「AOooooooooN!!!」
ヌシジンオウガの咆哮が周囲に響き渡った。
その咆哮によって周囲の地面は割れ、ヴィラン役達も思わず立ち止まって耳を塞いでしまう程の声量だ。
「体育祭で見たのと形状が違う……! 新たな雷狼竜とでも言うのか……!」
ギャングオルカに悪寒が走る。
個性が『シャチ』である彼でさえ、食物連鎖の上位である彼でさえ雷狼竜の前では恐怖しているのか、構えが少し硬い印象がある。
――ギャングオルカの個性は『シャチ』だ。だがヌシならばやれる……!
竜牙も確信があった。
修行で培った経験や自信が竜牙に勝てるという確信を与えたのだ。
特にヌシジンオウガの電力は原種よりも上だ。
金色の雷を放電させながらヌシジンオウガはギャングオルカ達に前進していくと、ヴィラン達も一斉に腕に付いた装備を構えた。
「怯むな! 的がデカくなっただけだ!」
「すぐに固まるセメント弾を喰らえ!!」
そう叫びながらヌシへ一斉に放たれるセメント色の弾。
まるで雨の如く放たれる弾だったが、竜牙は前に出ることを選んだ。
『押し通る!!』
「AOooooooooN!!!」
ヌシは真っ直ぐに駆けた。目標はギャングオルカただ一人。
残りのヴィラン達は蹂躙するのみ。
そう思いながら俊足の速度で駆けるヌシにヴィラン達は恐怖の声をあげた。
「は、速いぃ……!」
「ば、馬鹿な一切怯んでないぞ……!」
ヌシの速度ならばヴィラン達との間合いは無いに等しい。
それぐらい竜牙にも自信はあり、同時にセメント弾が直撃しても一切怯むことはなかった。
寧ろ纏う雷によって固まったセメントは、すぐに崩れてしまいヌシの重荷にもならない。
そして彼等の間合いに入った瞬間、ヌシは足に力を入れて敵陣へ踏み込むとヴィラン達を吹き飛ばした。
「ぐわっ!!?」
「うおっ!!」
ヴィラン達を吹き飛ばすヌシ。
しかしそれだけでは終わらせず、竜牙は更に動いた。
ヌシの身体を旋回させ、巨大な尻尾で周囲を一瞬で薙ぎ払う。
「うあっ!?」
まるで竜巻の如く。その旋回で周囲のヴィラン達を薙ぎ払ったヌシは、とうとうギャングオルカを捉えた。
「来るか……!」
ギャングオルカも目を開いて身構えた。
そして彼の十八番である超音波アタックをヌシへと放ってきた。
『――舐めるなぁ!!』
だが竜牙も止まらない。その程度で止まる様な修行はイビルジョー達とやっていない。
もっと過酷で、こんな攻撃以上のダメージも受けてきた。
超音波アタックを受けたヌシは僅か一瞬だけ動きが止まったが、すぐに意識が覚醒。
そのまま雷を込めた右前脚を上げると、そのままギャングオルカへ振り落とした。
「AOooooooooN!!!」
しかも遠吠えのおまけ付きでだ。
今度はギャングオルカの身体が僅かに鈍り、その瞬間にダイナミックお手がギャングオルカへと直撃した。
「ぐおっ……!!」
「シャチョー!!?」
「マジか!
前脚に潰されたギャングオルカの姿にヴィラン達に動揺が広がった。
しかし相手は仮にもプロヒーローだ。これで終わる訳がないと竜牙は思っていると案の定、前脚が上がっていくのを感じる。
「なめ……るなぁ!!!」
先程以上の超音波を発しながらギャングオルカが起き上がった。
「AOooooooooN!!!」
だがヌシも負けじと咆えてそれに相対した。
超音波と咆哮がぶつかり合い、それは衝撃波となって周囲にいたヴィラン達を吹き飛ばす。
「ぐわっ!!?」
「だ、駄目だ! ここにいたら仕事になんねぇ!? 俺達は避難所を襲うぞ!」
「おう!」
ヌシの前に危険と判断したのだろう。
ヴィラン達は一斉に避難所の方へと走りだした。
『……』
しかし竜牙は動かない。雷光虫も飛ばさない。
少し横目で見るだけで、あとは目の前のギャングオルカへと意識を戻していた。
「追わんのか? それも一つの正解だが……ヒーローとしてはまだ足りないものがあるな」
ペットボトルの水を頭に掛けながらギャングオルカはそう言うが、竜牙は一切動じなかった。
何故ならば
「AOooooooooN!!!」
「ぐわーっ!!」
「なんで
避難所へと向かったヴィラン達だったが、一斉に吹き飛ばされて強制的に戻って来ていた。
「なんだ……!」
ギャングオルカも何事かと部下達の方を見ると、そこにいたのは<原種>の雷狼竜だった。
八百万達に預けた原種が駆け付けた事で再び風向きは竜牙へと戻る。
「あの雷狼竜は……体育祭の! しかし身体がデカイ……!」
原種のサイズは体育祭時よりも巨大になっている。
だからその姿にギャングオルカが怯んでいると、その隙にと他校の生徒達が避難を進めていた。
「すげぇ!! 流石は雄英の№1だ!」
「雷狼竜が二体もいるなら何とかなる! 今の内に避難だ!!」
そう言って避難を始める他校の生徒達と怪我人のプロ達。
逆に窮地なのはヴィラン役達だった。
「シャチョー……!」
「……これは聞いてた話よりも厄介だな」
勘弁だ。そんな気分なのか、そんな感じに話すギャングオルカだったが、彼等の目の前にはヌシと原種が佇んでいた。
一歩でも動けば襲い掛かってくる。
そんな気配にヴィラン達もセメント弾を構える事も出来ずにいたが、そんな時だった。
その混沌とした場所に現れる者達がいた。
「雷狼寺!!」
「敵乱入とか! 中々、熱い展開にしてくれるじゃないっスか!!――派手にやってるっスね! 雷狼寺さん!!」
『……轟に夜嵐か』
ヌシの中で竜牙は増援に来た二人を見て、これで更に余裕が出来ると判断した。
ところが、二人がお互いの姿を捉えた瞬間、空気が変わった。
「アンタもいたんスか……」
「お前こそ……ここは俺と雷狼寺でやる。お前は避難の方に行け。適任だろ?」
そう言って轟は炎をヴィラン達に放つが、同時に夜嵐も風をヴィラン達へと放っていた。
結果、熱によって風はあらぬ方向へと行き、炎も的外れな場所へと流されてしまう。
「……なんだ、どこを狙っている?」
ギャングオルカ達も轟達の行動に首を傾げていたが、その隙を竜牙は狙わない訳がなかった。
今度は原種と一緒に前脚をギャングオルカへと放つが、今度はギャングオルカも流石に後ろへ跳んで回避した。
「シャチョー!」
「増援の二人は放っておけ……連携がまるでなっていない。厄介なのは雷狼寺 竜牙だ」
「Grrrrrr……!」
「Grrrrrr……!」
そう言って雷狼竜達を睨んでくるギャングオルカだったが、雷狼竜達は距離を詰めていく。
そして周囲に雷光虫を放ち、周りのヴィラン達を攻撃したり遠吠えと共に落雷を放ってヴィラン達の数を次々と減らしていった。
「AOooooooooN!!!」
「AOooooooooN!!!」
「くそっ! セメント弾も効きやしねぇ!?」
「あれでまだ一年か……! 恐ろしい才能だ!」
ヴィラン達も流石に二匹の雷狼竜を無視できず、意識を完全に雷狼竜へと向けていたが、そんな間にも轟と夜嵐は喧嘩をしていた。
「熱で浮くんだよ! 邪魔すんな!」
「邪魔なのはお前だ! 俺と雷狼寺の邪魔をするな!」
「いやわざとだね! だってアンタはエンデヴァーの息子だからだ!!」
「親父は関係ねぇ!!」
「いやあるね! アンタ等親子だけはヒーローとして認めねぇ!!」
「勝手に言ってろ! エンデヴァーアンチが!」
そう言って再び轟は炎を、夜嵐は風を放つが今度はそれが竜巻の様に合わさり、火炎の竜巻を生んでしまった。
それは一見、連携技にも見えたが実際は偶然の産物であり、同時にコントロールも出来ていなかった。
そしてそれはコントロールを失い、ヴィランだけではなく前方にいた雷狼竜達も包み込むのだった。
投稿に関して
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短くても良いから投稿してほしい
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時間がかかるが長い文で投稿してほしい