TITANUS‐THE TITAN MONSTRAS‐ 作:神乃東呉
福島県・須賀川駅前
天に拳を掲げて、今にも空へと飛び立つ様を石造の像に落とし込んだ福島県須賀川駅前の『光の巨人の像』を前にして3人の男女が並ぶ。
「…アキちゃん、もう少しだけユウゴ君の方に近づいて は~い、撮るよ~」
パシャリとシャッター音と共に撮らえたアキとユウゴ、そして蛇塚ミカミは何故か福島県の須賀川市内を訪れていたが…
「イヤッ、観光をしに来たんじゃないよねぇ!?」
「なぜ私まで写真を…?」
「……若干、複雑だ……」
思わず観光気分に騙されかけたアキ、その流れですっかり観光客化していることに気付く蛇塚、そして…『光の巨人の像』を前にして複雑な感情が過るユウゴの三人は自分について来てほしいと頼んだ張本人であるミオを問い詰める。
「またまた~、そう言って東京駅から最寄った郡山で散々観光したじゃないのさぁ~」
「それは!……ミオさんが目的から脱線したせいじゃん!!」
そうは言ってもアキの両脇には抱えられるだけの買い物袋が明らかな福島観光の痕跡を手提げていた。
「お前ら二人揃って馬鹿か…んでだ、ごくつぶし探偵 わざわざここまで来たと言う事は…大方の目的地は“あそこ”だろう?」
「フフフッ、さすがユウゴくん…察しがいいけどまだまだ推理の詰めが凍天の如く甘いようだねぇ~」
「凍天って?」「凍もちをドーナツ生地に包んで揚げた福島県のお菓子です」
やけに胸を張って考えが甘いと豪語するミオに対して若干のムカつきが込み上がるユウゴだったが…次の瞬間、その立場は大いに逆転する。
まず、ミオは両膝から崩れる様にして両の膝を躊躇なく地面に付け、両手もさらに八の字型に揃えてソコに彼女の額が両手の先に触れて地面と額の間に手を挟んで深々と頭が下がる。
「お願いしますッ!彼氏のフリをしてくださぁーあぃいッ!!」
「あぁ?」
「えええええええッ!?」「あらまぁ」
天城ミオ(2●歳)、地球に飛来して最初に『光の巨人』と交戦した怪獣ベムラーの魂を宿す怪獣娘にして観測史上初の怪獣娘第一号となった彼女は…今、宿敵である光の巨人の石像を前に自分より年下の青年に対してプライドの一切も無い土下座をかましている。
「話が見えん…公然の面前でお前は何言ってんだ」
「見りゃわかるでしょうがッ!土下座よ、土下座ッ!」
「お前の土下座なんぞ見飽きた」
だが、ミオの誠意ある土下座はユウゴに一切響いていなかった。
「ちょっ、ミオさん…こんな道の真ん中で恥ずかしいからやめてよッ!」
「すみませ~ん…」「ちょっと、よろしいでしょうか?」
「わわわッ、違います、あの、そのッ、特殊な趣向を持った人たちとかじゃないですからッ!――」
あわや最寄りの交番から警察官が心配になって近づいて来るもアキが何とか説得して引き止めていた。
「フンッ…じゃあ、俺の予想通りなら 大方は見栄を張って地元の何某どもへ東京での生活を大きく誇張し――」
「ウッ!」
「――同級生に少しでもイニシアティブを取りたくて充実した生活を見せつけたくて――」
「ウッ!ウグッ!!」
「俺を…その彼氏とやらに仕立て上げたいと言う魂胆で平然とこの公共の場と言う逃げ場のない所で醜態を晒したってところか、阿呆」
「ウゲブッ!?」
一言一句、間違いのない鋭い推測は的を射ているようだった。
「図星…の様ですね」
「お兄ちゃんッ!なんでもいいからミオさんを起こしてあげてッ!!このままだとミオさんが借金取りに土下座させられているんじゃないかって警察に疑われているからッ!!」
「ちょっと、君たち…交番まで寄ろうか?」
「こちら須賀川駅前、20代女性が全身黒の190センチ台の男性に土下座を強要され――」
交番の警察官の疑いはますます強まって今にも応援を呼ぼうと無線機に報告し始めていた。
すると、そこへ…1台のステーションワゴンが駅前の車道脇に停車して中から中年男性が出て来た。
「いや~ッ、お待たせよっとよぉミオ…この時間の道は大分混雑してぇ…い…てぇ……エッ?どういう状況ッ?」
中年男性の目の前では全力で婦警に弁明を繰り返すアキと蛇塚、応援に駆けつけて来た男性警察官4名が総がかりで押さえようとする中で一切微動もしないユウゴ、未だ土下座が解くことが出来ないミオと場は騒然としていた。
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誤解が解け、四人は中年男性のステーションワゴンで何とか須賀川駅前から離れる事が出来きた。
「いんや~、一時はぁどうなるかど思ったけんど…ナイスタイミングだ、叔父んさぁ」
「だけんどミオさ、あんげなトコでおまわりさぁ迷惑かけんちゃあいけんど…おまわりさぁ、心配しとっだど」
独特な訛り方で会話する運転席の男性と助手席にミオだけにしか伝わらない会話はアキたちを後部座席に居ながらも会話に入れそうになかった。
「お兄ちゃん、二人は何て言ってるの?」
「知らん、福島の山奥でしか通じない言語だろう」
「あぁ、もうじおぐれ…ンンッ!! 申し遅れました、うちのミオがいつもお世話になっています 私はミオの叔父です」
「えっ、あっ…どっ、どうも…」
気を使って標準語で話しかけてくれたミオの叔父はミオが普段から“色んな意味”で迷惑をかけている者たちに物腰低く挨拶をしてくれた。
「それで、皆さんはミオとはどんな御関係で?」
早速ミオの叔父から尋ねられてきたミオとアキたちをどのような関係かと尋ねられても…助手席のミオは無言で『分かっているよね!口裏、合わせて!お願い!』とジェスチャーで懇願するも…
「えっ、ええっとですね……うっ、うっ、ううっ、ウチの兄がいつもお世話になっております!!」
「ハァッ?」
アキは説明を放棄した。度重なる警察への弁解で説明疲れからユウゴよりミオの主張通りに話を進めた。
「せっ、せじゃせじゃ!叔父さぁ、こんげな子があいの彼氏よ!」
「たまげった!あんのミオにこげーな彼氏さぁできるたぁ…今日は槍が降るでねぇか?」
「やんだぁもぉ~叔父さぁってば、東京さ住んでたら彼っ氏ぃの一人や二人なんかホイホイもんさぁ~、ねぇ~ダーリンッ♡」
「あぁ?誰がダーリンだ…もがッ」
ユウゴがこれ以上の失言をしない様にアキはユウゴの口を塞いだ。
「はっ、初めまして…私は蛇塚ミカミです」
「ボッ、ボクは…国際怪獣救助指導組織に所属している、宮下アキといいます こっちのミオさんの…ウグッ…彼氏さん…は、ボクの…兄です」
「……俺は名乗らんぞ」
アキは自分自身の口で言う事に抵抗が込み上げるも自分自身の理性より感性を優先して感情を押し殺した。
「へぇー、あの有名なGIRLSさんの…んっ、宮下?」
ミオの叔父はアキの名前を聞くと『宮下性』に引っかかった。
「宮下って…ミオの主治医さんの名前も『宮下』ばねぇーけ?」
「えっ?」
アキはミオの叔父から自分とユウゴの性名と同じのミオの主治医なる人物と同性であることが明かされた。
「うんッ、アキちゃんとダーリンのおっ母さはミカンのお姉さんだぁ…東京で出会っただぁ」
「ほんげぇ~…ミオさ、いつも言ってただ『ミカンのお姉さん』のお子さんでげぇか」
「どっ、どういうこと?ミオさん」
「まぁまぁ、もうじき着くから…向こうで話してあげる」
そう言うと車道の外から『ようこそ!ウルトラ作戦第一号の地 竜ヶ森へ』の看板が目に飛び込んだ。
「アキちゃん、ようこそ!私の故郷 竜ヶ森へ」
アキたちを乗せるステーションワゴンが入った町はかの有名な光の巨人“ウルトラマン”が初めて降臨して宇宙怪獣ベムラーと交戦した地で知られる『竜ヶ森市』であった。
竜ヶ森市は町の向かいにある周辺の山々に囲まれた“竜ヶ森湖”から南西部に居を構える構造となっており市の全体は竜ヶ森湖を6割と占めるほどに町全体は湖の面積よりも少ない程であった。
「ほへぇ~…ここがミオさんの生まれ故郷――」
「そっ、町もあんまり変わっていないけど…かの有名なウルトラマンとベムラーが初めて戦い合った場所ってことで町中がそれを商売してるようなもので如何にも商売っ気満載の町って感じでしょ」
ミオの言う通り…町中の至る所が光の巨人ことウルトラマンを推し上げるかのような商売性が感じさせられた。
「よかったら役場までご案内いたします…皆さんも長旅お疲れでしょうからゆっくりして行ってください」
「はっ、はい…」
一行を乗せたステーションワゴンは町全体を見下ろせる傾斜地に位置する役場であった。
―竜ヶ森市役場・駐車場―
「…たしかに町よりも湖が大きい」
「そうでしょ、アキちゃんもGIRLSなら知ってのとおり…その向こう側にはあの御徴川を通して竜ヶ森湖を繋いでいるの」
アキも当時の資料を見返して把握はしていたが怪獣娘の発見の場所である“御徴川”は確かに竜ヶ森湖に向かって流れているのが見て捉えられた。
「…あそこで…『御徴川決壊事件』が起きたんだね…」
「…そう、その時の怪獣娘の取った行動がちみたちGIRLSを発足されるに至った功労者なのら…感謝してもいいよ」
ミオは鼻高らかに恩着せがまし態度を取るも…普段のミオを知るアキには『昼間からお酒を飲んでまったく仕事をしない変な怪獣娘』としか思えず感謝の念など一つも湧き上がらなかった。
「さぁ~てと、ミオさんの叔父さんとこ行こ~ッと」
「えっ! 無視ッ!?」
案の定、無視を決め込まれたミオは叔父とユウゴと蛇塚の“ザ・まともな大人”の輪へとアキに逃げられたのであった。
―竜ヶ森市役所・役場集会所―
「ミオちゃんッ、おけえりぃ~!!」
「竜ヶ屋のおばあちゃん!久しぶりぃ~、調子は大丈夫なの?」
「ミオちゃんが東京から来るって聞いたんさ、居てもたってもよ…ほら、みんなも来てくれたんよぉ」
「「「ミオちゃ、おけぇりぃ!」」」
ミオをよく知るおばあさんからミオと同世代の女性や町の中高年層の殆どが東京からやって来たミオたちを歓迎して役場集会所はちょっとした宴会場と化していた。
「ほげぇ~…東京もんさ、な~に喰っだらこなにデレ~くなるだ?」
「突然変異だ」
ミオの付き添いで同行していたユウゴとアキと蛇塚も町のみんなに囲まれて興味を持たれていた。
「ミオちゃ、ミオちゃッ!アレがミオちゃの彼氏っけ?」
「えっ?…えっ、えへへ~…わかっけ?」
「当たり前よ~!ええいなぁ~、あ~んなエエ男さ町の男にゃおらんど」
「東京さ、あげーなエエ男ばかりなんか?」
ミオは早速同級生にユウゴの事を尋ねられ照れくさそうにするがその様子を見かねたユウゴの苛立ちは頂点に達した。
「ほいで、兄ちゃんはミオちゃんとはどこまでの仲なんじゃ?」
「出来る事なら永遠に断ち切りたい腐れ縁だ」
「仕事さ、何をしとるに」
「自宅近くでバーをやってる 飲料提供のみに絞りたいのにどっかのバカどもが勝手に食材を持ち隠してくるからバーと言うより飲食店へと成りかけている」
町の中高年男性たちの質問攻めにも難なく受け答えするユウゴだが…
「あっ、あの~…皆さんの中で、『宮下ユウナ』を御存じの方はいませんか?」
「あんれ?嬢ちゃん、ユウナ先生のお知り合いけ?」
アキはユウゴの周りに集まる中高年男性の中から母ユウナのことを尋ねると…そのほとんどが母を知っていた。
「その…宮下ユウナはボクの母でして…」
「な~んだ、嬢ちゃん…ユウナ先生の娘さんけぇな」
「ユウナ先生はエエ人じゃったよ…ウチのばあさんもお世話になっただ」
「ウチの息子連中もよー診てくれたなぁ~…この町の殆どはユウナ先生には感謝しとるんよ」
「ほっ、本当ですか…」
驚くことにここにいるすべての町民は母ユウナの献身的な診療で救われた者ばかりであった…が…
「だども、ユウナ先生であってもとんでもなく苦労を掛ける赤子が居てなぁ…」
「えっ?」
「そうそう、あんなエエ人には悪いが先生の子にとんでもない怪獣がおってなぁ」
「えっ、えっ!?」
「あんの怪獣小僧…ユウゴ! 先生に迷惑かけるならいざ知らず、なにかしら大事を引き起こすバケモンやったわ」
(ええええええッ!?)
かつてこの町に常駐していた医師の宮下ユウナを悩ませる怪獣小僧と言う実子がいる事を町中の中高年男性は皆が知っていた。
当然、それはアキもよく知る人物であるし…何なら今皆が見上げているそこの大男こそ…その怪獣小僧“だった”ユウゴ本人である。
「あの怪獣小僧は御徴山から目を放した隙にイノシシを一人で狩っちまうトンデモねぇ小僧じゃったなぁ~」
「お~ぉ、覚えとる、覚えとる…大角のシカを引きずって持ち帰ってきたことさアッタなぁ!」
「一回、リュウガヤマメを絶滅させんでねぇかって量を平らげて竜ヶ森湖の一帯からリュウガヤマメさ数が減ったべさ」
「なんより先生も手を焼いて町中で暴れ回る小さな怪獣だっぺよ、アリャ~」
千差万別に竜ヶ森市を荒らしに荒らしまわった“小さな怪獣”が齎した災厄は町の人々の記憶にしっかりと宿っていた。
それをまざまざと聞かされたアキは絶句して言葉は出ず、当のユウゴ本人は…何も感じないどころか反省の色などなかった。
「先生のお子さは男ん子やったはずじゃが…おんさの兄さじゃねぇべか?」
「えっ、えぇ、えぇッ!もちろんです!そっ、そうですか~…母は兄に…すん~~~ごぉ~~~く手を焼いていたんですね!?」
「んだ、あんの怪獣小僧ば今はどーしとるっぺ?」
「あぁ?ここに…」
「いませんッ!いませんッ!!断じてこちらになんか来させませんので御安心してくださいッ!!」
アキは今にもユウゴ自らがその怪獣小僧だと明かしそうになったユウゴの背中を押して外に連れ出した。
息を切らしながら役場の外で眠そうな目と揶揄される目つきは鋭く吊り上がってユウゴを睨みつけた。
「どーーゆう事なのさッ!怪獣小僧って…お兄ちゃん、この町になにしたのサぁ!?」
「あぁ?知らねぇよ…ガキの頃つってもここに居た頃なんて1歳になるかならねぇかくらいの頃だぞ、覚えてねぇよ」
「でも、町の皆さんはめちゃくちゃ覚えているじゃん!悪いことばかりッ!!」
「知らん」
アキは額に手を当て目元を覆い隠した。
「はぁ~…お母さんの苦労が身に染みてくるよ」
「それも知らん…大体お前こそ俺とお袋がどんな関係だったかくらい誰よりも覚えているだろうが…」
言われて見ればユウゴと母ユウナの関係を思い浮かべると…仲の良さ事態ユウナは思慮深く愛情に満ちた人だがユウゴはその一方的な愛を拒んでいた。
「……お兄ちゃんは…お母さんのこと…嫌い、だったの?」
「……好むような親ではなかったのは確かだし、お前の前から居なくなったのもお袋と俺の仲違いが原因だしな」
アキは涙目に浮かぶ表情をユウゴに向けていまでも変わらない母への想いをユウゴにぶつけた。
「ボクは今でもお母さんの事が大好きだよ!…お兄ちゃんとお母さんの間に何があったかなんて知らないけど…お兄ちゃんはどうしてお母さんの事になるとそんなに薄情でいられるの!?」
「……俺はお前の様にいつまでも居ない親の事を引きずるヤツじゃねぇからだよ 親の愛情がどうのこうのなぞ、俺の知った事じゃねぇ アキ、俺がなんでアイカを選んだか、わかるか?」
ユウゴは現在交際中の木城アイカを引き合いに出した。
「――…なんで?」
「…“宮下ユウナ”じゃないからだ…お前は愛情を注いでくれる存在を同一視するが俺から見ればお袋とアイカは別々の女だ、だから愛するよりも信頼できるアイツを俺は選んだ それだけだ」
ユウゴはアキに見せつけるは“大人としての感性の違い”だった。決して今のアキには持ち得る事の出来ないユウナとは違うベクトルの物の考え方だった。
「……―わかった じゃあ、ボクは町の人たちにこれ以上お母さんの事は聞かないよ…何となく、お母さんが町の人たちにどう思われているのか分かっただけで十分だよ でも、今日お兄ちゃんはここに居ない!お兄ちゃんはあくまでミオさんの彼氏役を徹してあげて」
「それはだけは絶対に阻止させてもらう」
「なんでッ!?」
「アレの交際相手だと思われるなど恥の何者でもない…俺は聞かれたら正直に洗いざらい答えるぞ、俺はアイツの彼氏じゃねぇ」
「ボクだって怪獣小僧の妹だとか思われたくないよッ!」
互いに一歩も譲らぬどちらと捉えられることを拒み合う中、役場の中からひょっこりと蛇塚が顔を覘かせた。
「御二人供、御話し中にすみません…こちらに御手を御貸しいただけませんでしょうか」
「へぇ、どうかしたんですか ガーゴルゴンさん」
「それが…天城さんが皆さんとの談笑で盛りに盛り上がってしまい…――」
蛇塚の表情はやけに後ろめたさのある顔つきにアキとユウゴに嫌な予感が過り始めていた。
集会所は故郷への帰郷者を称えんばかりに飲めるだけ飲み、語るだけ語り明かす場と化して…――
「あぁ~、あぁ~、ミオや…そげーな飲み方をしたらいかんてぇ…」
ミオの叔父は心配気にミオを気遣うもミオの酒乱の性分は収まることなく…
「んッ、ンッ…ングゥ~~~ッ…プハァ~~ッ!やっぱ福島のお酒は格別にゃのら~~ッ!!」
「おお~ッ、さすがミオちゃ!それでこそ東京の荒波を生き抜いた御な子じゃ…ささッ、グイッと飲み飲みぃ!」
その語り合いの中心には泥酔したミオは赤面させるほどの紅潮が顔に現れ、見ればわかるほどに酔っていた。
「……何やってんだ、お前」
「ンンッ~!だ~れかと思えば…愛しのダ~リンではねぇが……ヒッグ!」
ミオはユウゴを視認するなりふらつく千鳥足で酒瓶1本の日本酒を瓶ごと豪快に口付けて、ラッパ飲みを披露した。
「ミオさん…そんな一気にお酒を飲んじゃ…」
「うるしゃ~いッ!!…あたすは、ダーリンに物申すッ!!」
「誰がダーリンだ、酔っ払い」
「いいか、よく聞け!!…お前にとって、あたすはなんだッ!!」
とうとう皆の前でユウゴにとってミオがどんな存在なのかを問う様な質問を酔った勢いで聞いてきたが…
「あぁ?…あー、以前お前にお袋の代わり的な存在くらいとか言ったが…それがなにッ」――ゴスッ!!
「答えになってにぁ~~~い!!」
「んなぁッ!?」「あらまぁッ!?」
曖昧な答えを返したユウゴに向かってミオは空になった酒瓶を投げつけて…投げた瓶底はユウゴの額に激突し、宙を舞って再び上向きになったユウゴの額の上に瓶底が乗り、見事なまでの着地が決まってしまった。そして、場は驚く者が殆ど、目を丸くするアキ、口元押さえて驚く蛇塚…しかし、ミオはそれだけに留まらず…
「…ヒッグ…男が女に惚れ、女が男を想うはただ一つ…好きか嫌いかッ、ハッキリ答えんしゃい!!」
曖昧な返事は耳にも入らないとばかりにミオはユウゴの気持ちを端的に知りたいと言う一心だが…
「……今、ハッキリ決まった」
――ピシッ…ピシビシビキッ……バリィインッ!!
ユウゴの額に乗り上げた酒瓶は瓶底からヒビが走り…破片すべてが粉々に粉砕して割れ落ちた。
「――――ぶち殺すッ!――――」
その目は間違いなく憤怒に満ちた目つき…先ほどアキがユウゴに向けた険しい目つきはその比ではないほどに吊り上がった目が上瞼と下瞼の距離をより狭く、目どころか骨格で既に怒りが現れているのではと疑えるほどの憤怒だった。
「ダメッ!!――ソウルライド“アギラ”――」
アキは即座にソウルライザーに指を走らせてアギラに変身するとユウゴの二の腕に掴みかかって両方の脚はユウゴの腰にフットロックを決めてアギラ自身がユウゴへの重しと化して身動きを押さえようとするも…ユウゴは気にも留めず寧ろアギラが自分の胴体にしがみついたままでも憤気が収まる気配がなかった。
「抑えて!抑えてよ!!ミオさんが酔っ払う事なんて日常茶飯事じゃん!」
「いい加減コイツの酒癖の悪さには目に余る…外にあった夏秋キュウリ畑に埋めてやるッ!」
福島県は夏秋キュウリの生産量日本一である。
「おっ、落ち着いてください、お兄さんッ! 野菜畑にヒト一人埋めるなんて土壌汚染ですよッ!!」
「論点がズレてるよ、ガーゴルゴンさんッ!?」
蛇塚もユウゴの後ろから革ジャンの裾幅を掴み上げて全体重をかけて引き止めるが…
「どけッ、てめぇら…コイツはいい加減に……ンッ?」
アギラと蛇塚に静止を促されるユウゴの視界には酔っぱらったミオを埋めるために役場菜園場に目を凝らしていた時……役場菜園の畑中で蠢く黒い物体が目に飛び込んだ。
「アレ…は……――ッ!?」
ユウゴはすぐさま裾幅を掴み続ける蛇塚と胴体にしがみつくアギラを抱えたままミオに飛びついた。
「ワァッ!?」「グエッ!?」「キャアンッ♡」
ユウゴはすぐさま壁際まで背を付けて蛇塚とアギラとミオが大きな声を出さない様に両方の腕を回して三人の口を騒がせない様に塞いだ。
「どっ、どうされ…――ッ!?」
ミオの叔父はユウゴの突然の切り替わりに気づいてユウゴが首を斜め上に降って向けるジェスチャーをする先で…夏秋キュウリの役場菜園からノソノソと歩く黒い物体の姿をミオの叔父も気が付いた。
「みッ…みな、落ちいて聞いれ……今、外に…熊がおるっど」
「えッ、熊ぁッ…」
外を徘徊している熊は体長2メートル近い首元に白い三日月模様のあるツキノワグマであった。
「あっ、天城っさ…なして熊が山から下って来てっぺ」
「…木の実不足っさぁ…去年の気象現象で山間の熊さ餌になる木の実が凶作続いておった影響ら 市議会でも議題に上がっとったが、去年や一昨年に須賀川近辺にも目撃されたち聞いとるが…とうとう竜ヶ森にも現れたんね」
ユウゴ達のいる竜ヶ森市役場は御徴山地を背にする様に所在する、また役場内で地元農産物の展示栽培をしていたこともあって山から下りて来てきた熊が栄養価豊富な餌を求めて役場内に現れてしまった。
様々な原因が重なって人里に降りて農地や市街地に出没し甚大な被害を齎す熊を近年では“都市型クマ(アーバンベア)”と社会問題に発展している。
その緊急事態が今まさに起きている最中、一般的に取るべき対処法は『焦らず、音を立てず、ゆっくり逃げる』ことのみであった。
「むぅ~むぅ~…」
「しっ、音を立てるな…熊は見た目に比べて臆病だ だが大きな音で追い払える可能性もあるが興奮させて別の被害を出す方が厄介だ…」
ユウゴの判断は正しかった。多少の理解力があるアギラならいざ知らず教えれば理解できる…だが、この場で最も厄介なのは…
「ん~~ッぱぁ~ッ!いやぁ~あん♡ミオさん、ダーリンに抱かれちゃってるゥ~~ウ♡」
「ミオさんッ!!」
ユウゴの腕から口を開放して一気に酔いから火照ったミオが大きな声を上げた…その時…――パリィインッ!!
「「ギャァアアアアアアッ!出たぁあああッ!!」」
「チッ! フンッ!!」
窓ガラスを突進で割って顔が突き破った熊に向かってユウゴは咄嗟に三人を押しのけて顔を出した熊の鼻に目掛けてフルスイングの回し蹴りを直撃させた。
「よしッ!熊の鼻は潰した、今のうちに裏手から逃げろッ!」
一瞬のスキが生じた光明に竜ヶ森の町民たちは裏の勝手口にミオの叔父の誘導で慌てずにゆっくりと続々逃げる中…
「これで全員です! あとは皆さんを残すのみで…」
「ミオさんの叔父さん…ボクは怪獣娘です、このままあの熊さんをどうにかできないかやってみます」
そう言って今にも外で鼻を前足で擦りながらうろついている熊に立ち向かおうとしに向かいかけたアギラだったが…
「ちょっと待て!」「グエッ!?」
咄嗟に角を掴まれてユウゴに引き止められたアキは首が仰け反るほどに頭がユウゴの方へと向く。
「何するのさ、お兄ちゃん!」
「馬鹿か、お前は…さっきも言ったろ、熊は臆病な動物だって」
「それが何ッ」
「…あの熊、体格からして食性は肉食で太った個体だ…仮にお前があの熊を撃退出来たとて、この役場内はヤローにとって狩りに適さなかった場所としか思わないだけだ…見ろッ!」
ユウゴが指を差した先には熊が目的として訪れたであろう役場の展示菜園の夏秋キュウリの畑中だったが…蛇塚はある事に気が付く。
「アレッ?菜園の御野菜…一切口を付けていませんね」
「そういうことだ 熊の食性は本来なら木の実や果物…だが、それだけでは腹が満たせなくなって川の中で川魚から山中では鹿と言った高蛋白質の摂取に切り替わったってところか…」
「それじゃあ、あの熊さんは…」
「正真正銘の肉食動物となり…山中で鹿を取り過ぎれば次に狙い目で効率の良い動物は“人間”って考えて、今ここにいるワケだ…お前が追っ払った所で役場を逃げて今度は役場の坂下の市街地だ、臆病な動物は自分よりさらに臆病な動物を狙うんだよ」
先ほど裏口から辛くも逃げ出すことが出来た町の人たちを今度はアギラたちの居る役場では狩れないと判断してしまうと熊の思考は更に町へと下って行くことなど最悪の事態だ。
「じゃあ、どうするのさ」
「決まってんだろ…ここで駆除するか、山の方に逃がすか、だ 言っておくが後者は悪手だぞ、山に逃がしても同じ様にまた降りてくる可能性もある」
動物を駆除する…それは怪獣娘としてシャドウを倒すのとはワケが違う状況だった。
「そっ、そんなこと…ボクには…出来る気がしないよ」
「だろうな…そうなればこの場で駆除できるとしたら…」
そう言うとユウゴはポケットから長財布を取り出し始めた。
「だったら、アキ、蛇女、飲んだくれ探偵…今からは俺の指示通りに動け ここからは“怪獣”としてでなく“人間”としてあの熊公に山を下りたことを後悔させるぞ」
長財布の中から出て来たのは…秋田県発行の『特別一級狩猟者登録証』に登録されたユウゴの狩猟免許であった。
「きっ、君…“特一”の猟友会員だったのかいッ!?」
「ちょっとした事情で秋田に飛ぶ羽目になってな…ちょっとばかし時間があって取っておいたヤツだ」
『特別一級狩猟者登録証』とは昨今の猟友会員減少と緊急狩猟対応における裁判例により国内の獣害対策で問題点改善の為に導入された『特例の狩猟免許の発行に関する措置』として全国47都道府県の内、北海道、秋田、長野、山梨、西東京の5地域で実施された“特別狩猟免許証”である。
「……そういうことなら、来てくれ」
この免許には三段階等級により定められた三級の網・罠狩猟、二級の空気銃狩猟、そして…一級の狩猟実包による銃火器使用の狩猟が明記されている。
――ピッピッピッ…ガコンッ…
ミオの叔父が番号入力式の銃火器保管庫から開けた中には…
「…この猟銃は誰のだ?」
「…私と私の兄の猟銃だよ 兄も私も県の猟友会に属していたが、兄が逮捕されてからは長らく私の以外を持ち出すことはなかった 私のは現行のレミントン方式だが、兄のは父方の高祖父が知り合いより引き継いだ旧式の代物らしい」
「届け出は?」
「もちろん出している…生憎、この手の銃の実包は特別な場所以外でしか製造されていない 黒色火薬と雷管も劣化防止で手込め式実包だよ」
「……十分だ、こっちはアイツらに使わせよう」
また、『特別一級狩猟者登録証』には過去、警察・自衛隊・海上保安庁・海外民間派遣部隊に属して1年以上の実績と銃火器の使用実績も合わせて認可される特殊な狩猟免許である。しかも特別免許の最大の特性は管轄区域外での緊急時における場合にのみ指定の狩猟行為が可能となることであった。
僅かな時間で戻って来たユウゴとミオの叔父はオレンジのベストとつば付き帽子を被って3人の前に現れた。
「お兄ちゃんたち…その恰好って…」
「見ての通りだ…いいか、ここからは怪獣の力なしで人間らしく立ち向かう そのためにお前らで協力してコイツを吹け」
そう言ってユウゴがアギラたちに差し出したのは…シカの角を加工した『鹿笛』であった。
「私の高祖父が大型の動物をおびき出す為に愛用していたものです」
「お前らは駐車場に回ってこの笛を吹いて熊をおびき出せ」
「お兄ちゃんたちは?」
「俺は少し別ルートから行く、お前らと天城さんは一緒に行動しろ なにがあっても離れるなよ」
ユウゴには何か考えがあっての別行動をすると語るが…
「…それは分かったけど、ボクはともかくミオさんとガーゴルゴンさんは怪獣娘だから身の安全のためにも怪獣娘に一度変身した方が安全だから二人にはソウルライザーで変身してもらうよ」
「ガッテンテン!!」
「えっ!私も…ですか?」
「緊急事態ですから…ガーゴルゴンさん、はいッ」
そう言ってアギラは鹿笛と自身のソウルライザーを貸し与えるため蛇塚に差し出したが蛇塚には抵抗が見て取れた。
「ボクたちは怪獣娘になった方が体力も身体の安全も十分に高くなります…蛇塚さんが怪獣娘になることを忌避する気持ちはわかりますが、今は緊急事態ですので…」
「あっ、アキさんは御存じなのでしょう…私は一度、あの姿で…人を……傷つけてしまい…」
「蛇ネキ、私はお父さんが逮捕された後…施設の子と喧嘩して一度は人を傷つけたことがある 今でも反省しているよ でも、今この状況は自分を守るために使ってあげて――」
アキが握る鹿笛とソウルライザーから距離を取る蛇塚の手を引き、ミオの手で反し合う物と者同士をその手に繋いだ。
蛇塚はアキのソウルライザーを、ミオは自前の青い石のアクセサリーを握りしめ…
「「ソウルライド!!」」
―ベムラー!― ―ガーゴルゴン!―
ミオと蛇塚は眩い光の眉に包まれて、ミオは硬質で黒々といた獣殻に包まれ、一方のガーゴルゴンは何処か毒々しくもありながら逞しい身なりをした姿にはアギラやベムラーよりも潜在的な強さも見て取れた。
「よし!…さて、お兄ちゃん…って、あれ?…お兄ちゃんは?」
「君のお兄さんは先に別ルートに向かうと言って…いつの間にか…」
「モーッ!こんな時ばかり、言いだしっぺが最後まで傍に居てくれればいいのに…」
「なになに~、アキちゃん…お兄ちゃんが居ないと心細いのかなぁ~」
「ちっ、違うよッ!!…とにかく、お兄ちゃんの指示通りにこの鹿笛で熊を駐車場までおびき寄せるよ!」
「私は皆さんの後ろでスタンバイします」
そうして怪獣娘三人とミオの叔父、別ルートとやらで移動中のユウゴによる大型ツキノワグマの討伐作戦が開始された。
―竜ヶ森市役場・駐車場―
徘徊するツキノワグマは未だ敷地内をウロウロしていた。周囲は意外にも高い塀があり、その壁の向こう側には竜ヶ森市街だ。
「うわ~…それにしても、あの熊ぁどーさてや役場に入って来よった?この役場ば野生動物侵入防止の為に小中学校同様に鉄柵敷いとったよんねぇ、叔父さ」
「確か反対側に大ケヤキさ1本伸びとった…あの熊ばそこから木登りさして上がって来たんろ」
「熊さんは木登りなんて出来るんですか?」
「私も猟友会用の対策ビデオで熊の生態を映像で見たことがありますからね…北海道のヒグマでも民家への侵入は屋根を上って来たと言う事例も報告されているほどですよ」
熊の侵入経路は意外にも登っては来ないと思われた地点からの侵入が多い。特に足の面積の広さは動物には珍しく両手で掴み、支え、乗り越えようとすることによって熊の知恵は野生動物の領域を軽く超える…が、最も恐るべき点は“執着心”であった。
「みなさん、アドバイスなんですが…熊は執着心が強く、一度でも人間が所持する食料の味を覚えたりすると今の様に山から降りてくる傾向があるらしいです この近くに登山道もあるのでもしかしたらこの熊は過去に人間の食料に味をしめたことが影響して町に近づいたのかもしれません」
一度でも人間が生み出す“味”は熊にとって芳醇なものだ。そして、人間の弱さが見てしまえば時として人間を餌のターゲットに絞った時から実害が出て初めて『獣害』が発生してしまうのであった。
「ううっ…こんな時にお兄ちゃんはどこにいるのさ」
熊はまだこちらに気付いていない。ユウゴに鼻を蹴られ、痛みに顔を何度も前脚で擦り続ける。しかしいくら鼻を負傷したとはいえ熊の嗅覚は人間の1000倍、最近の研究では生物の体臭でその生物の性別から体調、時には心理状況も分かるとされている。
「アキちゃん…大丈夫、いつだってユウゴくんが助けてくれたでしょ 私たちはユウゴ君を信じよう」
「わっ、私はまだアギラさんのお兄さんを知りませんが…でもなんだか不思議と頼りにしてしまう雰囲気がありますよ」
ユウゴに対して不安を抱くアギラにベムラーとガーゴルゴンの二人はユウゴがこの状況の打開点であると信じてやまなかった。
「ぼっ…ボクだって、お兄ちゃんを信じてないってわけじゃないよ でも、いつもトンデモない行動を取って来るから…思えば、ボク残して勝手に海外に渡った事が始まりだったような…」
「しっ、心配しないで、アキちゃん!たとえユウゴ君に見捨てられても…ミオさんだけは見捨てないでッ!!」
ここに来てミオからの保身を訴えられるアギラは逆に清々しいまでのミオの心強さに覚悟を決め…
「みんな、一斉に吹くよ…せぇ~のッ!」
―――ピュィイイイイイイイイイイイイッ!!―――
三人同時に吹き込んだ鹿笛の空気の振動波内部の構造に震えて独特な動物の泣き声のような音を発した。
――ブフゥルゥッ?――
それに気が付いた熊は振り返ってアギラたちを視認した。
「こっち見たッ!」――ピュィイイイッ――
アキたちは続けざまに鹿笛を鳴らす。何度も、何度も慣らすが…熊は視認したアキたちを認識してはいるが中々に駐車場のマンホール近くすらも近寄ってこない。
「なっ、なんでッ!?」
「おそらく、この場で怪獣娘が3人もいる事が原因なのでは…只ならぬ気配に警戒心を強めてしまったのかと 残念ですがこれ以上は被害が及ぶ前にここで喰いとめなければッ!」
熊に詳しい現役の猟友会員であるミオの叔父だがこれ以上は役場の外に出てしまう恐れがあり、切り替えて銃を構えた。しかし…
「……しまった、そうだった 撃てません!」
「どうしてですかッ!?」
「熊の向かう先が役場出入り口の傾斜道路だからです…この猟銃の発砲では敷地外の出入り口先は公道扱いですし、傾斜は誰かが昇り降りしてくる可能性もあるものと想定されてしまうため…発砲要件を満たせないんです」
「そんなに厳しいんですかッ!?」
偶発的に熊と道路先が一直線に重なる場所に並んでしまい…頼みの綱である猟銃も使用できない状況に陥ってしまった。
そして、今にも門をムリヤリ開けようと熊は立ち上がって自身の体重で門をダンダンと大きな弾みをつけて叩き始めていた。
「ううっ、どうすれば…ボクたちはどうすれば…」
これほどのピンチは久しぶりだった。始めて変身して怪獣娘になった時とは雲泥の差だ。クリープ現象で坂道を転がる車を止める時とは違い…相手は2m近い体長の生きた野生動物…今すぐに熊をこちらに引きつけたいのにこちらに近づいて来てくれない。
「ううっ、お兄ちゃん…なんとかしてぇええッ!!」
「ウッブッ…おげぇえええええええッ!?」
「ギャァアアアアアアッ!?ミオさんッ!?」
「天城さんッ!?」
何とかしてほしい状況に…ミオは突然、胃の中の物すべてを吐き出さんばかりに盛大な嘔吐を発した。
「ウゲッ…鹿笛吹いたら…頭クラクラじて、きもじ、わるい…ウップッ、また…出ぢゃうッ!」
「わっわっわっ!?待って、ミオさん待って!!」
「あっ、見てください!…熊さんがこちらの騒ぎに興味を示したみたいです」
奇跡的なタイミングで熊はアギラたちの騒ぎに気付いた…のではなく、ミオが吐き出した吐瀉物の匂いに釣られて振り返っただけであるが、興味を引いたのは事実であった。
「最低な絵面だけど、熊さんがこっちまで来てる!…あとはお兄ちゃんがッ……って、本当にどこに居るのさぁッ!?」
一向に現れる気配も無くジリジリとアギラたちの方に近づいてくる熊…シャドウ・ビーストに比べて明確に人類の敵のような存在感とは違い、こちらは大自然の一部にして自然界から迷い込んできた正真正銘の“命”だ。
『…皆さんの行為は『獣害駆除』に充たると私は考えます』
こんな時だからこそアギラは零門がアキたちGIRLSの怪獣娘に向けて伝えてくれた言葉が頭をよぎった。
今、アギラは選択を迫られていた。戦闘の経験のないガーゴルゴン、銃火器に制約がある故に撃てないミオの叔父、吐いて役立たずとなったミオ、この三人を守る為に迫りくる脅威は怪獣娘の敵『シャドウ』に比べてもなんら驚異的ではない。驚異ではないはずなのだが…
(はぁ…はぁ……ボクは…ボクが命を…奪うべき…なの?)
いざ、命を奪うと言う者の責務を前にしたアキはたった1頭の熊に怖気づいてしまっていた。
「ヤダ…来ないで…来ちゃダメ……こっちにきたら…ボクは…ボクは君を……殺さなきゃいけないんだよッ!!」
アギラは唯一、戦える者としての責務に手足の一切が硬直して動けなくなってしまった。
――バコォオオオオンッ!!――
「誰が、お前なんかに任せるかよ 意気地なしはすっこんでろ」
「お兄ちゃんッ!?」
―ヒュゥゥゥゥゥ~ゴォオン!―
「アダッ!?」「天城さんッ!?」
熊がいよいよアギラの間近に近づいてきた距離の間にあったマンホールの蓋を吹き飛ばしてマンホールの下からユウゴが飛び出て来た。尚、吹っ飛んだマンホールの蓋はベムラーの頭に見事クリーンヒットした。
「アラホラヒレ~ェ…お空にウルトラの星がク~ルクルゥ~…――ガクッ」
「天城さぁぁああんッ!!」
「ミオッ!しっかりせぇ!」
頭に大きなたんこぶを形成して気を失ったベムラーはガーゴルゴンとミオの叔父に左右の腕を抱えられながら引きずられ下がっていった。
ユウゴは借りた狩猟用のオレンジ色のハンティングキャップを脱ぎ、アギラに投げ飛ばした。
「ワッ、とっとと…お兄ちゃん、どうする気なのッ!?」
「アキ、この際だからお前にも見せておいてやる…生きる者が狩られると言う自然界の摂理ってヤツを、なッ」
そう言うとユウゴは抱える猟銃の重心の先に手を触れると先台と呼ばれる銃身部分にとある仕掛けを展開するためのボタンに触れて…折り畳まれていた鋭利な刃先が銃口より先に突き出した。
――カチッ…チャキィンッ!
それは猟銃でありながら『銃剣』を隠し持っていた。
「来いよ、熊公…串刺しにしてやる」
ユウゴの只ならぬ気迫に怯えた大型のツキノワグマは人間の様に怖いと判断すれば逃げ出す…が、怯える熊はときとして興奮状態と言う一種のパニック状態に陥る。
近年で発生する多くの熊による人的獣害事件は熊が興奮状態であったとするケースが殆どであり、特に『直立姿勢』となった熊は自身の全体重を乗せて獲物に驚異的な張り手攻撃をぶつけてくる。
「フンッ!…自分から熊の手を差し出してくれるとはなぁ…礼を言うぜ、高級食材」
ユウゴは大型のツキノワグマが振りかざして来た手に寸分たがわぬ手首中心に展開した銃剣を突き刺した。
痛みに仰け反った熊は不慣れな直立姿勢が仇となりよろめきかけたところに…
「フンッ!」
ユウゴはすかさず突進して熊を仰向けにして倒すと…手先から抜けた銃剣ですかさず熊の右脇腹に位置する箇所へ一寸の狂いの無い一撃で熊の心臓を貫いた。
熊は口から血吹くを吹き出しながらも未だ暴れる抵抗を見せるが…
「…いま、楽にしてやる」
――ダァアアアアンッ!!
ユウゴが一切の躊躇いの無い突き刺した銃剣の上にある銃口は鉄を焦がした様な硝煙が立ち込める。熊はさっきの響く銃撃と共に口内から舌を出して血涎を垂らしながら絶命していた。
「……お兄…ちゃん……」
それは今まで同じ怪獣の能力を有する実の兄と認識していたアギラだったが…今のユウゴは怪獣の力を一切使わずに訓練した人間がようやく責任感を持って初めて抱える事の出来る“銃火器”で野生動物を駆除して見せた。
アギラもとい、アキは自身の兄『宮下ユウゴ』との持ち合わせている覚悟の違いに…変身の解けたアキは腰が抜けていた。
次第に麓の方からサイレンを鳴らして駆けつける警察車両が役場に続々と到着した。どうやら先に避難していた町の住民たちが地域の駐在に通報し、ごく短時間で竜ヶ森からほど近い竜ヶ森署の応援と地元の猟友会員が現場に現着した。
「―――体長198センチ…目算は200から230キロ、この時期の熊にしては大分肥えたべなぁ」
「見ぃ、こい手と脇腹…完に串ん刺しだなぁ」
地元猟友会員も舌を巻くほどの仕留め方に興味を抱かせるほどだった。
「あなたが、この熊を?」
「あぁ、狩猟免許には『特別一級狩猟者登録証』と…使用実包はこの『四四式騎銃』の6.65ミリ弾と展開式刺突銃剣で仕留めた」
「こっ、こんな古い銃火器で!?」
ユウゴは警察の事情聴取に応じる形で狩猟免許の提示と使用した銃火器と対応時の状況説明をしたが…
「……えっ?…熊を…刺突した上に…接近戦で、仕留…め…たぁ?」
聞けば聞くほど地元警察署の警察官達は理解に苦しむ結果となった。
※実際の熊の狩猟に刃物による刺突はありえません。絶対にマネをしないでください。
「おまわりさん、そいの若い人ん言うことば本当じゃで…いんや~まさか、熊よりも恐ろしい子がこの竜ヶ森さぁに帰ってきよったか……怪獣小僧ユウゴ」
竜ヶ森の猟友会の中でも最年長の老人がユウゴの事を覚えていた。
「ふんッ、覚えられていやがったか…」
「昔はワシらんの常識外れをよーするんだども、あん頃の方がめんこい子じゃったんに…さらに常識外ればなりよったなぁ~」
「エッ!?竜ヶ屋のおじいちゃん…ユウゴ君のこと、知ってたの!?」
みんなには気づかれていないと思っていたはずが既にこの常識外れの大男こそがユウゴであることを見抜かれていたことにミオは驚愕した。
「だどもミオちゃの彼氏さんじゃと言われてもなぁ~」
「ミオんに彼氏なんて出来っこねぇーべ」
「町のみんな、とーっくに気付いとったがや」
「なぁ~、天城っさぁ~」
町の皆々がミオのひた隠す大見得などとっくにバレており、かつそれを言い広めたのは…
「叔父ぃんさぁ~~ッ!!」
「すっ…すんまんけぇ…どーしてぇんもっと…こん人に言われちてもーて…」
「お前の彼氏だと思われるなんぞ、恥だ」
「ユウゴくんッ!?」
その元凶こそ…やはりユウゴであった。
「やれやれ…結局、ボクは怪獣小僧の妹ってことかぁ~」
隠し通し損を被ったアキは落胆して肩を竦める中…
――スッ…
その背後からゆっくりと手を延ばし…不気味に微笑む者が…アキの首にその手が迫ろうとしたその時――
――バァアンッ!バァン!バァン!!――
「ウワッ!?…何してるのさぁ、お兄ちゃん」
「見ての通り、空砲撃ちだ あの熊公だけがこの近辺をうろつく唯一の熊ってわけじゃないからな…やり方は航空機の鳥除けと同じだ」
「私も手伝います」
ユウゴとミオの叔父、地元の猟友会員と警備課の警察官も空砲弾を用いて動物除けのために周辺の山々に空砲を鳴らし続けた。
「……――あっ、あの…」
ふと我に返ったガーゴルゴンこと蛇塚はアキから借りていたソウルライザーをアキに返して出した。
「あっ、ガーゴルゴンさん ごめんなさい、こんな大事に巻き込んでしまって…」
「いっ、いえ…目の前で野生の動物を目の当たりにするなんて滅多にない体験ですので…その…怪獣が動物相手に怖気づくなんて…怪獣…らしくないですよね」
確かに蛇塚は現れたツキノワグマに緊張はした…だが、それ以上にもっと緊張が走った瞬間は首を傾げるアキの後で猟友会員たちと共に空砲を打ち続けるユウゴであった。
僅かな一瞬ではあったが、空砲を撃つ瞬間に…視線は間違いなく自分に向いていた。『俺はお前を見ているぞ』と殺気にも似たような気配も感じた。
そしてそれは今も目線を逸らしてはいるが…――
「んもぉ~~~~!!こうなりゃヤケだぁああ!!今すぐに既成事実を作ってやるぅぅうう!!ユウゴ君は誰にも渡してなるものかぁああ~~!!」
開き直ったミオが突如として豹変し、ユウゴに飛び掛からんとばかりに大っぴらに抱き着こうとしたがユウゴの大きな手がミオの頭をリンゴでも掴むが如く握り掴んだ。
「鬱陶しい」
「放せェエエ!!この薄情者の恩知らずぅぅうう!!」
「…もぉ~、ミオさん…諦めなよ、こんな人のどこがいいのさぁ…」
「うるさいやいッ!いいとか悪いとかの問題はとうに超えてるの!適齢期の問題なのッ!幸せになりたいのぉ!!」
そうは豪語するもミオの今まさに行っている行為こそ幸せには程遠い。
「勝手に交際相手なんて作りやがって…この浮気者ッ!ミオさんを置いて行くな!ミオさんを養えッ!幼馴染より優れた交際相手など、この世にいる筈が無いんだぁあああ!!」
「――へぇ~、そんなに素敵な女性が…ユウくんにはいらっしゃるんだぁ~」
「んっ?」「へっ?」「あらっ?」
その声は…本来、ここに居ないはずの者だった…
「ギャァアアアアアアッ出たぁああああああッ!!」
本来、その者は一緒に来ては居ない筈であった…
「あぁ?なんでお前、ここに来てんだ?」
「あっ、あぁあッ…あッ…アイカお姉ちゃんッ!?」
それはもはや交際相手…ではない。
「キシャァアアアアッ!!なにしにきよった!こんのドロボー猫ッ!!」
「俺の肩に乗るな」
「どっ、ドロボー猫って…失礼なッ!…私は、ユウくんのれっきとした婚約相手ですッ!」
その…薬指に嵌った54カラットダイヤが埋め込まれた第二関節より下に収まる輪こそ“婚約”の証であった。
「なッ…なッ…なぁッ…んなぁあああああああああッ!?――グェィテェッ!?」
その衝撃は、ユウゴの肩にまで乗り上げて逃げていたミオに現実を叩きつけて婚約相手にまとわりつく悪い虫を払い落として見せた。
「ウワッ!?ミオさんがあまりのショックに夏の死にかけのセミみたいになっちゃった…って言うか、お兄ちゃん指輪なんていつ渡したのッ!?いつプロポーズしたの!?」
「あぁ?プロポーズもなにも…」
●
――一週間前……
その時は、アキなどをはじめとした身内衆の誰も居ない二人きりの時であった。
「んっ」
「うんっ…」
どこかの湾岸公園内にて指輪の入ったケースを受け渡すと言う僅か1秒にも満たないプロポーズであった。
●
「何、その無機質なプロポーズッ!?」
「お前は俺たちの何を期待してんだ…」
「…アキさん、愛は人それぞれです 形はどうあれ婚約は婚約です! 私はそれで満足ですし、ぶっちゃけ交際相手に膝ついて公の前でプロポーズとかされても恥ずかしいのでタイパ重視、大いに結構ですよ むふぅ~!」
心なしか薬指に嵌っている揺るぎない事実こそが誇らしいのかどこか自慢げであった。
「…んっ?…ちょっと待って…この性格の悪く、大胆にも混乱を巻き起こすようなタイミングで…アイカお姉ちゃんが居るって言う…こと…は…」
「あぁ~、そうでした…この方にユウくんの育ちの故郷の場所まで案内してもらったんでした」
アキの予想する最悪のタイミングにアイカを竜ヶ森の地にまで連れて来た張本人こそ…――
「いえいえ、こちらこそ…折角の婚約者さんを御案内できて何よりです」
ユウゴとの相性、最悪の男だった。
「ありがとうございます わざわざ御車までお送りしていただいて…この方、なんでもユウくんたちの叔父さま…なんで……しょ?」
不穏を察知したアキは即座にソウルライザーでソウルライド&フォトンアーマー装着にてユウゴの腰にしがみついた。この時ばかり、変身すれば動くことのできない形態であることに感謝の念が沸いた。
「この地にやってきたことがテメェの運の尽きだ、ソウジロウッ!! クソッ、どけッ!アキ、動きずれぇ!!」
「嫌だぁああ!!お兄ちゃんッ、婚約したんでしょ!婚約者らしく振る舞ってよ!それが結婚を控えた人の取る態度なのッ!?――フググッ、ボクはテコでも動かないし、放さないぃぃいい!!」
今にも抱える四四式騎銃の銃剣を展開して反りの合わない親族に襲い掛かろうとするユウゴに対してアギラの『フォトンアーマーおもし』で封じるのであった。
「あんの~…狩猟記録んさ、必要なんで…狩猟者さんは熊と一緒に写真撮りんますけど…」
「あぁ~えがえが…なんで面倒くせぇ~ことになっとるみたいやから熊んと一緒の画角さ入ってればええ」
「それもそぉだな、こんままとりますだ~…はい、チーズ!」――パシャン……
後に、その1枚は竜ヶ森市の地方紙に掲載されることとなった。
画角にはクレーンで吊るされるツキノワグマの傍らで大揉めするユウゴとソウジロウたちが写っていた。
―竜ヶ森市報『熊の前でクマった修羅場』より掲載―
アンバランス小話
『アンバラクエスト―モンスター:その2―』
遊び人ベムラーを餌に初めの森の魔獣討伐に訪れていた勇者アギラと大魔王ゴジラ、駆け出し冒険者コンビの即席混合パーティーはモンスターに遭遇した。
「あっ、アレが初めの森の大魔獣…」
【アイム ビーコン】
電波魔獣ビーコンが現れた。
「なんか思っていたより…強いのか弱いのか、よくわかんないモンスターだなぁ…」
「油断しないで二人とも、見た目はあんなだけど相手は…なんかよくわかんない変なモンスターだからね!」
勇者アギラは魔獣ビーコンに警戒心を強めた。
「ふふぅ~ん!こういう時こそベテラン冒険者さんの私が相手よ!」
「ゲッ、ミオさん…じゃなかった、ベムラーさんいつの間に…」
遊び人ベムラーは縄抜けで罠から脱出できた。
「ふふぅ~ん!見くびってもらってはこま~る!! 数多の借金取りから逃げ、数多の限度額いっぱいまで遊びつくした私の遊び人スキルは伊達ではないだわさ!」
遊び人ベムラーは『ごくつぶしの真髄』を示した。
「いやそれ唯のダメな人だよね」
「見くびるでなぁ~い!遊びを極めた真の大人の力…とくと見るがいッ…いいッ…いうッ…いぼろっしゃぁあああ!!」
遊び人ベムラーの『ストマックリバース』
「ギャァアアアアアアッ!なにしてるの、ベムラーさんッ!?」
「ウゲェ…逆さづりにされてたから…ぎもじわるい」
遊び人ベムラーは『グロッキー』状態で行動不能となった。
「役立たずッ!」
「見てくださいッ!大魔獣が動き出しましたよ!」
魔獣ビーコンの『ベーコンスプラッシュ』
「ふぎゃッ!?」「アウッ!?」「ハグッ」
勇者アギラは1ダメージ、魔法研究者マガジャッパは2ダメージ。
「もごぉおおッ!?」
魔物ハンターマガバッサーは『エンブンカタ』で気絶した。
「マガバッサーさぁああんッ!?」
「ベーコン食べただけで戦闘不能ッ!?」
魔獣ビーコンは煽りのダンスで余裕を見せつけた。
「くそぉ~…何だかすごくムカつく動きを向けてきてる…こうなりゃ大魔王お兄ちゃん!」
「あん?」
「なんか技だしてモンスターをやっつけれないの?」
「出来るは出来るが…」――キュィイン……
大魔王ゴジラの『アトミックレイ』
――チュドォオオオオオオオオオオオオオン!!――
初めの森は半域が消滅した。
「…ケホッ」「ブホッ…」―シュゥウウウ…
勇者アギラたちは『クロコゲ』になった。
魔獣ビーコンを倒した。
「ほら、勝ってやっといたぞ」
―スパァアアン!!
「やり過ぎだよ!!」
勇者アギラは大魔王ゴジラに『ツッコミ』を繰り出した。
――ズボンッ!!
【アイム ノット ア バッド モンスター】
魔獣ビーコンは仲間になりたそうにこちらを見ている。
「あの攻撃で良く生きていられたよね…」
「ウグッ、アキちゃん…倒したモンスターを…仲間に…しますか?…ガクッ!」
遊び人ベムラー(クロコゲ)は力尽きた。
「これ以上の厄介者は嫌だよ…いいえッ!!」
勇者アギラは拒否した。しかし、魔獣ビーコンに回り込まれた。
【アイム ノット ア バッド モンスター】
「だから、嫌だよ!いいえって言ってるじゃん!」
勇者アギラは拒否した。しかし、魔獣ビーコンに回り込まれた。
――数時間後――
「ううっ、結局『はい』を言わないと帰してくれなかった」
【アイムビーコン イーツ トゥ ザ ベーコン!!】
魔獣ビーコンが仲間になっていた。
こうして勇者アギラは大魔王と大魔獣と遊び人を仲間に加えて魔王の城を目指すのであった。
《現在のレベル》
勇者アギラ:レベル1
遊び人ベムラー:レベル-66
電波魔獣ビーコン;レベル71
大魔王ゴジラ:レVィO%5×GG$4#
「なんで序盤からレベルにマイナスがいたり、ラスボス級がいたり、バグを起こしている人が居るのさぁッ!?」