彼、ライザー・フェニックスは今ピンチに直面していた。
「どうなっている!?」
『ライザー・フェニックス様の兵士8名、僧侶2名、騎士2名、戦闘不能』
俺の眷属が次々に倒されているだと!?馬鹿な、中級悪魔に達していないとはいえ奴ら程度にこの短時間で倒されることなどないはずだぞ。なにがどうなっている!
ライザーが思考している内に着実に敵は接近してきている。その歩をライザーに向け1歩また1歩と。
どうする…ユーベルーナを前にだすか?…迷っている時間はないもはや前線は崩壊している。ここでためらって前に進むことを恐れていては勝てない。常に勝利とは誇りと共に進む者にのみもたされるものだ。
「いくぞ。ユーベルーナ。俺も出る。」、
そして王が腰をあげる。フェニックスの誇りを胸に、自らの魂を燃え上がらせる。
「リアスはとんだ助っ人を呼んだようだな…これでは負け試合だ。だが泥にまみれようとも最後まであがかせてもらうぞ。」
そう決意し、背に炎の翼を形成し、飛び立とうとしたときソレが彼の目に映る。
「ッ!な、なんだアレは!?」
まき散らす灼熱、色素の抜けた髪の毛にリアスに負けないほど鮮やかな赤い瞳。ライザーは見惚れていた。彼女の出す炎の美しさに、その力強さに。そして彼女はライザーを見つけたのかすさまじい轟音とともに向かってくる。
「まずい!クッ、爆陣だ!ユーベルーナ」
「ハッ!ライザー様」
ライザーの目の前に圧縮された魔力の塊が固定される。それをライザーは自分の魔力を注ぎフェニックスの炎の属性に染め上げる。そしてユーベルーナによってさらに爆発の概念を加えられたソレは暴力の塊となっていた。それを放ち見事それは彼女に当り、砕けた。そしてソレは一瞬、空間ごと圧縮されエネルギーは解き放たれた。空は赤くそまり、空間は綻び、そして周囲に伝わる空気の波がその威力を物語っていた。
「上位悪魔といえただではすまない一撃だ。すくなくともダメージをいくらかは与えられただろう。」
そう自分の中で確信する。いや、確信しなければ自分の現実を砕かれそうなほどのプレッシャーをひしひしと感じていた。だが、ライザーが見たのは無傷にて空中で浮遊している彼女だった。その神々しい姿をみてライザーは無意識のうちに呟く。
「フェニックス【不死鳥】」
Said藤原妹紅(レイナーレ)
「いてぇな…焼き鳥ヤロゥ」
彼女がライザーを見つけた瞬間魔力の塊がとんでその直撃を喰らっていた。そして半身が炭化しまさに死に体の状態だった。だが次の瞬間、彼女の全身が燃えだしその炎が消えた時彼女が無傷の状態の表れた。
「不死の薬…さすが八意印なだけはあるな」
彼女が死に至らない理由。それは簡単だ。彼女は不死だからだ。彼女の身は不死の薬により何千年と少女の姿を維持していた。炎より蘇るその姿はまさに不死鳥。
「これほどこのデビュー戦にふさわしいキャラもいないな」
そして、爆発による煙が晴れたときそこにはこちらを茫然と見つめるライザーの姿があった。彼の内心は今絶望しているか?それとも何も考えられずただただ茫然としているか?それでもない。彼はただただ彼女の姿に見惚れていた。そして憧れていた。まるでヒーローを見る子供のように。そして彼女はライザーに声を掛ける。
「ヨォ焼き鳥。てめぇのその過信…燃やしにきたぜ」
その言葉にライザーは目を覚ます。
「ッ!?…こい。どのみち俺の目の前に立つというなら敵だ。敵はひねり潰す。ただそれだけだ」
その言葉に藤原妹紅は嗤った。まるでゴミをみるかのような目で、裂けているかに思えるほど口を引き上げひたすらに嗤った。
「ゲぃはハハハハハハヒィギぁあああははアはハハハハハハァ……」
そして彼女の顔が引き締まる。そこには先ほどの醜いブタを嗤う顔などなく、そして可憐な少女の姿はない。そこには魔王がいた。溢れる圧力により空間に綻びが入る。そして彼女は炎の翼をはためかせライザーに突っ込んだ。
「なら…防いでみろよ?焼き鳥さんヨぉ」
そして彼女は手を前にかざし炎の塊を出した。そこにある炎は優に4桁を超えていた。それでもいまだ増え続ける炎、まさしく一人絨毯爆撃という言葉が相応しい。
「化け物がぁああああぁあああ」
ライザーが吠えた。その傍らにいた女王はもういない。先ほどの攻撃にて医務室に送還されていた。
「俺は、不死鳥の血を継ぐ一族だぞ!貴様のような下等がぁあああああああああ」
「ほざけニワトリ。」
そして炎の勢いが強まる。ライザーの再生は徐々に追い付かなくなってきたせいか体の輪郭が保てなくなってきていた。
「ニワトリ風情が炎に憧れるからこうなるんだよ。おとなしく家畜として飼われていればいいものを」
〈一方的〉まさにこの言葉が相応しいほど実力の差が離れていた。それでもライザーはあきらめない。誇り…それだけが今の彼を突き動かしていた。
「こんな炎…あの屈辱に比べれば!」
そしてライザーはオノレの身の被害など気にせず炎すら焼き尽くす獄炎の中に入っていった。
「うおおおおぉぉぉぉぉぉおおおぉぉお」
叫んだ、喉が焼き切れるほど、脳の神経が麻痺するほど。そして体を焼かれながら、もはや彼の体の再生能力は被害に完全に追い付いていない。彼の半身はもはや燃え尽きそれでも進むことをやめない。まさに不屈、だがそれでも彼女には届かなかった
(こんなところで敗れるのか?…妹に誓ったのに。もう家族で争うことのない幸せな家庭築くと。そしてもう二度と泣かせないと。)
もはや彼の精神が砕けるのは必然だった。
「クッ…ソぉ」
彼の意識がそこで途絶えた。そして最後に目に移ったのは炎を吐き出す不死鳥そのものだった。