TITANUS‐THE TITAN MONSTRAS‐ 作:神乃東呉
あの刻、なぜ私は惑星カノンで彼を止める事が出来なかったのか。
――♪~~♪♪~~♪~――
惑星カノンで開かれた軍事パレードの軽快な軍歌はかつて王政を否定するかのように富国強兵へとすすむ我が星の破滅への道筋を示しているようであった。
「いよいよ、一般公開に踏み切りましたな…」
「これで王政は完全に軍に下ったわけだ…」
当時の私は一将校に過ぎなかった。軍部内で旧王家の雑務を担う『親衛師団』、名ばかりの親衛と言われるだけあって旧王権派と言う政権派閥の言わば窓際だった。
「師団長、あちらを……」
師団長である私に部下であるカイシンの言うままに彼の示唆する先に目をやるとかつての王政の象徴たる“城”からこの軍事パレードを見下ろす“あの目”と私の目が重なる。
向こうにとって私など見えているのかなど知れぬほどの距離から私を含めた国民に小さく手を振る大したサービス精神の持ち主だった。
―ズンッ…ズンッ!…ズシンッ!!―
大きな地響きと共に私の前を横切る巨体に大勢の市民が驚愕し、喚起し、狂乱している…その熱は最早熱狂であった。
白金の体色を有するその巨人たちは列を為して行軍を続けていた。それが“イクサガミ”…正式名称は“UT-9479”…表面装甲には最新の液体金属ナノメタルTYPE-Kによって強化された10メートルを優に越える人型兵器、ソレが惑星カノン…否、帝国惑星圏ヨモツクニ首星カノンの抑止力だった。
旧王立惑星カノン改め
カサラヒ銀河系帝国惑星圏ヨモツクニ
―主星国家カノン―
現地球時間から数えて約二千年以上前…
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―現在―
「……コレが私の故郷の”成れの果て“です」
今現在は日本の国会議員にして外務大臣と言う立場の山陀ツクヨミと言う男はオーダーメイドのキリッとした高級なスーツに身を纏い、襟元に輝く議員バッジ、議員としてまた政治家としての顔は“民衆ウケ”の良い善良を表出しする表情を形作っていた。
それが二千年以上も前から生き続ける“人外”の類だとは誰にも気づかれない。目の前にしているアキとアイカ、外交相手のエリアスですら“人間同士”として接せれるほどにしっかりとした意思疎通を可能としている。
「えっ…ええっと……つッ、ツクヨミ…さん、話通りのことを信じるなら、アナタはこれまでの宇宙人さん?…たちとは違う方…何ですよね?」
アキは素朴にも、この世界で生きる人間としての“宇宙人”の見方を通してツクヨミに問いただした。
「確かに…アキさんの世代の方は『宇宙人は侵略者』と言う認識の方が正しいでしょう、ですが私に侵略と言った攻撃的意思でこの星に居るわけではありません」
ツクヨミを下座とし、応接相手のアキたち上座側に座る3人に自身が侵略を目的としてこの地球に降り立ったわけでは無いと強調した。
「寧ろ、私たちは難民…と申しますか、母星を追われてこの青き星の地球に新たな居住を見出した一団…と言っても私たちカノン人がここに辿り着いた頃に一団はそれぞれ分裂して各々が各地の土地に赴き、同化したと申せばご理解いただけるでしょう」
ツクヨミは部屋にある日本地図を見つめた。
「でっ、でもおかしいですよね!…そんなツクヨミさんが…なんで二千年前と今も変わらない御姿なんですか!?」
アキが盛大に追求したかった事を口にする。ツクヨミが他所の星から来た異星人と言う主張と今現在も二千年前から変わらない容姿との整合性が合わない事に言及した。
「……あなた方の星では“ウラシマ効果”と呼ぶそうですね…星を出た者が戻って来た頃には住んでいた頃の星の時間をとうに過ぎてしまう、童話の浦島太郎が私とするなら、今の私は地球と言う名の竜宮城に居座り続けている状態…と、もう一方では長き旅路の末に得てしまった特殊な外科的手術で“不老不死”と言う副作用が私に人間ではなくしてしまった…理由を申し上げれば色々です」
ツクヨミの容姿と存在は人間の概念的終着点である“死”を失って生き続けなければならない明確な理由がある様だ。
「初めてこの星に降り立った頃、私たちの一団は当時の“豪族”と呼ばれる有権者と接触して以来、私たちはあなた方のご先祖様たちと交流を通じて共存してきました…その中にはアキさん、あなたの御先先祖様方に当たる人ともご一緒に勤めていた時期もありますよ ほんの九十年と少し、もっと前ですと百年前からのお付き合いです」
「ふえッ!?…ボクの…ご先祖様?」
驚くことにアキとツクヨミは婆羅慈遺跡での出来事だけでなくアキの知り得ない親族上に当たる人物と邂逅していたことに驚かされた。
「ええ、この施設も元々はその方の邸宅…今現在は私たち外務省の施設ですが、アキさんが返却を申されるのでしたら早急に手続きを経てご返却いたしますがいかが為されますか?」
世田谷区内の大規模な一等地に存在する屋敷と言っても過言ではない大きな外務省の施設をアキに返すと言われ…
「いやいやいやいやいやッ!結構です、百年も前とか言われてもボクにはそのご先祖様の事なんて知りませんし、こんな大きな御屋敷を得てもボクには荷が重いと言いますか…ご提案は有難いですが、丁重にお断りさせていただきますッ!!」
アキは全力で首を左右に振り切って一礼したのちに正式に断った。
「そうですか…アキさんはやはり謙虚な方ですね そう言った御心はお父さん譲りと申したところでしょうか」
ツクヨミの口から驚くべきことにアキの父のことが言及された。
「えっ?…お父さんのこと、ご存じなんですか!?」
「ええ、もちろんあなたのお母さんともご夫婦共々…確か御二人にも先子の御子息さんがいらっしゃるようでしたが」
アキの両親について言及し、その更にユウゴについても言及したツクヨミだが…
「ンンッ!…そのご両親の長子にあたる方は私の交際相手です、申し遅れましたが木城アイカと申します 母は木城エリカ、現在は城南大学総合病院の未生態外来専従医師の長女です」
アイカは自分からユウゴの交際相手と主張するだけでなく、自身の母親の事にまで言及した。
「おや、城南総合の…しかも未生態外来の木城医師のお子さんでしたか、最後にお会いしたのは君がまだ幼かった頃でしたね」
「その節での面識は私も幼かったのでハッキリと記憶していませんが…面識は今日が初めてと心得ています」
隣に座るアキも驚くほどにアイカの気品に満ちた顔立ちと姿勢が同じく隣に座るアキの存在を霞ませるほどに慣れている感じがあった。
「そうですか…ユウナ医師とエリカ医師の御子息御息女さんが…御二人の事はあなた方が生まれる以前の事も私は存じていますのでそれを踏まえると何処か感慨深いものがありますね」
ツクヨミは一人掛けの席に背もたれから寄り掛かり両肘掛けに肘を乗せて両手を合わせる様に指同士を重ね合わせた後にどこか嬉しそうな表情を見せる。
「……んおほんッ!…そしてわたくしが兄さまこと宮下ユウゴ殿の“正室”候補筆頭、エリアス・メイ・フツアでありますわ!」
アキとアイカは驚きのあまり固唾を吹き出し、ツクヨミもリラックスから急転して座席からズレ落ちかけた。
「ちょっ!エリアスッ!!変な事を吹聴しないでよ!!」
「事実を申したまでですわ…日本国外務大臣、山陀ツクヨミ氏 アナタはどうやら兄さまのことをご存知の様ですが、日本国外そして現在の兄さまに取り巻く現状はこうです 当人16歳の年の頃、日本国出国後に立ち寄った東南アジア圏で言い寄られた件数実に54件、その後東欧圏で84件、中東圏では述べ99にも及ぶ色恋沙汰にまで発展する歩く恋愛フラグ発生装置と申して差し支えありませんわ」―パチンッー
その証拠だと突きつけんばかりにエリアスの指のスナップと同時に付き人のバトラカが手拍子でパンパンッと手を叩くとシークレットサービス風のスーツ姿の男女が大量の紙媒体資料を持ち出して対面する場のテーブルいっぱいにドンドンと差し出された。
「これだけに留まらず、宮下アキが所属するGIRLS東京支部にも彼に対して色を感知する者が推定で16件、あるいはそれ以上と目算しております」
「ええッ!?GIRLSにもッ!?…16件って最低でも16人くらいがお兄ちゃんをそういう目で見ているかもしれないってこと!?誰ッ!?誰なのッ!!?」
エリアスから兄ユウゴの知られざる過去について聞く予定がまさかの形で明かされた上に現在進行形で懸念すべき事象が10以上もある事にアキはすかさず並べられた資料から自ら目を通して確認するが、嫌がらせの如く資料はすべて英語表記であった。
「へッ…へぇー…ええっと…小さかった彼が、そんなプレイボーイな成長を遂げているとは…おっ、驚きましたね」
「ツクヨミさんッ!変な連想しないでッ!!」
衝撃的な現実にツクヨミは資料を捲れば捲れるほどに現役外務大臣をしても『エッ、マジでッ!?』と言った表情をページ一枚一枚捲る度に驚く表情を見せてオール英語表記の資料を見て驚くほどの内容の様だ。
「……ンンッ!…別に私は彼の事を信じていますし、このような挑発的内容を見せられても私は何にも響きませんよ、エリアス王女様」
「アイカお姉ちゃん……溶けてる、溶けてるッ!!資料から見たこともない煙、吹いてるよッ!?」
平然な顔を装ってもアイカの額には血走った血管が浮き出て握りしめる資料のコピー用紙は異様な薬品臭を放って黄色い煙を立ち籠らせた。
「スプリンクラーが作動しますから…ほどほどに…」
「すみません、すみませんッ!!」
アキとアイカは取り乱したことを深く謝罪して頭を何度もツクヨミに対して謝罪した。
すると…―ガチャッ…
「失礼します…大臣…」
廊下から通じる扉より開いて館内の外務省関係者がツクヨミに耳打ちで報告を伝えに来た。
「…確かですか?」
「公安からの報告です」
重々しい表情を取り、手持ちの資料を一旦手放してアキたちに指を重ねて重たい表情のまま彼女たちに向けた。
「大変愉快な場でしたが、事態が急変しましたので早急に私は官邸へ急行しなければなりません」
それはツクヨミが国会議員としてあらねばならない非常事態に際して直ちに向かうべき主戦場とも言うべき政界の根城『内閣総理大臣官邸』だった。
「えっ、官邸って…何かあったんですか!?」
「…アキさんもニュースでご覧になられたかもしれませんが先日より新官房長官に就任した者が緊急会見を開くとの情報が入ってきましたのです」
取り急ぎでアキたちを速やかに案内すると同時にツクヨミたち外務省関係各方から慌ただしい様子が屋敷中から見えた。
「山陀ツクヨミ氏、この国の新官房長官と申しますと…」
「ええッ、“あの男”です…目的は不明でしたが、公に姿を現して会見場で何かを発信するつもりです」
エリアスとツクヨミの外交相手同士でしか共有していない情報にツクヨミをしても自体急変を要する何かが起きようとしていた。
そんな時だった…アキのソウルライザーからGIRLS共通の着信音と共に画面にはピグモンのアカウントアイコンが表示されていた。
「ピグモンさんからだ…何だろう?」
アキは少し電話しますと伝わるジェスチャーと共に皆には見えない様に身体を斜めに回して口元とマイクを手で覆いながらピグモンこと岡田トモミからの通話を始めた。
「もしもし、ピグモンさん?」
『あっ、アギアギッ!いま、どちらにいらっしゃるんですかッ!?』
「ええっと、ワケ合っていろいろと色んな事が重なった感じで…それよりどうかしたんですか?」
受話口から聞えるトモミの声はいつにもなく慌ただしい様子であった。
『それはそうと緊急事態なのですぅうッ!!都内のホテルから特生怪獣事案発生、今度は特生怪獣さん同士が大規模な戦闘が発生してしまったようなのですッ!!』
「ええええッ!?」
トモミから聞かされた驚くべき報告内容にアキはその場から大きな声を上げて立ち上がり周囲に居る者たちを驚かせた。
「すっ、すみません……ピグモンさん、話を続けてください 一体、誰と誰が一体どれだけの被害を出して暴れたんですかッ!?」
願わくは特生怪獣第1号としてナンバリングされた実兄にしてその張本人であるユウゴが関わっていない事を願うが…
『事態が発生したのは11時ごろでホテルの最上階から爆発と同時に特生怪獣第1号さんと第4号さんが出現、道路内で激しい戦闘の末に警察と自衛隊まで出動する事態に発展しています!!』
天への願いは無慈悲にも拒否された。『ウチのかぁあ~!』と額に手を当てて項垂れるアキは事態を重く受け止めて受け入れざるを得なかった。そんなアキの苦悶の表情を心配してかアイカは『アキさん、大丈夫ですか?』と心配してくれていた。
「ええっと、そこにGIRLSの怪獣娘さんは誰か向かっているんですか?」
『レッドたちがたまたま居合わせていたため現場には一早くGIRLSが到着して、すぐに自衛隊の指示で現場からは追いだされてしまったらしいのですが…レッド曰く第4号さんを自衛隊に、第1号さんは自ら警察に自首と言いますか出頭と言いますか…とにかくご自分の意思で警察に連行されたそうなのですぅうッ!』
事もあろうにユウゴの方が警察側に連行されてしまっていたことにアキは石化の如く固まってしまった。
『アレッ?アギアギ?アギアギッ!?聞こえていましたら、城南警察署にその第1号さんが任意同行しているそうなのでGIRLSとしても初の怪獣娘以外での怪獣能力保有者との接触なのですッ!私はレッドたちと合流しますのでアギアギも手が空きましたら城南警察署まで来てください!!』
そう言ってトモミの方から通話が途切れて受話口からビジートーンが鳴り響く…
「あッ、アキさん?…本当にどうしたんですか?何か大変な事でも…?」
「……おっ…おっ、お兄ちゃんが……特生怪獣第1号として警察に出頭して!自首して!懲役刑だぁああああッ!!」
「ええええッ、唐突に何でですかッ!?さっきの電話で何があったんですか!?」
あまりの衝撃的事態にアキの言動は不明瞭になるほどの壊れを起こした。
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―城南警察署・取調べ室―
そこは本来、人間である容疑者と人間である署内の警察官たる刑事課の刑事だけが向かい合って人間同士の顔つき合い証言を得る場のはずだった。
「……本事件に置いて君が行った…いや、失礼…君たちが起こした破壊的行為において何か申し開きは在りますか?」
「……正当防衛だ…俺になんの落ち度もない」
「……そうですか…失礼、自己紹介がまだだったね 特定異常不明生物対策課強行捜査班の前原です」
「自分は木城です 先に本件の一切の証言は証拠品として扱われるためこちらの“供述調書”にサインをお願いします」
取調べ室には2人の対応人員として選定された木城と相対して座する前原が向き合う…しかし、相手となる事件の重要参考人…否、“人”と形容するにはあまりにも異形、異界な存在が前原と木城を前にして同じく“尻尾”にて同じ姿勢で座していた。
「……この調書には俺が主犯であるかのような文体裁が起債されている…この取調べには任意同行で従ったはずなのになぜ俺が『自分が犯人です』と言い切るような書面にサインする必要がある 刑法第198条、自己の意思に反する供述は不要のはずでは」
前原も木城も無表情ではあれ、内心相対するこの等身の怪獣に対して180度見解が変わるほどに言葉の通じ合い具合…オマケにハッキリと本取り調べに対して法的な拘束性の無い点を付いて物事をハッキリと意思表示する様にも驚かせた。
「……これは失礼しました…調書のサインは確かに不要です…こちらの不手際である事は認めますが、警察も事件の重大性に対して配慮の欠ける“横着的”な部分がある事は認めます……しかしながらコレがウチの署のやり方で、私も公務経験上のやり方が定着して長い故に着眼にも至りませんでした……木城くん、この供述調書は下げてもらってくれ」
「…はい、ですが調書記録は取らせていただきます」
そう言うと木城は下げろと言われた供述調書を机から下げて自分が座する記録席に着いてこれから始まる取り調べに対する供述記録をノートパソコンに書き出し始めた。
●城南署 第5取調室
第57号特異不明生物事案供述記録
○供述対象:特異不明生態怪獣第1号
(以後。第1号と呼称するものとする)
1. 前原「名前とご職業は?」
2. 1号「個人的情報に関することは黙秘を通す…あんたららしくなんちゃら怪獣第1号とでも勝手に呼べばいい」
3. 前原「――わかりました…では、本署の広域指定呼称に従って特生怪獣第1号さん改め1号さんと呼ばせていただきます」
4. 1号「勝手にしろ」
5. 前原「では1号さん…本日11時頃に発生した怪獣能力者同士の戦闘に置いて広域指定捜査対象に指定されていた特生怪獣第4号とあなたが一般市民や一般車両が往来する国道内にて大きな破壊騒ぎを起こしたのはあなたで間違いありませんか?」
6. 1号「こちらは寧ろ襲われた側だ…寧ろ被害者な方だと自認している」
7. 前原「それを証明できる方、ないし証拠は提示できますか?」
8. 1号「その場には怪獣指導機関の連中がいたはずだろう、状況証拠であり目撃証言でそいつらから聞き出しな」
9. 前原「それは追々に…ですが、この場で簡易的に提示し、証明できない以上はあなたには参考人としてではなく、より重要度の高い“重要参考人”として間違いのない証言を願えますでしょうか」
10.1号「あんたら次第だな…アンタも、記録しているアンタも…そこのガラス越しでこの状況を見ているアンタらにも…だ」
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ガラス1枚向こう側には初の怪獣娘以外での重要参考人として任意同行してきた特生怪獣に対して併設する待機室には城南署の刑事たちがこれでもかとギリギリの人数が待機室内で中の様子を眺めていた。
「…意外と…受け答えしていますね」
「驚いたでござるよ…怪獣がモロに喋っている事もそうでござるが…なんと言うか…その~…」
「恐ろしく…文明的で人間的な感受性と思考を持ち合わせていますね、あの怪獣能力者」
言葉に表現しづらい取調室内の怪獣能力者に対して言葉が詰まる沖田や後藤に代わって同部署の刑事の照美が個人的主観と表現力を行使して“人間的”と特生怪獣第1号をそう評価した。
「確かに…怪獣娘とは違ってやけに物事を的確に突いて有無をハッキリ分けている…成熟した大人でも、ここに居る俺達でもそんな風には出来る自信がねぇよ」
「アンドロイドも決められたプログラムに従っているだけで個人的感情を有している様に見えていても高度な感情思考表現はプログラム上の再現に過ぎないですからね」
同部署の葉岐土と坂本も第1号の人間的な面を目の当たりにして怪獣に対する見解がねじ曲がりそうな光景であった。
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取調べ室では既に着実に特生怪獣第1号に対しての事情聴取から得られている聴取内容もまとまりを見せ始めた。
「では、次に現在日本国内で確認されている女性だけが変異する特定不明生体変化能力者 通称『怪獣娘』とあなたもとい他の特生怪獣は同一ないし同様の現象と称しても間違いありませんか?」
「…アンタはポニーとサラブレッドの違いも理解できないほどに眼鏡がないのか」
言葉に語弊あれハッキリと自分と怪獣娘が違う存在であると明言してきたことに取調べ記録が走る。
「なるほど、アナタと彼女たちは違う“種族”と申されるのですね」
「種族うんぬんは知らんが怪獣の能力を有するグループ群と言われれば否定はしないが…俺から言わせればアイツらは“不完全”だ」
「不完全…?…なぜ、ですか?」
「言った所でアンタのような人間中の人間には理解できんさ」
前原には懸念があった。明らかにこの取調べのイニシアティブを目の前にする驚異的な生命体に絶妙な加減で情報のプロテクトをかけられていることに長年の刑事としての感覚が“厄介な相手”だと警戒を強めた。無論、それは一切相手に悟られない様に表情では出さない。このタイプの人物像は極論で言えば『完璧なる形成者』だからであった。
「……貴重なお時間と貴重な経験をありがとうございます、なかなか参考になる事ばかりです」
取り調べにおいて対面する相手が持つ情報は無理に引き出させようとはせず、こちらに敵意を向けさせない事が何よりも重要視される。
「…礼を言われるほどのことはしていないつもりだが?」
「いえ、あなたと御話している内にどうやら私はあなたを人間ではない存在として私自身があなたと私で区別していたようだ…しかし、腹を割って話して見れば驚くほどにあなたが聡明で理知的な方の様であることに少し安堵していますよ」
しかし、前原にはわかっていた。おそらくこの実態不明の超生物が起こした事も今現在の日本政府であろうがどこの国にも彼らを何かで縛り、行動を制限したり、罰則を与えれるような法律はどこにもない。
この取調べもゆくゆくは無意味な任意の事情聴取で終わる。例え『公務執行妨害』で強制的に彼を留置させても署内の留置所に彼は拘束されない。否、寧ろ日本政府がそれをさせないであろう。
『ケイ、そろそろタイムリミットよ…本庁はおろか警察庁を飛び越えて永田町の連中が“超法規的措置”を取って来たわ』
前原の耳に装着された無線通信のイヤホンから上司の反町課長から署に政治的な圧力がかかってきたことが伝わった。
「特生怪獣第1号さん、お時間を取らせていただいて申し訳ありませんでした 署員がお外までご案内をいたしますので――」
「…なぜ、みすみす俺を取り逃がすように誘導する?」
「はっ?」
思いもよらぬ返答がゴジラの口から出た。
「アンタら警察にこの俺を相手にした取り調べを“政治的”な要因でアッサリと手放しをする…法治国家としての警察機構が果たしてそれでいいのか?」
見抜かれている…どころではない、それはもはや“傍受”されていると言ってもいい返答に前原は無意識に無線装置が隠れるスーツの内側に表隔てて手が添えられていた。
「安心しろ、お前たち警察のメンツも潰さず、この国の政府連中にとっては“のっぴきならない”事態にしてやろう――敵役には少し覚えがあるものでな」
「何を言って…――」-ガクンッ!?
「前原さんッ!?」
自分から立ち上がっていた前原が突如糸の切れた人形の様に机や椅子よりも膝の位置は床に付き、姿勢はゴジラや木城よりも低い、この取調べ室内の誰よりも低く膝が落ちていた。
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異常を検知したのは取調べ室外の後藤たちであった。
「前原どのッ!!一体何が起きたでござるかッ!?」
「待って下さい!!」
今にも取調べ室内に入ろうとした後藤を沖田が肩を掴んでまで引き止めた。
「早急に前原どのたちを部屋から出すでござるよ!あの怪獣、前原どのに何か仕掛けているのは明白でそうろう!?」
「そうじゃないです…100、200、300、ヤバいヤバいットンデモなくヤバいですってッ!!」
「どういうことでござるか、沖田どの?」
「あのデカトカゲ、既に1000を超える放射性モニタリング数値を超え切っているんですって!!」
「そっ、それって…どのくらいヤバいでござるか」
「ビキニ環礁での水爆実験後に観測された放射能数値は2000から3000ミリシーベルト…です」
全員が固唾を飲んで後藤が再度聞き返した。
「――と、言うことは…あそこにいらっしゃる怪獣は…」
「…歩く…核融合放射性物質…」
それは…歩く核爆弾と同義であると言う最悪の結論だった。
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城南署内・警務課受付
「だ~か~らッ、怪獣娘の引き渡しは以前からウチで扱ってきただろうがッ!!なんで特生怪獣に関する情報が俺たちの方に回さねぇんだよ!」
「そういわれましてもこちらでお答えできることではございませんので…なにぶん上の判断ですので…」
署内の1階では警察側に自ら連行されていったゴジラの後を追って怪獣娘たちを代表してベニオが警務課の受付の婦警に再三GIRLSでの未確認の怪獣娘の保護と同様だと訴えても『判断しかねる』の堂々巡りであった。
「でしたら、こちらで配属されていらっしゃる…ええっと、特異生物対策課の前原さんと御話できますでしょうか?」
あとから駆けつけ合流したトモミは以前アンジェリカとの一件で知り合いもらっていた名刺をポーチから取り出して婦警に見せた。
「申し訳ございませんがその方は只今署内に居ますがご対応できない状況でして…」
結局またしても対応不可であしらわれるばかりであった。
「――な~んか、嫌な感じがするわぁ~」
「何がですか、ゴモたんさん?」
背筋から湧き上がるこれまでにない不穏な気配に敏感なまでに気になり始めたミカヅキはこの意にもしがたい言葉だしも出来ない状況に違和感に気づいた。
「いやなぁ、今までウチ等がやって来たことってさぁ…怪獣娘の保護、シャドウとの戦闘、その他いろんなコンテンツ事業での啓蒙活動…ここ最近まではソレがGIRLSの仕事やったのに今となって急にウチ等以外の誰かがそれを肩代わりし始めた感じがするぅ~って話なんよ」
「ええ~ゴモたん難しい話してる?あたし、よくわからないよぉ~」
珍しく理知的な話をミカヅキの口から聞かされたミクは頭を抱えて髪をかき上げた。
「今、警察に捕まっとる黒いトカゲちゃんに自衛隊が連れて行っちゃったあの銀色の機械トカゲちゃんも…何ならそれよりも前からウチ等の知らん所で知らぬ間に事が起きている感じが妙に引っかかるんよなぁ~、ウチ…」
「確かに…そう言われて見れば、GIRLSとしての出番の範疇には無い事件とか最近頻繫していますけど…」
「思うにウチはコレ、アギちゃんがものすっ~ごく重大な何かが関わっとると思うんやわ」
「アギちゃんが~?」
ここ最近に起きた出来事に対してミカヅキは怪獣娘アギラこと宮下アキが重要な何かを秘めていると確信付ける何かが過っていた。
そんな会話の最中…
――緊急事態発生!!――緊急事態発生!!――
――署内に基準値越えの有害物質が蔓延中!!――署員は速やかに署外に避難してください!!――繰り返しますッ!!署内に――
耳の鼓膜に突き刺すような激しいブザー音と共に城南署内で発生した異常事態に対して署内に居る署員や来署者含め全員が緊急脱出の波となって慌て出て来た。
「わわわッ!?なんやねん!なにごとや!!」
「ゴモたんさん!ピグモンさん!レッドキングさん!!」
「先輩ッ、なにが起きてるんっすか!?」
「分からねぇよ!なんだか知らねぇけど俺たちも一緒に外へ出るぞ!」
怪獣娘たちは署内から溢れ出る人波に流される形で外へと出ると…署外を囲むようにイエローテープの立ち入り禁止規制線が張り巡らされて大事件でも起きたのかと思えるほどの野次馬と報道関係者が専用の中継車両まで持ち出して現地中継を始めた。
『…――先ほど警視庁の城南警察署より基準値を超える放射性モニタリング数値が観測され、ご覧いただけます通り警察署の周りには機動隊が集結し始めている様子が伺えますが、現時点で詳しい状況はまだわかっておりません――』
テレビ局のアナウンサーとカメラマンが中継する報道関係者の横を慌ただしく往来する警視庁の機動隊の化学防護隊を始めとしたNBCテロ対応専門部隊が防護服を着用した状態で普段では見慣れない装置や薬品を積んだタンクなども背負って署に向かって行く様子が伺えた。
「なんやトンデモない大事になってきたやん…」
「有害物質ってあの怪獣さんから人体に害のある何かが出ていたってことは…私たち、あの方に結構触れたいましたけど大丈夫なんでしょうか」
テレビ局関係者の情報や署内のアナウンスで聞いた有害物質と言う恐ろし気なワードに不安げな気持ちが過る中…
「お~い!みんなぁ~あ!!」
騒動を駆けつけて警察署まで来たアキとアイカがミカヅキたちの元まで辿り着いた。
「アギちゃん…と通訳のお姉さん?」
「どっ、どうも…」
「もう何が何だかよくわかんない事になっちゃったよ!!」
「ユウゴさんと桐生さんがホテル内で乱闘し始めたと思ったらホテルの外で特生怪獣さんたちが暴れていて…――」
「状況はピグモンさんから聞いたけど…おにぃ、特生怪獣の第1号は今も警察署内に居るんだよね!?」
「わわわッ、アギさん、落ち着いてください!!」
アキは半ばレイカに向かって詰め寄るようにして両肩を掴み前後に激しく揺すった。
「えらく取り乱し取るやん、アギちゃん…」
「落ち着いてよ、アギちゃん…なにそんな身内の身に何か起きたみたいに取り乱して…」
「ウグッ!…それは…その~…」
騒動の渦中に特生怪獣と呼称されるゴジラがまさかの自身の兄ユウゴであることを隠し通すには無理がある状況だ。
「前々から思っていたけど…アギちゃん、ウチ等に絶対何か隠しとるやろ…」
「ウギュッ!?…べっ、別に…何も…」
普段疑われ慣れていないアキはあからさまに挙動不審であることが分かりやすい。
「退いてください!道を開けてください!!」
GIRLSのみんながアキと合流した地点から群衆をかき分けて署内の刑事たちが慌てた様子で救急隊と合流し始めた。
「前原どの、しっかりするでござるよ!?」
後藤と木城が前原に両肩を貸して容態の悪い彼を救急隊に引き継いだ。
「救急です!わかりますか!?ご気分はどうですか!?」
「…何だか、気分がすぐれない…うぐッ!!」
特生怪獣第1号に取り調べを行っていた刑事の前原は酷い倦怠感と吐き気、更には我慢ならず署の街路樹に吐瀉するほどに重度の嚥下を繰り返していた。
「他にも何人か同じ症状の人がいますか!?」
「いえ、自分はバイオノイドなので有機的な反応はありません」
「この中で重症なのは前原どのだけでござる」
規制線内で救急隊に前原の処置が施される中、群衆よりかき分けてGIRLSの代表としてトモミとベニオが前原たちの元へと辿り着いた。
「刑事さん!前原刑事さん!GIRLSの岡田ですぅ!!」
「危ないので下がってください!!」
警備の警察官に引き止められながらも声を大にして前原を呼ぶ声に前原がトモミたちに気が付いてフラつきながらもトモミたちの元へと向かおうとしていた。
「前原どの、ご気分は!?」
「吐いたら少し楽になった…問題ない、彼女たちには私が…」
そう言って警備中の警察官の肩に触れて敬礼を向けられると持ち場を離れさせて彼女たちと対話が取れる状況を前原は作った。
「どうも、岡田トモミさん…ですね…ご覧の通り、迂闊に怪獣への過度な接触をして痛い目に遭ってしまいました」
「刑事さん……どうして、私たちに任せていただけないんですか!?」
明かに生身の人間である前原には危険すぎる状態にも関わらず怪獣と相対して酷い目に合っていながらもGIRLSへの担当対応が回らない事にトモミは納得が行かなかった。
「そのことに関して私は現場の警察官ですので上からの指示に従うしかないんです…だけど、こんな苦しい思いを君たちの誰にも受けてほしくない、そのための警察なんで…」
前原は震える手をトモミの頭に触れて優しくも温かい手のひらで彼女の頭を撫でてあげた。
「とにかくこれで分かった事もあります…特生怪獣…第1号は…れっきとした“人物”だ、アレは紛れもなく“ヒト”でしたよ」
前原は上への報告よりも先にGIRLSへの情報提供を速やかに伝えた後に後藤達の元へと戻って行った。
「ピグモン……警察官の中にもオレたちをわかってくれる人もいるんだな」
「……そんなこと、前から知っているのです」
前原からの特生怪獣の情報が伝わった後にテレビ局関係者から妙な騒ぎが再び伝播し始めた。
『どうやら動きがあったようです!ただいま、署内から誰か出てきました!!』
既に城南署の警察関係者並びに署員は出払って無人の筈の署の玄関から現れる人影にカメラのレンズ、人の視線、人々の注目が玄関口に向く。
特にGIRLSの怪獣娘たちと城南署の刑事たちは署の中に未だ残っている存在とはすなわち“特生怪獣第1号”のみだからであった。
――ギィイイイイッ……
建付けの擦れる玄関ドアが開かれてついに人影の正体が露わになった。
「すみませーん…免許の更新に来たんですけど、受付 誰か居ませんかぁ~」
まるで間の悪い状況の中にわざわざ免許の更新をしに来たと言わんばかりに署の免許更新記入用紙を持って出て来たのはユウゴだった。
「おっ、お兄ちゃん!なにしてるのさぁ!!」
「ユウくんッ!?」
「「「ユウ…くん?」」」
ソコへすかさず身内のアキとアイカがユウゴの手を引いて下がらせた。
しかし、隠しようのないまでに全群衆の視線、全警察官の目線、全国に向けて報道を続ける報道関係者とそのカメラマンの先に居る視聴者にもその顔はハッキリと映されていた。
「きっ、君は…ユウゴ君ッ!?なんでこんなところに君がいるんだい!?って、アイカもッ!?」
「えっ、兄さん!?」
署内から現れたユウゴに駆け寄ってきた木城は事情を問いただすも…
「へッ!?お兄さんって、この刑事さんとアイカお姉ちゃんって…!?」
「あぁ、アイカのお兄さん」
「ぎょえええッ!?アイカお姉さんのお兄さんッ!!?」
ここへ来てまさかの謝るべき対象第2弾としてアキの目の前にユウゴの交際相手“木城アイカ”のお兄さんである木城キセキがアキの脳内認知にピットインした。
当然、アキが取るべき行動はただ一つ…
『ええ~ご覧いただけますでしょうか…たった今、署内から出て来た男性の御身内の方でしょうか、警察官に向かって…なにやら『申し訳ありません』と先ほどから繰り返して、アッ!土下座です!土下座のような事をし始めました!』
ものの見事にアキの木城に向けた過度な謝罪が全国中継の元に晒される事となった。
「ええっと、とりあえず頭を上げてください…今はそんな事をしている場合ではありませんので……と言うよりもまず君に改めて聞きたいのだが、特生怪獣第1号…アレは君の…」
もはや隠し立てる事の出来ない状況に…ユウゴは…
「とくせい…かいじゅう…何のことだ?」
清々しいまでの白の切り方だった。
「お兄ちゃんッ!?もう無理だよ!さすがに無理が過ぎるよ!!」
アキにも明らかに無茶苦茶な白を切るユウゴに対して頭を抱えた。
「知らんものは知らん…とくせいかいじゅうだかなんか知らんが俺は免許の更新に来ていただけだ」
無茶苦茶な言い訳のオンパレードの最中…
――チュドォオオオオオオオオンッ!!――
城南署の西壁面が爆発して署内から黒い大きな影が数メートル先まで飛び出していくのが見えた。
「…お兄ちゃん……今度は一体なにしたの…」
「おお~…もしかしてアンタらの言うとくせいなんちゃらってのはアレのことか?」
ユウゴの言い訳を現実的なものにするべく起きた署の爆発騒ぎに動ける全捜査員や報道関係者に群衆までもが跳んでいった物体の後を追う形で署に残るはGIRLSの怪獣娘たちとユウゴとアキ、木城の僅かな者のみだけとなっていた。
「えっ…ええっと…ユウゴ君とは妹の紹介で顔合わせていましたが…お初にお目にかかります」
「いっ、いえ、こちらこそウチの兄がご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありません」
前途多難な状況であれ、事がうまいこと運んでユウゴの正体まで感づかれる事なくまさかの乗り切りを見せた。
何とも言えぬこの状況にアキはただ木城と自己紹介し合うことしか出来なかった。
「お~いッ!アギちゃ~ん!!」
「あれ?アイちゃんも…なんでいるんだ?」
群衆に紛れて二手に分かれてしまっていたミクたちとベニオとトモミがアキたちの元へと集まって来た。しかしその場にもそれまでからもずっと姿の見えない者が1人…
「うぃ~す!なんか~全国区にアキちゃんの華麗なる土下座が生中継されてたよ~…そこの家電量販店のテレビに映っとった」
コンビニ袋を抱えて多数の酒類ツマミ類を購入して1缶チューハイをキメてやって来たのは天城ミオだ。
「ううっ、もう隠し立てできないけど…お兄ちゃんの彼女さんとそのお兄さんです」
「えっと…どうも初めまして、ユウくんとお付き合いしています…木城アイカです…」
「その兄の…キセキです……なんで自分まで…」
その衝撃は千差万別、目を丸くして驚く者たち、気が動転して後ろに倒れる者、再びもう1杯飲もうとした缶チューハイを握りつぶして飲み口から噴水の如く噴出させる者、一応に皆衝撃的である事は間違いない。
「オ~マ~エ~かぁあ~~~!!」
特にミオは露骨に歪な感情を露にして、嫉妬に狂い、狂気のオーラが地面を陥没させた。
「ええッ!?ちょっと何、この人!?なんでこんなに怒ってらっしゃるの!?…ウッ!?」
ワケの分からないアイカはミオの迫力に気圧されながらも…彼女の腰にユウゴの手が回り、引き寄せられてユウゴの胸元に手が触れる。
「俺の彼女に…何か文句があんのか?」
火に油ではない、可燃性物質にガソリンをぶちまけた。
「くぁwせdrftgyユウゴxoooo!!」
「ダメですってミオさん!!」
「気持ちはわかるけど落ち着いて!」
「アカンッ!なんか知らんけどレッドちゃんが気を失って使い物にならん時にィイイ!!」
当然、ミオは烈火の如く感情が露になり爆発するもミカヅキたちに取り押さえられた。
一方の頼りのベニオは…
「ピグモン…オレはもう十分生きた…そっとしておいてくれ」
「よしよし、なにかはわかりかねますが…何となく慰めておいてあげますから…レッドンにはヨシヨシのイイコイイコなのです」
聖母の膝に眠る昇天寸前の歌川ベニオ、怪獣娘レッドキングの姿であった。
・
・
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―…一方その頃…―
「何でござるかコレッ!?」
警察署から数十メートル先のビルに落ちていたのはタイヤゴムと金属製ホイールを引き延ばして怪獣の形に整えた即席の人形であった。この後に城南署の警邏車両のタイヤはものの見事に外されていたのは言うまでも無かった。
アンバランス小話
『ビーさん歩:北海道(札幌)編』
光の速さで瞬間移動の旅、本日は北海道より札幌市を電波怪獣ビーコンことビーさんと共に回って行きましょう。
※都合によりビーコンの姿は特殊電波にて無口な人間に見えています。
[ファースト サッポロクロックタワー]
まず初めに訪れたのは札幌市内の中心に時を刻む時計台『札幌市時計台』正式名称は“旧札幌農学校演舞場”、明治初期の頃に立てられた開拓拠点から始まり本格的な北海道の街の礎を刻み続け、政府より海外からの開拓顧問を招き後に農学校へと教育の場となり札幌を始め後に北海道全域の開拓史の始まりとなった場所です。
[ネクスト オールドホッカイドーオフィス]
次に訪れたのは『旧北海道庁舎』、現北海道庁と並び立って赤レンガの外観が特徴的なアメリカのネオ・バロック様式が特徴的なモダンな建築。歴史的にも貴重な時計台と双璧を為して札幌を始めとした北海道各都市の政治、文化、環境を守りながら築き上げた北海道の歴史そのものがその外観からも内観からも見て取れました。
[ネクスト オードオリパーク]
次に訪れたのは札幌テレビ塔の液晶時計と左右のビルとの間が大きく開けて噴水と繋いで一直線に真っ直ぐの道沿いが特徴的な『大通公園』。液晶時計が札幌市の第二の時計塔として愛されるここでは札幌市民の憩いの場。
[ネクスト ススキノ]
北海道のサブカルチャー、ファッション、グルメの流行の地。ここでは特に様々な店舗が立ち並び異色賢覧といった具合にショッピングを楽しむにはもってこいの場所。
そして今宵最後にビーさんが選ぶ北海道伝統のグルメでお別れいたしましょう。
[イート イズ ラムベーコン!!]
本日、ビーさんがいただくのはラム肉のベーコンでした。次回もお楽しみに――