ウサギ小屋からは出られない   作:ペンギン13

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日々。

 日々が続いた。

 

 クリスマス。

 テーブルにはピンク色のシャンパンと、コンビニの安っぽいチキン。そしてホールケーキが二つ並んだ。片方は僕がデパートの地下で買ってきたもので、もう片方は女の子が沙綾さんから貰ってきたもの。沙綾さんの家の仕事を手伝った、そのお礼に貰ってきたらしい。

 沙綾さんが作ったケーキは少し不格好だったけれど、不思議と温かい味がして、僕がデパートの地下で買って来た綺麗なケーキよりもずっと美味しかった。

 僕がそのことを褒めると、女の子は自分が褒められたかのように、誇らしげに胸を張って「そうでしょ?」

 食後、僕は女の子の目を盗んで、ケーキの上に載っていた砂糖菓子のサンタを、こっそり冷凍庫にしまった。

 

 初詣に行った。

 取引先がどこも正月休みに入る年末年始は、さすがに僕の会社も休みで、女の子の方のアルバイトも休みだったから、僕らはふたり心置きなく深夜の神社に向かった。

 神社に着いた僕らを待ち受けていたのは、賽銭箱までの行列だった。行列を目の当たりにした僕らは、顔を見合わて頷き合う。

 神様にお願いしたいことも特になかった僕たちは、配られている甘酒を飲んで、屋台でたこ焼きを買って、神社の隅の方で食べた。そして最後におみくじを引くことにした。

 おみくじの結果は僕が吉で、女の子は大吉。『待ち人来る』を指差して女の子は小さく笑った。

 女の子に頼まれて、僕はふたりぶんのおみくじを、手が届く一番高い枝にきつく結んだ。

 

 二月。

 雪が降った。

 深夜から降り積もった雪は靴が埋まるほどで、ニュースを見ると交通網は軒並み麻痺していた。通勤をそうそうに諦めた僕は、女の子に連れられて近所の公園に行った。そこで僕らは、小さな雪だるまを作ったり、雪玉を投げ合ったり。

 夕方になると、雪は溶けてほとんどが水になった。溶け残った小さな、ふたつの雪だるまを、女の子は家に持ち帰って、宝物を隠すみたいに、大切に冷凍庫にしまった。

 

 翌日。

 ふたりで冷凍庫を覗くと、ふたつの雪だるまはカチカチに凍って、くっついてひとつになっていた。昨日は気が付かなかったけれど、よく見るとサンタの砂糖菓子の、帽子の部分が小さな歯型に齧り取られていた。僕は笑って、サンタを齧った犯人を緩く抱き寄せた。

 

 日々が続いた。

 これからも続くと思った。日常に疲れて。失敗した美味しい料理を食べて。お酒を飲んで。たまに慰め合うように重なって。そんな日々がこれからも続くのだと思った。

 そう、思った。

 

 

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