やはり一度死んだ俺とポンコツ魔王の青春ラブコメはまちがっている。 作:Seli
〈陽乃 Side〉
私は内心驚いていた。
先程あったばかりの男の子に、私の偽物の笑顔でなく、本物の顔を見せて接しろと言われたのだ。
私は雪ノ下家の長女なので、物心着いた時にはお母さんの教育でたくさんの習い事をさせられていた。
そしていつの間にか、仮面を着けた笑顔をするようになっていた。
でも、彼にだけは純粋な笑顔で接することが出来ていた。
どうしてなんだろう?
それに彼に可愛いと言われ私はドキドキしていた。
急に何なのよ、もう!
面と向かって、そんなこと言われた初めてだよ。
ビックリさせないでよ、もう!
彼は私の周りにはいなかったタイプの人だった。
うん! これから彼とたくさん話をして仲良くなろう。彼のことを知ろう! そして、私のことも知ってもらうんだ!
そう決心し、本物の笑顔で彼に話かけるのだった。
〈陽乃 Side out〉
〈和樹 Side〉
先程陽乃が母さんに、親の電話番号を伝えた。そして、連絡を行い30分後に家に来ることになったみたいだ。
俺は母さんの手伝いをしようとしていたのだが
「和樹は陽乃ちゃんの相手してあげなさい♪」
と言われ、陽乃の相手をしているところだ。
「ねぇねぇ、和樹くん!」
「どうした?」
「和樹くんって何歳なの?」
「10歳で小学四年生だ。陽乃は?」
「私も10歳だよ! 同じ歳なんだね!
和樹くんは、どこの小学校なの?」
「俺は○○小学校だ。」
「そうなんだ.... 私は△△小学校だよ。」
陽乃は俺と学校が違うことにショックを受けているような感じだった。
「学校が違っても、お互いに会おうと思えば会えるだろう。陽乃さえ良ければ、また家に遊びに来い。八幡、小町、いろはも喜ぶ。」
「.....また来ていいの?」
不安そうにしている陽乃の頭に手を置き、八幡達にしてやるように頭を撫でた。
「当たり前だろ。それに俺達はもう友達だろう? だから遠慮なんてするなよ。」
「うん! ありがとう、和樹くん!」
陽乃は満面の笑顔で言った。
このピュアのんかわいすぎるでしょ....
お兄さんのライフはゼロよ。
この子を絶対に魔王になんてさせないぞ!
天使になってもらうんだ!
おっと、テンションが少しおかしくなっていたみたいだ。
「そう言えば、陽乃は何人兄弟なんだ?」
「私の1つ下に、雪乃ちゃんて言う妹が1人いるんだ! いっつも私の後ろに付いてきてすごく可愛いんだよ! 」
「そうなのか。でも今日は陽乃1人で歩いていたよな?」
「雪乃ちゃんへのプレゼント買いに来てたんだ! 私が転けてダメにしちゃったけど....」
「あのぬいぐるみのお陰で、陽乃の綺麗な顔に傷がつかなかったんだから、パンさんに感謝しようぜ。それにあれぐらいなら治せるから、補修して今度渡すよ。」
「う、うん。ありがとう!」
陽乃と話していると、『ピンポーン』とインターホンが鳴り、母さんが応対し、母さんと共に和服を来た綺麗な女性が部屋に入ってくるのだった。