魔法科高校の劣等生に憑依したバカ   作:飛べ飛べあおこ

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第二話

 

「深雪ちゃんのコーヒーはやっぱ美味いんっすよ~」

 

九重先生の弟子さんたちと、乱取りしながら、九重先生と会話する。

 

「あ……そうだろうねー……僕も飲んでみたいね~。それより右手だけで対処してるみたいだけど大丈夫?」

 

なぜか弟子さんたちがスローモーションに見える。

だから右手だけで乱取りしてみてる。

原作より強くなってんじゃねこれ。

 

今日は山の上にある九重先生のところに修行に来ていた。

修行ってかっこよくね?

一度やってみたかったんだよね~。

少年漫画の王道ってやつ?

だいたい修行してるもんね。

おれ、主人公になれたんだ……夢だけど。

 

「ぐはぁっ!」

 

お弟子さんたち皆倒しちゃった。

流れ的には次は九重先生との対決ってところなんだろうけど。

 

「次は僕、とだね。急に成長したみたいで驚いているよ。僕も危ういかな」

 

「押忍! よろしくっす!」

 

「なんかキャラ変わったね、達也君」

 

おれは九重先生に向かって行った。

しばらくバトルがおこなわれ……。

あれ?おれのほうが結構強くね?

原作ではどうだったっけ?

 

「くっ、やるねぇ、達也くん。もう僕の負けだ」

 

「押忍!! あざっす!! またご指導よろしくっす!」

 

「ははっ、もう僕が教えることはないよ」

 

「いや、もっと修行したいっす! おれ、もっと強くなりたいっす! 強くなって天下一武道会出たいっす!」

 

「天下一武道会……そんなのあったっけ?」

 

ないの!?

バトル漫画には大会みたいなのだいたいあるのに!?

もうちょっと融通利かせろよ、夢!

 

「お兄様、先生、朝食にしませんか?」

 

深雪ちゃんが手作りのお弁当箱を差し出してくれた。

 

「いただきやす!」

 

「お兄様、ほんとキャラ変わりましたね……」

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

「へ?親父たちからの入学祝いの連絡来てたの?」

 

通学途中の車の中で、深雪からその話があった。

おれには来てなかったな入学祝いの言葉。

そういや息子みたいに思われてないんだっけ達也って。

 

「それで、その……お兄様には……」

 

「来てないよ~。忘れてんじゃね? はっ! メールで来てたら、迷惑メールの中に埋もれてるかも……。やべえな……。怪しいサイト登録しまくったからな……」

 

「お兄様」

 

「おお、気にすんなって!大丈夫だ、入学祝いとかどうでもいいし。忘れよーぜ」

 

「……怪しいサイトってなんですの?」

 

「それも忘れよーぜ……」

 

 

 

――――――――

 

 

 

なんかレオって男友達ができた。

レオはエリカちゃんとよく喧嘩してるわ。

絶対今後仲良くなって付き合う流れだよねこの二人って……。

 

エリカちゃん、美月ちゃん、レオとおれの4人で飯を食うことになった。

なんか馬が合うんだよね~このグループ。

 

適当に食べながら話していると、深雪ちゃんがやってきた。

一科生の人たちを引き連れて。

 

「わたしも今から昼食なんです。ご一緒してもよろしいですか?」

 

「深雪ちゃん、いいよ~一緒に食べよう」

 

「ちょっと待ってよ司波さん!ウィードと相席だなんて」

 

「一科と二科のけじめはつけようよ」

 

まあ一科生の人たちはこんな反応だろうな。

イラっとくるわー。

でも我慢我慢。

 

ってできるわけねー!!!

 

「おーおーおー冴えない顔の奴らが粋がってるねぇ。深雪の美しさとは真逆だぁ……」

 

「な、なんだと?」

 

「こちとら深雪と同じ血が流れてる美少年だぞ! ちょっと自分で言うの恥ずかしいだろコノヤロー!! それにエリカちゃん、美月ちゃんという美少女がいるんだバカヤロー!!さらに!おれに負けず劣らずイケメンであるレオがいるんだぞ! お前らとどちらが深雪と釣り合うと思ってんだコノヤロー!」

 

ビー〇たけしのものまねで言ってやったぜ。

 

「コマ〇チ!!」

 

鉄板のギャグもついでにやってやった。

この時代の奴らは知らねーだろうがな。

 

「ちなみに豆知識でビー〇たけしは、このギャグやっちゃってコマ〇チに使用料払ったんだぞバカヤロー!」

 

「な、なんの話してるんだこいつは……」

 

一科生の人たちだけでなく、レオたちも引いてる……。

や、やりすぎたか。

少し残った食事を胃の中に詰め込んで、空になった食器をもっておれは立った。

 

「いこう、レオ、エリカちゃん、美月ちゃん。なんか恥ずかしくなっちゃった。察してくれ」

 

「お、おう……」

 

レオたちも食器をもって移動してくれた。

 

食堂が静まっていた。

ビー〇たけしじゃやっぱり恥ずかしい……。

次はタ〇リかさ〇まで攻めるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

今日おれはレオたちとずっと一緒に行動していた。

達也、おまえ外見と言動全然合ってねぇよ、とずっと笑いながらイジられていた。

楽しいひと時だった。

そして下校時間となり、校門前で……

 

「わたしはお兄様と帰る予定なんです」

 

深雪ちゃんに引っ付いてくる一科生達が、またあーだこーだ言ってる。

雑草がどうのこうの、おれと深雪ちゃんを一緒に帰らさないつもりだ。

もうめんどくさいから、おれは先に帰るよ、と言おうとしたところ……

 

「いい加減にしてください!深雪さんはお兄さんと帰るって言ってるんです!」

 

美月ちゃんが大声をあげた。

oh やるねぇ。

 

「なんの権利があって二人の仲を引き裂こうっていうんですか!」

 

「み、美月ったら……」

 

なぜ赤くなる深雪ちゃん。

 

揉め事になる前に早めに帰ろう。

なんか嫌な予感する。

 

「では、醤油(そういう)こと!」

 

深雪の手を握って速足で校門目がける。

 

「僕たちブルームに口出しするな!」

 

「同じ新入生なのに、今の時点でどれだけ優れてるっていうんですか!?」

 

まずいな、これは。

 

「知りたければ教えてやるさ!」

 

「おもしれぇ、だったら教えてもらおうじゃねえか!」

 

レオは挑発した。

 

その直後、相手の一科生が動いた。

 

「これが、才能の差だ!」

 

攻撃重視の特化型CAD、しかも魔法構築が速いな。

さすが一科生といったところか。

しかし……

 

キンッ!

 

高い金属音が鳴った。

 

エリカちゃんが一科生のCADを弾いた音だ。

やるねー。

 

ってなんか後ろの一科生の女生徒がサイオン光、光らせてんですけど。

なぜ?

この距離、だれも止められない。

 

パン!と音が鳴った。

女生徒がよろめく。

 

「止めなさい!!自衛目的以外の魔法による対人攻撃は、校則違反以前に犯罪行為ですよ!!」

 

お、この声は。

 

「七草先輩」

 

あの女生徒の起動式を破壊したのはこの人か。

 

そして横に並ぶのは、えーっと。風紀委員長の渡辺摩利さんだ。

 

「事情を聞きます! 起動式は展開済みです。抵抗すれば即座に魔法を発動します」

 

おーかっこいいっすね。

一科生の生徒は皆黙り込んだ。

 

あ! そういえば原作ではここで達也は一科生庇うんだった!

今頃思い出したよ。

ただ庇うんじゃカッコつけてると思われるからと思って準備したものがあった。

えーっと昨日必死に怪しいサイトで集めた過去のBGMっと。

ここで出番が来るとは。

ぽちっとな。

 

『ざーんこくーな天使のように、少年よ神話になー……』

 

「っと違う違う!このBGMじゃないって!」

 

周りの空気が変になっちまった。

 

これこれ、このフォルダに入った……

 

『ENJOY! 音楽はなり続ける! IT’S JOIN 届けたい 胸の鼓動! ココロオドル アンコール わかす DANCE DANCE DA……』

 

「っちがーーーーーーう! なんでおれはこの音楽入れてんだ!?」

 

こんどこそ

 

『テレテレテレーテッテテー……真実はいつも一つ!』

 

『テレレーレー』

 

これこれ。

 

「おれは高校生魔法師、司波達也。兄弟で同級生の司波深雪と遊園地へ遊びに行って、黒づくめの男の怪しげな取引現場を目撃した。取引を見るのに夢中になっていたおれは、背後から近づいてくるもう一人の仲間に気づかなかった」

 

「お、お兄様? なにを言って……そんなことが……?」

 

「おれはその男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら……」

 

「「さ、覚めたら……?」」

 

「覚めたら……覚めたら……んんんんん! 耳がでっかくなっちゃった!(マギー〇司風に)」

 

完全に決まった……深雪の魔法より凍えるようなギャグが……。

この後でカッコつけることによる恥ずかしさが相殺されるのだ!

たぶん。

 

「ごほんっ!」

 

おれは風紀委員長の前に出る。

あのギャグの後だ、いくらでもカッコつけられる。

 

「な、なんだ君は……?」

 

「すみません、悪ふざけが過ぎました」

 

おれは原作の達也のように淡々と言う。

 

「確かにふざけすぎだ」

 

風紀委員長は涼しげな顔を保ちながら答えた。

 

「森崎一門の《早撃ち》は有名ですから」

 

「何故僕を――!?」」

 

ふふん、森崎驚いているようだな。

被害者に、それも二科生に庇ってもらってるんだからな。

 

「後学のために見せてもらうだけだったのですが、あまりのスピードについ手が出てしまいました」

 

「お兄様のあのギャグは何だったのかしら……」

 

深雪ちゃん、修行が足らないね。

おれの考えも見抜けないとは。

 

「1-Aの女子も、ただの閃光魔法でしたし、威力もかなり抑えられていました」

 

「ほう、どうやら君は起動式が読み取れるようだな、そんなこと不可能だ! 普通じゃない!」

 

「実技は苦手ですが……いや、克服したんだっけ。ともかく分析は得意です」

 

「なるほど、ごまかすのも得意と見える」

 

風紀委員長の冷たい目は先ほどから変わらない。

けど実はこの人いい人だからなぁ。

 

「摩利、もういいじゃない!」

 

七草先輩が間に、うさぎのような可愛さで入り込んできた。

 

「達也くん、本当にただの見学だったのよね」

 

「ハイッ!」

 

今日一番の返事が出た。

返事はきちんとしなさいという親の躾がでたな。

 

「会長がこう仰られていることでもあるし、今回は不問にします」

 

生徒会長と風紀委員長は踵を返して、優雅に去ってゆく。

 

「以後、気を付けるように」

 

と言って。

 

数歩歩いて風紀委員長が振り返る

 

「そうだ、君。名前は?」

 

「1-E 司波達也です」

 

「覚えておこう」

 

二人は校舎の中へ消えていった。

 

 

 

しばらくして、

 

「借りだなんて思ってないからな」

 

「あーはいはい」

 

「僕は森崎駿、お前が見抜いた通り森崎家に連なる者だ!」

 

なんだこいつは。

 

「司波さんは花冠、雑草の中ではいずれ枯れてしまう。彼女は僕らといるべきなんだ! ついでに司波達也、お前といると寒さでさらに枯れてしまう」

 

殴っていいか?マジでこいつ。

 

「みんな、行こう」

 

一科生の仲間がぞろぞろと退散してゆく。

二人を除いて。

その二人の中の一人は、さっき七草先輩が起動式を破壊した……。

 

「み、光井ほのかです! さっきはすみませんでした!!」

 

ものすごい勢いで頭を下げられた。

 

「北山雫です。ほのかを庇ってくれてありがとうございました。大事に至らなかったのは変なお兄さんのおかげです」

 

二人目の子から感謝を述べられた。

悪い二人じゃなさそうだ。

 

って原作で覚えてるぞこの子たち、ほのかちゃんと雫ちゃんか!

ほのかちゃんって達也のこと好きだったようなぁ……。

ムフフッ。

あ、いかんいかん。嬉しさを顔に出したら駄目だ!おれ。

 

「同じ一年だ、お兄さんはやめてくれ、そして『変な』もつけないでくれ。達也でいいから」

 

「わかりました」

 

「……」

 

少し沈黙が流れる。

ふむ、どうせならおれから言ってみるか。

ちょっと原作と違うけど。

 

「一緒に帰らないかい?」

 

ほのかちゃんの顔がパッと明るくなる。

 

「はいっ!」

 

おれ達は、出会って間もないのにまるで何年もつるんできた仲のように、楽しく帰路をたどった。

 

 

 

 

この日から、司波達也の名前は一気に広がることとなった。

「とてもクールで寒い男」という二つ名と同時に。

下校時にあんなに人がいる前で、騒ぎ起こすと目立つわなそりゃ。

 

そして後日。

おれはなぜか生徒会室へ呼ばれることとなった。

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