赤目のヒーロー   作:ささやく狂人

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USJ

そんなマスコミ事件から数日。午後のヒーロー基礎学前に、教室で相澤先生に集合をかけられた。

 

「今日のヒーロー基礎学だが俺とオールマイト、そしてもう1人の3人体制で見ることになった」

 

“なった”…?当初の予定とは違ったのかな。不思議に思いながらも僕は質問する。

 

「何するんですか?」

 

先生は戦闘訓練の時のようにパネルを見せる。書かれてる文字は『RESCUE』

 

「災害水難なんでもござれ。レスキュー訓練だ。訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗って行く。以上、準備開始」

 

『はい!』

 

 

コノハのコスチュームに着替えた僕はバス乗り場へ向かう。今思うと敷地内にあるバス乗り場って凄いなぁ…。

 

「あれ?デク君コスチュームは?」

「あ、ほんとだ」

 

麗日さんの発言に同調する。緑谷君は雄英高校の指定体操服で、前回の戦闘訓練のコスチュームではない。

 

「あぁ、戦闘訓練でボロボロになっちゃったからサポート会社の修復待ちなんだ」

 

まぁ、そりゃそうか。爆破食らいまくってたし。というか体操服の方が似合っている…という言葉は飲み込んでおいた。

 

数言会話を3人で続けていると飯田君の指示がある。

 

「1ーA集合!スムーズにバスに乗る為に番号順で並んでおこう!」

 

…。そういえばあのマスコミ騒ぎの直後、緑谷君が飯田君を委員長に推薦して変わったんだっけな。何があったのかは知らないが、他の皆も“非常口飯田”として認めているようだったし、丸く収まって良かった。…非常口?

 

現委員長の飯田君が張り切ってるのを見て微笑ましく思いながらも、バスに乗り込む。

 

 

 

 

「みなさん、待ってましたよ」

 

バスに揺られる事十数分。

 

ドーム型の演習場へ入り、そこで待機していたプロヒーロー“13号”先生と対面した。

 

スペースヒーロー13号。災害救助で目覚ましい活躍をしている紳士的なヒーローだ。個性は『ブラックホール』で、いつも宇宙服を着ている。

 

13号先生は僕らを見渡して、口を開く。A組が13号先生の話を聞くのは初めてだ。中々興味深い。

 

「皆さんご存じとは思いますが僕の個性は“ブラックホール”。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」

 

『ブラックホール』を使いどんな災害からも人を救いあげる、そんなプロヒーローは言葉を続ける。

 

「ーーしかし簡単に人を殺せる力です」

 

僕らはその言葉を聞いて息を呑む。直接的な表現が効いたのか、13号先生の声は静かな空間に響く。

 

「超人社会は個性の使用を資格制にし厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。しかし一歩間違えば容易に人を殺せる行き過ぎた個性を個々が持っていることを忘れないでください」

 

13号先生はシリアスな空気を吸い込むように明るい口調に変えて言葉を繋ぐ。

 

「君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない。助けるためにあるのだと心得て帰ってくださいな」

 

そう言って僕をチラッと見る13号先生。『冴える』への説得という意味も込められていたのかもしれない、わからない。

 

かなり心に響いたようで、盛大な拍手を送るA組の面々。それが落ち着いた頃を見計らって僕は聞いた。

 

「オールマイトも同伴するって聞いてたんですけど、いないんですか?」

 

「…あぁ、オールマイト先生は他の仕事があるので、それが終わったら来ますよ」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

僕が質問した時、13号先生の雰囲気が少し変わった。この反応を見て、『冴える』についてしっかりと教師陣へ伝わっている事を確認する。安心だ。

 

「…他に質問は無いな?そんじゃまずはーーー」

 

その瞬間。

 

この演習所、ウソの(U)災害や(S)事故ルーム(J)中心の広場。そこに現れた黒い(もや)

 

そこから出てきた多くの人間。相澤先生の険しい顔つき。黒い靄の隣にいる銀髪の少年の雰囲気から、これが訓練じゃないことは察せた。

 

「ーーー全員!ひとかたまりになって動くな!」

 

相澤先生が僕らに指示を送っているのを頭で聞きながら、僕は身体中に手の型をつけている銀髪の少年を見る。というか、目が離せなかった。

 

…姿に覚えはない。ただ、何故か彼を待っていた僕がいる。

 

ーーーーーそれは僕で、僕じゃなかった。

 

『…会いたかッたぜ。死柄木弔』

 

僕の頭の中から響く声。忌まわしい『冴える』の声だ。

 

ーー何故?何が目的だ?

 

『目が冴える蛇』の望んだ展開である事を理解した僕は歯軋りする。蛇が這い寄ってくる感覚に不快さを覚え、意識を切り替える。

 

ーー今は目の前の(ヴィラン)に集中しろ。

 

「13号!避難開始。学校に電話試せ、センサーが稼働しないってことは妨害してる奴がいるはずだ。上鳴もな」

 

焦った様子の緑谷君が相澤先生に言う。

 

「…先生は⁉︎1人で戦うんですか?個性を消すといっても、あの数じゃ…!」

 

「…同感です。見たところ異形型も少なくない。そうなると先生が不利になりますよ」

 

緑谷君の意見に同調して僕も告げる。そんな僕らに相澤先生は首にかけてたゴーグルをつける。

 

「…一芸だけじゃヒーローは務まらん。ーー任せた、13号」

 

そして跳躍。一気に広場まで降りていく。

 

それと同時に13号先生が避難を促す。A組の面々は13号先生の後ろを走り、出口へ向かう。

 

ーーーこんな用意周到な奇襲をする敵が、それ(避難)を許すはずもなかったが。

 

直後、僕らの視界は黒い靄に覆い尽くされた。広場に最初に現れた敵。

 

見えない口を開く黒い靄。

 

「初めまして、我々はヴィラン連合。この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは…平和の象徴、オールマイトに息絶えて頂きたいと思っての事でして」

 

かなりの丁寧口調で目的を口にする。口調とは裏腹な内容に僕らの顔が青ざめる。

 

「本来ならば、ここにオールマイトがいらっしゃるはずでしたが、何か変更があったのでしょうか?…まぁ、それとは関係なく、私の役目は“これ”…!」

 

そして動き出すヴィラン。その動きを見逃さず13号先生も迎撃態勢をとるが、それより早く動いた生徒が2人。

 

「ーーーだぁっ!」

「ーーオラァっ!」

 

切島君の“硬化”した拳と爆豪君の“爆破”がヴィランを襲う。

 

「その前に俺たちにやられる事は考えなかったか⁉︎」

「ーー馬鹿っ!」

 

僕は前に進み出て2人の首を掴み後ろへ投げる。爆破の黒煙でヴィランの姿が見えなくなる上に向こうの個性もはっきりしていない。完全な悪手。『目を合わせる』で石化させようにも、相手の目が見えないと不可能だ。

 

13号先生の邪魔にならないように僕も後退する。黒煙が未だ晴れぬまま、攻撃が効いたようには見えないヴィランの声が耳に届く。

 

「危ない危ない…生徒といえど、優秀な金の卵。私の役目はーー貴方達を散らして、なぶり殺す!」

 

13号先生が“個性”を発動するがもう遅い。黒い靄は僕らの周辺を覆っていく。僕の視界が黒に染まった瞬間、僕は『()()()()』を発動する。

 

そして僕らは、闇に飲み込まれていった。

 

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