TITANUS‐THE TITAN MONSTRAS‐   作:神乃東呉

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かつてこの世界には「怪獣」と呼ばれる巨大な生物がいた。
動物、植物、異星人と様々な怪獣たちが存在していた。
怪獣に対抗する「光の巨人」と「人類」によって平和を勝ち取って半世紀が経ち新たな「怪獣の時代」が到来する。
それは、怪獣が人として歩み生きる事となった時代の到来である。
すべての始まりと言える1954年より観測史上最初期の怪獣を筆頭に怪獣は新たな進化の形を手に入れた。
 これを『大怪獣時代』と定める。

―『怪獣の時代』冒頭より抜粋―


祖父の遺志

 老人はパタンッと呼んでいた読み古した本を閉じて目元にかける老眼鏡を外し、棚に置いた。

 深い息を吐き出すように読み続けた本の内容に思いふけるとばかりに窓の外を見る…正確には見上げていた。

 窓の外から見える木の枝から飛び立った小鳥の自由さに対して老人の無力なまでの身動き取れないベットの上、老人は病弱な病人であり、ここが老人の病室だった。

 そこへスライド式のドアが開いて少女が入室してきた。

「おじいちゃん、御見舞いに来たよ」

 少女は袖の長いセーターの下に学校制服、淡いオレンジ色のリュックサック、本来長い髪型であるが敢えてそれを一束で纏めて肩より垂れ下げた所謂サイドテールと呼ばれるヘアスタイル、今時でありながら今時の子にあらぬおとなしめで飾り気のない女子高校生だった。

「また、来てくれたのかい…学校の方はどうかね、アキちゃん」

 老人は自身の血縁で唯一の家族である孫に対して優しく穏やかな表情で彼女の顔を伺う。

「うん、学校も生活も順調だよ…おじいちゃんこそ調子は大丈夫?」

「私の事は私がよく知っているさ…心配しなくても時期に遠くもなく、近くもあると言ったところだよ」

「また難しい言い方してボクを困らせないでよ……家から持ってきた本、読んでいたの?もう読み終わった?」

 少女はイスを老人の病床の傍に置いて自分から腰かけると横になっている老人の顔を見つめる。

 何らかの医療用の機械、何らかの症状緩和の薬、病院でしか見ないようなガラス製の急須とコップ、そして鼻からチューブに繋がれた老人自身、鼻だけではなく脈から繋がれた点滴に医療用の機械からわかるであろう何らかの情報、当然ながらそのすべてが老人の容態を伺うことができないから一般人である孫娘の少女アキは老人の顔色で判断するしかなかった。

「おじいちゃん…ボクが怪獣娘だってわかった時、全然驚かなかったよね…なのに、おじいちゃんが倒れたって聞かされた時のボクの方が驚いちゃった…情けないよね」

 アキは己の不甲斐なさを自虐しながらも祖父の事を尊敬する。

「そんなことはないさ、アキちゃん…寧ろ、必然だったと私は確信しているよ アキちゃんが怪獣でも怪獣娘であっても、“であった”事に意味があるんだよ…それを運命と私は思っているよ」

 老人はアキを励ますように穏やかな表情を再び向けて来た。優しい表情であった。

「両親の居ないボクを今日まで育ててくれた分、これからもずっとボクがおじいちゃんを守るよ…だってボクは怪獣娘だから…だからおじいちゃんには安心していてほしい」

「私は何も心配はしていないさ、アキちゃんは強い子だ…だからいい加減、本当のことを話そうと思う」

「本当のこと?」

 老人は突然、『本当のこと』と称した重大な何かをアキに伝えようとした。

「実はこの本、読みたくて持って来てもらったわけじゃないんだ 読むことに変わりはないが読まなくても内容は知っているし覚えている…なぜならこの本、おじいちゃんが書いた本なんだ」

「えっ、そうなの?…でも名前…」

「違って当然さ、いわばペンネームみたいなもの…もういろんな名前でやってきたけどいずれも大成もせず知られもせず、あるいは知られていても誰も覚えていないだろうね」

「でも…ボクは知ったよ…おじいちゃんの本……ボクだけはおぼえているよ…だから、また教えてよ おじいちゃんだけが知っていること」

「…そうだねぇ……おじいちゃんはねぇ“本物の大怪獣”にあったことがあるんだ」

「その御話かぁ…なんども聞いたよ、おじいちゃんが怪獣に襲われた話…」

「襲われたかぁ…まぁ、ある意味では襲われかけたりもしたし、関りもした、十分すぎるほどに私と怪獣は今もこうして関わり合っている」

 そういうと老人は弱々しい手を掲げ上げた。

「おじいちゃん、どうしたの急に?」

 アキには突然のことであってもその行動の意味を理解するやアキは老人の手を両手で握った。

「いや何、アキちゃんの手にまた触れて見たくなっただけさ……変わらず優しい手だね、お母さんにそっくりだ」

「やめてよ、おじいちゃん…ボクはどこにもいかないからさ…ゆっくりしてね」

「ああ、ゆっくり…させてもらおう……だからアキちゃんも寂しがらないでほしい…アキちゃんは一人じゃない、これからも、いつまでも……ずっ……とっ……」

 突然、祖父の様子に変化が起きた。握っていた手に力が入らなくなり両手から擦り抜けるように落ちて、目はゆっくりと閉じたまま開かなかった。機械も突如、聞いたことのない音が鳴りだして異常を検知した。

 何が起きたのか分からなくても既に行動が無意識の内に病床の傍に置かれていたナースコールをアキは押していた。

 これを押しても押さなくても機械が異常を検知した時点で既に医者も看護婦もこの病室に向かって来ている。現に廊下から慌ただしい駆け足の音が近づきつつあった。

 そして、医師と看護婦が病室に入って来るなり…看護婦がアキを老人から離し、医師が老人の脈を図る。

「――時――分、ご臨終です」

 それは突然の別れであった。いくら身構え、覚悟を決めていても必ず訪れる事だとしてもいざ起きて見るとジワジワと実感させられていた。

「すみません…後のことはよろしくお願いします…少し、連絡を…させてください」

 そういうとアキは事後処理を医師たちに任せ、病室を出てすぐの通路からスマートフォン型のデバイスを起動させメッセージアプリを開いて『ピグモン』と言うアカウントにダイレクトメッセージで祖父の事、今起きていること、伺う予定を断る連絡を簡潔に打ち込んで送信するなりすぐに既読が付いた。そしてすぐに『ご冥福をお祈りします』と言う内容のメッセージで帰ってきた。

「……あっ…あれっ?」

 送られてきたメッセージを最後まで読み続けようとした途端に目の前がぼやけ視界が遮られた。

 そして、デバイスの画面上に大粒の水滴が落ちて来た。

 デバイスに水は禁物、水滴の元を拭おうと右手の長い袖で目元を擦っても水滴が溢れ出て止まらなかった。

「ふっ…うっううっ…」

 抑え込もうとしていた感情はその水滴と共に喉の奥から口で塞ぎたくても僅かな口の端から咽び漏れていた。

 それは紛れもない“別れの悲しみ”だった。

―コッコッコッコッ…

 悲しみにくれるアキの傍に白地のスーツを着た男性が革靴を病院内の廊下より音を立てながらやってきた。

「宮下 アキさん…ですね」

「うッ…えっ、ええ…そうです」

「お悲しみの所、無粋に訪ねてしまい申し訳ない…私は君のおじいさまの代理人として遺書を預かっている者と言えば理解してくれるかな?」

 そういうと男はスーツの内側から封筒を取り出してアキに手渡した。封筒には『アキちゃんへ』と書かれていた。

「おじいちゃんの字だ…」

「それと、こっちは代理人として私がおじいさまからお預かりした法的効力のある『遺言書』…この内容に従い、宮下アキさんは本日より身元後見人として私、逸保志ダグナの保護下に置かせていただきます」

「…へっ?」

 それは突然の別れからの唐突な通達にアキの表情は固まった。

 

 

 

…一週間後…

―国際救助指導組織・GIRLS東京支部―

 

 “怪獣娘”、それは嘗て世界中に猛威を振るった巨大生物『怪獣』の能力や体質など宛ら怪獣を生き移したかのような突然変異を起こす女性たちが相次いで目撃されるようになった。

 国連は早急に彼女たちの社会的孤立を防ぐために結成された組織『GIRLS』の庇護下の元で今日までの怪獣娘は人類にとって友好的な存在であることを発信し続けている。

「ねぇ、ウインちゃん…今日だよね」

「まっ、間違いないです…ですけど、まだ心の準備が…」

 そんなGIRLSでいままさに緊張が広がっていた。

 慌ただしくオドオドしい様子の健康的な小麦肌のポニーテールの少女と知的で正確な性格の現れている眼鏡を掛けたシルバーブロンドの少女は御互いに異常は無いか確認しあっていた。

「おっ、御二人とも!先ほども申し上げたとおり…いっ、いつも通りでお願いします…アギアギだって今が一番辛い時期なのです だからこそ変わらずに接してあげて下さい」

 慌ただしい二人の様子に見かねた見た目の幼さとは裏腹にしっかりとした赤髪の少女が落ち着きを持つように諭す。

 すると、ビル内エントランスロビーから自動ドアが開いて待ちかねた人物が来館してきた。

「あれっ?みんな集まって…どうしたんですか?」

 その人物とは…

「アギちゃ~ん!!」

 唐突に来館してきた少女よりも小柄な少女が飛びついてきた。

「あっ!ゴモたんがフライングした!!」

「ゴモたんさん!作戦と違いますよ!!」

「んっ~もう、我慢できへん!ウチは悲しんだ顔したアギちゃんを見過ごすなんてできへんよ!辛かったなぁ~アギちゃん!」

 突然の事に困惑するアキは頭上にハテナが浮かびながらも『えっ、なにっ、なんなの?』と声が漏れた。

「おい、ゴモラ!アギラから離れろ…無理に慰めようとするな…こういう時はそっと肩をだなぁ」

 ゴモラと呼ばれる大胆な少女に変わって大人な対応とばかりに縦ロールの筋肉質な少女もアキの肩に手を置いて慰めてくる。アキにはワケがわからなかった。

「アギアギ、御辛い中でGIRLSに足を運ばれていただいたのですが…その、まずは心より冥福を祈りします」

「あぁ~その事ですか…もう大丈夫ですよ」

 アキは少女たちが気掛かっていたことに対して返答を返す。皆が気にしていた『祖父の他界』にアキが一週間の内にすっかり立ち直っていると意思を示した。

「そうですか…それでもアギアギにとって大切な御家族とのお別れですので私とここにいるGIRLSの皆さんも同じ気持ちですのでお力に成れることがありましたらなんでも言ってくださいね」

「ありがとうございます、ピグモンさん、ゴモたんも、ミクちゃんもウインちゃんも、レッドキングさんも、心配していただいて…」

「みずくせぇこと言うなよ、アギラ!同じ怪獣娘、悲しいことがあっても辛いことがあっても互いに乗り越えてこそだぜ!」

 畏まった言い回しをするアキに対して力強く背中を叩かれたアキは『うっ!』と前のめりになった。

「まぁ、いろいろバタバタしていましたけど何とかGIRLSの一員として気持ちは固まりました」

「そうですか…これ以上は過剰な心配ですね、アギアギの御気持ちを尊重しますのでこれからも頑張っていきましょう」

「はい、それとピグモンさんにお伝えしたいことがあるんですけど…本人に直接伝えてもらいますね」

「はいぃ?本人…?」

 和気に固まる少女たちの元にアキの後見人と語ったスーツの男が少女たちの前にやってきた。

―応接間―

 

「ねぇ、見えないよ!」

「ミクさん、押さないでください」

 皆が互いを押しあいながら扉に設けられた僅かな隙間の建て付けられたガラス越しからGIRLSの怪獣娘たちは物珍しい光景を目にしている。

 女性職員が殆どと言っても過言でないGIRLSと言う組織の名の通りその多くが年頃の少女たちで構成される同組織の中に突如現れた別世界人“男性”が来ているのである。さらに聞けば先週亡くなったアキの祖父に変わる『宮下アキの後見人』を名乗る特殊な人物であった。

 

 そんな人物の目の前にティーカップに紅潮色の紅茶が出された。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

 その男を表すにはまず一般的な日本人ではないこと、髪色は老いた白髪とは違う透き通ったプラチナブロンド、純白のスーツがよく似合う出で立ちと清潔感、極めつけは海外のモデルとさえ見間違うような整った顔つきは年端のいかない子供から老年迎えたお年寄りにすらも好かれやすい僅かに微笑み浮かべるはにかんだ表情、何から何まで同組織内の怪獣娘たちには刺激の強い男性だった。

「えっ…ええっと、逸保志ダグナさん、でよろしいでしょうか?」

「はい、そうです」

「逸保志さんはアギアギ…怪獣娘アギラの宮下アキさんの後見人、すなわち法的上の保護者に該当されると認識してよろしいでしょうか?」

「はい、そのように」

「でっ、では改めまして国際怪獣救助指導組織GIRLS東京支部へわざわざ足を御運びいただきありがとうございます。私は当支部の代表者ではありませんが現在代表者こと支部長が不在のため臨時で代表挨拶をさせていただきます、怪獣娘ピグモンこと岡田トモミと申します」

「補佐をいたします調査部所属の怪獣娘エレキングこと湖上ランです」

 二人のGIRLSの顔役と向かい合う形でアキとダグナは互いに鎮座する。そして、アキは顔馴染みのピグモンことトモミとエレキングことランの2人の怪獣名以外の本名を聞く姿を見たことに新鮮さと緊張が入り乱れる複雑な気持ちであった。

「それではこちらも名乗るのは名前だけでなく素性も明かすべきですね…私はあなた方GIRLSとは別の国際怪獣組織に席を置く者と申しましょう」

「私たち以外の国際怪獣救助指導組織の方…ですか?」

「私も存じ上げません」

 トモミはランと顔を合わせてお互いにそんな組織があるとは知らないということを共有した。

「正確には救助指導を目的とした組織ではありません。もっと言えばあなた方GIRLSよりも古くから存在する組織、それこそ世間一般で認識される『第一次怪獣時代』よりも以前、発端をさかのぼれば第二次大戦以前からと飛躍してしまいますので明確な年代を申しますと…1954年からと言うのが組織内の公式見解です」

「そんな昔から!?…いったい、どういった組織なのでしょうか?」

「英語名にはなりますが『Secret agency Monster search』前文の直訳は『特務機関』通称は“MONARCH”、それが我々の組織名であり目的は旧巨大生命獣『怪獣』の調査、保護、監視を生業とする組織です」

 調査部のランは顎に手を当てて考えても見当の付かない組織名に頭が少し傾く。

「モナーク…さん?それは分かりましたが…肝心の当組織の所属怪獣娘アギラと、彼女の祖父とあなた方の組織とはどういった御関係か御訊ねします」

 ランは分からないことを優先的に質疑する形で尋ねる最初の内容はアキと先週に亡くなった祖父と極秘の組織『MONARCH』がどう関わっているのかを問う。

「宮下アキのおじい様は我が組織創設に関わる『開拓者達』と呼ばれる重要人物の一人でした。現在国際的な怪獣調査機関や研究機関、果ては軍事機関に至るまでの怪獣関連専門に見ればすべてに繋がり関わる基盤を作り上げた方と承知しております」

 トモミもランも目を丸くする以外驚く表情が浮かべられなかった。それもそのはず、これ程に身近でGIRLSも含めた国際的に怪獣を専門に扱う組織の始祖的人物である孫がGIRLSの怪獣娘アギラであることにますます首が傾げてしまうような気持ちであった。

「俄かにどう返答してよいものなのか…一先ず驚きました。アギアギのおじい様…大変重要な方なのですね」

「ボクもおじいちゃんが亡くなってから知りましたけど…ボク自身、おじいちゃんから何一つも聞かされていなくて…」

「ちょっと待ってアギラ、肝心のおじい様の御名前を聞いていないわ…それだけすごい方ならネット、ひいては検索したらトップに事典サイトに名前が載らないのはおかしいわ」

「御調べしても無駄でしょう、申しました通り我が組織は『特務機関』です。ご本人の名前、素性、経歴、すべてにおいてあの方に『存在』はありません…ソレは家族であっても例外ではないのです」

「ボクも、実はおじいちゃんの本名を知らないんです…ずっとおじいちゃん呼びで通していたんですけど保険証や戸籍、個人情報の殆どが違う名前だったり、まったく関係ない情報ばかりで何がなんだか…正直、おじいちゃんがいることをボク自身が証明できるものが無いです」

 この世に個人を証明できない人物がいるのだろうか、それは半ばその老人が最初からこの世に存在していないようなものだ。

「故に先週亡くなられた人物は『名前の無い者』でありますがアキさんに宛てた『遺言書』のみが彼女との繋がりを唯一証明するものになります」

 ダグナの懐から例のアキに宛てた『遺言書』が出てきた。

 それすなわちソレを書いた人物は生前までこの世に確かな存在を認識させられる唯一のキーアイテムだった。

「こちらの内容は法的内容も含まれますので一部は割愛させてもらいますが、遺言には…―」

 

『本遺言に従い、私が半生をかけて関わってきたことのすべてを関係各員に伝達および通達し、個人権限で秘匿としていた情報の開示を宣言するものとする』

 

 それは怪獣の多くを知り、多くをひた隠しにしてきた男からのささやかな最後の贈り物であった。

「それと同時に本内容で関わる遺言者の家族親族の保護も明記されています…それだけに彼が関わってきた事の内容はアキさんを覆いに巻き込む結果になるため当方MONARCHから私が派遣されたという次第であります」

「仰っている内容は理解致しますがアギアギを巻きこんでしまうほどの重大事項とはいったい…」

「申し訳ございませんがその内容も貴方とあなた方GIRLSの怪獣娘さんにも関わる大きすぎる内容ですので、既に東京支部外のGIRLSに席を置かれる重要人物の方々にはデータで先ほど御送りしております」

 そういうとダグナは手元のスマートフォンの画面を見せ、メールアプリで圧縮情報化したデータを各支部長に一斉送信で送っていた。その人物の中にはGIRLS東京支部が極東支部名義であった頃から関わる研究者『多岐沢マコト』の名前もあった。

「この方々に御送りした情報を各々の判断で後日あなた方怪獣娘の方にも情報が共有されますが、なにぶんそれまで極秘扱いにされていた内容ですので我々ですら慎重に扱ってここまで故、どうか御理解のほどよろしくお願いします」

「秘匿権限を有するほどの重大な何か…ますます我々だけで判断できる内容でないのなら確かにこの方々であれば適切な判断ができるでしょう…この際、重要事項には目を瞑るとして私たちにとって今一番肝心の知るべきことはアギアギのことです。そんな重大事情に関わるアギアギは…」

「宮下アキさんには今まで通り怪獣娘アギラとしてGIRLSの怪獣娘として変わらぬ生活を保障いたします…ですが、警戒的事情により彼女には護衛をつけさせていただきます」

「「護衛?」」

「そんな話、ボクも聞いていませんけど」

「無論、私でも構いませんが…私の立場はあくまで後見人であって護衛者として適さない立場の者ですので私以外の者に任せるつもりです。勿論、アキさんの生活に支障をきたさない距離で配置させます…見方によれば彼女のそばには最低1人以上付き添いが居ると思ってもらって結構です」

 ダグナの話を聞いたトモミとランは未だ分からないことだらけであってもアキがアギラとして変わらぬ生活ができるならそれで充分と理解した表情を御互いに確認する。

「わかりました…アギアギのおじい様が一体何者なのか、そんなおじい様が隠している重大な何かについても気になる情報が多すぎますが…最後に一つだけ伺いますが――」

「なんでしょう」

「そのアギアギを護衛する方は…その…男性、ですか?」

 トモミの質問に対してダグナの目は上を向いて脳内の何かを精査するように考える表情を見せ、アキは唐突な質問にも関わらずその質問の答えを知っているとばかりに顔を赤面させトモミたちと目も合わせない。

「なるほど、そういう事ですね」

「そういうことなのです…現に今も廊下で…」

 今にもなだれ込みそうな勢いでアギラと顔を見知った者たちでドアに張り付いている様子だった。

「大変御見苦しいものを…少々、注意してきます」

「いえ、構いません…寧ろ少し彼女たちと御話をしても?」

 ランに変わってダグナは自分から廊下で待ち構える者たちに近づいた。

 この応接間の扉は電子ロック方式の自動ドア、開閉は右隣の接触パネル操作で開く仕組み…ダグナはパネルに手を翳すとドアが自動で開いたと同時に固まっていた怪獣娘たちの集団が一瞬で倒れるように入ってきた。

「いでぇ!」「ふぎゃ!」「ぐぇ!」「むぎゃぁ!」

 みんなそれぞれがドミノの如く重なり倒れダグナの足元から見上げる。

「大丈夫かな、立てるかい?」

 そんな彼女たちにすら手を出してくれる紳士ぶりに怪獣娘たちは自分たちの見苦しさの恥じらいか少し赤面したように自分たちで体勢を立て直した。

「あっ、ありがとうございます…で、それよりアギさんはどうなるんですか!?」

「お兄さんはアギちゃんの執事とか!?実はアギちゃんのおじいちゃんは世界一のお金持ちだったの!?」

「なワケねぇだろ、きっとエレみたいな財界の御嬢様とかだぜ、きっと…」

「いやいやぁ~アギちゃんはどっかの国の御姫様やろ」

「アギラさん、寿退所するってマジィ!?」

「うわぁ~!!あらぬ噂が立ってる!?」

 廊下の中だけでトンデモ話が尾びれ背びれ胸びれと様々な考察が重なりに重なっておかしなことになっていた。

「貴方たちがアキさんの御友人様方ですね…初めまして、先週より宮下アキさんの身元後見人となりました、逸保志ダグナと申します。どうぞよろしく」

「はいは~い!あたしアギちゃんの一番の親友、ミクラスです!ミクって呼んでくださ~い!」

「おっ、同じくウインダムです。名は白銀レイカと申します」

「オレはレッドキング!歌川ベニオって名前はあるけどレッドキングの方がカッコいいからそっちで呼んでくれ」

「はいは~い!アギちゃんのことが大好きなゴモラことゴモたん!あたしも黒田ミカヅキって名前があるけどゴモたんでいいですよ!」

「あたしはザンドリアスでーす!名前はぁ……ダサいから非公開で」

「なんだよ、道理サチコっていう良い名前があるじゃねぇかオマエ」

「あぁ~言わないでくださいよシショ―!」

 みんなそれぞれが自己紹介とばかりに怪獣名ともれなく本名まで明かすサービスぶりにアキは『なんで本名まで…』と心の中で疑問符が浮かぶ。

「さっそくっすけど…後見人って、何ぃ?」

 ダグナ以外の怪獣娘はミクの発言で全員盛大な喜劇のズッコケを見せることになった。

「まっ…まぁズッコケといてなんだけど、実は俺もよく知らねぇ」

「ウチもー!」「わっ、私も実は…」

「コウケンニンって何なの?ボランティア的何か?」

「それは無償で貢献する人だね…君たちの中に親御さんがいるように保護してくれる人や扶養してくれる家族、そういった人たちがもし亡くなったり消えたりしてしまった場合に君たちのようにまだ社会的に成長しきっておらず未成熟者に対して『親代わり』になる者のことを後見人と言うんだよ」

 全員がダグナの説明に『ほぇ~』と難しいことを聞いた時の顔をして納得したような納得していないようなどちらとも取り切れない顔で理解した“体裁”だけは保っていた。

「えっ!?ってことはアギちゃん今までおじいちゃん以外親とかいなかったの!?」

「うん、まぁ…一応」

「お父様お母様は!?」

「居ないよ、お父さんは物心ついた時から知らないし、お母さんは中学の時に病気で…」

「めちゃくちゃ苦労人じゃねぇか!?じいさんが居ただけでもまだ良い方かもしれねぇが…」

「うわぁ~!今日からウチがアギちゃんのお母さんになったる!!」

「今度ウチに遊びに来てください!ママのカレーとか一緒に食べましょ!」

 皆がアキの知られざる事情を知るや思い思いに気を使ってアキを励ました。

「別に大丈夫だよ…おじいちゃんの事もお母さんの事も悲しかったけど、今は前向きに生き続けようって気持ちは固まっているから」

 そんなアキも強い意志を見せた途端に皆の目は潤いに満ちるかの如き瞳から大粒の涙が零れた。

 そして、全員からの無言の抱擁でアキは『ぐえっ!』と怪獣娘たちの人外的力強さの前に締め付けられた。

「はっはっはっ、仲が良いのですね」

「はい、とても…感動しました」

 その様子を見て微笑むダグナと感動のあまり涙を流すトモミに呆れながらも口角が上がっているランと様々な感情を見せた。

「それではこれよりアキさんと私は一旦セーフティーハウスへ向かいますので後の事は我々にお任せください」

「へぇっ…セーフティーハウス?」

 突然の発言に一同も、聞かされていないアキも図上にクエスチョンマークが浮かぶ。

「大変申し上げにくいのですが…現在、アキさんには高額な懸賞金が懸けられつつありますので貴方達風に言えば…『メッチャヤバ』な状況にあります」

 またも唐突にとんでもないことを言い出したダグナの右手に持つスマートフォンの画面には『WANTED』と赤文字で書かれた西部劇手配者ばりの構図で顔写真に先月GIRLSの広報で取られた食堂でご飯を食べている時の写真が張り付けられている。

 しかも現実の手配書はリアルタイムで更新されているようで何らかの数字が常に下がることなくドンドン上がって桁数だけでもとんでもない値がアキにかかっている価値を示していた。

「そっ…それってどれくらいヤバいんですか?」

「1分1秒でもココを離れないとこの手の連中は見境なく『戦争』だって起こせるような連中がきますので……このビル爆破ぐらいは想定されるかと…」

 それを聞いた全員が先ほどの抱擁がウソのように解けてアキから2m以上は距離を取った。

「その~…ええっと~…」「うん、まぁ…ええっ」

「う~ん…ええっと…」「あっ…はい…」

「まぁ、なんだアギラ…骨はできるだけ拾っておいてやるよ」

 全員即座に状況を把握して気を使いながらも自分の命を優先した。

「みんなの薄情者ぉお!!」

「それではお邪魔しました。さぁ、アキさん行きましょう」

「行くって、まだ心の準備がぁ!」

「言ったでしょ…『メッチャヤバ』だと」

「だからその言葉、今時の女子高生でもつかいませんからぁああ!!」

 皆のあまりにもな軽薄さに驚愕していたアキだったが即座にダグナに手を引かれて応接間からもといGIRLSから連れ出されていった。

「なんだか、アギちゃん…トンデモない事に巻き込まれちゃってるね」

「懸賞金を掛けられている人って、初めて見ました」

「あっ、アギアギが…アギアギが……○●$0●¥!&$%“%$#$&#&$*+*+?&$#%$%&$!?」

 あまりの衝撃にトモミは背中からバタンッと倒れた。

「わぁあ!?ピグモンさんがあまりの事態にゲームのバグみたいに動揺しているっす!?」

「おい、ピグモンしっかりしろ!!」

 

―GIRLS東京支部・地下駐車場―

 

 皆とはぐれた2人はGIRLS職員や来客などで使用される地下の車両専用駐車場に降りて来ていた。

「放してください!一人でも歩けますから!!」

「そうもいきません…護衛でなくても私は貴方の後見人ですので最低限の警護に専念します」

 二人が乗る予定の車まであと少しと言う所で駐車していた車は2台、1台はアキたちが乗る予定の車であるなら…もう一台は予定外の招かれざる来客が2名現れた。

「どうやら我々より先に先客が居たみたいですね…しかし、おかしいですねぇ…なぜ女性ばかりの名前通り『GIRLS』にガールとは言い難い者たちがいるんでしょうか?」

 皮肉を交えたダグナの声に耳を貸す気も無く、共に西洋人種の男性2人、その手にはサイレンサー付き拳銃が1人1丁と無言でダグナに構えた。その表情には一切の躊躇の無いなんらかの動きを見せれば即座にダグナを発砲しても構わないと言った目つきであった。

「ひぃい!?銃、持ってますけど!?」

「あらら、困りましたねぇ…仮にも国連の関連施設で拳銃を持った連中がいる…この国の法律も国際法もガン無視と言った具合ですね……でも、抵抗しないとは言っていません。勿論抵抗はしますよ…“車”で」

 するとジリジリ全身してきた2名の国籍不明工作員の横からヘッドライトを突如点灯させたワゴン車が2人に向かって突っ込み、2人とも発砲の間も無く引かれて吹っ飛んだ。

「ぎゃぁああ!!交通事故起きちゃいましたけど!?」

「ささっ、今のうちに…」

 動揺するアキを引っ張ってワゴン車の中に無理やり乗り込む形で2人はその場から離脱する。

 ワゴン車は急旋回したのち駐車場を出ようとするが後方から引かれたにも関わらず起き上がった工作員2名が拳銃で発砲して流れ弾が後部席のガラスを貫いてきた。

「伏せて!」「ぎゃぁああああッ!!」

 貫いた弾丸はフロントガラス、バックミラー、サボテンのフルフル人形…には当たらずフリフリ動くリズムの隙間を避けて結局フロントガラスに穴が開くも何とか駐車口のバーを突き破ってワゴン車は駐車場出口を脱した。

―首都高速道路―

 

 逃げ切った矢先でいよいよアキの我慢の限界が到達した。

「もう何なんですかさっきからこの状況、ここまでの一週間で“何回目”ですか!?」

 あまりの状況に動揺するアキだったが実はこの状況は既に何度か同じ目にもあっていた。

 そんな悲痛な叫びをダグナに訴えるが、構うことなくダグナは運転席と助手席に身を乗り出す。

「お疲れ様です。運転変わりましょう」

 前方の席には運転する男が1人だけ、隣の助手席は空いているため運転手はダグナと運転を変えるためハンドルを保持したまま助手席に移り、運転席にダグナが切り替わる。

「あの~!聞いてます!?ボク、今日まで何か悪いことしたんですか!?あの人たちはボクに何の恨みがあるんですか!?おじいちゃんは一体ボクに何を残して行ったんですか!?」

 車内で思う限りのことを叫んでいるがダグナも運転していた男もアキの声など気にせず周囲を警戒しながら高速道路を走行していた。

 今は朝方故に車両の往来は殆ど無い…が、高速道路内“は”と言うだけの話である。

 その上の空からバタバタバタッと聞き慣れないモーター音が聞こえて来た。サイドミラーには空を民間のヘリコプターがアキたちの乗る車に並走して飛んでいるようであった。

「おや、今度は空からお出ましですね…どう見ます?」

「民間ヘリに偽装はしているが本来積まれるはずの無い規格外の多連装砲に30ミリ短砲身機関砲まで丁寧に取り付けられている…十中八九に軍用だ」

 ダグナからの質問に対して的確に追跡してくるヘリの戦力を運転手だった男は分析した。

「何を冷静にしてるのさぁ!もうヤダよ!こりごりだよ、こんな状況!!」

「そうですね…いい加減うんざりしてきたのでここは派手に行きましょう…では“ゴジラ”、いけますか?」

「ふんッ…上等」

 “ゴジラ”と呼ばれた運転手だった男は助手席窓を開けて座席に足を乗り上げ始めた。

「ちょっと待って、何する気なの“お兄ちゃん”!?」

「あぁ?決まってんだろ…上を飛んでいるうるさいハエを叩きに行ってくる」

 そういうと男はワゴン車の助手席窓から身を乗り出して車の屋根に上りあがった。

「アキさん、衝撃に備えてください!」

「頭下げていろ、アキ!飛ぶぞ!!」

「わぁああもうどうにでもなれぇええ!!」

 アキが瞬時に頭を下げた瞬間、屋根から強い衝撃と共にワゴン車は高速道路上でバウンドする形で車両自体が宙を舞って一回転していた。

 そして、アキは次の事を考えていた。

(拝啓 天国のおじいちゃんとお母さん…どっかにいるお父さん…ボクは今、車の中で宙を舞っています。生きていることが不思議でなりません。一週間前からずっとこんな調子ですけど…ボクは…生きていると思います…たぶん)

 車両は一回転しながらも無事走行面が道路に設置して何とか着地して安定な走行を取り戻した…が、天井は思いっきりへこみ、車内の状況はぐちゃぐちゃ、後部席にいたアキは助手席に頭から突っ込んでいた。

 

 一方、勢いよく飛んで行ったアキが“兄”と呼ぶ男は上空を飛んでいるヘリに近づきつつあったが、ヘリの中のパイロットたちは驚愕した。前方から黒い何かが近づいてきて操縦席窓にグワシィン!!とガラスを破って巨大な黒いワニの様な怪物が自分たちの操縦するヘリを捕まえていた。

「よう、パラシュートの準備はできてるか?」

 巨躯な爬虫類生物は太い腕で操縦者2名を掴んでそのまま外へと放り投げた。

 操縦者はパラシュートを即座に開いて難を逃れたが…操作する者が居なくなったヘリはあらぬ方向に回転しながら減速していくが…だんだん…だんだん、速度を増してヘリは回転運動を強く増していた。

 その中心にはあの黒い蜥蜴生物がなんとヘリ自体を空中で円を描きながら最高速度に到達するとさらなる上空へ吹っ飛んでいきヘリは宛ら宇宙の彼方まで飛んで行ったようだった。

 そして、黒い蜥蜴生物は高速道路に降り立って着地した…だが、空の彼方に飛ばしてもヘリはさらに落下を増してあの蜥蜴生物の真上に落ちて来た。

「そうだ…この位置だ…この位置なら、ピッタリだ…コォオオオオオオ――――ッ!!」

 突如、蜥蜴生物は息を大きく吐き出すようにして体内の空気をすべて抜き出すと背中のサンゴ礁のように色白い背びれが発光してダンダンと尻尾から腰、背中、頚椎、頭部まで伸びる背中の発光はゲージとなりソレが最高潮に達すると超強力な破壊光線を口から発射した。

 宛らそれは放出される光の熱線…“放射熱線”を口から発射された眩い光の熱線は落下してくるヘリを貫いてヘリのエンジン部分に引火してヘリは爆発四散したのであった。

 

 その様子を一部始終見ていたアキはこうも思った…

(それともう一つ、驚いたことがあります…この世には女性だけが怪獣の姿に変身できる『怪獣娘』がいるのなら…男性は怪獣に変身できる場合、『怪獣漢』とかになるのでしょうか…ネーミングセンスに自身は無いけど、現にボクの目の前で口から光線吐いてヘリを跡形も無く消したトンデモ大怪獣“ゴジラ”と言う怪獣が居ます…しかも、それがよりによってボクと同じ血を分けた兄“宮下ユウゴ”であるのはどういう事でしょう?おじいちゃん、どういうことですか?お母さん、あなたはあんなの産んだんですか?と言うかボクにもあれと同じ血が本当に通っているのでしょうか?甚だ疑問だらけの今日この頃です)

 この思いが今は亡き祖父に、母親に届いているのかは定かではない。




アンバランス小話 
『先客』

 アキが祖父の病室に訪れる少し前の日…
―ガラララッ…
「……おや、めずらしい面会者が来てくれたね」
「ふんっ、死にぞこないが…わざわざMONARCHの連中を寄こしてまで俺を呼びつけやがって、何の用だ?」
 病室の扉を開けて入ってきて早々に険しい表情で病室内の病床にて本を片手に持つ老人にユウゴが顔を会わせた。
「その死にぞこないが…死ぬ前の身辺整理中と言った所さ…あとはここへアキちゃんがここまで来てくれば、私の役目はコレで終わる」
「ベットの中で身辺整理できる野郎なんてあんたぐらいだよ…ご丁寧に病室の名前も平時は偽名、顔見知りにも偽名…あんたに本当の名前があんのかよ」
「あるかもしれないし、ないかもしれない…そういう人間なのさ、私は……それより、普段碌に顔も見せてくれない孫が私なんかのために皮肉を言われるためだけに呼んだわけじゃないことぐらいわかっているね」
「まどろっこしい、さっさと要件を言え…俺も暇じゃねぇんだよ」
 ユウゴは近場にあった椅子に腰かけて老人の顔を険しい顔の鋭い目つきで睨みつけた。
「…“彼”によく似ている…似ているからこそ私の最後の言葉を聞いてくれると信じているよ……ユウゴ…後の事を頼めないかい? アキちゃんを始め、怪獣の力を持つ者たちが私の死によって危機に瀕する結果となるだろう…そうならないためにも今こそ“怪獣王”の力が必要になってくる。 どうか、あの子とあの子たちすべてを守ってやってくれ…ゴジラ」
「……言いたい事はそれだけか?」
「後の事はダグナ君に託してある…彼を信頼してくれても構わない」
「そうかよ……あんたの寝言は聞きしに勝る戯言だな…あばよ」
 ユウゴは立ち上がって老人の病床から病室のスライド扉を開けて退室した。
「お別れは済みましたか?」
 病室の外ではダグナが待ち構えていた。
「……………」
 何も語らずアキより先に来ていた男は病院を後にした。

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