赤目のヒーロー   作:ささやく狂人

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雄英高校入学編
プロローグ:ある夏の日


『それしか方法が無いなら僕はやるよ。それでこの悪夢が終わるんだ』

『そんな悲しそうな顔しないでよ、シンタロー君。でも僕ね、ちょっと嬉しいんだ。昔から憧れてたんだよ。こうやってみんなを救う、ヒーローってやつに』

『だから、もう行くよ、それじゃ、みんなの力、“奪う”ね』

 

『…来い、カゲロウデイズ』

 

真っ白な空間に出来た歪みは、この世界の歪さを表しているようで。永遠に終わらない世界を終わらせる為、僕は世界を移動する。

 

そんな、夏の日。

 

 

 

目覚ましの音で僕は目を覚ます。平均より少し高めの背の僕にとっては、二段ベッドの上にいるので天井に気をつけなければいけない。

小さい頃は気にしなかったが中学3年生の僕にとってはこれが日課だ。

 

僕には前世の記憶がある。前世、と言っても1度死んだのかはわからない。いや、むしろ何千回も死んでいるらしいがそんな記憶は残っていない。今でもそんな前世の頃の夢を見る。その頃の僕は20歳前後だったのだが、この世界に辿り着いた時には8歳だった。世界を渡る影響のようなものだろうか。

 

病弱だった僕にとってはこの結果はかなり嬉しいものだった。そして、健康体として辿り着いたこの世界の常識は前の世界では信じられない常識があった。

 

 

『個性』 初めは信じられなかったが、この超人社会では超常が日常に。架空は現実に。

『ヒーロー』 個性の影響で現れた敵ーーーヴィランを退治する仕事。

 

この2つが、異常な僕を普通にさせた。

いや、厳密に言うと普通ではなかった。さらに言うと僕のもつ異常な力は『個性』ではない。前世で手に入れた『能力』だ、しかも複数。

それを知った時、僕はヒーローの道に進む事を迷わず決めていた。この世界では個性の複数持ちはかなりのレアケース、その点で役に立てると思ったのが1つ。そして、純粋に、誰かを救うヒーローという職業にどうしようもなく憧れてしまったから。

 

職業としてプロヒーローの道を目指すとなると進学する高校はもう決めていた。

『雄英高校』 倍率300であり、数多くのプロヒーローを輩出してきた名門校だ。あのNo.1ヒーローの出身校でもある。詳しくは知らないけど、最近この街にも来てるとか。

 

ともあれ、今日は僕のその雄英高校の入試当日だ。

手早く準備を済ませ、親に行ってきますを伝えて、家を出る。

 

ヒーローを目指す上で、僕が気をつけなければいけない事がある。それは、僕のは『能力』であり『個性』ではない、という事だ。仮に個性を消す個性の人に会ったとすると、僕のは個性ではないとバレてしまうだろう。隠す理由も無いのだが、うまく説明する理由も思いつかないのだ。体を調べられる事もあるかもしれない。だから長考の末、『能力』である事を隠すことにした。仮にバレてもあまり問題は無いだろうし。

 

 

 

そんな事を考えながら、雄英高校の門前に着くと、くせっ毛の緑色の髪をしている少年が転びそうになっている所を目にする。近くにいた少女が助けて高校内に入っていった様だが、残って立ち止まっている少年の様子が少しおかしい。

数秒迷った末、声をかけることにした。

 

「…君、大丈夫?って顔赤いよ?」

「あ、あぁ、大丈夫!です!ちょっと女子と喋ってしまったのでそれを味わってたってだけっていうかなんというか!」

「そ、そっか…?」

 

ちょっと何言ってるかわからないが元気そうで何よりだ。というか喋ってたのかな。ヤバい人な気がしなくも無いが仲良くなっておこう、恐らくこれも何かの縁だ。

慌てた様子の少年が落ち着いたのを見計らって僕は聞く。

 

「僕は九ノ瀬遥(ここのせはるか)、一緒に入学できたらいいね」

 

少年は笑顔で返す。まっすぐに僕の『目』を見て。

 

「僕は緑谷出久って言うんだ。入試、頑張ろうね!」

 

ーーーーーーこれが、次期No.1ヒーローとの出会いだなんて、その時は全く予想できなかった。

 

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