私立グリモワール魔法学園〜狩人は夜明けを求めて〜   作:リューラ

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長いんで前後編に分けます。後編は書き上げ次第投稿するのでお待ち下さい。
UAが3000超えてました。うれしいです。


第7次侵攻 (前編)

クエストから戻ったあと他の生徒会メンバーの計らいで半日ほど寝ていた虎千代は起きてからの侵攻の状況を聞くと血相を変えてある人物を探していた。

 

「兎ノ助、兎ノ助! ここにいたか! 」

 

「ああ、いるぜ。わかってるよ、第7次侵攻だろ? 」

 

「伝わっていたか…未明に全世界で大規模な魔物の発生が確認された。

一番近いのは小鯛山だ。風飛を目指して南下してきている。 」

 

「小鯛山から南下か。風飛を通って東京に向かってるのか? 」

 

「ヤツらに東京を目指しているという自覚があるかはわからんが、そうだ。

国軍が風飛の北西に展開するのが1時間後。いちおう、魔物の到来には間に合う。 」

 

魔物には知性がない、だから何を目指しているかは誰も分からない。しかし魔物の群れの侵攻方向には確かに日本の首都たる東京が控えていた。

そしてその道中にはグリモア学園の近くの街、風飛も含まれている。

 

「学園への要請は?」

 

「全員出動だ。 」

 

そして今回の侵攻では学園生には本来出動はかからない予定だった。国軍は以前の侵攻よりも力を増し第6次侵攻程度の魔物の発生量ならば確実に勝てると踏んでいた。だからこそ虎千代ももし要請が来ても東雲アイラや朱鷺坂チトセ、生天目つかさに自分という魔法使いとしてもトップレベルにある自分たちくらいだと思っていた。確かに最悪の…今回のケースに備え第7次侵攻のための準備は行ったが杞憂に終わるものだとばかり思っていた。

 

「は!? 全員ってお前、今回は出動すらない可能性があったんじゃないのか? 」

 

そしてそれは執行部である兎ノ助にとっても驚くべきことである。

 

「事前の予想以上に魔物の数が多い。

厳戒態勢で小鯛山からの避難は迅速だが、それでも被害が出ている。 」

 

「うーむ、学園からそんなに離れてないことが救いか。 」

 

「進路上に風飛があるのは不幸中の幸いだ。他の街なら被害はもっと拡大する。 」

 

風飛は土地柄的にも侵攻前は特に魔物が発生しやすいため魔物の対処に慣れている。魔法学園が近くにあり、交流も盛んなため魔法使いに理解があるのも自分達の行動にプラスになる。

 

「風飛は歴史的に魔物の対応に慣れている地域だからな。

生徒たちも学園のバックアップの元戦えるし…だが、量が多い?

なんか嫌な予感がするな…俺はいつも通りでいいのか? 」

 

「ああ、お前は3回の大規模侵攻を経験している。

学園生は不安がっているだろう。勇気づけてやってくれ。 」

 

「俺、多分第3次の時に死んでるから、それ含めると4回だな。 」

 

「それは言うなよ。 」

 

兎ノ助は記録上第3次侵攻の際に死んでいる。今はどういう理屈か機械の身体で生き延びている。そのため侵攻の経験数は誰よりも多い。

 

「わーってるって。魔法が使えない今、俺にできるのはそれくらいだ。

いざとなったらこの身を盾にして、魔物の攻撃を受け止めてやらぁ。 」

 

「ああ、頼んだ…アタシはすぐに学園生に通達する。

アタシたちができるのは風飛の防衛だ。全世界を守ることはできない…

だがだからこそ、必ず風飛を守り通す。」

 

「お前、自分が強いからって油断するんじゃねぇぞ。体調もまだ悪いだろ? 」

 

「アタシは武田虎千代だぞ。学園を代表する、生徒会長だ。

学園生は全員守る。見ていろ。 」

 

 

 

生徒会長としての侵攻における最初の責任を果たすべく報道部に手伝ってもらい校内へと放送を開始する。

 

「生徒諸君! 生徒会会長の武田虎千代だ。

今朝のニュースで知った生徒もいるだろうが、ここから北西の小鯛山で…

大規模な魔物の発生が確認された。時刻は午前2時。規模は通常の42倍。

大規模侵攻の発生だ。国連軍はこれを第7次侵攻と命名した。

そして、政府の要請でこの学園からも生徒が出動することになった。

国軍は日本各地、国連軍、IMFはすでに世界各地に展開し戦っている。

42倍だ。これは過去の侵攻に比べても多い。過去最大の規模と言える。

だが、我々人類の戦力も9年前とは比較にならない!

私立グリモワール魔法学園もまた、9年前とは比較にならない!

虎千代が宣言する! この防衛戦では誰も死なせない!

そして風飛の街は、一歩たりとも魔物に侵させない!

ここで魔物を退け、北海道奪還の…人類反撃の嚆矢とするぞ!

各自、割り振りに従い10人規模のパーティを作り出発!

風飛市の北に陣取り防衛戦を敷く!

これほどの規模の作戦は各人初めてだろうが、怖じることはない。

指示に従い、持てる力をじゅうぶんに発揮すればなにも心配はない!

なにかあればアタシを呼べ。すぐに駆けつける! 」

 

 

 

クエストから帰って来たばかりだが運の悪い…

しかしまぁ、俺よりも会長の方が疲れているはずだ。そんな彼女が頑張っているのに俺が頑張らない道理もない。

俺の今回の侵攻での役目はいつもと変わらず魔力の供給だ。いつもと違うことといえば戦場が広大な範囲であることといつもは大体ツーマンセルだが今回は精鋭部隊の隊長であるエレンと守谷の率いる1部隊が護衛であるということだ。といっても部隊活動がメインであるためエレンと守谷…月詠は俺たちと別行動をとる場合もあるためいつも通りツーマンセルも居るんだが…

目の前の少女。黒いおかっぱの髪型で一部だけ脱色したように緑色の戦闘服がアメリカンヒーローのような彼女がそれなんだが…

 

「よろしくお願いします、円野真理佳です! 先日転校してきました!

噂の転校生さんについて行動するようにとのことなので、一緒に行きましょう!

センパイの体質のことは知ってます。魔物は僕に任せてください! 」

 

「渡 明斗だ。よろしく」

 

「アンタ、エラい元気ね…最初っからそんなだとバテるわよ? 」

 

月詠は真理佳に警告であろう言葉を投げ掛ける。

 

「魔法使いに覚醒したときのために、毎日トレーニングしていました!

体力には自信あるので、心配はいりません! 」

 

「ふうん…ん? 転校してきたの、この前? クエストには出たことある? 」

 

「今回が初めてです! 」

 

マジかよ。俺、自分でちゃんと自衛しないとな。

俺は右手にノコギリ鉈、左腰には連装銃のホルスターと落葉を提げ、後ろ腰には散弾銃。もちろんマントやコートの内側には投げナイフを多数仕込んであるという機動力を損なわない程度の重装備だ。右腰のポーチには携帯食料や飲料、そして侵攻に際し時間のない中急遽製作した武器に自然魔法を纏わせるエンチャントアイテムである発火ヤスリと雷光ヤスリをそれぞれ3個ほど入れてある。

 

 

「…………ああ、明斗、アンタたちはいろんなパーティの助っ人だって。

魔物が多い所に行って、魔力を渡したり状況を目で把握したり…

魔物と正面からぶつかることは少ないけど、注意しなさいよ。 」

 

真理佳の即答に絶句していた月詠だが思い出したように俺に今回の役割を説明してくる。と言っても俺は自分の役割を自覚しているしどちらかといえば真理佳に対しての説明だろう。

 

「ふむふむ…注意しなきゃ、と。」

 

「アンタと護衛の生徒! そしてパーティの司令官はアンタなんだからね。

矛盾してるようだけど、護衛の生徒がケガしたらアンタのミスだと思いなさい! 」

 

「司令官はセンパイ…メモメモ… 」

 

「な、なんかやりにくいわね…とにかく!

わかったわね!? あと、直接の戦闘は控えること、アンタは貴重な戦力なの!

大ケガなんかしたら承知しないんだから! そこんとこ覚悟しなさいよ! 」

 

「分かってる。俺がちゃんと魔力供給していけば全体的な怪我人は減る。無用な犠牲者も出ないしな。自衛以外の戦闘は控える。」

 

 

 

侵攻に対する前線指揮所にて虎千代は副会長の薫子と状況を見ていた。

 

「会長。国軍と魔物との戦闘が始まりました。まだ時間はあります。

まだ疲れが残っているでしょうし、今のうちに休まれては… 」

 

「半日寝たんだ。これ以上は甘えられん。

ほとんどの生徒は初めての実戦だ。怖くないはずがない。

そういったとき、アタシの姿を見て安心してくれるだけでも違うからな。 」

 

「そうは言っても、せめてもう少し下がってもよろしいのでは。 」

 

虎千代はタイコンデロガ級とその配下の魔物を倒してきたばかりなのだ。いくら渡 明斗の魔力譲渡があったとはいえ半日程度で回復するはずもない。副会長としてはせめて丸一日は最低限休んでほしいという思惑もあった。

 

「薫子。アタシは生徒会長だ。その役目を全うするだけの体力はある。

心配してくれるのは嬉しいが、それ以上はアタシを不機嫌にするぞ。 」

 

「……はい、申し訳ありません。控えます。 」

 

「さぁ…国軍は上位の魔物は何としてでも食い止めると言っていた。

少なくとも最初はみんなに任せて大丈夫だろう。東雲やつかさもいるしな。 」

 

「グリモアの戦力はここ数年でもっとも高いでしょう。

まるでこの侵攻に備え、誰かが集めたかのようですね。 」

 

グリモア学園は他の国の魔法学校と比べても異様なほど優秀な魔法使いが集まっている。虎千代やつかさ、アイラやチトセといったトップレベルだけでない。例えば精鋭部隊。エレンやメアリーといった元軍人による育成によって国軍の作戦行動にも合わせられるような精強な部隊となっている。例えば風紀委員。精鋭部隊の中では連携に難があるとは言え単純な魔法の腕だけで言えば上位に入る来栖 焔。それと互角の勝負をできる冬樹イヴや神凪神社の魔法剣術を修得している神凪 怜など戦闘面でも優秀な生徒が揃っておりさらにそれらを率いる水無月 風子は虎千代が卒業したあとのグリモアを引っ張っていけるだけのカリスマと戦闘力を持っている。

他にも教会から送られているシャルロット・ディオールや天文部にいる立華 卯衣など強力な力を持つ生徒が多い。

そして渡 明斗。底知れぬ魔力量、そしてその魔力を他人に譲渡できる能力。技術的には発展途上だが変形する特殊な武器と古式銃を用いた戦闘スタイルは魔物と戦い始めた期間も含めて異様なペースでの成長といえる。特にあの古式銃は異常だ。最新の対魔物用の銃火器ですら魔物を倒すには十数発必要だというのにそれを当たりどころ次第で1発で消滅に追い込んでいる。対抗戦ではエレンにしごかれたからか戦術レベルの指揮もできる。今年一番のダークホースだ。

 

「ああ、在籍生徒としてはベストだろう。特に今年来たのが大きい。

来年はアタシもつかさも、遊佐も雪白もいないからな。 」

 

「…………そうですね。 」

 

 

 

 

国軍と魔物が激突してからいくらか経った後、国軍の部隊は弱い魔物だけ敢えて突破させていった。そしてそういう弱い魔物はその後ろに控えていた新米の国軍部隊や学園側の派出した精鋭部隊などが駆逐していた。これには前衛部隊が体力を温存するという長期の活動を見越した作戦である。

いくら実戦形式で鍛えられた精鋭部隊であろうとも本当の実戦は過半以上が初めてであるため俺のところにもある程度が漏れるのは仕方のないことだ。そのための直衛なのだが…真理佳は目の前の魔物に集中し過ぎてたまに突出するため必然的に俺自身が自衛をする機会も多い。真理佳は魔法使いに覚醒して日も浅いため使用する魔法も消費の激しいものが大半である。そして目の前に現れた魔物は絶対に逃がさんとばかりに追いかけ回る。周りに味方がいるのだから任せてもいいだろうに…

戦闘が始まって数時間しようやく周りの魔物を一掃した。

 

「ハァ、ハァ…つ、疲れた… 」

 

呼吸を乱しながら真理佳が呟く。

 

「どうした、まだ緒戦が終わっただけだぞ…ああ、新入生だったな。

充分に訓練を積むまでは実戦で無理をするな。お前の仕事は渡を守ること。

渡に魔物を近づけなければいい。倒す必要はない。 」

 

エレンが真理佳を見ながらアドバイスをしていく、が

 

「ハァ…ハァ…で、でも魔物は全部倒さなきゃ…

コズミックシューターは、対峙した魔物を逃がしたことがないんです…! 」

 

「覚醒したばかりの自分とヒーローを比べるな。馬鹿のすることだ。 」

 

コズミックシューターとはアメリカの魔法使い集団のヒーローに属している現在の魔法使いで最強の存在である。

しかし、さすがに魔法使い最強でもいきなりの戦闘が侵攻でここまでの無理はせんと思うが…

 

「なっ…ぼ、僕はヒーローを目指してるんです!

1日も早くヒーローになるためには、多少の無理なんか苦じゃありません! 」

 

それにしてもこやつまさか…

 

「今は作戦行動中だ。渡、お前が言っておけ。

この戦いが終わったら、私がマンツーマンでしごいてやろう。 」

 

合掌

 

「…でも、覚醒したばかりの僕だって、魔物を倒せてるんだ…!

そうですよね、センパイ!? 」

 

「お、おう。魔物は倒せてるな…うん」

 

俺の護衛は出来てないけどな。なんなら真理佳が気づいたなかった魔物何体かこっちで倒したし。

 

「アンタ、明斗を困らせるような話の振り方しないの。 」

 

「も、守谷センパイ……」

 

俺たちの会話を聞いていてもたってもいられなくなったのか月詠が来た。率直に言って助かる。

 

「エレンはああ言ったけどね、ツクは言ってやるわよ。

アンタ、今日だけで終わりだなんて思ってないわよね? 」

 

「え…………?」

 

月詠の発した言葉に理解できないとばかりに真理佳が呆ける。

やっぱり分かってなかったか。

 

「魔物の攻撃は明日も、明後日も…一週間くらい続くかもしれないの。

いつ終わるかわからないのに、初日からそんなヘバッててもつと思う? 」

 

「あ……う…… 」

 

月詠の口撃に真理佳は何も言えなくなっていた。

 

「明斗! こーゆーのはアンタが言ってあげないとダメじゃない!」

 

そして俺にも飛び火した

 

「うん…いや、すまん」

 

「ま、ツクの方が優秀だから? しょうがないけどね。

ま、さっきの戦いでこの辺の魔物は一掃できたし、しばらく休憩ね。

アンタ達も今のうちに休んでおきなさい。特に明斗。アンタよ、アンタ。

武田虎千代と一緒に2日も冷えた洞窟にいたんだから、風邪ひくわよ? 」

 

「心配してくれるのか。ありがとう」

 

そう返しながら頭を撫でてやる。

態度が無駄に大きいだけで基本的に良い娘なんだよな月詠。ほんとその態度の大きさが少しは胸か身長に回るべきだと思うときが多々あるけど。ま、これはこれでからかい甲斐があるというものだ。

 

「馬鹿にすんな!」

 

速攻で叩き落とされた。

 

「うわぁ…センパイの心配までできるなんて、凄いなぁ… 」

 

真理佳はそんなことを呟いている。

 

「しっ、心配!? 」

 

ギョッとするよな顔で真理佳の方に振り向く月詠。

 

「やっぱり戦い慣れてる人って凄いんですね! よーし、こうしちゃいられない!

僕も頑張って、一人前のヒーローにならないと! 」

 

「ちょっと待ちなさいよ! し、心配なんてしてないわよ、心配なんて! 」

 

「弱ってるセンパイの心配をしてない…これが心の通じ合った信頼ですね! 」

 

さぁ。面白くなって参りました。真理佳さんの天然煽りが月詠に殺到する!

 

「信頼!? ち、ちがっ…! 」

 

月詠さんは狼狽えておりますね~

 

「僕だって負けませんよ! 仲間たちとの信頼関係を築いて見せます! 」

 

「違うってば! ツクはこいつのことなんてなんとも… 」

 

「みんなにも教えてあげないと…! 」

 

とうとうただの公開処刑となっております。でも面白くなりそうだから止めない。

 

「な、なに言い出すのよ! 明斗、アンタ、早く止めてよ!」

 

「だが断る」

 

真理佳、とまるんじゃねーぞ…

 

「うーっ! 最近の転校生、変わり者が多すぎよ… 」

 

侵攻終わったら風紀委員に捕まるのも覚悟しとこう…

 

 

 

 

 

「…フン、所詮は国軍に見逃された雑魚か。他愛もない… 」

 

生天目つかさは割り振られた地域の魔物を一人で一掃した。しかし、国軍に見逃された程度の魔物では彼女の闘争の飢えを満たせるはずもない。最前線の方に足を向けた途端後ろから声がかかる。

 

「あーっ! ダメッスよ生天目先輩! 最前線に行ったりしちゃダメッス! 」

 

手も頭も全力で振り必死につかさを止めようとする服部梓であるが

 

「まだなにも言っていない。間違ってはないがな。」

 

「絶対にそうなるからって、自分が先輩の静止役なんッスよ!

そんなのできるわけないし怖いし、でも自分の評価下がったらマズイんッス!

ここは自分に免じて! どうかどうか、ここで魔物を迎えうってください! 」

 

「黙れ。 」

 

「いいや、生天目先輩も戦力に勘定され…ん? 」

 

必死につかさを説得していたが空気が変わった。何かが来たことを梓もここに来て把握し周囲の状況を確認する。

 

「来るぞ。雑魚ではない。 」

 

「…姿かたちは似たようなのッスけど…ゲッ。なんすかあの顔… 」

 

先ほどまでの魔物、名称【ガロトン】は体長数メートル巨人のような魔物で顎のような部分が異様に伸びているのが特徴であったが目や鼻、口の配置は人間に酷似していた。しかし、今度来た魔物はその配置が上下逆になっておりまるで頭を180度回転させたかのようだ。言うならば【ガロトン亜種】といったところだろうか。

 

「ただの色違いというわけではなさそうだな…ククク… 」

 

「あの顔、そんなに笑えます? 」

 

「下がっていろ、服部! 私の獲物だ! 2体いる…他を近寄らせるなよ! 」

 

そう梓に言うとつかさはガロトン亜種の元へ向かっていく

 

「あっはい。見てるッス。

……ん? あ、ヤバ。 」

 

「おーおー、やってんじゃねぇか。あれがガロトン亜種か。

キメぇツラしやがって。そのエラだか耳だか、キレーに削ってやるよ。 」

 

そんな戦場にやって来たのはエレンとは別行動をしていたメアリーの率いる精鋭部隊だ。

 

「……生天目が戦ってるぞ? 」

 

焔がメアリーにそう言うがメアリーは意にも介さない。

 

「もう一体来てやがる。アレはアタイらのもんだ。

テメーら、ヘマすんじゃねーぞ! アタイの言うとーりにやりゃ楽勝だ!

Fuck him up,girls! ケツ蹴っ飛ばしてやりな! 」

 

メアリーはつかさが戦っているのとは別のガロトン亜種に目星をつけ精鋭部隊を率いて突撃していく。

 

戦闘はすぐに終わった。しかし問題はここからだった。

 

「ひとの闘争の邪魔をしたな。どういう了見だ。 」

 

つかさが精鋭部隊の方を向き怒りを顕わにしながら言い放つ。

 

「ああ? 知らねーよ。ンなの。魔物がいたからぶっ殺しただけだ。わりーか。 」

 

メアリーはそれがどうしたと言わんばかりに言い返す。

 

「ど、どうしよ… 」

 

梓は青ざめた表情でつかさとメアリーの顔を交互に見ていた。

 

「なんだよ。脇からかすめ取られて悔しかったのか?

今度からは名前でも書いときな。 」

 

ここにきてメアリーはつかさを挑発するような発言をする。

 

「ま、まぁまぁお、2人とも。まだ魔物はいっぱいいるんですから、なにも今… 」

 

「貴様、どうやら私の邪魔をしたいようだな。いいだろう。 」

 

ヤル気スイッチの入ってしまったつかさと

 

「ハッハ! 凄んで怖がると思ったら大きな勘違いだぜ! 」

 

いまだに挑発的態度を繰り返すメアリーに梓の胃は限界を迎えそうになっていた。

 

「同じような魔物ばかりで飽きていたところだ。貴様の血で渇きを癒そう。 」

 

今にも仲間内の殺し合いが始まりそうなところで梓は視界の端に魔物の一団を発見した。

 

「だーっ! 仲間割れしてる場合じゃないッスよ! ホラ、来た来た! 」

 

「……ちっ。」

 

「ケッ。次から次へと…ゴキブリみてーなヤツらだ。 」

 

つかさは舌打ちをしながら、メアリーはそう吐き捨てながらお互い魔物に見合うのだった。

 

いつもは嫌いな魔物にも今回ばかりは救われた梓であった。

 

 

 

 

 

 

 

 




では後編で
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