PSO2かと思ったら   作:炙り屋

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第1話

 「ナベリウスに着いたぞ」

 

 転生した。

 妄想していたのであまり良く覚えてはいないが転生した。あいつがすまんとか運がいいとか言っていたような気がする。

 どうやらPSO2の世界に転生できるようなのでPSO2の自キャラに転生した。色々サービスもしてくれたようだ。

 最後に挨拶を交わし意識が途切れた。あいつはわらっていたような……。

 

 そしてナベリウスに着いたのだが、案外イメージと違っていた。一面が草原で遠くに小さく森が見えるがその先に凍土は無く只々空が広がっている。それに土地が細い螺旋状の柱に支えられて立っており、その上に建物が建っている。その建物も遺跡にあるような半壊したものではなくちゃんとしたものだ。

 原生生物も見たこと無い種類が多い。とりあえず原生生物にアサルトライフルを撃ちヘッドショットなどがあるのを確認したが、HPゲージが見えるのには驚いた。これがフォトンの力か。それにHPゲージが0になるとガラスが割れたように散ってしまう。多分ダーカーの影響なのだろう。ゲームでもそんな演出だった気がする。

 武器を冷凍マグロにして猪型の原生生物と遊んでいると他のアークスに出会った。服装は見たことがなく近未来的ではない。ゲームでもいずれ実装されるのだろうか。耳が尖ってないことからニューマンでないことはわかるし、関節部分をみても機械ではないのでキャストでもないだろう。たぶん角も生えていないし、オッドアイでもないのでデューマンでもないと思う。

 武器もフォトンの刃ではなく珍しい金属製のパルチザンだ。パルチザンを使っているということは職業ハンターだろう。その武器珍しいなとかフレンドなりませんかとか言われたがあまり上手に答えられなかった。だがキャストは淡白な人が多いので多分大丈夫だろう。フレンドはやんわり断ったがネトゲみたいな機能があるのだろうか。検証する必要がある。今度はちゃんと会話できるだろうか。

 それから複数のアークスに出会ったが全員の種族がヒューマンで職業がハンターかブレイバーなのは驚いた。服装も似たり寄ったりできっと現在のアークスの支給品なのだろう。装備も盾とパルチザンを合わせた全く新しい戦い方をしているハンターもいたし、ブレイバーなのに弓を使わないのはどういう事なのか。少数の遠距離攻撃をするアークスは投石をしていた。素直に銃やテクニックを使えばいいと思う。適正がないのだろうか。

 会話も多分うまく出来たはずだ。目を合わせられないのは申し訳なかったが恥ずかしいのだ。それとやはり冷凍マグロについて聞いてくる人が多かった。ゲームでは一応レア武器だったから希少なのか。ゲームでは1050で投げ売られていたのだが。一応ラッピーが落とすと情報もあげたので大丈夫だろう。

 

 黄昏時、川の近くの脇道にいた狼型の原生生物と戦闘をしている。辺りに他のアークスがいないのを確認しランチャーを取り出した。あるごっこ遊びをしたかったのだ。

 砲門を狼に向けトリガーを引く。すると中から弾が出るのではなく炎が出る。あるセリフを言おうとしたが転げまわって火を消している狼を見ると出なくなる。世紀末なあの人達はこれを人間にやっていたのかと思うと中々怖いものがあるな。

 今度はまじめにランチャーでゴルフスイングをしていると鐘が鳴った。

 はじめはオペレーターからの通信かと思いゲームのムービーであったように耳のあたりを触って見るが反応がない。どうやら違うようで、右往左往していると身体を光が包み始める。どうやら転移が始まったらしい。

 自分の身体の周りから光が消え、転移が終えたのを確認する。アークス本部の転移はテレパイプとは違うのだなと納得し辺りを見回すと、大勢の人間がいた。少なくとも5000人以上いるだろう。だがヒューマンばかりでニューマンやキャスト、デューマンの姿がない。マグすら持っていないことからどうやら新参のアークス達なのだろうか。それともアークスの試験会場なのか。

 そこはオラクルシップ内には珍しい石畳の広場で真ん中に時計塔、四方を円状の宮殿に囲まれている。宮殿の外にもビル街が確認できないのでどうやらここは市街地周辺ではないようだ。どこか新しい惑星か。

 ヒューマンだけの集まりに間違えて呼ばれたのかなどと思い近くのヒューマンに話しかけようかどうか考える。だがこんなヒューマンばかりの所でキャストがいきなり話しかけてきたらどう思うだろうか。それに皆ある程度のグループを作っており話しかけにくい。すこし悩みどうするか決めかねふと見上げると空に紅い点があった。

 

 

 瞬間――空が紅くなる。

 

 咄嗟にダーカーの襲撃かと思いこの場所から出ようとするが見えない壁に阻まれて進めない。それにオペレーターたちのアナウンスや一般市民の避難勧告が出ないことからダーカーの襲撃とはちがうのか。やはりこれは試験なのか。

 仕方ないので振り返りまた空を見上げると、そこに赤のナイトローブを着た巨大な人物がいた。顔が暗くて見えないのだが闇のテクニックでも使っているのだろう。それともこれは立体映像なのか。それにこの赤ローブにどこか既視感を感じる。どこかのゲームの魔術師に出てきたのだろうか。

 

 『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

 

 と、その赤ローブは話し始めた。

 話の内容に茅場晶彦とか、ログアウトの単語が聞こえてくる。その言葉に他のプレイヤー達は一喜一憂しているがそれどころではない。逆に自分はその一言一言に絶望していく。この世界はPSO2の世界ではなかったのか。あいつは多分そう言っていたはずなのに。

 しかしこれから先の事も重要だが、このすぐ後起きる『手鏡』のイベントも重要だ。男性が女性になったり、女性が男性になったり、自キャラのコスプレを強制的にさせてしまう脅威のイベントだ。

 この女性キャストの格好まま元の姿に戻ってしまうと情けない姿を晒してしまう。しかし今更下を見て自分の身体を確認すると胸やへそ、太ももやらが見えていて案外恥ずかしい。よくこんな格好で遊んでいたと思う。更に関節部分の機械が丸出しなとこなどこの世界にはおかしい格好もしている。

 格好といえば武器の件もあった。なぜこの世界はヒューマンハンターが多いのかよくわかった。この世界の武器は主に剣類だからである。剣系の武器種はハンターが多いので間違えたのは仕方がないだろう。

 しかしこのキャラクターは遠距離銃職であるレンジャーに就いているので剣装備は得意ではない。かといってこの剣の世界で銃をぶっ放すのは違和感満載、最悪BANされたり茅場に消されたりするかもしれない。銃はとりあえず封印か。最初に使ってたのは大丈夫だろうか。プレイヤーの間で噂になっても困る。

 一応サブ職が近距離職のハンターなのでできないことはないが、まともに戦える武器が冷凍マグロしかない。さすがにこの世界をマグロ1本で進むことはできないだろう。デスゲーム開幕前にあれだけマグロについて質問されたのだからこれからはもっと大変だろう。他のプレイヤーからマグロと呼ばれるようになるのか……。ある意味いいかもしれない。しかし誰ともシテないのにマグロか……、うーん。

 ガンスラッシュという剣と銃が一体化した武器もあるが、こちらはフォトンアーツという技が複数あるのだが発動すればどれも銃部分を使用してしまうのでアウト。通常攻撃のみだと大丈夫だと思うがスキル一切使わないというのも目立ってしまだろう。それにあの武器は盾がないのだ。原作でもあったように盾持たずの片手剣は浮いてしまうだろう。

 ネタで一応持っているワイヤードランスも却下だ。鎖鎌という武器ジャンルが

あるなら言い訳もできる。だがあれも2刀流なのだが片手剣の2刀流であれだけ騒がれるのだ、むやみやたらと見せられない。一部は体術スキルっぽいから検討していこう。

 そうこう考えているいるうちに周りの人達が手鏡を取り出し青白く光はじめた。

 辺りの変化を見ながら次は自分と思いぞっとする。転生前の自分の姿はあまりすきではないのだ。一度も恋人など出来なかったし。そうしていると自分も光はじめた。

 光ってる最中にこの世界でも違和感のない生肉服に着替える。多分和服系統なら大丈夫であろう。元の自分でも多少は似合うはず。アイテムポーチに普段から入れておいて助かった。

 着替え終わった頃調度良く光も収まった。残念な自分とご対面と手鏡を取り出して見てみる。そこには空色の長い髪後ろで束ねアホ毛が出ておりハイライトのない赤目で肌が病的に白い顔があった。自分が作ったキャス娘の顔でほっとしたものの機械の耳がまだ出ているので少し不安だ。それにこの服では首の関節の部分が見えてしまっている。手足などの全関節みえない服は手持ちにあっただろうか。

 

 辺りをキョロキョロと見回しながら見えない壁を背もたれにする。他のプレイヤー達も色々もめているようだ。体感だが男女比も変わっている気がする。そうして溜息をついていると転けてしまう。見えない壁が消え今からゲームが始まったのだ。

 立ち上がり広場を抜けるため駆けながら考える。普通の状態であるなら主人公たちを探して寄生し楽に過ごしたいが目立つことは今はあまりしたくはない。それにコミュ障なのだ。正直人とあまり話したくはない。

 キリトと行動すれば楽だろうがこの体は機械といえど女性だ。恋愛原子核を持つような存在に近づけばどうなるかわからない。2刀流同士はひかれ合うというのも面白いかと思ったが保留。やはり目立つことは避けるべき。

 アスナさんはツンツン期がちょっと怖い。親しくなればいい人なのはわかるのだが……。しかしいずれは血盟騎士団の副団長を務める程の腕。そしてキリトの嫁でもある。有名人だ、あまり関係を作らない方がいいかも。

 シリカは多分大丈夫だとは思うが、一緒にいてモンスターの撃破数などの違いが出るとビーストテイマーになれない可能性も出てくる。ピナがいるかいないかでシリカの心境も大きく変わってくるだろう。キリトとのイベント折ったらどうなるかわからない。

 リズベットはどうだろう。真面目で気の利く素晴らしい人物だと思う。だがアスナさんと会えなくなったらどうしよう。アスナさんとキリトの武器を作成したのは彼女だったはずだ。合わないほうが多分得策。

 サチ達はやっぱり助けてあげたいと思うけど、クリスマスの件どうしよう。でもあのイベントでドロップした蘇生アイテム使っている描写はなっかたはずだ。もしかしたらクラインが使ってるかもしれないが……。うーん、保留。

 広場を抜け町中を小走りで駆けながら思考していたがやはり決まらない。

 第一になぜこの世界に来てしまったのだろう。あいつが言っていたのはPSO2の世界ではなかったのか。この世界とわかっていたらもっとマシなキャラにしていたはずだ。MHとかGEとか。いや、ライトボウガンとトリガーハッピーでは大して変わらない。だが最低でもメインの武器が剣系のキャラがあったはずだ。

 しかしレベルを200にしてくれたのは助かる。PSO2本編でも200まで解禁されるのはいつ頃だろう。これで死に難くなるのは非常にありがたい。そしてアイテムや武器、お金もそのまま持ってこれたのもいい。しかし表記がメセタのままだが使えるのだろうか。これも試してみよう。

 町中を移動中に思う。全力疾走しようとしたら足からブーストが出るのが辛い。キャラクリの時になぜ走るにしなかったのか。なぜキャストを選んだのか。仕方がないあの時に一目惚れしてしまったのだ。しかしおかげで小走りを余儀なくされる。不便で仕方がない。それに今は良くても戦闘中は咄嗟にブーストが出てしまうこともあるだろう。ユニークスキルと言って逃れようか。

 まだこの体のわかっていない仕様が多々あると思うのでやはりはじめの1ヶ月間はソロの方がいいだろう。ブーストも抑えて走りたいしアイテムも整理しておきたい。それに慣れないうちにパーティ組んでボロを出すのは勘弁したい。その前にパーティを組む仲間が出来るのだろうか。出来てほしい。

 とりあえずこの1ヶ月は修行をしよう。第1層を攻略出来るのはまだ先の話だ。死んでしまう2千人には申し訳ないが本編通りに逝ってもらおうしかない。こっちはこの世界が現実なのだから本当に死んでしまう。いやプレイヤーの人たちもあっちで死んでしまうか。

 そして町を出て次の村に行こうと思い街道を歩く。そして気付いてしまった。

 

 このゲーム〈ソードアート・オンライン〉をクリアしてしまったら、私は死ぬのではないかと。

 




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