もっとモンスターハンターとヒロアカのクロスオーバーSSは増えても良いと思ってます!
時は流れ、仮免試験当日。
とある駅では、スーツ姿のミッドナイトとプレゼント・マイクは人通りの中、竜牙が来るのを待っていた。
今日は竜牙が最後の訓練旅行(留学)の最後の目的地――京都から戻って来る事になっていた。
そのお迎えと仮免試験会場まで送る役目を請け負ったのがこの二人だった。
しかし、時間になっても竜牙はまだ来ない。
「おかしいわね……そろそろ来てもおかしくないのに。このままじゃ間に合わなくなっちゃうわ」
「ハー!! まさかの遅刻か雷狼寺!?」
「まぁ無理もないわよ。アメリカ、イギリス、ロシア、そして京都。その全てで訓練しているんだから」
「まぁ……そうだけど。イレイザーがなんて言うか」
ミッドナイトもプレゼント・マイクもしょうがない感を出すが、これで遅刻でもしたら相澤がキレるのは目に見えていた。
そもそも、そうならない為に竜牙と教師陣は頻繁に連絡を取り合っていたのだ。
なのにこれで遅刻でもすれば笑い話ではすまない。
「もしかして入れ違いになったかしら?」
「それか俺等が気付いていないだけかも……」
駅の出入口をずっと見ていた二人だったが、それらしい人物は見当たらない。
このままでは本当に最悪のパターンになる、そう思った時だった。
「……ミッドナイト先生、プレゼント・マイク先生」
不意に二人は背後から声をかけられた。
だが瞬時に二人は誰の声かを理解できていた。――竜牙の声だと。
だから二人はすぐに振り返った。
「あら! 雷狼寺くん! 全然、気付か……なかったわ……」
「遅刻じゃなくて良かった……ぜ……」
振り返った二人は竜牙の姿を認識すると徐々に声が途切れていく。
そして二人は震えながら竜牙を指差した。
「ら、雷狼寺くん……!?」
「ほ、本当に雷狼寺か……!?」
二人は竜牙の姿に驚きを隠せず、目を丸くしていると竜牙は静かに笑った。
そして落ち着いた声で二人へと言った。
「……行きましょう先生」
「え、えぇ……」
そう言って歩いていく竜牙の後ろ姿を見た二人は、茫然と立ち尽くしてしまう。
そして未だに脳が現実を認識できないでいると、二人は唖然としながらも口を開くのだった。
「驚いたわね……男児三日会わざれば刮目して見よ。そうは言うけど……」
「イメチェンってレベルじゃねぇ……雰囲気も以前の雷狼寺とは違うぜ!」
それは外見だけではなかった。
纏う雰囲気も以前の比ではない。荒々しくも見えて、静逸の様にも見える。
――成長した。
少なくともミッドナイトもプレゼント・マイクもそう思うしかなかった。
それ以外の言葉が見つからない。安っぽく思える言葉かも知れないが、本当にそうしか言えない。
以前の様な獰猛さは鳴りを潜めている。
落ち着いた口調から感じる静逸感。精神的にも成長したと思わされる言葉の雰囲気にも驚くしかなかった。
「……先生?」
しかし当の本人は動かない二人を不思議に思って振り返ると、ようやくミッドナイト達は我に返った。
「あ、あら……ごめんなさい。急がないとね!」
「お、おう! 俺達のせいで遅刻なんて笑えねぇぜ!」
二人はそう言って駆け足で竜牙の隣に立つと、三人は歩き始めた。
そしてミッドナイトとプレゼント・マイクは嬉しそうにキャリーケースを引く竜牙の背中に優しく触れた。
「それにしても驚いたわ。随分と変わった……いえ成長したのね! もう本当に好みになっちゃって!」
「ヒャー! さっすがは俺のリスナーだ! その姿を見たらイレイザー達も驚くぜ!」
「……色々と学んで来ましたから。海外でのヴィランとの戦闘とイビルジョーさん達との訓練は良い刺激になりました」
竜牙は二人の言葉にそう言って再び笑みを浮かべた。
赤い瞳と、銀髪に混じる金色の髪を靡かせながら。
▼▼
現在、試験会場・国立多古場競技場
緑谷達A組は試験会場へ到着していた。
彼等が降りると周囲には既に他校の生徒達も多くおり、彼等の様子を見る限り確かな緊張感が漂っていた。
「緊張してきたァ……!」
「既に空気が重いな」
耳郎は緊張に当てられ、障子も周囲の雰囲気の変化に気付いて周囲を見渡す。
今からここで始まるのだ。仮免試験が。
緊張するな、そう言う方が無理があり、峰田を筆頭に何人かは思わず弱音を吐いてしまう。
「試験ってなにやるんだとうなぁ。ハー! 仮免取れっかなぁ」
「緊張してきたなぁ。個性によって不利になる内容じゃなきゃ良いけどよ……」
「うわー! 緊張するぅ!」
峰田に続き瀬呂や芦戸も思わず口走ってしまう不安。
しかしそれを見た相澤は容赦なかった。
「お前ら、分かってると思うが取れっかじゃない。――取ってこい。仮免を取れば晴れてお前等はヒーローの卵からセミプロへと孵化する。頑張ってこい」
「う、うす!」
相澤の言葉に峰田達は思わず頷くしか出来なかった。
それだけ相澤からの言葉の圧も強いのもあるが、同時に期待しているという想いも伝わってきたからだ。
そんな中、耳郎と障子は辺りをキョロキョロと見渡し、竜牙を探していた。
「ねぇ、雷狼寺いる?」
「いや、それらしいのはいないな。まだ来てない様だ」
「雷狼寺には着いたら入口で待機する様に言ってある。だがまだいない以上。到着していないんだろ」
二人へ相澤はそう言うと時計を見た。
まだ余裕はあるが、そろそろ到着する筈でもある。
少なくとも、そうならなければ距離的にも竜牙の遅刻が確定してしまう。
「大丈夫だと良いがな……」
時間的にも、精神的にも。
相澤はそう内心で言って僅かな不安を抱く。
竜牙の心は一度は折れている。
しかも海外に行っている時点で自身の目も離れており、唯一状態が分からない生徒であった。
獄狼竜の影響は大丈夫だと信じたいが、少なくともイビルジョー達の下で悪化することは無いと信じたい。
相澤がそう思っていると、切島がこの空気を打破する為に声をあげていた。
「よっしゃ! 雷狼寺はまだだけど円陣組んでいつものやろうぜ! せーの! Plus――」
「――Ultra!!」
――えっ?
しかし、一番声をあげたのは全く無関係の男だった。
見た事もなければ制服する違う。明らかに部外者感半端ない人間だった。
「誰!?」
緑谷達が叫ぶと同時だった。
気付けば彼と同じ制服の生徒達が傍にいた。
「他所様の円陣に勝手に混ざるのは良くないよイナサ」
「ハッ! それは大変! 失礼! しました!!」
イナサと呼ばれた少年はそう言って土下座を通り越し、頭を地面へと叩きつけるという謝罪を行った。
ゴンッという鈍い音が聞こえてきて緑谷達はドン引きだったが、当の本人は笑っていると相澤は気付いた。
「コイツ……夜嵐イナサか?」
「知ってるの先生?」
葉隠の言葉に相澤は頷いた。
「あぁ……昨年度、つまりはお前等の年の推薦組の中でトップの成績で合格した男だ。しかし合格は辞退している。気を付けろ、変だが強いぞコイツは」
「うわぁ……変なのに強いって何それぇ」
葉隠もドン引きした様子でイナサを見ていると、周囲の他校の生徒達もイナサ達の姿を見ると騒がしくざわつき始めた。
「おい! あの制服って……西の――!」
「あぁ! 雄英と並ぶ有名高――<士傑高校>だ!!」
「東の雄英……西の士傑……! 今回の仮免試験ヤバいんじゃねぇのか!?」
周囲がざわつく中で士傑高校の者達は歩いて会場の中へと入って行くが、相澤だけは警戒を怠らなかった。
「嫌な奴と同じ会場になったな……良いか。奴はマークしと――」
「イレイザー! イレイザーじゃないか!! 直に会うのでは久しぶりだね!!」
そこまで言った相澤の言葉を遮ったのは一人の女性だった。
バンダナを巻いている明るい感じの女性だったが、その姿を見た相澤の表情は面倒一色に染まっていた。
「……うわ」
思わず相澤からそんな言葉が出るくらいだ。
余程、絡みたくない相手なのだろう。
「結婚しよ!」
「しない」
しかも最初の会話がこれである。
芦戸達女子はキャーキャー言っているが、相澤は嫌な顔を浮かべているとヒーローオタクの緑谷が彼女のことを話し始めた。
「わー! スマイルヒーローの『Ms.ジョーク』だ! 個性は『爆笑』で周囲の人達を笑わせるから彼女の敵退治は狂気に満ちていて有名だよ!」
「ブハッ! 酷い言われよう!!」
「事実だろ」
緑谷の説明に吹き出すジョークだったが、相澤がそれをツッコんだ。
「仲が良いんですね御二人は」
「アハハハハ! 実は昔ね事務所が近所で仲良くやってたんだ!」
蛙吹の言葉にジョークはそう言って相澤の肩を叩くが、当の相澤は事実らしく無視を決め込んだ。
寧ろ、何故に彼女がここにいるのかを考えており、その答えもすぐに分かった。
「全く……お前の高校もか?」
「そうそう! そうなんだよ! おいで皆! 雄英だよ!」
ジョークはそう言って頷くと自分の所の生徒を呼んだ。
すると来た生徒達は驚いた様子と嬉しそうな表情を浮かべていた。
「うわ! 本物の雄英だ!」
「本当だ! みんなTVで見たよ!」
「これが傑物学園高校2年2組! 私の受け持ち。よろしくな」
ジョークがそう言って紹介を終えると同時だった。傑物学園の一人の生徒が緑谷達の前にやって来ては握手をしてきた。
「俺は真堂! 今年の雄英はトラブル続きで大変だったね!」
「えっ、あっ――」
緑谷達は何か言おうと思ったが真堂は、有無を言わさずに握手しながら話し続けたが唯一、爆豪にだけは握手を拒否された。
「フカしかてんじゃねぇ……面と言葉があってねぇんだよ」
「おい失礼だろ爆豪!? す、すんません」
「いやいや良いんだ良いんだ!――ところでさ? 一人いないよね? 君達の学年№1雷狼寺 竜牙くん。どこにいるんだい?」
真堂はそう言って探る様に竜牙のことを問いかけるが、耳郎達は誰もそのことには気付かず。
スマホや時計を見ながら言葉を詰まらせていた。
「いやぁ……それがまだ来てなくてさ」
「雷狼寺の奴、海外に行っててよ……もう帰国してる筈なんだけどまだ到着してねんだわ」
耳郎と上鳴がそう言って何とも言えない表情で不安を抱いていたが、当の真堂は表情が僅かに変わっていた。
「海外……?」
「おう! 雷狼寺の奴、海外のヒーローの下で訓練しててよ! 今日、合流する予定なんだぜ!」
峰田はそう言って自慢げに話すが、真堂の表情は一瞬だけ険しくなったのに気付いた者はいなかった。
寧ろ真堂からは嫌な汗が流れており、先程の爽やかな雰囲気が僅かに崩れていた時だった。
「イレイザー!!」
「間に合ったか!!」
会場内に真っ赤なスポーツカーが入ってきた。
その運転席と助手席にはミッドナイトとプレゼント・マイクが乗っており、それを見た相澤はようやくかと溜息を吐いた。
「遅いぞ山田」
「本名は止めて!?」
相澤とプレゼント・マイクの漫才が開催されたが、すぐに相澤は彼を無視し、ミッドナイトへ一礼すると後部座席の方を見た。
そして驚愕した。
「お前……雷狼寺か?」
「……ただいま戻りました。相澤先生」
そう言って降りてきた竜牙を見て、相澤は目を丸くした。
そして同時に竜牙が降りてきたことに気付いて耳郎達も車の周りに集まったのだった。
「雷狼寺!」
「おーい! 雷狼寺!」
耳郎と障子が手を振り、緑谷達も集まった。
だが同時に全員の表情が固まった。
「ら、雷狼寺……?」
「……あぁ」
耳郎の言葉に竜牙は微笑みながら頷いた。
しかし竜牙の姿を見て何と言えば良いか分からず、耳郎達は困惑していた。
理由は纏う雰囲気もそうなのだが、何より外見だ。
銀髪だった竜牙の長髪に金髪も混ざり、瞳も鮮血の様に真っ赤に染まっていたのだ。
だが竜牙は特に慌てた様子もなく、寧ろ冷静そのものだった。
特にこれと言ったことを言う事もなく、静かに皆の前に立った。
「ら、雷狼寺くん……だよね?」
「……フッ」
心配そうに言う緑谷の言葉に竜牙は笑った。
そして、皆のことを見渡した後、竜牙は言った。
「……皆。ただいま!」
――満面の笑みで。
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