仮面と運命と剪定者 作:カオス
名前は知らないが竜族の城に着いた。見た感じファンタジー世界にあるザ・お城って感じのお城だ。送り届けたし俺もさっさと別行動をしようと思ったがバリアリーフに止められた。さすが竜族、力に関してはお手上げ状態だ。渋々城の中に入った俺はどうやって城から抜け出そうとかはもう考えてなかった。もう完全に諦めムードだった。強引に抜け出せばバリアリーフに出くわして戦闘なんてして重傷、死なせてしまうことなんてあればバタフライ効果でどんな影響があるか分からない。また
姫「そろそろ村に帰りたいのだが…」
バリアリーフ「ならその村までお送りいたしますわ」
姫「いやいやそんなことまでしてもらわなくても…」
バリアリーフ「竜王様を助けていただいた恩人に送り迎えをしないとなれば竜族の沽券に関わりますわ」
姫「じゃ、じゃあその村の近くまででもいいので…」
バリアリーフ「…」ニコッ
俺は部屋に戻った。
だ、駄目だ…勝てない。そもそも俺が住んでいる村は戦後に出来た村なので当然今は存在していない。付近の村も戦後に出来た村なのでこれもなし。後俺が知っている村は人族の有名な街ぐらいで、その街は人族の最重要拠点でもあった場所…つまり今は人族の最重要拠点である場所だ。しかも軍の最重要拠点だ。他種族が近寄れる場所ではない。俺は諦めて部屋に戻った。
正直言ってもうお手上げ状態だった。なんだか竜族の人(城内にいる人)全員が俺を何とかして引きとめようとしているような感じがする。竜王や竜妃(竜王を助けた事によって知り合った)、バリアリーフがいない時に城から出ようとしたらメイドたちに取り囲まれてそのまま部屋に戻された。これ絶対に城から出させないようにしているって俺は確信は持てないけど自信もって言える!
………正直言ってこのまま竜族にお世話になっておこうかなっていう気持ちはある。ここにいれば衣食住は勿論、娯楽もそれなりにあり会話が出来る人たちもいる。けどこのままもとの時代に帰れなかったら?そんな気持ちが心の中で渦巻いていた。時間が経てば帰れるって言う仮説もあるがそれがいつなのかも本当に時間が経てば帰れるって言う保障も無い。
しかたない…強引にでも一人で帰ってやる!というわけで俺は今王室にきて
姫「…ということでウルシア、俺もう帰るわ。護衛とか見送りはいらん」
ウルシア「なにがということでなのかは知らないが、これでは竜族としての沽券が…」
姫「なんでそんなにも俺をここに引き止めたがる?」
ウルシアは困った表情を見せ竜妃のリルルはオロオロしている。バリアリーフも少しあせっている感じだ。
ウルシア「…正直に言ってお前を人族に返したくないのだ」
やっぱり引き止めていたのか…
姫「理由は?」
リルル「あなたには竜族の一員になってもらいたいのよ」
竜族の一員?それってつまり…
姫「つまり俺が竜族の誰かと結婚して竜族になってほしいと?」
バリアリーフ「簡単に言えばそのとおりですわ」
…予想の斜め上をいった。大方人族に返してもし敵対したら強力な相手になるということでこの城に閉じ込めておこうと思っていたが…いやそれも含めての勧誘か?
ウルシア「このまま人族に返してしまってはお前が竜族の脅威になるというのも否定はしない」
やはりそうだったか…まぁ予想通りだが。
姫「質問、もし俺が竜族になるといったら誰と結婚させる気だ?」
ウルシア「バリアリーフだ」
姫「バリアリーフ?」
俺はバリアリーフを見る。……少し頬が赤くなっている。
リルル「少なからずバリアリーフはあなたのことを想っているからね」
姫「何?」
俺は再度バリアリーフを見る。めっちゃ赤くなっていた。
リルル「知らなかったの?バリアリーフはあなたの戦う姿を見て一目惚れしたみたいよ」
バリアリーフ「リルル様!もうこれ以上は…」
知らなかった…確かに俺と喋っているときは頬が赤くなっているときがあったがまさか俺に惚れているなんて思いもしなかった。
姫「…少し考えさせてくれ」
ウルシア「バリアリーフでは不満か?」
バリアリーフ「えっ…」
バリアリーフはまるで捨てられた小猫みたいな目で俺を見てくる。
姫「そうではない…俺も人族だ。そう簡単に人族をやめて竜族になるなんて軽々しく言えない」
ウルシア「まぁそのとおりだな。うむ…期限はない。いつまでも俺たちは待っている」
姫「…すまない」
俺は部屋に戻った。
部屋に戻った俺は当然、悩みぬいている。俺とバリアリーフは結婚したら当然バタフライ効果が待ったなしだ。バリアリーフはメインヒロインでもサブヒロインでもない。しかし主要キャラだ。そんな人と付き合ったら何かしらのバタフライ効果がある。それがいい方向に行くのか悪い方向に行くのかは不明だが……しかしいいのかそれで?一人の女性の気持ちを踏みにじってあくまで未来のための投資をするのか?ならバリアリーフと付き合い未来がどうなるか分からない結末にするのか?最悪、悲劇でこの物語が終了してしまうかもしれない。バリアリーフと付き合いそんな不確定要素だらけの未来にするのか?
俺は未来を選ぶのか女性を選ぶか……どっちが正しくてどっちが間違っているのか俺にはわからなかった。
トントン(ドアノック音)
??「姫…少しいいですか?」
姫「ん…ああ大丈夫だ」
??「失礼します」
ガチャ(ドア開閉音)
扉が開き一人の女性が入ってきた。………バリアリーフだ。
姫「バリアリーフ…」
バリアリーフ「すみません。夜遅くに…」
バリアリーフは申し訳なさそうに顔を俯かせている。いや…顔が若干赤い。恥ずかしがっているのか…無理も無い。不本意とはいえ自分の好きな人を暴露されたのだ。
姫「いや…別に大丈夫だが、なんのようだ?」
バリアリーフ「実は改めてお話をしようと思いまして」
姫「…」
バリアリーフ「あの時におっしゃっていた事…私が姫が好きと言うのは本当です。この事実をどうしても私の口から伝えたくて…」
姫「あぁ…けど俺はいずれここからいなくなるかもしれない」
バリアリーフ「え…」
声がかすれそうなほど小さい声でバリアリーフは驚いた。
姫「この竜族の領地からではない。この時代から…だ」
バリアリーフは混乱していた。俺が突然、突拍子もないことを言ったからだろう。顔が困惑の表情になっていた。
姫「仮に俺とバリアリーフが結婚したとしてもそんな悲しい思いをさせてしまう」
バリアリーフ「…何故この時代から消えるのかは教えてはくれないのでしょうね。だけどこれだけは言っておきます!私はこの時代から消えても私はあなたを思い続けますよ」
姫「…!けど俺は他の女性とも結婚するかもしれない!お前の事を蔑ろにしてしまうかもしれない…俺は」
パシィィン!!
俺は一瞬何をされたのか理解できなかった。しかし頬の痛みそしてバリアリーフの体勢…俺はビンタされたのだ。そうだ…そうだよな。普通堂々と『浮気をするぞ』なんて言って怒らない女性がいるはずが無いよな。
バリアリーフ「勘違いしないでください!浮気ぐらい…男の甲斐性というものです!それくらいで怒るなど姫にも…相手の方にもございません!それに私は蔑ろにされないように姫に着いていく所存です!!」
姫「!?」
バリアリーフ「私はあなたが何処に行こうと誰と付き合おうと私を一人の女性として一人の嫁として扱ってくだされば私はそれだけで幸せなのです!」
姫「………」
絶句とはまさにこの事なのだろう。バリアリーフから話された言葉の数々が俺の心に突き刺さる。そしてそれはまるで毒のように体中に溶け込み体を温めていく。俺は…白鷺姫として生まれて初めて心の底から涙を流しそうになった。
バリアリーフが俺を抱いて背中をポンポンと叩いてくれる。その行為に俺は更に泣きそうになっていく。
バリアリーフ「ですから私と……結婚してくれませんか?」
姫「……はい」
思えば俺は白鷺姫としての生に拘り続けていたのかも知れない。白鷺姫がこうしたんだから俺もこうしなければならない。そうじゃなければ未来が悲劇なものになってしまう。俺はそう考え続けていた。しかしバリアリーフと話していて分かった事があった。それは俺が白鷺姫ではなくシラサギヒメだったという事。俺がシラサギヒメになっていた時点でもう白鷺姫ではなくなったという事だ。
今の俺はもう迷ったりしない。バタフライ効果なんてもう気にしない。俺のやりたいようにやる!それがどんな悲劇になろうと俺はその悲劇を喜劇に変えてみせる!俺はようやく白鷺姫になったような感じがした。
その夜…一人の男女が結ばれた
次の朝…俺は廊下を歩いていると前からウルシアが歩いてきた。
姫「あぁ…ウルシアおはよう。俺バリアリーフと結婚するわ」
ウルシア「おはよう……えっ!?」
姫「それじゃあ…」
俺は結婚予定報告だけ済ませてウルシアと別れる……
ウルシア「ちょちょ……まったまった!!」
姫「なんだよ?」
ウルシア「今!大事な事をさらりと言わなかった!?」
ウルシアは吃驚した様子で俺に問い詰めてきた。
姫「……おはようか?」
ウルシア「ちがう!それは唯の朝の挨拶だ!」
姫「あぁ…か?」
ウルシア「言葉になってない!というか何でそれと思った?」
姫「…ウルシアお前…」
ウルシア「なんだよ…」
姫「何をそんなに興奮しているんだ?」
ブチッ!!!
ウルシア「とても大事な事をさらりと言ってそれを聞き返そうにも姫が言わないから興奮しているんだろう!!」
俺の肩を掴んで前後に揺らす。気鱗のちからが若干働いてとても凄い揺らしかただ。酔いそう……そんなこんながあった次の日であった。