「いま悩んでる場合じゃないしね。大会までの時間もないんだし」
「大会で思い出した。そういえば、例の前コーチ提案の合宿に招待されてるんだけど」
「ああ、細かい準備とかは気にしなくても」
「そっちじゃなくて。伯父さんって『高町なのは』と知り合いなんでしょう?」
「・・・ああ、わかった、わかった、そういうことね。君の聞きたいことは」
「!」
「でも、話せないかな。そういう『約束』だから」
またそれか、と思った。自分の周りにいる大人の常套手段だ。自分は知りたいこと一つも知れやしない。
(といっても、まあ―――仕方ないか)
それに関して抱くのは、諦めに近い感情だけだった。
「・・・でも、オレがDSAAで言われた通りの結果を残せたら?」
「その時は、ご褒美を与えよう」
「わかったよ」
短く、冷たい返事を返すと会話を終わらせる。そんなことを今さら確認している場合じゃない。自分のすべきことをしなければならない。
「・・・行ったか―――」
これはなかなか手間がかかりそうだね。頑張ってくれ、レイ君、アインハルト君、そして―――ヴィヴィオ君。
―そして3時間後―
突然インターホンが鳴った。
「伯父さん、来客みたいだけど相手は?」
「君の友達」
「友達・・・?ああ、レイか。すぐ行く」
「私も出ます」
この時間となるとさすがのアインハルトも起きて準備万端だ。学校の荷物を持っているのは不審だったが、そういえばレイとは同じ学校。一緒に登校するつもりなのだろうかと予想を立てる。
「ん、む・・・まあお前なら問題ないか」
そして扉をガチャっと開ける。
「おはよう、ガラナくん!アインハルトさん!」
「悪い、止められなかった」
「よし行ってこい」
「ちょ、何して―――」
予想通りのレイは構わなかったが、目に入ったのがヴィヴィオだったのでついアインハルトを突き飛ばし、扉を閉める。
再びインターホンが鳴らされる。
(・・・今のはさすがにオレの対応が悪いわな)
「で、何のようで―――突然だから仕方ないとはいえ、女の子同士でお姫様抱っこはやめたほうがいい。あらぬ誤解を受ける」
「・・・あ、そうですね、ごめんなさい。ヴィヴィオさん」
「う、うん」
(ハルは素かよ!)
「んでまあ、ヴィヴィオはお前と一緒に学校行きたいんだってさ」
「いいよ、友達ならいるから」
「えー、でも学校行った方が楽しいよ?」
「そんなことより大事なことがオレにはあるの。なあ、レイ?」
ここで振られたら否定できないじゃねえか!というレイの心の声が聞こえそうだったがここは我慢してもらう。
「確かにそうなるかな」
「お前はオレと友達になりたいんだろ?そんなことは絶対にありえないから安心しろって」
「『ありえないことこそありえない』よ?」
流しかけて少し驚く。今のはオレの選手としての信条だ。
「・・・レイ?」
「教えてないって。調べりゃそのくらい出てくるから」
「なら、いい」
「とにかく、わたしはガラナ君といつか友達になるから。でも今日はいいや。いこう、レイくん、アインハルトさん」
「おい、レイ」
「なんだよ?」
「オレにメール送れるくらいにはそいつに絡まれない時間作っとけよ」
「うっす了解ー。じゃあ、またな」
「いってらっしゃい、気をつけて」
「・・・お母さん?」
「やめろ、鳥肌がたつ」
ハルはやはり天然すぎる。レイも笑ってるし。こいつは笑点が低いから困る。
「よかったの?」
「今さらだ、放っておくさ」
「ならいいけど。もうそろそろいい時間だ、練習と行こうじゃないか」
それからは、各々が自らにあった時間を過ごす。そして、合宿当日。
「結局、レイさんは音沙汰なしかー・・・」
「ガラナさんも来ないのかな」
「このガチ勢どもが、もうすぐ始めるからな、油断すんなよ」
はぁーいと気のない返事を返しつつも準備を整えるコロナとリオ。心配はなさそうだ。
「えっと、あの二人は来ないんですか?ヴィヴィオさん」
「あのあと毎日話そうとしたし―――進歩はあるけど、そこまでの手応えは」
「ったくあの悪ガキがー!」
「誰が悪ガキだって?」
「あ、ガラナ!」
「お前ら、どうやってきたんだ?犯罪か?」
「さすがにそれは酷すぎるんじゃないかな、ノーヴェさん。それと、なのはにフェイトは久しぶり」
「あ・・・久しぶり、ライト!もう大丈夫?」
「なんだかんだで、ね」
「いやーガラナさんがいると元気百倍だよ!」
「いいや、レイさんのおかげだって!ね、ヴィヴィオ?」
「あ、あはは・・・」
「そういえば自己紹介がまだか。ガラナ・ディスターヴです、よろしく」
「レイ・フォードでっす。それなりによろしくー」
片や無愛想、片や適当な挨拶。アクが強いが、それはなのはの仲間内ではそうでもなかった。
「キャロル・ルーシエです。それに飛龍のブリード。身長が1.5センチ伸びました!伸びました!!」
強調するのそこかよ。そう思っても誰も口に出さないのは優しさだ。
「エリオ・モンディアルです」
「ルーテシア・アルピーノ。こう見えても歴史には詳しいのよ?」
「あの、後ろにいるのは?」
誰も触れようとしないものをいい加減認識させようと気遣うコロナ。
「るーるーの大切な召喚獣。アインハルトも、それにガラナくんも警戒しなくて大丈夫」
「はい」
「うす」
(ばれたか・・・やっぱ相当やるな。あくまでまだ推定しかできないけど、来た甲斐があるってものだ)
「わたしは高町なのは」
「私はフェイト・テスタロッサ」
「いやあ、お二人は有名人だしみんな知ってますよ」
いつもの軽いテンションでなのはとフェイト二人に話しかけるレイ。だが親友のガラナにしてみれば内心喜んでいるのはバレバレだった。
「!えっと、君がレイ・フォードくん?」
「はい、それが何か?」
「そうだね、後でまた話そう?」
(―――良かったなレイ、目をかけられてるみたいだぞ)
友人を内心応援するガラナ。だがそれよりも今は大会に向けて自分のことだ。
「それじゃあ、みんなご飯食べる前に川で特訓だ!」
「でも、レイ君とガラナ君だけは別メニューね」
「それって、どういうこと?フェイトママ?」
「正直二人は、完全にプロレベルだからね。体の動かし方くらいはマスターしてるだろうし」
「あー、いいです。俺はあっち行くんで、ガラナだけ特別メニューで」
「ライトはそれに賛成?」
「問題ないよ」
そういうわけで、ガラナ以外は川でトレーニング。ガラナのみは大人に混じることになった。
「さて、ガラナ。自分の未熟なところはもうわかってるよね?」
「オレが能力に『未覚醒』なことですか?」
「その通り。強引にでも目覚めさせようと思ってね。だからガラナには、というかここにいるみんなに一つ提案をしたい」
大人組もまたライトの言葉に耳を傾ける。
「特訓合宿のメイン、ガラナには事前に話したよね?」
「わたしが教えちゃった」
(なのはなら仕方ないか・・・)
全員がそう思った。
「それで、その一戦目なんだけど。子供組vs大人組にするから」
「!?」
空気が凍りついた。ガラナも凍りついた。果たして、ガラナの運命は・・・?
ガラナくんは果たして勝てるのか!そして作者は戦いを拮抗させて書くことができるのか!(おい)
あ、最初の男子組は全員忘れていいです。強いて言えば3位の人はなんかあるかも。ないかも。
設定とか容姿とかそういや書いてない(今さら)