TITANUS‐THE TITAN MONSTRAS‐   作:神乃東呉

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青と鋼の行方

―警視庁管轄部署―

―アヴァロン・ユニット分駐所―

 

 都内のどこか、100ヵ所以上存在する警察署のどこかに存在する試験的警察部隊である特殊な部隊『アヴァロン・ユニット』の為に用意された分駐所であった。

 駐在と言う常に24時間体制でいつ如何なる時に出動の要請が発令されてもすぐに出動できる状態が維持できる利点があった。

「うっ…うぅ~ん…かっ、身体が動かない…」

 そんな分駐所には24時間体制と言えど休憩なしに身体の保証はなく、福利厚生として休憩での仮眠などができる休憩所と言う名の体制でユニット員のための部屋が用意されていた。その1つ部屋にはある男が長い仮眠を終えて床に敷かれた布団から重い体を無理にでも起こす。

「うぅ~んっ…」

「はぁっ?」

 ところが、布団の中には自分の身体とは違う何かが蠢いて自分の身体に強い力でしがみついているようだった。

「なっ…なんだ?……はぁあッ!?」

 恐る恐る掛布団を捲って見ると…布団の中で自分の身体にしがみつく赤い三日月型の角を生やした殆ど全裸と言って差し支えのない姿をした年端のいかない少女だった。

「はぁッ!?ふぁっ!?えっ!?」

「うぅ~ん…」

 思わず大きな声で騒いでも赤い角の少女は起きる所か布団の中で丸くなり縮こまったが…ハッキリと全身像を確認すれば身体の至る個所に人間とは思えない鋭利な手先の赤い爪から肘に至るまで動物の皮の様なもので覆われていた。更に足はゴツゴツとした体表に腕と同じ質感の皮膚が内側に…そして、臀部からは皮膚とは異なる体表と同じ材質の尻尾が映えている…その姿は紛れもなく怪獣の少女、“怪獣娘”だった。

 更に不運なことが立て続けにやってきた…部屋のドアをノックする音が響いて男の背筋が凍った。

「はいりますよ、木條くん」

「あっ、いや、ちょっ待ってくださぁい!!」

 しかし、相手はそんな待ってと言う声も届かずドアが開かれ入ってきたのは緒碓だった。

「おや、昨日はお楽しみのようでしたか?」

 絶対に何か勘違いされるとんでもない誤解を前に男は首を横に振って違うと意思表示をした。

「ちがいます!ちがいます!なんで自分の布団に知らない少女がいるのかこっちが聞きたくて…」

 思わずどう答えればいいのか分からず男は困惑のあまり説明口調で弁解をするが…

「そう慌てなくても事情は私が説明しましょう…昨日の出動は御見事でした、シャドウ生物に巻き込まれた少女を救出して見せたことで本庁は『アヴァロン・ユニット』を高く評価されましたよ」

「はぁ…ソレはどうも…って、じゃなくてこの少女は誰なんですか緒碓警視!!」

 男は質問の趣旨に反して本庁から評価された話など頭に入ってこない。知りたいのは今自分の布団の中で丸まっている少女について訴えた。

「その子がそのシャドウとの交戦時にあなたが救助した子と言うわけですよ」

「じっ…自分が助けた?」

 俄かには信じられず記憶も披露故か曖昧で思いだせなかった。

「うっ…う~んッ」

 そんな中、少女が起き上がって身体を仰け反るほど腕をあげながら身体を伸ばした。

「おっ…起きましたね」

「ええっ、起きたみたいですよ」

 眠い目を擦ってつぶらな瞳が傍でずっと寝ていた男の方が視界に映った。

 それでもまだ眠たいのか寝ぼけた眼のまま這いつくばって近づいて来て…そのまま自分が抱き着いていた物へと抱き帰っていくように足にしがみ付いた。

「なんで自分にぃ!?」

「とりあえず君はいい加減ズボンをはいた方がいいですよ…構図だけ見ればかなり事案です」

 足に怪獣娘がしがみ付かれた男の格好はトランクス1枚にタンクトップ姿は確かに事案だった。

「いやちょ…まっ、この子見た目に反して結構重いんですけどッ!?」

 男はハンガーに掛かっているズボンの取ろうにも足にしがみ付かれた怪獣娘の重さが足枷と為っていた。

 

 

―グツグツグツグツッ…

 鍋で湯を沸かし乾燥麵を束のまま入れてひと煮立ちさせると鍋のお湯の中で硬い面は徐々に湯を吸収してふやけて細かった麵は太く喉越しの良い物に変わった。

「…あの~、緒碓警視…いつまでこの子は自分にしがみ付いているんでしょうか?結構、苦しいです」

 あれから男から離れず、何なら今も大の成人男性の胴体に幼い少女が強い力で締め付けられている。

「どうやら彼女、警戒心が強いようですので一度安全と認識した物にしか興味がないんでしょう…さぁ、うどんが出来ましたよ」

 休憩所の台所を使って緒碓はエプロン姿でゆで上げたうどんをザルに抱えて男と怪獣娘の方に持ってきた。

「この子、どうします?一度GIRLSに連絡した方が…」

「そうしたいのもやまやまですが…君からその子を離すのが最難関ですねぇ…すっかり君に懐いているようですよ」

 確かに男の胴体に顔をうずめているほどに男の側が気に入っている様子だが…

「そういうワケにもいかないでしょう…自分たちはアヴァロン・ユニットとして出動しなきゃならないじゃないですか!」

 男には妥協できない職務があった。

「ねぇ、君…いい加減に自分から離れてくれないか?…ぐえっ!?」

 離れろと言えば言うほどに強い力で腹が閉まっていく中で男の意識が段々と遠のきそうだった。

―ジュゥゥゥッ…パチパチパチッ…

 何かを挙げる音に興味が湧いたのか赤い角の怪獣娘は男の腹から降りてスタスタと台所へ向かっていった。

「おや、天ぷらが気になりますか?」

「てん…ぷら…?」

「ようやく喋ってくれましたね…食べて見ますか?」

 緒碓は菜箸で油の中から衣を纏ったエビの天ぷらを取り出して小皿に乗せると怪獣娘に差し出した。

 怪獣娘はエビの尻尾をつまんで匂いを嗅ぎつつも小さな口を開けて丸々1本を頬張った…が…

「はふっあふっ…あっちぃ!?」

「緒碓警視、あの子そっちに…アッツ!?」

 飛んできたエビの天ぷらは男の額に激突して彼の手の平に落ちた。

「つぅうう…なんですコレ?…エビ?」

 手に持ったエビの天ぷらの前に怪獣娘はジッと見つめて来た。

「どうやらまだ熱かったみたいですね」

「ダメですよ、警視!熱いままの天ぷらを食べさせちゃ…ちょっと待ってて…ふぅ~ふぅ~…うん、はいもう熱くないよ」

 先ほどの事もあってやはり警戒心が強くなった怪獣娘はヴゥゥッと唸り声をあげながらも再度匂いを嗅いで今度は舌先で温度を確かめてから恐る恐る齧ると…目を丸くして残りのエビの天ぷらを男の手ごと齧ってきた。

「あいたたたっ!それは自分の手、自分の手だから!?」

 エビの天ぷらと間違えて齧られた手は歯形がビッシリと付いてしまったが怪獣娘の少女は彼の手にまだエビの天ぷらの匂いが付いているのか単に痛いことをしたことへの慰めなのか歯形の付いた手を嘗め回した。

「あっ、ちょっ…あんまり舐める物じゃないよ」

 男は怪獣娘の少女の頭を優しく撫でながらも自分の手を彼女の口から離そうとするが逆に彼の指先が気に入ったのか人差し指を銜えて口の中で転がされた。

「こらこらッ赤ちゃんじゃないんだから……はぁ~ッ…君、名前は?自分は木條キセキって言います。階級は巡査長、つまりは警察官だ」

 男は自らを『木城』と名乗り明かしてみた。

「私は緒碓タケル、警視だ…と言っても警察階級はまだ流石に理解できないでしょうね」

 緒碓も一応名乗りはしたが2人の言葉など意に介さず木條の指先をずっと銜え続けた。

「…ふぅ…ふはふほごは…」

「えっ、なに?銜えたままじゃわからないから取るよ」

 木條は何かを喋り訴える少女に銜えられている自分の指を彼女の口から離して喋らせた。

「スカル…ゴモラ…」

「スカルゴモラ?聞いたことないなぁ…」

 木條は一般教養で多少なりとも怪獣の事は常識範囲で知ってはいたが『スカルゴモラ』と言う名前には聞き覚えが無かった。

「ゴモラなら聞いたことがあるけど…スカルが頭に着く怪獣だったけ?」

「おそらく親戚種なんでしょう…生態系には分岐して分かれた種族が同じ名前を持って違う種とすることもあるでしょ」

 緒碓に納得させれた木條はなるほどと頷いたが…赤い角の怪獣娘ことスカルゴモラは再び木條の人差し指へと銜え戻っていった。

「あっ、コラッ……はぁ…これじゃぁ子牛の世話じゃないですか」

「はははっ、だいぶ懐かれましたね」

「う~んッまぁこんな状況…見られたのが警視だけで幸いでしたよ、他の人に見られたら社会的にまずいかったです」

「よかったですね、ユニット長たちが出払っていて…」

「あっ、そういえばユニット長と他の二人は?」

「本庁の捜査本部に陸自の『特生隊』との意見交換に3人とも出向いていますよ」

 現在彼らの居る分駐所には残り3名のユニット員が在中しているはずだったが今現在は木條と緒碓を残すのみだった。

「特生隊って例のスーパーXの?」

「ええっ、けど残念ながら本来意見交換として湯原サラ氏と御逢いする予定でしたが、先方から湯原氏の謹慎が下ったらしく彼女は来られないらしいので私が出向く意味を無くしたので仕方なく君と一緒に御留守番です」

「あぁ…だからユニット長が出向いたんですね」

「理解されたのはいいですが…君、そろそろ腕までイカれますよ」

「うわっ、本当だ!?」

 納得がいった木條だがスカルゴモラに指を超えて手首まで丸々銜えられていた。

―警視庁・捜査本部別室―

 

 敵性有害生物関連事件捜査本部が置かれた本庁内の本部とは別の応接間では『アヴァロン・ユニット』のユニットチームの3名と陸上自衛隊から『特殊不明生物群対策分隊』から部隊員3名による意見交換会が行われていた。

「では改めまして、アヴァロン・ユニット統括ユニット長の御前トモエ、警部補です。本日はよろしくお願いいたします」

 アヴァロン・ユニットを統べる者でありながらも凛とした表情で一見は絵にかいたような黒髪美人のトモエ警部補から挨拶が始まった。

「ユニットオペレーションの沖田ソノコ、巡査長です」

 美人の御前と変わって可愛らしい見た目の沖田も順序よく挨拶した。

「同じくオペレーションの坂本タツミ、巡査部長です」

 紅一点が二人もいるユニットの中で少し老け顔ながらもユニット側の中で唯一の男性である坂本を最後に三人の挨拶が終わった。

「陸上自衛隊特殊不明生物群対策分隊の部隊長を務めます、如月アズサ三等陸佐です」

 こちらも御前警部補と双璧為すように向かい合う女性自衛官の如月三佐が深々と頭を下げて敬礼した。

「同じく部隊通信士の長尾トウコ陸士長です」

 また同じく沖田と相対して如月と同じように女性自衛官の長尾も深い敬礼で挨拶をした。

「同じく部隊通信士の武田ケンジ陸士長です」

 最後にも紅一点2人とかけ離れた壮年の男性自衛官の武田を最後にそれぞれの挨拶が終了した。

「それではこれより敵性有害生物関連事件での警視庁、防衛省、合同意見交換を始めさせていただきます」

 アヴァロン・ユニットのユニット長である御前が進行を進めると同時にホワイトスクリーンにプロジェクターで投影した映像が映し出された。

「コレは先日出現した新たなシャドウ生物に対して当ユニットが開発した『アヴァロンシステム』通称“アルトリウス”による討伐記録です…当システムは対敵性生物に対してこれまで有効打となっていた『スペシウム弾頭』の使用により対象を沈黙に成功 この実績からシャドウ生物にはスペシウム系光子物質が有効であるということが実証されました」

 アヴァロン・ユニットで運用される“アルトリウス”が使う銃火器にはかつてウルトラマンなどが光線などに使用していた“スペシウム物質”を組み込んだ弾丸兵器を用いての十分なシャドウ撃退に貢献したことを発表した。

 そこへ質疑として部隊長の如月が挙手をした。

「現在一般配備に使用される『スペシウム物質』に関して国交省との精査の結果、日本国内では国際法に明記の通り『軍用での禁止兵装事項』があるため陸自ではスペシウムの管理運用は困難を極めるため極端に言えば装備としての制限があるため難しいかと…」

「では、敵性有害生物に限定した使用ではどうでしょうか?国際法上はあくまで『軍事利用』の観点であって大量破壊兵器に成り得る兵器の使用禁止が条件ですので―…」

 それぞれの視点でシャドウに対して対策案が徐々に固まり始めた中で警視庁と防衛省側の代表者として共通の議題が浮上し始めた。

「ここからが本題なのですが…先日アルトリウスと遭遇したシャドウ生物とは構造が異なる生物とシャドウの交戦を確認しましたのでご覧いただきます」

 御前が出した新たな映像はシャドウ出現場所から近くの街中に設置していた防犯カメラの映像からだった。

 その映像にはシャドウとゴジラと怪獣娘たちが映っていた。そして、シャドウがゴジラに向かって行き…ゴジラの中の何かにシャドウが怯えて丸く縮こまった一部始終、更にそのあとでアヴァロン・ユニット開発装甲服アルトリウスとゴジラの僅か3分間のアルトリウス側の視線カメラ映像にはハッキリとゴジラの姿形まで捉えていたが…3分以降はゴジラの打撃でカメラ映像が途切れてしまった。

「この生物は以前本庁の捜査本部が提出した国道1号線に出現した当初はシャドウ生物関係と認識されていましたが明確に今回コレがシャドウ生物とは他生物であることが解析で判明しました」

「……怪獣…みたいですね」

 長年怪獣と相対してきた自衛隊の視点から見てもその姿には『怪獣』と言う言葉以外形容できなかった。

「いえ、みたいではなく…怪獣そのものと認識できます」

 更に武田も手を挙げた。

「待ってください!怪獣と言う事でしたら警視庁さんはこの生物を『怪獣』であると認識されるのですか?」

「少なくとも我々アヴァロン・ユニットはこの若干2メートルほどの正体不明の生物にはアルトリウスが交戦した限りでは怪獣に匹敵する戦闘力を有しているとログ解析で判断しています。 我々は非公式ながら『特異生体不明怪獣』とカテゴリーします…他にも都内ではこの生物とは異なりながらもシャドウを超える能力を有する存在を捉えています」

 更に端末内のデータをドロップして防犯カメラ映像からの切り抜き画像からゴジラを始めとした同種の存在をハッキリとその姿を捉えていた」

 更に沖田が映像からカテゴライズしたデータを踏まえてゴジラを始めとした怪獣戦士(タイタヌス)を符号順で分けていた。

「まず国道1号線を時速500キロで移動してユニットのアルトリウスと交戦した『特異生体不明怪獣』略して特生怪獣第1号は硬質な体組織で覆われておりアルトリウスが使用するATR-X02『ロンランス』の20ミリ弾をまともに受けても決定打にならず切断に優れたATR-X01『カリバーン』の使用に移行しましたが格闘能力も訓練を受けた戦闘技能者級であることが伺えました…他にも第1号よりも硬質な体表を有する飛行能力を有する第2号、第1号以上の体格を有する高層ビルを跳躍力だけで飛び交い高い機動力を有する第3号、現時点で警視庁が把握している特生怪獣群の資料になります」

 沖田はスクリーンに映し出された第1号とカテゴリーしたゴジラの画像と、ガメラと思しき第2号、コングと思しき第3号の画像資料をプリントアウトした物を特殊不明生物群対策分隊の面々に1部ずつ渡した。

「ここに来てシャドウとは違う新しい脅威ですか…如月分隊長、例のヤツも出しますか?」

「…ええっ、いよいよ本格的に被害が出ている以上は無視できないと私は判断します…警視庁さん、我々も追加で新たな情報を開示します」

 如月は武田と情報の精査をする中で出すべきと判断したとある事件についての資料を今度は尾長がユニットメンバーに1部ずつ手渡した。

「…コレは…先日の旧秩父鉱山凍結事件の…」

「はい、未だマスコミへの報道規制を敷いていますが被害規模が大きく調査が終了次第にと思っていましたが…コレはあなた方が分類した『特異生体不明怪獣』が発生させた現象であることが分かりました」

 更に長尾が挙手をしてスクリーンの前に立った。

「ここからは私が説明いたします…今回埼玉県の旧秩父鉱山で発生した局所寒冷現象はマイナス273.15度での絶対零度現象によって山中の約20ヘクタール、推定20万平方メートル規模が“完全凍結”した状態でした」

「東京ドームの約5倍…人なんかがそこに居たらどうなっていたんだ…」

 無人の山であったことが幸いだったがその発生規模に坂本は絶句した。

「待ってください防衛省さん…たしかこの事件の最大の被害状況と言えば―…」

 沖田が特生隊に挙手をして尋ねた通りであるとばかりに如月が頷いて意思返答した。

「御存じの通りこの事件の最大の被害は発生から数時間で秩父市内西部地域で呼吸器に異常をきたす症状にて救急搬送者が相次いだのも事実です」

「更に説明いたしますとこの局地的絶対零度現象で発生した氷は水分を含まず酸素を大量消費して二酸化炭素による凍結が確認されました…二酸化炭素の氷と言えば御存じの通り『ドライアイス』です…が、この氷は解けるのではなく空気中に分解されて極微量なドライアイスが形成され、これらが人間の呼吸器などに呼吸と共に吸引されてしまい肺炎症状を引き起ってしまったというのが秩父市内で発生した肺炎症状の真相です」

 埼玉県警の報告で聞いていた事と陸自の調査で発覚した事実にユニットメンバーは驚愕した。

「極小のドライアイス…そんな物が人の肺の中に…」

「はい、しかもこれは本来通常のドライアイスには無い現象です。通常これ程の小さなドライアイスが空気中に発生することなどありえません…が、絶対零度下と言う特異的な現象が発生しない限り検証のしようがないのも事実です」

 新たに出現した脅威と事件に対して警視庁側と防衛省側も沈黙が走った。

「…では最後にもう一つ…コレは埼玉県警からの報告ですが、『秩父鉱山凍結事件』後の市内の病院で出現した未確認の特生怪獣“第4号”が正体不明の無人兵器と交戦した件についてあなた方、陸自が出動した時の様子もお願いでますか?」

 御前は沈黙を破って上から“ある事”を尋ねた。

「御前警部補…それについては…御答えできません」

 御前は独自のルートから事前に秩父市内で発生した事件の中で市内の病院で発生した出来事まで把握していたが特生隊側の回答は『答えられない』と言う返答だったが、この場でソレを嘘だと追及することができなかった。

「では、これにて警視庁と防衛省の合同意見交換を終了とさせていただきます…本日はありがとうございました」

「いえ、こちらこそ…今度はアヴァロンシステムを生み出した天才緒碓タケル警視と是非顔合わせを願います」

「こちらも…スーパーXシステムを設計された湯原主任にも再度の意見交換の場にてご尊顔を拝見したいです…」

 お互いに意見交換と称した腹の探り合いを経てその場を先に去ったのは陸自の特生隊側だった。

 

 

 そして、双方が分かれて先に退出した特生隊の武田が如月に耳打ちで声を掛けた。

「どう思われます、部隊長」

「今回は開発者と装着者不在ではあったけど大きな収穫ね…今後も彼らとは綿密な協力が必要不可欠にはなります 『特異生体不明怪獣』ですか…特に“4号”の機龍には彼らに対応してもらいましょう…我々も機龍の件は捕獲もしくは抹消あるのみで進めるつもりです」

 アヴァロン・ユニットが提供した特生怪獣の画像資料の最後のページには『特異生体不明怪獣“第4号”』と記載された機龍の画像が添付されていた。

―埼玉県警・警備課―

 

 慌ただしい県警本部では秩父鉱山で発生した凍結現象の対応に追われて捜査員たちが段ボールなどに書類など抱えて走り、埼玉県内の各警察署からの連絡などを請け負う事態に発展していた。

「前原警部補、前原警部補!…すみません、前原さんは?」

 そこへ制服姿の警察官『岡田』が前原を探していた。

「岡田君、俺ならココだけど」

 前原の声をする方に振り返っても前原は見えず、書類の山しか見えなかった。

「こっちこっち」

 書類の山の中から声がすると思いきや前原がその書類の山の影に隠れていた。

「前原さん、大丈夫ですか?」

「いやなに…今度本庁側から『不明生物関連事件』の捜査本部に合流する事になったから秩父鉱山の凍結事件関連の資料をまとめている最中だよ」

 度重なるシャドウによる超常的事件に対し増員として埼玉県警から派遣されることになり身辺整理に前原は追われていた。

「はぁ、ご苦労様です…って、そうじゃなくて前原さんに面会ですよ」

「俺に?」

 岡田から自分へわざわざ県警を訪ねて来たものに対して心当たる人物が居ないことに首を傾げた。

 

―埼玉県警・応接室―

 

 応接室の扉を開けて中に入った前原が見た人物は意外にも女性だった。

「ええっと…始めまして、埼玉県警警備課の前原です」

 前原を待っていた女性は前原と同世代くらいでありながらも自分よりも幼く見える一見は少女と見間違ってしまうほどの容姿端麗な人物が律儀にスーツを着ているような印象の女性だった。

「あっ、はい…始めまして…と言うワケじゃないです。直接顔を合わせはしませんでしたが秩父市内の病院に派遣したスーパーX装着員の直属の上司で、『陸上自衛隊特殊不明生物群対策分隊』開発主任者の湯原サラと申します」

 サラは前原に自らの長い名称の素性を簡易的に記載した名刺を渡した。

「スーパーX…? あぁ、病院で出会ったあの陸自の…」

「はい、正式名称は『特殊防護装甲装備試験機』ですが長いので陸自では『スーパーX』と言う呼称で運用しています」

「私も後で上層部から聞きましたけど…湯原さん…そうですか、あなたがあれの開発者だったとは…」

 前原はサラの苗字を聞いて初めて彼女が何者なのか理解した。先日機龍に対して仰々しい武装をした部隊を率いて更には被害を顧みないような判断を下す装甲服を着た人物の上司に当たる人物であることに驚いた。

「その件につきましてはウチの神子二尉が大変失礼をいたしました」

「いえ、国防に関わる方の判断ですので結果として被害はなかったので何よりです」

「そう言っていただけると気が引けますが…謝罪に上がっておいて図々しいお願いをしてしまうのですが…」

 サラはただ先日の事を謝罪しにきたわけではなかった。

「実は秩父鉱山の凍結事件には先日あなたと私が指揮する分隊が遭遇した機械の怪獣の捜索をお願いしたく…」

「ええっと…行方不明者の捜索でしたら刑事課の方が…」

「あなたですからお願いしているんです!あの時、彼を庇ってくれた…あなたで…あれば幸いです」

「……あの怪獣、もとい“彼”に心当たりがあるのですね」

 前原に強く機龍の捜索を求めるサラはレディーススーツのスカートを握りしめるほどに語れない理由があると考えた前原は口に手を当て考えると立ち上がった。

「ワケは後で御聞かせ願いますが…あなたの心当たりを頼りにできるだけの事はしましょう」

「あっ、ありがとうございます!前原さん」

 サラは自ら機龍の捜索に協力してくれることを承諾した前原に深く一礼をした。

 そして、応接室を出ると前原の目に後輩の岡田が横切った。

「あっ、岡田君 これから俺は現場付近まで彼女を案内するから資料の整理頼めない?」

「ええっ!前原さん明日本庁に向かうのにッ!?」

 前原が先程まで整理していた資料を岡田に無理言って肩代わりさせる形で後を託した。

―秩父高地―

 

 一方、その頃…

―チャポンッ…

 秩父市内から脱した機龍ことシュンイチは山林の中で近くを流れる川から水を汲んでいた。

「…………」

 水は拾った金属桶で救い上げ元居た森の中へ再び戻った…しかし――

「ッ!?……まただ、誰かに見られている気がする」

 消して人より見えないものが見えるような意識は無い…が、森に入ってからここしばらく誰に見られているような気配がしてならなかった。

(この身体になってから人一倍警戒心が強くなったのか?…いや、感覚が強いからなのかもしれない)

 あれから様々な事を自分の身体を通して試したシュンイチは機龍の能力を手探りで試し続けた。特に感覚に関する能力が飛躍的に研ぎ澄まされている様であった。聴覚は遠くの鳥の声から水の落ちる音まで聞こえ、視界は望遠レンズでしか見えない距離まで見えた。

 だが、味覚や触覚はこの機械仕掛けの身体には感じ取れなかった。それは同時に食欲もわかない心から機械のようになってしまった恐怖心から最近になって徐々に心身も疲弊し始めていた。

(変なものまで見え始めたらこんな身体もいよいよ不便を超えて不気味だな)

 やがて森の奥に進むと古い坑道跡のような場所に辿り着いた。

「メカゴモ…どこだ?」

 声を上げてメカゴモラを呼ぶと奥の岩陰からヒョコッと顔を出してきた。

「ゴモォッ…」

「また地べたで寝てたのか…と言っても君に座って寝るなんて難易度高いか…」

 シュンイチは座り込んで水の入った金属桶を横に置いて自分の膝上をポンポン叩いて座るよう促した。

 メカゴモラはコクリと頷いてシュンイチの膝の上に腰かけた。そこにすかさずメカゴモラの土で汚れた顔を汲んできた水を手で掬って頬周りを濡らし磨いた。

「うん、少しはマシになったかな…」

「ゴモッ…」

 汚れが取れて少し濡れた頬をシュンイチの胸に擦り付けつつ抱き着いてきた。

「…どうした?」

「ゴモォ…スゥーッスゥーッzzz…」

 シュンイチの膝に乗ったことで安心感を得たメカゴモラはシュンイチの胸の中で熟睡し始めた。

「はぁ…唯一手間が掛からないのはこういう時だけだなぁ」

 食の必要のない身体の2人だが、未だにシュンイチに頼りきりなメカゴモラに対してシュンイチは不安が拭えなかった。

(このままこの子を守りながら逃げ続けるのも限界があるなぁ…また“ヤツら”が襲い掛かってきた時は…)

 メカゴモラが自分の胸の中で眠る中…シュンイチは自ら機龍として力が発現した時のことを金属桶に映る水面の自分を見つめ直す。

「うっ…うぅん…」

 目が覚めるとそこは見覚えの無い場所だった。

 室内であることは理解できるが…そこはまるでこの世に存在するあらゆる構造には人間の手が加わっているとは思えない機械的な空間だった。

「なんだ…ここは……ぐっ…腕が…身体が…動けない」

 目覚めた矢先に身体を動かそうにも手足に何かが結ばれて動けなかった……それどころか何か実験台のような物の上に乗せられて手足が金属製のバンド状の拘束具が巻き付いていた。

「なんだこれ…ぐっ…がぁああッ!」

 歯を食いしばって全身に力を込めても外れない、相当な硬度を有する金属で構成された高密度の純金属拘束バンドだった。

―バロロロロロッ…

 そんな動けないシュンイチの側に不快な機械音を発する何者かが重々しい足音を響かせてこちらに近づいてきた。

「だれだ…僕をどうするつもりだ!」

 拘束されているシュンイチの前に現れたのは不快な機械音を常に発し続ける一見はブリキ人形の様な姿のロボットだった。

 更に気づけば部屋の3か所にある出入り口から同じようなロボットが何体も現れてきた。

 まるでシュンイチをこれから実験台とするかのようにゾロゾロとロボットたちがそれぞれの役割分担を実行するかのように何らかの装置に起動操作が行われ始めた。

―ブゥウウウウウウウウンッ…

「ぐぁあああああああああ!!」

 身体が焼けるように熱い…さながら電子レンジの中にいる食材だ。マイクロ波による高温照射でシュンイチを焼き殺すつもりだった。

「がぁあああああああああ!!」

 しかし、シュンイチの中で何かが爆発的に増殖する感覚が発生して全身を液体の金属がシュンイチの身体を覆うようにして纏い始め…金属粒子はやがて形を成してシュンイチから機龍を出現させた。

「ぐわぁああああ!!」

 その力は絶大であり生身の時とは打って変わって四肢を拘束していたバンドを引きちぎって破壊した。

「はぁ…はぁ…なんだこの姿…僕は一体どうなってしまったんだッ」

 両手で変化してしまった自分の身体を確認するも…そんな感情に浸る余裕も与えず不快な機械音を発するロボットたちが一斉に手を銃火器の様な物に変化させて機龍に対してレーザー攻撃を仕掛けてきたが…機龍にはそのすべてが危険予知として即座に瞬発反射で避けて1体のロボットの後ろに回り込んで逆にそのロボットを盾にしてロボットごともち上げてロボット同士をぶつけたり、ロボットたちよりも速い反射速度で次々とロボットのゼンマイの回る頭部に貫き手で貫いたり、拳で砕いたり、果てには胴体に蹴りを入れ持ち上げ引き裂く、荒々しい戦い方で部屋中にはロボットだったものが散乱していた。

「はぁ…はぁ…疲れも…痛みも…消えた…どうなっているんだ、僕の身体は…」

 先ほどまで焼かれる痛みが確かにあったのに…これだけ暴れたにも関わらず機龍として今は姿を変えてしまった事により身体から感覚が僅かに失われている様であった。

「とにかく…ここを出なければ…」

 機龍は駆け足でこの謎の空間を走り回るが出口と思われる場所に辿り付けない。

「どうなっているんだココは…出口はどっちだ」

 何度も何度も走り回っても出口と思えるような場所にはたどり着けない…そんな中でふと立ち寄った別の部屋で何か機龍の目の中で激しく火花のようにプラズマ状の何かが迸るエネルギーを検知していた。

「なんだ、このエネルギーは…」

 すると、エネルギーが次第に大きくなって空間に裂け目の様な亀裂が走った。

「なんだ一体ッ!?」

 その裂け目の奥には見たことも無いようなこの世のものとは思えない大都市空間が広がった世界だった。

 すると、そんな裂け目からフラフラと歩いてくる小さな何かがやってきた。

「ご…もぉ…」

「おっ…女の子?」

 それは硬質な金属のような角と足回りと腕周りに同質な金属で構成された体表…そして白髪の髪に額から1本の角が生えた少女…否、それは怪獣娘のメカゴモラだった。

 メカゴモラは何やら怪我をしているほどにボロボロだった。ふらついた足取りで倒れそうになったところを機龍に支えられ、抱きかかえた。

「誰なんだ、この子は…」

 しかし、裂け目から現れたのはメカゴモラだけではなかった。更に奥から無数の流線型状を模したロボットたちが続々とこちらに向かってきた。

「まずい、逃げなきゃ…」

 機龍はメカゴモラを抱えて走り出したが…走りぬけた様々な部屋からもブリキ型のロボットたちも現れたが裂け目から現れた流線型のロボットの方に交戦に入った。

 逃げる機龍の後ろではブリキ型のロボットたちが流線型のロボットたちに次々と破壊されている…ソレはまるで古い物が新しい物に淘汰されていく様の用であった。

 しかし、機龍は余所見が祟って足に何かが引っかかって床に身体が叩きつけられた。その拍子に腕に抱えていたメカゴモラが腕より抜けて機龍の頭の上に転がっていった。

「君ッ…ハッ、コイツ!」

 それは先程まで機龍を謎の部屋に台の上で焼き殺そうとしたロボットが半壊してもまだ動いていて機龍の足を捉えていた。

「クソッ…こんな時に…」

 放そうとしない半壊のロボット…迫りくる未知の流線型のロボット…しかし、更に機龍の胸の中から急激に溢れかえるエネルギーの高鳴りが起きていた。

「ぐあぁああああ!!ぐっぐるしいぃいい!!」

 胸が今にも弾けそうな様な苦しみ…手を突っ込んで体表を剥がしたいとさえ思える様な感覚…痛みも感じないはずの身体がその中から込み上がって爆発的に苦しい感覚が出てこようとしていた。

「ぐぅぁあああああああああああああ!!」

 機龍は胸部装甲を無理矢理こじ開けようとして腕を突っ込むと胸部から3枚の開門口が開いて中から高出量の三点放射盤が露出して、そこから青白い高エネルギー物質が蓄積されて一気に放出された。

 その青い光はブリキ型ロボットも、流線型のロボットも、空間すべてに広がる謎の施設ごと諸共に衝突してすべてを完全凍結させた。

 空間を始め、空間を包む土、土の上に生い茂る木々と支える山諸共、一気にすべてが凍り付いて物質はすべて氷に変化してしまい生命溢れる大地は突如として氷の大地へと変貌を遂げてしまった。

「はぁ…はぁ…何が…起きたんだッ!?」

 機龍が目の当たりにしたのは自分が胸の中の何かを空けただけで目の前にある物すべてが開けた空の下で凍り付いた世界が広がっていた。

「ゴモォ…」

 そんな時、声をする方に振り返ると身体をさすって痛みに悶えるメカゴモラが居たのを思いだした機龍は彼女を抱えて凍った世界に飛び込むようにして謎の空間から抜け出した。

 思いだせるシュンイチの記憶の中でまだ新しい出来事は自らの力の影響で山が1つ氷の世界に変わった…否、変えてしまった記憶だった。

「…………」

 改めて自分の力を考えてもやはり恐ろしい力が自分の中に宿っていると考えると人間ではない自分が恐ろしく思えていた。

―ヒタッヒタッヒタッヒタッ…

「!!」

 またしてもあの感覚だった。水を汲んだ時も、森を歩いている時も、そして今メカゴモラと共にいる時も誰かが近くにいるように感じる。

 坑道の奥か、はたまた光指す出口からか…それとも今、目の前にいるのか…誰かがシュンイチを見ていたが、誰もそこには居ない…シュンイチは機龍となってからずっとこの得体の知れない感覚に襲われていた。

―カツンッ…カツンッ…

 今度もまた妙な音がするが…ソレは紛れもなく現実の足音だった。坑道出口の方から何か光を手に持ってこちらに向かって来る2人の男女がいた。

「そこにいるのは誰ですか?」

 男女の1人の女性がシュンイチに向かって懐中電灯の光を向けた。

「このシグナル…あなたが機龍?…アカネさんじゃない、男性?」

「あなた達こそ誰ですか…」

「桐生!私だ、埼玉県警の前原だ」

 男性の一人にはシュンイチも心当たりがあった。

 それはあの病院で唯一機龍を庇ってくれた刑事の前原だった。

「前原さん!…それと、あなたは…?」

「私は湯原サラ…やっと…やっと会えましたね」

 前原と共にやってきた湯原は膝をついてシュンイチの顔を両手で触れて確かめた。

「そう……あなたが、“今”の機龍なのですね」

「“今”の?…あなたは、僕が誰なのか知っているんですか!?教えてください、僕は誰で…なんでこんな力が……ぶっ!?」

 シュンイチは湯原に聞きたい事を聞こうとする前に彼の話すことなど遮って湯原はシュンイチを強く抱きしめた。

 しかも、シュンイチの耳元ですすり泣く声が聞こえるほどにシュンイチは彼女にとって何か悪いことをしたのか、それとも今しているのか分からない状況に困惑した。

「よかった…あなたが無事でよかった…」

「はっ…はぁ…」

 ワケが分からぬシュンイチは一旦湯原を自分から離そうと両肩を掴んで彼女の顔を確かめた。

「僕は…桐生シュンイチと言います…と言っても本当の名前ではなく、あなたと一緒に来てくれた前原さんが付けてくれた名前です」

「桐生…シュンイチさん……はい、わかりました…ワケが分からないでしょうけど、すべてを御話します…だから一度、私と来てください」

 湯原は真っ直ぐな瞳で機龍を見つめ自分と来るように促す…が…

「ええっと…その子は?」

「ああ、この子は成り行きで拾ったメカゴモラです」

 シュンイチの傍らで眠る怪獣娘メカゴモラは自分の名前をシュンイチに呼ばれるや目をパッチリ開けて起き上がった。

「ゴモォ…UMGモード解除」

 すると、途端にメカゴモラが急に光り出して見る見る身体を覆っていた獣殻(シェル)が消えて彼女の無垢なる姿が露わになる…それはメカゴモラが何も着ていない“全裸”の状態になった。

「うわっ!なんで何も着てないんだ!?」

「ゴモォ…メカゴモ…充電完了……キリュウノ、ソバニイル…スキィィッzzz」

 寝て起きてまた眠って、しかも今度は何も来ていない姿のままシュンイチの胸の中で再び眠る…大変気まずい状況だった。

「いや、こっ…これはその…ちがくて…えっ…湯原さん?」

 湯原は俯いて身体をプルプルと震わせて、顔が上がると真っ赤な顔をしてシュンイチの顔目掛けて撓る腕先の手の平から左頬に直撃した。

「フケツゥウウッ!!」

 パァアアンッ!…それは痛々しくも大きな音が坑道内を響かせた。流石のシュンイチにもこれは肉体が痛くなくても心が痛かった。




アンバランス小話
『病院』

「お大事にぃ~」
 GIRLS近くの病院では怪獣娘型のシャドウとの戦闘後に怪我を負ったレッドキングたちが精密検査を終えて待合室にいるアキと合流した。
「おう、お待たせアギラ」
「なんともなかったでぇ、頑丈な所は怪獣娘さまさまや」
「だいぶ調子よくなったよアギちゃん、今度の大怪獣ファイトへの出場も問題ないって」
「それは…よかったです」
 一同に怪我がなくてホッと胸を撫で下したアキは安堵した。
「しっかし、あの新種のシャドウにも驚いたが…あの目つきの悪い怪獣もどきが睨んだだけで大人しくさせちまうとは…オレもアレと目を合わせた時、身体の奥からゾクッとする何かを感じたなぁ…」
「すごかったよねぇ…そのあと何かウチらに尻尾攻撃をしてきたけど、なんかこう、丸太で殴られたような感覚やったもんねぇ~」
 ベニオとミカヅキはそれぞれ感じたゴジラの印象にアキはビクッと身体が反応して冷や汗が垂れた。
「どうしたの?アギちゃん」
「いや…何でもないよぉ」
「そういえば、なんかやけにあの時のアギちゃん…ユウゴさんの事を叫んでいたよね」
 更にアキはミクに思いもよらぬ事を聞かれていたことに身体がビクビクッと反応して冷や汗が流れた。
「なんだなんだ、アギラ…シャドウが怖いからってお兄さんを頼りにするなんて怪獣娘としてなさけねぇな!」
「んもぉ~怖がるアギちゃんを想像したら守ってやりたくなるや~ん!」
 あらぬ勘違いでなんとかやり過せたがベニオから背中を叩かれ、ミカヅキに頭をワシャワシャされ、窮地には兄を頼りに呼びつける様な『ヘタレ怪獣娘』の烙印が付いてしまった。
「なんか納得いかないよ」
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