多大な迷惑をおかけします
「よし。今日の練習はここで打ち切るか」
紗夜さんの通う学校と俺たちの通う学校ではテスト期間に1週間の差がある為紗夜さんは今テスト期間である。(俺は終わった)
テスト期間に入る前に紗夜さんに出された課題と自主練をして指が感覚を忘れないようにしている。
「さて…こっからどうすっかな」
紗夜さんに「オーバーワークは禁止」と言われているので練習と休憩を1:1で取るようにしている。
ゲームで時間を潰すのもいいし、舌の感覚を鍛えるために少し遠出してここら辺では食べれないものを食べてみるのもいいかもしれない。
なんて考えながらスマホの電源を入れると…
「ん?」
珍しい人から通知が来ていた
日菜☆ やっほー!午後時間ある?
絵里 1時からなら時間は取れるよ
現在時刻は12時19分 朝の10時から練習していたので約二時間半ぶっ通しでやってたのか…なんて思っていると
日菜☆ じゃあさ!デートしない?
絵里 喜んで
気づいたら俺はそう返信していた
「ごめーん!待ったー?」
「いや、俺も今来たとこ」
なんてテンプレのような会話をする。
「珍しいね、日菜ちゃんから誘うなんて」
「うん!相談に乗ってほしいんだよねぇ…」
「…ここじゃなんだからカフェ、行こうか」
「スカウトされた?」
「うん、今度作るアイドルグループがバンドをやるアイドルって言うコンセプトらしくて、それのギターにどうかって」
「へぇ!すごいじゃん!」
「でも、おねーちゃんに知られたら…」
「…紗夜さんとなにかあったの?」
前回氷川家にお邪魔した時日菜ちゃんを見た瞬間に紗夜さんの顔が険しくなっていた。妹を見て気分を悪くするなんて普通は無い
(姉妹仲が悪いのか?いや、日菜ちゃんは紗夜さんのこと好きみたいだし…)
なんて考えていると
「…私ね、周りから天才って呼ばれてるんだ」
「天才?」
「うん、勉強だって満点以外取ったことないし運動だって上手い人のプレーとか見ればだいたい出来る。むしろなんで皆出来ないの?なんて思ってたぐらい」
「…それで?」
「小学校の高学年くらいになると分かってくるんだよ。私のこと天才とか呼んでるけど殆どの人が私のことを理解出来ない『異質』なヤツだって」
「アタシはそれは別にどうでもよかったよ。努力してない人が何にもせずにアタシをそう思ってただけだし。…でもおねーちゃんは違った。どんなにアタシが周りと違うくらい勉強や運動が出来てもおねーちゃんだけは追いつこうとしてくれたんだ」
なるほど、見たら出来る…か確かに小学校の時からそれだったら周りの目も…
「おねーちゃんはあたしのやったことのないスポーツとか習い事を初めてね。それを真似してアタシもおねーちゃんと同じスポーツや習い事をはじめたんだ」
そこまで聞いて理解した。いや、嫌でも理解出来た。これからの展開が
「中学になってからおねーちゃんに言われたんだ
『いっつも、いっつも私の真似して…もう私のことをバカにするのはやめて!』
って…」
やはりそうか、兄弟や姉妹は何かと比べられることが多い。特に双子や1つしか年齢が違わない場合は特に
恐らく自分(紗夜さん)よりあとから始めた日菜ちゃんが自分のことを簡単に追い越していく姿がバカにしているように見えたのだろう
「私はただおねーちゃんのマネをしてるだけだった。でもそれだけでおねーちゃんより上手くなってしまうんだよ…おねーちゃんが頑張って掴んだものをアタシはその努力を盗んでるだけって気づいたんだ」
「それからは、おねーちゃんはあたしを見ると顔を怖くしてるんだ。後から聞いたけど学校では『頭のいい方』と『普通の方』って言われてたみたいで…」
「だから、ギターをやってることを知られたくない?」
「うん…」
だからあの時
「今度こそおねーちゃんに嫌われちゃう」
って言ったのか…それと同時に
(恐らく紗夜さんは焦っている。俺が先日共感覚の事が発覚した時も悔しそうにしてたから…そのうち俺に追い越されるのではないかって…)
(これに日菜ちゃんがギターを始めたと知ったら紗夜さんは多分”壊れる”…)
どうする?俺になにか出来ることはあるか?…
まずは紗夜さんより、日菜ちゃんの不安を取り除かないと…
「分かった。紗夜さんには俺の方からも少し言ってみるよ」
「…なにを?」
「決まってるだろ?」
「どうやったら日菜ちゃんと仲良くできますか?ってな」
「」ポカーン
この答えは日菜ちゃんにも予想外だったようで口を開けてポカーンとしている
「ふふっ…あははははは!!!」
「やっと笑顔になったな」
「ははは…え?」
「始める前から卑屈になるな、俺も協力するから頑張ろうぜ?」
氷川家に行ったときに思った
日菜ちゃんが心から笑えますように
って
「…うん!」
だったらやってやる!この2人の仲を取り戻すために!
「…それはそうとさ?今日はデートでしょ?」
「うん?」
「とりあえずどっか遊びに行かない?」
シリアスな雰囲気の長時間は厳しいものがあったので早く遊びたいという本音が出てしまった
「分かった!るんって来る場所に一緒に行こ!!」
「おう!!…だから るんってなに!?」
これで少しは日菜ちゃんの不安を取り除けたかな…?